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目が覚めたら、窓の外の水平線から朝日が登っていた……。
えっ、水平線!? 海っ!!
思わず飛び起きて、腰と尻の痛さにそのまま突っ伏した。
「ん? おぉ、起きたか」
その声にビビってひっくり返るかと思った。
どう見ても日本人じゃない金髪の大男が、あまりにも綺麗な日本語を使った。
そうだ、コイツ! 昨日俺をさらった張本人!
何が『Hay!』だ、お前日本語喋れるんじゃないか!
自分に着せられているバスローブの合わせを掴んで、恨みがましい気持ちでキッと相手を睨みつけた。牽制のつもりだったのに、金髪の男は肩をすくめて笑っている。
男はベッドの横に置いてある、小さなテーブルセットに腰掛けていた。
もしかして俺が起きるまでそこに……? なんて考えもしたが、そんな事で誘拐犯に絆されるわけないだろ!
「痛いところはないか?」
「ないっ!」
いや、痛い……尻がめちゃくちゃヒリヒリする……。腰も痛くて、うまく力が入らない。
男が立ち上がってベッドサイドに立つと……デカい! 自分が座っているせいか2mくらいに見える……! そして、腕の筋肉! 胸の筋肉! 肩の筋肉! ゴツい、立ち上がられると威圧感が半端ない。
ヒェ……と、見上げて思わず尻込みしたら、ズキンと尻が痛んだ。
「いッ……!」
「やっぱり痛いか、無茶しやがって」
ベッドに膝を乗せて乗り上げてくる男に、思わず逃げたくなった。
もう何かされるのは嫌だ! 這ってでも逃げようとした俺を、男は猫でも捕まえるように簡単に押さえつけた。
バスローブの裾をめくり上げられて、下着を身につけていない下半身が晒される。
「――ッ!! いやだ! イヤッ……!」
「大人しくしてろ」
犯される! またヤられる! 必死で抵抗しようとするが、筋骨隆々な男はピクリとも動じない。
尻穴にヌルッと何かを塗りつけられて絶望した……俺、もしかしてこれから男たちの慰み者にされんの!?
「少し中に入れるぞ」
「ひぅっ……!」
男の太い指が入ってきて、泣きたくなった。少しとかウソだ、今からお前の突っ込む気だろ!? こんなデカいやつの入れられたら、閉まらなくなる! 壊される!!
絶望で泣き出しそうな気持ちなのに、体がほんのりと快感を感じている……痛いのに……! 俺の体バカなんじゃねーの!? もうイヤだ!
「んっ、うっ……やぁぁん」
「ほら、終わりだ……あまり可愛い声出すなよ、その気になったらどうすんだ?」
へ……?
男は俺を押さえ付ける手を離して、またベッドサイドの椅子に座り直した。
「塗り薬だよ」
呆気に取られながら、バスローブの裾を直す俺に、パチンとウィンクして投げキッスしてくる……。
「オレはジェイスだ。よろしくな、コーヤ」
握手のために手を差し出されたので、誰が友好的になんかするものかと、その手をパシンと払った。
手もデカいなコイツ。
「悲しいな、あの時のハイタッチの続きをしようぜ」
「拉致されるなんて思ってなかった」
出来るだけぶっきらぼうに言い放ったが、正直こいつに力ずくで来られると、俺なんて赤子に等しいだろう。
窓の外を見たら、感動するほどの綺麗な朝日……こんな状況じゃなければ大喜びなのに。
部屋の雰囲気を見回せば、南国のコテージのような材質に、フカフカの気持ちのいい高級そうなベッド……。
……。
「って、ここどこだよ! まさか国外……!? 俺パスポート持ってない!」
「ハッハッハッ! 不法入国だな」
このクソ金髪野郎! 膝を叩いて笑ってんじゃねぇよ!!
「イヤだ……帰りたい!」
「安心しろよ、船が迎えに来たら帰れるぜ」
いつ来るんだよ、その迎えの船は!!!
