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16.街を案内

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次の日の朝。

 俺が、目を覚ますと既に起きていたフェンリースが何か怒ったような顔で俺を見ていた。

「ふぁ~あ。おはよう。フェンリース……?起きるの早いね!」

「おはようございます。ご主人様。」

うーん。なんで怒ってるんだろう?と思いながらも、朝御飯を食べに食堂に行く。

「………フェンリース?どうして床に正座しているの?待って待って、そこじゃなくて椅子に――」

「よろしいのですか?」

「いや、そこに座られるほうがよくないよ。女性を地べたに座らせるなんて俺にはできん!」

「奴隷は通常、主人と同じ席に着かないものですが?」

「店の禁止事項?それとも奴隷の決まりとか?」

「そういうわけでは――」

「じゃあ座って。俺はフェンリースと一緒に食べたいから!」

「かしこまりました」


 フェンリースはようやく椅子に座ってくれた。

 ウェイターが水を運んできて、俺の前に置いた。


「水って無料なの?」

「はい、無料ですね」

「なんで俺の前だけ?」

「水は食事をする人だけに提供されますから」


 ……なるほど、彼女が同じ食事をすると思わなかったわけか。

 奴隷の扱いについて認識しながら、俺はメニューに視線を向け――メニューをそのまま閉じた。
 ただ、メニューの右側が全部数字っぽいんだよな。

 ならば、一番高いメニューでも三桁の数字だ。銀貨10枚あれば足りる。


 テーブルの上に置かれた呼び鈴を鳴らしてウェイターを呼ぶ。


「シェフのお勧めの品を二つ、一つは彼女の分で彼女も客だから水を持ってきて」

「かしこまりました。少々お待ちください」


 ウェイターが去って行き、フェンリースが「よろしいのですか?」と尋ねる。


「これから依頼を受けに行くのに空腹だと困るだろ。というか、依頼に行かなくても、フェンリースにはおいしいご飯を食べてもらいたいしな」

フェンリースは、やっと笑顔になってくれた。

ご飯を食べた後は、冒険者ギルドに行ってフェンリースのギルド登録をした。

(その内に、奴隷解放が出来るといいなぁ~。)

登録をした後は、街をぶらぶらしながら街を案内していった。

 俺は、フェンリースともっと仲良くなれたらいいなと思いながら、彼女の横顔を見ていた。
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