43 / 58
4章: 血縁なき絆
7
しおりを挟む
「ウチの店は下品な趣味はおかねえんだ。帰んな」
睨み合いの末、店主が遂に介入する。
「な、何よ! アタシら、魔導科なのよ? 店から出て行けって言うの?」
「魔導科だろうと、ここが俺の店で、そっちが客であることに変わりはない。客が店を選ぶように、店だって客を選ぶのは当然だろう? それとも、オタクらの学校に抗議でもするか?」
「・・・・・・いいわ。行きましょう。こんな店」
赤髪の少女は踵を返し店を出た。
残された取り巻きの二人は顔を見合わせ、彼女に続く。
「全く」
店主は再びカウンターの奥に入ると、居合わせた客達も徐々に落ち着きを取り戻した。
「大丈夫か?」
レムダは床にしゃがみ込んでいるアイシャに手を差し伸べる。
その手が意外だったのか、アイシャはしばらく呆然としていた。
「あ、ありがとう」
ともあれ、さいっごはレムダの手を取り立ち上る。
「じゃあ、ボクも・・・・・・」
「待てよ」
急ぎ足で合流しようとするアイシャを店主が呼び止める。
あの人相で睨まれてアイシャはドキリと立ち尽くす。
「外は寒いぞ。コーヒーくらい、飲んでいきな」
「でも」
目配せをした先でレムダも頷いた。
「じゃあ」
淹れられたコーヒーの湯気が揺れている。
アイシャもようやく落ち着きを取り戻した。
「ごめん、気持ち悪いと思ったよね?」
「何の話?」
「君がゲオルグ家の人間で、その血を取り込むために近づいたってこと」
「ああ、別に驚きはしなかったよ。最近、魔導科でそういう考え方があるってことを知ったばかりだったから」
「ボクの家は、その血統説の信奉者なんだ」
「そうか」
「一族には代々、綺羅星の魔導士を輩出していたんだけど、ボクにはなぜかその才能が受け継がれなかった。だから、親からはせめて魔力の有る人間と結婚してその素養を家系に取り込めばいいって言われていてさ」
「そんなの、アイシャが自分で決めるべき事だろ。ましてや赤の他人のアイツらが――」
「赤の他人、というわけでもないんだよね。あの中心にいたのは、ボクの姉なんだ」
「何だって?」
睨み合いの末、店主が遂に介入する。
「な、何よ! アタシら、魔導科なのよ? 店から出て行けって言うの?」
「魔導科だろうと、ここが俺の店で、そっちが客であることに変わりはない。客が店を選ぶように、店だって客を選ぶのは当然だろう? それとも、オタクらの学校に抗議でもするか?」
「・・・・・・いいわ。行きましょう。こんな店」
赤髪の少女は踵を返し店を出た。
残された取り巻きの二人は顔を見合わせ、彼女に続く。
「全く」
店主は再びカウンターの奥に入ると、居合わせた客達も徐々に落ち着きを取り戻した。
「大丈夫か?」
レムダは床にしゃがみ込んでいるアイシャに手を差し伸べる。
その手が意外だったのか、アイシャはしばらく呆然としていた。
「あ、ありがとう」
ともあれ、さいっごはレムダの手を取り立ち上る。
「じゃあ、ボクも・・・・・・」
「待てよ」
急ぎ足で合流しようとするアイシャを店主が呼び止める。
あの人相で睨まれてアイシャはドキリと立ち尽くす。
「外は寒いぞ。コーヒーくらい、飲んでいきな」
「でも」
目配せをした先でレムダも頷いた。
「じゃあ」
淹れられたコーヒーの湯気が揺れている。
アイシャもようやく落ち着きを取り戻した。
「ごめん、気持ち悪いと思ったよね?」
「何の話?」
「君がゲオルグ家の人間で、その血を取り込むために近づいたってこと」
「ああ、別に驚きはしなかったよ。最近、魔導科でそういう考え方があるってことを知ったばかりだったから」
「ボクの家は、その血統説の信奉者なんだ」
「そうか」
「一族には代々、綺羅星の魔導士を輩出していたんだけど、ボクにはなぜかその才能が受け継がれなかった。だから、親からはせめて魔力の有る人間と結婚してその素養を家系に取り込めばいいって言われていてさ」
「そんなの、アイシャが自分で決めるべき事だろ。ましてや赤の他人のアイツらが――」
「赤の他人、というわけでもないんだよね。あの中心にいたのは、ボクの姉なんだ」
「何だって?」
0
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説
異世界でゆるゆる生活を満喫す
葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。
もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。
家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。
ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。
異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む
紫楼
ファンタジー
酔っ払って寝て起きたらなんか手が小さい。びっくりしてベットから落ちて今の自分の情報と前の自分の記憶が一気に脳内を巡ってそのまま気絶した。
私は放置された16歳の少女リーシャに転生?してた。自分の状況を理解してすぐになぜか王様の命令で辺境にお嫁に行くことになったよ!