そんなツッコミを心で入れていて気付いた。俺、誘拐犯にビビって無いな……。ジェイスのハツラツとした笑顔や、危害を加えて来なさそうな態度に、少なくとも殺されることは無さそうだと安心してしまっている。
いや、でもコイツに拐われなければ、俺はあんな酷い目に遭わなかったんだけどな。
「アンタ、日本語上手いな、もう一人より上手いんじゃないか?」
「あぁ、グレイと違ってオレは日本人に育てられたからな」
あの茶髪の方はグレイというのか。
至近距離で確認したあの顔を思い出して、怒りよりも痴態を晒した恥ずかしさが上回った。
ああああああっ!! 頼むから夢であってくれ……! そんな事を思っても、尻が痛いのは変わらない事実で、つまり起こった出来事も現実という事で……。
忘れろ! 忘れろ!! 頭の上で手を振って、自分の思考を霧散させた。
「何が目的なんだよ」
「休暇中のバカンスに誘おうと思って連れてきただけだ、サプライズ嫌いか?」
「意 味 が わ か ら な い !」
全然意味がわからない! 何で見知らぬ男二人の休暇に付き合うために、拉致られなきゃならないんだ!
「なんで俺なの……」
一つも説明になっていない理由に、交通事故にでもあったような不運を感じて、両手を顔に当てた。
昨日近道で公園なんて通らなければ、あんな遅くまで仕事なんてしてなければ、そもそもあんな会社で働いてなければ……。
今更どうしようもない事を悔やんでしまう。会社なんてもはや関係ない話だが、何かに当たらずにはいられなかった、何かのせいにしたかった。
やりどころのない感情を、はぁ……とため息で吐き出したら、キィッと高い音が鳴って部屋のドアが開いた。
「Good morning……すごく早起きだね」
ふぁっ……と大きなあくびをしながら、茶髪のアイツが部屋に入ってくる。
ドキッとした、体が勝手に緊張する意図はわからないが、心臓がバクバクしてるのは誤魔化しようがなかった。
俺と同じバスローブを着て、イケメンが小首を傾げながらご機嫌に近寄ってくる。女なら大喜びする状況かもしれないが、残念ながら俺は男だ……いくら顔面偏差値が高くても、同性にそんな感情は抱かない。俺はいたってノーマルだ!
「洸也、気分はどう?」
ベッドに乗り上げてきて顔を近づけてくるそいつに、過剰反応といってもいいくらい大袈裟に後ろに逃げた。
「最悪だっ!」
「昨日はあんなに素敵だったのに」
悲しそうな顔をしながら、そんな思い出させるような事を言われて……言葉は出てこず、ただただ耳まで熱くて仕方なかった。
「お前、自己紹介くらいしろよ」
俺が後ろに逃げたせいで、真後ろに居たジェイスが呆れながらとても常識的な事を言う。
「それもそうだ、僕はグレイだよ」
ジェイスと同じように手を差し出してきたら、同じように払ってやろうと思った。
なのに、グレイというこの男は両手を広げた! そしてあろう事か、驚く俺の反応を無視して抱き締めて押し倒してきた!
「会いたかったよ、洸也」
「ゔわあああああっ!」
グレイの腕を掴んで引き剥がそうとしたが、手のひらに触れたのは、脂肪の全くついていない硬い筋肉で……! ぎゅうううっと強く抱きしめられれば、俺なんかの貧弱な腕では引き剥がせるはずもなかった。
「なぜ嫌がるの? 昨日はたくさんキスもしたのに」
「レイプだろ!」
「合意だよ! あんなに熱く応えてくれたんだから」
どういう理屈だ! 合意か否かはお前が決める事じゃない!! 俺はレイプされたんだ、お前は誘拐犯で、強姦魔だ!
「俺はお前らを絶対許さないからな! 帰ったら絶対つき……ッ」
警察に突き出してやる! って言おうと思ったんだけども、逮捕を恐れて俺が殺される可能性は……?
こんな知らない土地で殺されて埋められるなんて……いや、こんな海の上じゃ魚の餌にされる!
もしかして、日本に帰れる目処が立つまでは、いう事を聞くしかない……?
