少女は自重を知らない～私、普通ですよね？

1 転生先は草原でした

  

 「ここ何処なのよ～！」

  私、何でこんなに所にいるのでしょう。

「な～んだ。夢に違いないわね！だって、こんな事に夢じゃなきゃなんなのよ！？」

 私の今の状況を教えよう。

私は今！

「草原の真ん中で叫んでるわー！」







数分前

  私は、いつもの様に仕事帰りに自宅から近いコンビニでスイーツを買いに向かって歩いていた。


ルンルン♪ルンルン♪

「新作スイーツの発売日♪楽しみだな～。疲れた時は甘いのよね～♪♪」

  コンビニに着くと、目を前には覆面を着けた男性がナイフを持って店員に突き付けていた。

「えっ？ドッキリ？」

突然、男性が私に近づいて来たかと思ったらナイフが私のお腹に刺さった。

「うっ。な…なん…で……。痛い…苦しい…た……す………」


そして、私は死んだ………はずだった。


目を覚ますと…草原に倒れていた。

「うぅ～ん。あれ？生きている……？あれは、夢だったんだ！良かった～。でも、痛みとかリアルだったな………。」

私は、自分が生きている事が嬉しく、目の前の光景をシャットアウトした。

  けど、もう逸らす訳にもいかない。

「……何処……なのよ？」

  たしか、仕事の帰りにコンビニに向かって歩いていたはず。

  今いる所は、知らない草原の真ん中。

「まだ、夢を見てるのかしら？」

自分の頬をグニ～っとツネッてみる。

「ひぃ～ん。痛～い！」

涙目になりながら、頬を摩る。

「夢じゃなーい！どうしよう！！それよりも、新作のスイーツ！食べてないのに！」

新作スイーツはどんな味がしたのかな……。

ボ～っとしていると葉っぱが、ガサガサ、ガサガサっとなる。

「何かいるのかな？」

草むらから出てきたのは、額に角が付いた兎だった。

「キャッ！」

ビックリして尻もちをついてしまった。
  尻もちのお陰で角に刺さる事はなかった。
  
「こんな兎見たことないわよ！っていうか……あれって……ホーンラビットっていうやつ？小説に出てくる魔物……？」

まさかね。

ここ、異世界なの？違う、違う。小説の読みすぎだわね。

「それより、逃げた方が良さそう。」


私は、ひたすら走って走って逃げた。

暫くすると、街が見えてきた。

「………はい。ここ、異世界だわ。間違いないわ。」

街をみると、一目瞭然。日本でもなければ海外でもない。
  それに、空を見たら月が二つあった。

  私が何よりも驚いたのは、

「私、若くなってない？さっき、走った時めちゃめちゃ体が軽かったし。肌もピチピチか感じ♪」

うわー。鏡で自分を見てみたい！

「街に行く前に確認した方がいい言葉があるわよね……ごくり。」

私は、唾を呑込みある言葉を唱えた。

『ステータスオープン』