終わり

ダルるる

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終わり

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俺には恋人がいる。
高校の頃に何度も告白されて、俺が折れて付き合い始めたけど、直ぐに俺もそいつのことが好きになった。俺の恋人はかっこいい、気が利くし優しい、だからたくさんモテてた。だけど俺を1番に愛してくれてたんだ。だから、俺もそいつに、綾人に見合う人になろうと、勉強も運動も頑張った。綾人には叶わないけどソコソコいい成績ではあったと思う。その努力も報われて、綾人と同じ大学に入れた。
大学に入ってから、親の了承も得てルームシェアをすることになった。綾人も俺もバイトをしながら大学に通ってあまり親を頼りすぎないようにと、2人で頑張ってたんだ。

ずっとこんな関係が続くんだと思ってた。一緒に大学に行って、バイトして、休みの日はどこかへ出かけたり、2人で家でのんびり映画を見たり……。

朝起きた時、横に綾人の寝顔があるのがたまらなく幸せだった。

大学に入り2回目の秋を迎えた頃から、綾人は髪を染めた。帰りが遅くなったりして、毎日していたメールも来なくなり、返信が遅くなった。

サークルに入っている綾人とは違い俺はサークルに入らなかったから、忙しいのかなと少し寂しかったが、特に綾人に聞いたりはしなかった。バイトに夜勤を入れ始めたとか言ってたし……。

違う、嘘だ。
本当は怖かったんだ。
浮気してるんじゃないかって、
もう俺のことは好きじゃないんじゃないかって。

下手だった料理だって、綾人が笑顔で食べてくれるから、努力したんだ。
「春樹の料理は本当美味いよな」って言われるだけで、胸がギュッて締め付けられてあぁ好きだなぁって思っちゃうほど嬉しくなるんだ。

やっぱり男同士だから、大っぴらに抱きついたり出来ないけど、家にいる時はその分たくさん愛を注いでくれるあんたのことが好きなんだ……

捨てないでくれ。
綾人
帰ってきてよ。




冬が終わる頃には綾人が家に帰ってくることはとても少なくなった。
メールなんて、家に帰ってくるか来ないかの連絡だけだ。

大学で色んな人に囲まれている綾人を遠目に見ていると男も女も、みんな綾人の周りで楽しそうな顔を浮かべて話しかけている。
その中のひとりが綾人に腕を絡ませた、そのあとは曲がり角の向こうに行ってしまい見えなかった。
けど
あぁ今日も帰ってこないんだろうなということはわかった。


それでも俺はいつ綾人が帰ってきてもいいように、料理を2人分作って待っている。






その日は久しぶりに綾人が家に帰ってきた。

「なぁ、綾人3日後予定……空いてるか?」

もう会話なんて何日ぶりだろうか、声がうわずってしまった。

「あー、夜なら空いてんじゃね」

スマホをいじり綾人は俺の方を見向きもせず淡々と答えた。
そこにはもう愛がないのは明白だ。
だけど認めたくない俺はそのことを見て見振りをして、綾人の言葉に嬉嬉として食いつく。

「あ、あの!夜空いてるなら家で一緒にご飯……食べないか、?俺、ご馳走つくるから!」

みっともなくすがりつく自分に嫌になりながら、一筋の望みを信じてお願いする

「いいよ」

気だるげそうな声でスマホから顔を上げた綾人と目が合う。笑顔ではなかったが、久しぶりに目が合ってドキッとする。

「あっありがとう、そ、それだけ。メールするね」

ダメもとでお願いしたものだったからまさか、承諾されるとは思っていなかった。

嬉しすぎる……3日後……綾人と少しだけど夜を一緒に過ごせるんだ……。
何を作ろう。映画見れるかな。夜はやっぱり……
なんて、部屋に戻ったあと1人で盛り上がってた。


3日後何をしようかと考えていたら、ドアの鍵が閉まる音がして、綾人が家を出たことを知る。
その日はもちろん次の日も今まで通り家には帰ってこなかった。


大学で色んな人に囲まれる綾人を見て、胸が苦しくなって、でも綾人と過ごせる日を楽しみにしながら3日間をすごした。

約束をした日、何時頃に来れそうかと連絡をしたら直ぐに17時頃と返信が来た。

少し奮発して綾人が好きな種類のワインをかって、美味しいと言って食べてくれていた料理を作って、少し恥ずかしいけど部屋を着飾って俺は心躍らせながら待っていた。



約束の時間、家の扉が音を鳴らすことは無かった。

18:00
18:30
……
19:00
……
20:00
………………
23:00



日付が変わっても扉が開くことは無かった。



作った料理はすっかり冷めてしまって







1人では食べきれない量の料理が机を埋めている。





わかってた。わかってたんだ……とっくに俺への気持ちが冷めていたことも、いつまでも恋人ヅラしていることを疎ましく思っていることも…!!
夜勤なんか入れてなくて、
他の人と夜をすごしいてることも……!!!!

何がいけなかった……俺のどこがダメだったんだ……教えてくれよ……。

綾人……


ラップをした料理の前で蹲り袖を濡らしていると、着信音がなる。
スマホを見ると、綾人からだった。

「ッー、春樹!?ごめん……外せない用事が出来て

「綾人、ごめん……いつまでもお前に縋ってて、でももう大丈夫。別れよう。」

え、」

珍しく慌てた様子の綾人の声が聞こえてきて、その言葉を最後まで聞かずに声を発する。

胸が締め付けられる、いやだ本当は別れたくなんかない。嫌われたって悪口言われたって綾人のそばにいたかった。
涙が止まらない、


「な、にいってんだよ。別れないよ」

やめてくれ、なんでそんなこと言うんだ。喜べよ。別れたくない、好きなんだ。狂おしいほど愛してたんだ。今日だって一緒に過ごせると思い上がって馬鹿みたいに、はしゃいで準備して

でももう耐えられないんだ。



「なぁ、知ってるか?今日俺の誕生日なんだよ。

……
…………
………………あ……もう昨日か……」

ブチ
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