上 下
19 / 19

19

しおりを挟む

春の風が教室の窓を通り抜ける。卒業式の日、美咲と結衣は手を繋ぎながら、桜が舞い落ちる校庭を歩いていた。二人はこれまでの思い出を振り返りながら、未来への不安と期待で心を共有していた。

「美咲、これからもずっと友達だよね?」結衣が小さな声で言った。

美咲は結衣の手を強く握り返し、「もちろんだよ。距離なんて関係ない。心はいつも一緒だから」と答えた。

卒業から数ヶ月後、二人はそれぞれの道を歩み始めていた。美咲は地元の大学に進学し、結衣は夢だったアーティストの道を追求するために東京へと旅立った。忙しさに追われる日々の中で、連絡を取ることもままならなくなっていた。

しかし、美咲は結衣のために時間を作り、毎週のように手紙を書いた。結衣もまた、スケッチブックに描いた絵を美咲に送り続けた。二人の絆は、言葉や絵を通じて、静かに育まれていった。

一年が経ち、春が再び訪れた。結衣の初めての個展が開かれることになり、美咲は何が何でも駆けつけると決めた。展示会場で、久しぶりに再会した二人は、変わらぬ笑顔で抱き合った。

「美咲、来てくれてありがとう。君がいてくれたから、ここまで来られたんだ」と結衣は目を潤ませながら言った。

美咲は結衣の肩を抱き、「私も結衣のおかげで頑張れたよ。これからも支え合おうね」と答えた。

結衣の個展が成功を収めた後、美咲も自分の夢に向かって一歩を踏み出す決意を固めた。彼女は地元の大学で学びながら、地域社会に貢献するボランティア活動に参加し始めた。美咲は特に教育に関心を持ち、子供たちに読書の楽しさを教えるプロジェクトを立ち上げた。

結衣は美咲の活動に感銘を受け、自身のアートを通じて社会貢献をする方法を模索し始める。彼女は美咲のプロジェクトに絵本を寄贈し、子供たちの想像力を育む手助けをした。

時間が経つにつれて、二人はそれぞれの分野で成長を遂げ、社会に貢献する存在となった。美咲は地元の教育委員会から表彰され、結衣のアートは国際的な評価を受けるようになった。

ある日、二人は地元で開催されるチャリティイベントで再会する。美咲は結衣のアートを使った教育プログラムを提案し、結衣はそのアイデアに賛同した。二人は力を合わせて、子供たちにアートと文学の素晴らしさを伝えるイベントを成功させた。

年月が流れ、二人はそれぞれの道を歩みながらも、いつも心で繋がっていた。美咲と結衣は、どんなに忙しくても、毎年春になると一緒に桜を見に行くことを欠かさなかった。

「結衣、私たちの友情は永遠だね」と美咲が言うと、結衣は微笑みながら「永遠に、ずっと」と答えた。二人の友情は、時を超えても変わることなく、これからもずっと続いていくのだった。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

易しい花やで

挿絵が気になり過ぎて、内容が頭に入らないw(良い意味で)

解除

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~

taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。 お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥ えっちめシーンの話には♥マークを付けています。 ミックスド★バスの第5弾です。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

おもらしの想い出

吉野のりこ
大衆娯楽
高校生にもなって、おもらし、そんな想い出の連続です。

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。