どう考えても自分が不利な状況に、血の気が引いていくような気がした。
「洸也と一緒に過ごせるなんて、すごく嬉しいよ」
抱きしめられたまま耳元で囁かれて、ゾワゾワッと腰に響いた。
「どうせしばらく帰れないんだから、楽しんだらどうだ?」
上から見下ろすようにジェイスが覗き込んできて、あまりにも無責任な言動に腹が立った。
しかし、殺されるのだけは勘弁だ。命あっての物種というし。
スタートこそ強姦されたが、これからもセックスを強要されるとは限らない。何故だか俺に執着しているようだし、嫌だと拒否すればやめてくれるかもしれない。
自分の体を守るためなら、嘘泣きだってなんだってして、守り通して見せるぞ俺は!
そして帰国したらお前たちを警察に突き出すために、必要な情報は全て聞き出してやる! 顔だって絶対に忘れない、然るべき刑罰を負ってもらわなければ気が済まない。
キッと睨むようにジェイスの顔をガン見すると、その目の色に驚いた。金髪=青目だと思い込んでいたら、その瞳は綺麗な琥珀色だった。
「お? なんだそんなに見つめるなよ」
ニヤッと笑うその男に、思わずチッと舌打ちしてしまう。
「洸也、僕を見てよ!」
そう俺の視界を塞ぐように、グレイが顔を被せてくる。好都合だ、俺はお前の顔を絶対に忘れないために、記憶してやるつもりなんだからな!
言われるままに目線を合わせると、あの時暗闇の中見た顔と寸分違わない甘い顔が、俺を愛しそうに見下ろしてくる……!
むしろ明るいところで見てる分、今の方がキラキラして見えるほどだ! やめろ眩しくて目が潰れる!
よく見れば左耳にはたくさんピアスが付いているし、年はかなり若そうに感じる。いくら日本人が童顔だといっても、グレイは俺より年下だろう。
こんなにイケメンで金も持ってそうなのに、なんで俺なんかを狙ったのか、本気で理解不能だ。
それにこいつ、既視感がある気がするんだよな……もしかして、海外の有名人? 何かの雑誌かテレビで見ただろうか。
海外の事情に興味がないせいか、全く思い当たる節がない! しかしこの顔で芸能人なら、金持ちなのも納得できる気がした。
……。
このままコイツの愛人になったら、俺は海外セレブの仲間入りなのか?
えっ、水平線!? 海っ!!
思わず飛び起きて、腰と尻の痛さにそのまま突っ伏した。
「ん? おぉ、起きたか」
その声にビビってひっくり返るかと思った。
どう見ても日本人じゃない金髪の大男が、あまりにも綺麗な日本語を使った。
そうだ、コイツ! 昨日俺をさらった張本人!
何が『Hay!』だ、お前日本語喋れるんじゃないか!
自分に着せられているバスローブの合わせを掴んで、恨みがましい気持ちでキッと相手を睨みつけた。牽制のつもりだったのに、金髪の男は肩をすくめて笑っている。
男はベッドの横に置いてある、小さなテーブルセットに腰掛けていた。
もしかして俺が起きるまでそこに……? なんて考えもしたが、そんな事で誘拐犯に絆されるわけないだろ!
「痛いところはないか?」
「ないっ!」
いや、痛い……尻がめちゃくちゃヒリヒリする……。腰も痛くて、うまく力が入らない。
男が立ち上がってベッドサイドに立つと……デカい! 自分が座っているせいか2mくらいに見える……! そして、腕の筋肉! 胸の筋肉! 肩の筋肉! ゴツい、立ち上がられると威圧感が半端ない。
ヒェ……と、見上げて思わず尻込みしたら、ズキンと尻が痛んだ。
「いッ……!」
「やっぱり痛いか、無茶しやがって」
ベッドに膝を乗せて乗り上げてくる男に、思わず逃げたくなった。
もう何かされるのは嫌だ! 這ってでも逃げようとした俺を、男は猫でも捕まえるように簡単に押さえつけた。
バスローブの裾をめくり上げられて、下着を身につけていない下半身が晒される。
「――ッ!! いやだ! イヤッ……!」
「大人しくしてろ」
犯される! またヤられる! 必死で抵抗しようとするが、筋骨隆々な男はピクリとも動じない。
尻穴にヌルッと何かを塗りつけられて絶望した……俺、もしかしてこれから男たちの慰み者にされんの!?
