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しおりを挟む春の日差しがまぶしい午後、桜井美咲は放課後の時間をどう過ごそうかと考えていた。部活には入っていないし、友達と遊ぶ予定もないし、家に帰っても暇だろうと思った。そんなとき、彼女は校庭の裏にある古びた倉庫に目をやった。あそこには何があるのだろうかと、好奇心がわいてきた。もしかしたら、面白いものが見つかるかもしれないと思った。
美咲は教室を出て、校庭の裏に向かった。倉庫は木々に囲まれており、人目につかない場所にあった。扉は錆び付いており、開けるのに力がいった。中に入ると、埃っぽい空気とカビ臭い匂いがした。倉庫の中には、古い机や椅子、本や雑誌、スポーツ用品などが雑然と積み上げられていた。美咲は興味深そうにそれらを見て回った。
しばらく歩いていると、美咲は奥の方にある段ボール箱に気づいた。箱の上には「捨てる」と書かれていた。美咲は箱の中に何が入っているのか見てみようと思い、蓋を開けた。すると、中から小さな鳴き声が聞こえてきた。美咲は驚いて箱の中を覗き込んだ。そこには、白と黒の模様の子猫が一匹、ひ弱そうに丸まっていた。
美咲は子猫に心を打たれた。こんなところに捨てられていたのかと思うと、涙が出そうになった。子猫は美咲の顔を見上げて、ぴゃあと鳴いた。美咲は優しく子猫を抱き上げた。子猫は美咲の体温に触れて、安心したように目を閉じた。美咲は子猫を自分の胸に抱きしめた。この子を助けてあげたいと思った。そして、この子と一緒に暮らしたいと思った。
美咲は子猫を連れて倉庫を出た。校庭にはもう誰もいなかった。美咲は自転車に乗って、家に向かった。子猫は美咲のカバンの中で眠っていた。美咲は子猫に話しかけながら、自転車をこいだ。これからは私があなたのお母さんになってあげるよと言った。子猫は返事をしなかったが、美咲は子猫が分かってくれていると信じていた。二人は新しい生活を始めるために、家に向かっていた。
桜の花びらが舞う春の昼下がり、高橋真理は空き地で昼寝をしていた。彼女は学校をサボって、この場所にやってきた。ここは、昔は工場があったが、今は荒れ果てた土地だった。真理はここが好きだった。人が来ないし、静かだし、自由にできると思った。
真理は草むらに寝転がり、空を見上げた。青い空に白い雲が浮かんでいた。真理は雲の形を想像しながら、ぼんやりとした気分になった。学校のことや家のことや将来のことなど、考えたくないことは全部忘れた。真理はただ、この瞬間を楽しんだ。
やがて、真理は眠気に負けて、目を閉じた。彼女は夢を見た。夢の中では、彼女は空を飛んでいた。風に乗って、どこまでも自由に飛んでいた。真理は幸せだった。彼女は笑って、空を飛んでいた。
しかし、その夢は長くは続かなかった。真理は突然、大きな音に驚いて、目を覚ました。彼女は空き地にいることに気づいた。そして、その音の正体にも気づいた。それは、工事の音だった。真理は空き地の向こうに、重機やトラックや作業員がいるのを見た。彼らは、空き地を更地にするために、工事を始めていた。
真理は慌てて、草むらから飛び出した。彼女は自分のカバンを掴んで、空き地を走り出た。彼女は工事現場に近づいてはいけないと思った。彼らに見つかったら、どうなるか分からないと思った。真理は急いで、空き地を出た。
真理は空き地を出て、道に出た。彼女は周りを見回した。人通りは少なく、車もほとんどなかった。真理は時計を見た。午後三時だった。真理は学校に行こうと思った。もう遅刻はしているし、欠席もしているし、先生に怒られるだろうと思った。でも、それでもいいと思った。真理は学校に行こうと思った。
真理は自転車に乗って、学校に向かった。彼女は空き地のことを考えた。あの場所はもう、自分の居場所ではなくなったと思った。あの場所はもう、自分の夢を見ることができる場所ではなくなったと思った。真理は悲しくなった。彼女は涙をこらえながら、自転車をこいだ。彼女は空き地に別れを告げた。彼女は空き地にさよならを言った。
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