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第一章
プロローグ
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始まりの春が終わり夏も中旬になってきたそんな時、昼休憩前のまとめの仕事をしている最中にその電話は鳴り響いた。誰からなのかも確認せずに出ると、久しく聞いてなかった母さんからの電話だった。
「ごめんね、遥。新入社員で忙しい時期なのに。」
「いや、別に構わないけどどうしたの?」
製作中だった書類の作成を一度やめデスクを立ち上がる。隣の同僚に訝しんだ目で見られてしまったが電話だ。というジェスチャーをすればすぐに自分の業務に戻った。
「で?何も用事がないのにかけてくるほど母さんもまめな人じゃないだろ?いったい何の用事?」
「そうそう。それなんだけどね、あんた今一人暮らししてるところもう一人くらい住めるようになってるわよね?」
「住めないわけはないだろうけどそれがどうしたの?父さんと喧嘩でもしてこっちに逃げ出してくるとかやめてくれよ。」
「あながち誰かがそっちに行くのは間違えてはいないのだけど、私じゃなくて引き取ってほしい子がいるのよ。」
「は?」
「最近うちの親戚の方が事故にあったって亡くなったのは言ったでしょう?」
「あー、なんかそんなこと言ってたような気がしなくもない。」
ひと月前、交通事故で亡くなった夫婦がいるという話を聞いていたのを思い出した。
「あそこの方のところ高校生のお嬢さんだけ残っちゃってね。親戚周りで引き取る引き取らないの言い合いになってたから可哀そうになっちゃってつい私のところで引き取りますって言っちゃったのよ。」
「いや、言っちゃったのよも何も母さん今週位から父さんと仕事の都合で何年か海外行くって言ってなかったっけ?」
「そう。それで最初の話題で、私から言い出しといてほんとに悪いとは思うんだけどソッチで引き取ってもらうことになったから。」
「はぁ!?」
何を言っていやがるんだろうか?この人は。新入社員でようやく自分の生活も安定してきたかどうかというわが子になんてモノ押し付けていこうとしているんだろうか?
「言いたいことはいろいろあると思うけど本当にごめんなさい。こればっかりは私と父さんが悪いから、その子の生活費は私たちが持つし、面倒見てくれてるお礼で少し多めにお金送るから。ね?」
「・・・。」
生活費を出してくれるのであれば、僕は面倒を見るだけでいいのは確かではある。ただ、問題はその子と良好な関係を築けるか否かという事もある。何せ人とあまり好き好んで話す性格の人間でもなかったものだから、女子と話す機会なんてグループ活動をしていたときか、向こうから話しかけられたときに反応した時くらいだったのだから。ただ、ここで僕が引き取らないといったらどうなるのかを考えると、そんな都合だけで断るのも気が引けた。
「・・・・・。はぁ、ほんとに生活費は出してくれるんだね?」
「えぇ。そこは約束するわ。」
「わかった。詳しい話はソッチが落ち着いてからまた連絡してくれ。それかその子に伝言でもさせておいてくれ。」
「伝言は無理かなもうそっちにクレハちゃん向かわせちゃってるし。」
「最初から拒否権も減ったくれもなかったのかよ!」
俺の悩んだ心を返してくれほんとに全く。
「まぁ、わかった。その子のことはお金さえ出してくれるなら後のことはこっちで任されておくよ。いつ頃着く予定なの?」
「多分もう着いてるかもしれないわ。」
「だから、なんで人が今日仕事の日だっての分かってる風でかけてきてるのに昼前に向かわせるようにするかね!」
「じゃ、あとは任せるわね!飛行機来ちゃったから。」
もう空港にいたのかよ。預ける気満々じゃないか。内心そう突っ込みながら僕は上司のいるデスクに早帰りさせてもらうために頭を下げに行くのだった。
「ごめんね、遥。新入社員で忙しい時期なのに。」
「いや、別に構わないけどどうしたの?」
製作中だった書類の作成を一度やめデスクを立ち上がる。隣の同僚に訝しんだ目で見られてしまったが電話だ。というジェスチャーをすればすぐに自分の業務に戻った。
「で?何も用事がないのにかけてくるほど母さんもまめな人じゃないだろ?いったい何の用事?」
「そうそう。それなんだけどね、あんた今一人暮らししてるところもう一人くらい住めるようになってるわよね?」
「住めないわけはないだろうけどそれがどうしたの?父さんと喧嘩でもしてこっちに逃げ出してくるとかやめてくれよ。」
「あながち誰かがそっちに行くのは間違えてはいないのだけど、私じゃなくて引き取ってほしい子がいるのよ。」
「は?」
「最近うちの親戚の方が事故にあったって亡くなったのは言ったでしょう?」
「あー、なんかそんなこと言ってたような気がしなくもない。」
ひと月前、交通事故で亡くなった夫婦がいるという話を聞いていたのを思い出した。
「あそこの方のところ高校生のお嬢さんだけ残っちゃってね。親戚周りで引き取る引き取らないの言い合いになってたから可哀そうになっちゃってつい私のところで引き取りますって言っちゃったのよ。」
「いや、言っちゃったのよも何も母さん今週位から父さんと仕事の都合で何年か海外行くって言ってなかったっけ?」
「そう。それで最初の話題で、私から言い出しといてほんとに悪いとは思うんだけどソッチで引き取ってもらうことになったから。」
「はぁ!?」
何を言っていやがるんだろうか?この人は。新入社員でようやく自分の生活も安定してきたかどうかというわが子になんてモノ押し付けていこうとしているんだろうか?
「言いたいことはいろいろあると思うけど本当にごめんなさい。こればっかりは私と父さんが悪いから、その子の生活費は私たちが持つし、面倒見てくれてるお礼で少し多めにお金送るから。ね?」
「・・・。」
生活費を出してくれるのであれば、僕は面倒を見るだけでいいのは確かではある。ただ、問題はその子と良好な関係を築けるか否かという事もある。何せ人とあまり好き好んで話す性格の人間でもなかったものだから、女子と話す機会なんてグループ活動をしていたときか、向こうから話しかけられたときに反応した時くらいだったのだから。ただ、ここで僕が引き取らないといったらどうなるのかを考えると、そんな都合だけで断るのも気が引けた。
「・・・・・。はぁ、ほんとに生活費は出してくれるんだね?」
「えぇ。そこは約束するわ。」
「わかった。詳しい話はソッチが落ち着いてからまた連絡してくれ。それかその子に伝言でもさせておいてくれ。」
「伝言は無理かなもうそっちにクレハちゃん向かわせちゃってるし。」
「最初から拒否権も減ったくれもなかったのかよ!」
俺の悩んだ心を返してくれほんとに全く。
「まぁ、わかった。その子のことはお金さえ出してくれるなら後のことはこっちで任されておくよ。いつ頃着く予定なの?」
「多分もう着いてるかもしれないわ。」
「だから、なんで人が今日仕事の日だっての分かってる風でかけてきてるのに昼前に向かわせるようにするかね!」
「じゃ、あとは任せるわね!飛行機来ちゃったから。」
もう空港にいたのかよ。預ける気満々じゃないか。内心そう突っ込みながら僕は上司のいるデスクに早帰りさせてもらうために頭を下げに行くのだった。
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