「少し中に入れるぞ」
「ひぅっ……!」
男の太い指が入ってきて、泣きたくなった。少しとかウソだ、今からお前の突っ込む気だろ!? こんなデカいやつの入れられたら、閉まらなくなる! 壊される!!
絶望で泣き出しそうな気持ちなのに、体がほんのりと快感を感じている……痛いのに……! 俺の体バカなんじゃねーの!? もうイヤだ!
「んっ、うっ……やぁぁん」
「ほら、終わりだ……あまり可愛い声出すなよ、その気になったらどうすんだ?」
へ……?
男は俺を押さえ付ける手を離して、またベッドサイドの椅子に座り直した。
「塗り薬だよ」
呆気に取られながら、バスローブの裾を直す俺に、パチンとウィンクして投げキッスしてくる……。
「オレはジェイスだ。よろしくな、コーヤ」
握手のために手を差し出されたので、誰が友好的になんかするものかと、その手をパシンと払った。
手もデカいなコイツ。
「悲しいな、あの時のハイタッチの続きをしようぜ」
「拉致されるなんて思ってなかった」
出来るだけぶっきらぼうに言い放ったが、正直こいつに力ずくで来られると、俺なんて赤子に等しいだろう。
窓の外を見たら、感動するほどの綺麗な朝日……こんな状況じゃなければ大喜びなのに。
部屋の雰囲気を見回せば、南国のコテージのような材質に、フカフカの気持ちのいい高級そうなベッド……。
……。
「って、ここどこだよ! まさか国外……!? 俺パスポート持ってない!」
「ハッハッハッ! 不法入国だな」
このクソ金髪野郎! 膝を叩いて笑ってんじゃねぇよ!!
「イヤだ……帰りたい!」
「安心しろよ、船が迎えに来たら帰れるぜ」
いつ来るんだよ、その迎えの船は!!!
そんなツッコミを心で入れていて気付いた。俺、誘拐犯にビビって無いな……。ジェイスのハツラツとした笑顔や、危害を加えて来なさそうな態度に、少なくとも殺されることは無さそうだと安心してしまっている。
いや、でもコイツに拐われなければ、俺はあんな酷い目に遭わなかったんだけどな。
「アンタ、日本語上手いな、もう一人より上手いんじゃないか?」
「あぁ、グレイと違ってオレは日本人に育てられたからな」
あの茶髪の方はグレイというのか。
至近距離で確認したあの顔を思い出して、怒りよりも痴態を晒した恥ずかしさが上回った。
ああああああっ!! 頼むから夢であってくれ……! そんな事を思っても、尻が痛いのは変わらない事実で、つまり起こった出来事も現実という事で……。
忘れろ! 忘れろ!! 頭の上で手を振って、自分の思考を霧散させた。
「何が目的なんだよ」
「休暇中のバカンスに誘おうと思って連れてきただけだ、サプライズ嫌いか?」
「意 味 が わ か ら な い !」
全然意味がわからない! 何で見知らぬ男二人の休暇に付き合うために、拉致られなきゃならないんだ!
「なんで俺なの……」
一つも説明になっていない理由に、交通事故にでもあったような不運を感じて、両手を顔に当てた。
昨日近道で公園なんて通らなければ、あんな遅くまで仕事なんてしてなければ、そもそもあんな会社で働いてなければ……。
今更どうしようもない事を悔やんでしまう。会社なんてもはや関係ない話だが、何かに当たらずにはいられなかった、何かのせいにしたかった。
やりどころのない感情を、はぁ……とため息で吐き出したら、キィッと高い音が鳴って部屋のドアが開いた。
「Good morning……すごく早起きだね」
ふぁっ……と大きなあくびをしながら、茶髪のアイツが部屋に入ってくる。
ドキッとした、体が勝手に緊張する意図はわからないが、心臓がバクバクしてるのは誤魔化しようがなかった。
俺と同じバスローブを着て、イケメンが小首を傾げながらご機嫌に近寄ってくる。女なら大喜びする状況かもしれないが、残念ながら俺は男だ……いくら顔面偏差値が高くても、同性にそんな感情は抱かない。俺はいたってノーマルだ!