辺境はイケメンマッチョパラダイス!!だったので天国でした!
食べ物が美味しくない国だったので好き放題食べたい物作らせて貰える環境を与えられて幸せです。
もふもふ?に出会ったけどなんか違う!?
もふじゃない爺と契約!?とかなんだかなーな仲間もできるよ。
両親のこととかリーシャの真実が明るみに出たり、思わぬ方向に物事が進んだり?
いつかは立派な辺境伯夫人になりたいリーシャの日常のお話。
主人公が結婚するんでR指定は保険です。外見とかストーリー的に身長とか容姿について表現があるので不快になりそうでしたらそっと閉じてください。完全な性表現は書くの苦手なのでほぼ無いとは思いますが。
倫理観論理感の強い人には向かないと思われますので、そっ閉じしてください。
小さい見た目のお転婆さんとか書きたかっただけのお話。ふんわり設定なので軽ーく受け流してください。
描写とか適当シーンも多いので軽く読み流す物としてお楽しみください。
タイトルのついた分は少し台詞回しいじったり誤字脱字の訂正が済みました。
多少表現が変わった程度でストーリーに触る改稿はしてません。
カクヨム様にも載せてます。
私から略奪婚した妹が泣いて帰って来たけど全力で無視します。大公様との結婚準備で忙しい~忙しいぃ~♪
百谷シカ
恋愛
身勝手な理由で泣いて帰ってきた妹エセル。
でも、この子、私から婚約者を奪っておいて、どの面下げて帰ってきたのだろう。
誰も構ってくれない、慰めてくれないと泣き喚くエセル。
両親はひたすらに妹をスルー。
「お黙りなさい、エセル。今はヘレンの結婚準備で忙しいの!」
「お姉様なんかほっとけばいいじゃない!!」
無理よ。
だって私、大公様の妻になるんだもの。
大忙しよ。
私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。
アーエル
ファンタジー
旧題:私は『聖女ではない』ですか。そうですか。帰ることも出来ませんか。じゃあ『勝手にする』ので放っといて下さい。
【 聖女?そんなもん知るか。報復?復讐?しますよ。当たり前でしょう?当然の権利です! 】
地震を知らせるアラームがなると同時に知らない世界の床に座り込んでいた。
同じ状況の少女と共に。
そして現れた『オレ様』な青年が、この国の第二王子!?
怯える少女と睨みつける私。
オレ様王子は少女を『聖女』として選び、私の存在を拒否して城から追い出した。
だったら『勝手にする』から放っておいて!
同時公開
☆カクヨム さん
✻アルファポリスさんにて書籍化されました🎉
タイトルは【 私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください 】です。
そして番外編もはじめました。
相変わらず不定期です。
皆さんのおかげです。
本当にありがとうございます🙇💕
これからもよろしくお願いします。
全部未遂に終わって、王太子殿下がけちょんけちょんに叱られていますわ。
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に仕立て上げられそうだった女性が、目の前でけちょんけちょんに叱られる婚約者を見つめているだけのお話です。
国王陛下は主人公の婚約者である実の息子をけちょんけちょんに叱ります。主人公の婚約者は相応の対応をされます。
小説家になろう様でも投稿しています。
無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています
如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」
何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。
しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。
様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。
この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが……
男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる