上 下
3 / 15
破廉恥だった僕

1

しおりを挟む
 事のきっかけは、本当に些細なことだった。
 それも一見無関係な幾つもの偶然が重なり合って起きたといえる。
 それはある体育の授業でのこと。
 確かサッカーだったか、ハンドボールだったか、その時は屋外球技の授業を受けていたと思う。
 練習と片付けが終わり、学校指定のジャージを着た男子生徒がほぼ同時に後者の方を目指す。
 その中に一人だけ、他の男子とは少し変わった出で立ちの生徒が混ざっていた。
 僕のことである。
 変わっているといっても、別に頭髪を染めていたとか、高価なシューズを履いていたわけではない。
 単に上はジャージ、下はハーフパンツの体操服だった。
 それだけのことだ。
 どうしてそんな中途半端な格好をしていたかというと、前の授業で校庭の砂地に足を滑らせた際、片足の脛の部分を破いてしまったからだ。
 破れたジャージが何だか格好が悪くて、僕は無事だったジャージのトップスを着て、下は体操服のままで後の授業に参加することにしたのである。
 当然ながらこの格好は、校則違反ではない。
 季節の寒暖に合わせて体側服の上にジャージを着たり脱いだりするのは普通のことだし、体育祭の時にはハーフパンツの体操服姿で参加するよう推奨されている。
 ただ中学三年となり、徐々に足の筋肉が発達して脛毛も目立ち始めたせいか、男子の側ではあまりハーフパンツ姿の生徒はいなくなっていった。
 事実、僕自身も不運な事故などなければ、上下のジャージを着て授業に臨むはずだった。
 それでもあと一年足らずの体育の授業のためだけに、新しいジャージを買い直すのは忍びない。
 だから僕は、多少の寒さを我慢して卒業までこの格好のままでいるつもりだった。
 そんな僕を見つめる、卑猥な視線があったことなど気付かず。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者よ、わしの尻より魔王を倒せ………「魔王なんかより陛下の尻だ!」

ミクリ21
BL
変態勇者に陛下は困ります。

白雪王子と容赦のない七人ショタ!

ミクリ21
BL
男の白雪姫の魔改造した話です。

可愛い男の子が実はタチだった件について。

桜子あんこ
BL
イケメンで女にモテる男、裕也(ゆうや)と可愛くて男にモテる、凛(りん)が付き合い始め、裕也は自分が抱く側かと思っていた。 可愛いS攻め×快楽に弱い男前受け

嫌がる繊細くんを連続絶頂させる話

てけてとん
BL
同じクラスの人気者な繊細くんの弱みにつけこんで何度も絶頂させる話です。結構鬼畜です。長すぎたので2話に分割しています。

ダメですお義父さん! 妻が起きてしまいます……

周防
BL
居候は肩身が狭い

わざとおねしょする少年の話

こじらせた処女
BL
 甘え方が分からない少年が、おねしょすることで愛情を確認しようとする話。  

肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?

こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。 自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。 ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?

ご飯中トイレに行ってはいけないと厳しく躾けられた中学生

こじらせた処女
BL
 志之(しの)は小さい頃、同じ園の友達の家でお漏らしをしてしまった。その出来事をきっかけに元々神経質な母の教育が常軌を逸して厳しくなってしまった。  特に、トイレに関するルールの中に、「ご飯中はトイレに行ってはいけない」というものがあった。端から見るとその異常さにはすぐに気づくのだが、その教育を半ば洗脳のような形で受けていた志之は、その異常さには気づかないまま、中学生になってしまった。  そんなある日、母方の祖母が病気をしてしまい、母は介護に向かわなくてはならなくなってしまう。父は単身赴任でおらず、その間未成年1人にするのは良くない。そう思った母親は就活も済ませ、暇になった大学生の兄、志貴(しき)を下宿先から呼び戻し、一緒に同居させる運びとなった。 志貴は高校生の時から寮生活を送っていたため、志之と兄弟関係にありながらも、長く一緒には居ない。そのため、2人の間にはどこかよそよそしさがあった。 同居生活が始まった、とある夕食中、志之はトイレを済ませるのを忘れたことに気がついて…?

処理中です...