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3章: Happiness will be enjoyed when it is unequal.
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「その盾は、あなたの全身を隠すための防具ではなかったからです」
「それは武器にも使えるから、という意味?」
「そういう意味ではありません。テラさん。あなたが盾を扱うのは、自分の胸を隠したいためじゃなかったんですか?」
「うぐっ!!」
テラの身体は身長だけでなく、それに比例して胸のふくらみもほぼ平坦だった。
いわば完全な少女体型。
既に年頃の彼女にとって、それがどんなにコンプレックスだったことだろう。
「どうして男は皆、胸の大きさで女の価値を測るんだよ? ボクはずっと疑問だったんだ。それでも努力したんだよ! 揉めば大きくなるとか、○○が成長を助けるとか、出来ることは全部試したんだ! 全ては皇太子殿下に満足してもらえるために!」
「あなたも皇太子殿下を? だったらなぜ、こんな逆賊のようなことをするのですか?」
「この前、殿下に胸のデカい女が部屋に呼ばれるのを偶然見たんだ! 調べたら、今年入隊した新米の親衛隊員だって言うじゃないか! ボクが殿下に気に入られるためにこんなに努力しているのに、生まれつきの特典だけでいい思いをしている奴を見たらもう何もかもどうでもよくなってさ!!」
「何でですか? 何でここまでの努力を台無しにできるようなことに、手を染めてしまったんですか! あなたほどの腕前があれば、きっと殿下の役に立てたはずなのに!」
「ああ、どっちにしてももう手遅れだよ。いっそのこと、憎いアンタを道連れに地獄に落ちてやる!」
「は? 私は殿下にお呼ばれしたことはありませんけど?」
「そういうことじゃない。お前だって、結構デカいじゃないか」
「なっ! あなたこの状況でも私の胸を?」
「胸のデカい奴は・・・・・・皆敵だ」
「そんな極端な」
「うるさい! 幸福ってのは、偏るから目に見えるんだよ! 胸の大きさも同じだ!」
「もうあなたに勝ち目はありません。盾を失った時点で私に剣は届きませんよ!」
「うるさい!! さっきから戦って思ったんだけど、どうしてそんなに、揺れるんだよぉ!!」
テラは防御を捨てた体で斬りかかってきた。
チハルにはもう、その斬撃は捨て身ですらない。
それが届く前に剣を払い飛ばし、刃を返してテラに思いっきり峰打ちを食らわせた。
「それは武器にも使えるから、という意味?」
「そういう意味ではありません。テラさん。あなたが盾を扱うのは、自分の胸を隠したいためじゃなかったんですか?」
「うぐっ!!」
テラの身体は身長だけでなく、それに比例して胸のふくらみもほぼ平坦だった。
いわば完全な少女体型。
既に年頃の彼女にとって、それがどんなにコンプレックスだったことだろう。
「どうして男は皆、胸の大きさで女の価値を測るんだよ? ボクはずっと疑問だったんだ。それでも努力したんだよ! 揉めば大きくなるとか、○○が成長を助けるとか、出来ることは全部試したんだ! 全ては皇太子殿下に満足してもらえるために!」
「あなたも皇太子殿下を? だったらなぜ、こんな逆賊のようなことをするのですか?」
「この前、殿下に胸のデカい女が部屋に呼ばれるのを偶然見たんだ! 調べたら、今年入隊した新米の親衛隊員だって言うじゃないか! ボクが殿下に気に入られるためにこんなに努力しているのに、生まれつきの特典だけでいい思いをしている奴を見たらもう何もかもどうでもよくなってさ!!」
「何でですか? 何でここまでの努力を台無しにできるようなことに、手を染めてしまったんですか! あなたほどの腕前があれば、きっと殿下の役に立てたはずなのに!」
「ああ、どっちにしてももう手遅れだよ。いっそのこと、憎いアンタを道連れに地獄に落ちてやる!」
「は? 私は殿下にお呼ばれしたことはありませんけど?」
「そういうことじゃない。お前だって、結構デカいじゃないか」
「なっ! あなたこの状況でも私の胸を?」
「胸のデカい奴は・・・・・・皆敵だ」
「そんな極端な」
「うるさい! 幸福ってのは、偏るから目に見えるんだよ! 胸の大きさも同じだ!」
「もうあなたに勝ち目はありません。盾を失った時点で私に剣は届きませんよ!」
「うるさい!! さっきから戦って思ったんだけど、どうしてそんなに、揺れるんだよぉ!!」
テラは防御を捨てた体で斬りかかってきた。
チハルにはもう、その斬撃は捨て身ですらない。
それが届く前に剣を払い飛ばし、刃を返してテラに思いっきり峰打ちを食らわせた。
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