「洸也、気分はどう?」
ベッドに乗り上げてきて顔を近づけてくるそいつに、過剰反応といってもいいくらい大袈裟に後ろに逃げた。
「最悪だっ!」
「昨日はあんなに素敵だったのに」
悲しそうな顔をしながら、そんな思い出させるような事を言われて……言葉は出てこず、ただただ耳まで熱くて仕方なかった。
「お前、自己紹介くらいしろよ」
俺が後ろに逃げたせいで、真後ろに居たジェイスが呆れながらとても常識的な事を言う。
「それもそうだ、僕はグレイだよ」
ジェイスと同じように手を差し出してきたら、同じように払ってやろうと思った。
なのに、グレイというこの男は両手を広げた! そしてあろう事か、驚く俺の反応を無視して抱き締めて押し倒してきた!
「会いたかったよ、洸也」
「ゔわあああああっ!」
グレイの腕を掴んで引き剥がそうとしたが、手のひらに触れたのは、脂肪の全くついていない硬い筋肉で……! ぎゅうううっと強く抱きしめられれば、俺なんかの貧弱な腕では引き剥がせるはずもなかった。
「なぜ嫌がるの? 昨日はたくさんキスもしたのに」
「レイプだろ!」
「合意だよ! あんなに熱く応えてくれたんだから」
どういう理屈だ! 合意か否かはお前が決める事じゃない!! 俺はレイプされたんだ、お前は誘拐犯で、強姦魔だ!
「俺はお前らを絶対許さないからな! 帰ったら絶対つき……ッ」
警察に突き出してやる! って言おうと思ったんだけども、逮捕を恐れて俺が殺される可能性は……?
こんな知らない土地で殺されて埋められるなんて……いや、こんな海の上じゃ魚の餌にされる!
もしかして、日本に帰れる目処が立つまでは、いう事を聞くしかない……?
どう考えても自分が不利な状況に、血の気が引いていくような気がした。
「洸也と一緒に過ごせるなんて、すごく嬉しいよ」
抱きしめられたまま耳元で囁かれて、ゾワゾワッと腰に響いた。
「どうせしばらく帰れないんだから、楽しんだらどうだ?」
上から見下ろすようにジェイスが覗き込んできて、あまりにも無責任な言動に腹が立った。
しかし、殺されるのだけは勘弁だ。命あっての物種というし。
スタートこそ強姦されたが、これからもセックスを強要されるとは限らない。何故だか俺に執着しているようだし、嫌だと拒否すればやめてくれるかもしれない。
自分の体を守るためなら、嘘泣きだってなんだってして、守り通して見せるぞ俺は!
そして帰国したらお前たちを警察に突き出すために、必要な情報は全て聞き出してやる! 顔だって絶対に忘れない、然るべき刑罰を負ってもらわなければ気が済まない。
キッと睨むようにジェイスの顔をガン見すると、その目の色に驚いた。金髪=青目だと思い込んでいたら、その瞳は綺麗な琥珀色だった。
「お? なんだそんなに見つめるなよ」
ニヤッと笑うその男に、思わずチッと舌打ちしてしまう。
「洸也、僕を見てよ!」
そう俺の視界を塞ぐように、グレイが顔を被せてくる。好都合だ、俺はお前の顔を絶対に忘れないために、記憶してやるつもりなんだからな!
言われるままに目線を合わせると、あの時暗闇の中見た顔と寸分違わない甘い顔が、俺を愛しそうに見下ろしてくる……!
むしろ明るいところで見てる分、今の方がキラキラして見えるほどだ! やめろ眩しくて目が潰れる!
よく見れば左耳にはたくさんピアスが付いているし、年はかなり若そうに感じる。いくら日本人が童顔だといっても、グレイは俺より年下だろう。
こんなにイケメンで金も持ってそうなのに、なんで俺なんかを狙ったのか、本気で理解不能だ。
それにこいつ、既視感がある気がするんだよな……もしかして、海外の有名人? 何かの雑誌かテレビで見ただろうか。
海外の事情に興味がないせいか、全く思い当たる節がない! しかしこの顔で芸能人なら、金持ちなのも納得できる気がした。
……。
このままコイツの愛人になったら、俺は海外セレブの仲間入りなのか?
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