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オカルトハンター渚編
第12話 愛
しおりを挟む「お札、あって良かったですね」
「うん、あのままなんて最悪だもん」
「血と精液まみれでしたもんね、私たち」
渚とルカは、お風呂に入っていた。
浴室にはお札を貼り、結界を作ってある。
この浴室は渚の記憶にある浴室そのままで、二畳程度しかない簡素な物だった。
浴槽もひとり用に適した大きさの、底の浅い現代的な浴槽だ。
そのせいで、寝そべる渚の上にルカが寝る、今の状態が生まれていた。
「渚さん、そっち向いちゃダメですか?」
「ダメ、くつろげないでしょ?」
「そっちの方が絶対気持ちいいと思うんですけど」
渚に抱かれたルカが、不満そうな声を上げた。
渚の腕が背後からお腹の辺りへと回り、がっちりと捕まえられている。
柔らかでボリュームのある胸の感触が背中を刺激し、足には滑らかで長く美しい足が絡む。
そんな姿勢のまま時々頭を撫でられて、ルカはぬいぐるみかペットになった気分だった。
渚は、そんなルカをひと時も放したくなかった。
自分を理解してくれる一番の理解者で、今回は自分のせいで危険な目に合わせてしまった。
その罪悪感と、もし失う事になったらという恐怖が今の渚を動かしている。
「ねぇルカ、大丈夫?」
渚の頭の中には、男に汚され、泣きじゃくっていたルカの姿が張り付いている。
殺意に満ちた顔、怯え切った顔、今日だけでどれだけ知らないルカの顔を見ただろう。
普段見せないような、感情を爆発させるその姿。
色々な感情に晒されたルカが心配で仕方ない。
「大丈夫です。 色々ありましたけど、渚さんが癒してくれてるんで」
ルカはお腹の上に置かれた渚の手に手を重ね、満足げに息を吐く。
擦り付けられた唾液も精液も悪臭も、こうしていれば忘れられた。
ぬいぐるみのように抱きかかえられるのも悪くはなく、久しく忘れていた人肌の温もりと安心感を思い出させてくれる。
ましてやその相手がモデルのような美人なのだから、まさしくここは天国だ。
今の幸福を忘れないように、ルカはそっと渚の白磁のような肌を撫でた。
「触り方がエロいんだけど?」
「身動き取れない状態でおっぱい押し付けられててエロくならないと思います?」
「はぁ……良いよ、今回は許してあげる」
「ほんとですか!?」
ルカは抱きしめられたままくるりと体を反転させて、渚の体を抱きしめ返す。
濡れた肌の吸い付くような手触りを堪能しながら、その首元へと顔を埋める。
より強く感じられるようになった安心感と幸福に、ルカはこの上なく幸せそうだ。
そんなルカの様子を見て、渚はもう諦めていた。
女同士とはいえ裸で肌を密着させるのには抵抗があり、恥ずかしいと思ったのだが、こんなに幸せそうな顔をされたらもう何も言えない。
優しく抱きしめるルカに応えるように、その髪を優しく撫でた。
こうして抱き合っていると、ルカは本当に小さい。
この体のどこにあれだけの力があったのか。
ルカには驚かされてばかりだ。
腕の中でふふふっと嬉しそうに笑うルカが、愛おしくてたまらない。
抱きしめる腕に知らず知らず力が入っていたようで、ルカはうぐっと小さく鳴いた。
「ごめん、苦しかった?」
「少しだけ。 でもそれ以上に嬉しいです」
にっ、と笑顔を浮かべて渚を真っすぐに見つめるルカ。
その笑顔が嬉しくてつい、わざと強く抱きしめてしまう。
ルカも負けじと抱き返してくるが、とても本気とは思えない弱さだった。
「ルカってさ、女の人が好きなの?」
今までのからかうような行動や、セクハラじみた言動など、そう思えるポイントはいくつかあった。
それに、クソ親父の一件で男嫌いになった可能性も考えられる。
だからどうだという話ではないのだが、渚はつい気になって聞いてしまった。
「クソ親父や、それ以外でも少しありまして。 女の人が好き、っていうか男が無理って状態です」
「まぁ、無理にもなっちゃうよね」
渚は、ルカの腕に少し力が入るのを感じた。
「気持ち悪くないんですか? 男が嫌いで、女の人をそういう目で見てない、って否定できないんですよ?」
「いいんじゃない? 愛があるなら男でも女でも。 家族にだって無いんだしさ」
「あはは! その通りですね」
即答されたその答えに、ルカは思わず笑ってしまった。
ふたりが共通して持つであろうそのマイナスを、こんな場面で持ち出すなんて。
最も注がれるはずの両親の愛を知らず、ろくに人を好きになった事もないやつに愛なんてわかるもんか。
だから、今こうして抱いている感情も、ルカには愛かどうかもわからない。
安心できて、幸せで、もっと一緒に居たいと思えて、ふたりなら何が起きても大丈夫だと信じられる。
これらをただそういう感情だと受け止めて、渚の頬へと頬ずりした。
「渚さんはどうなんです?」
「どうって……」
「男性経験は? 女性経験も聞きたいですね」
そんな事を言いながら、ルカの小さな手が渚の内ももを撫でた。
「んっ……ちょっと、両方無いからそれやめて。 私にそういうのがあるように見える?」
ルカは驚いてしまった。
モデルみたいな外見をしてるくせにそういうのがあるように見える? って。
自己肯定感の低さもここまでくると嫌味だ。
理想の外見を持ちながら自信の無さそうな顔をする渚に腹が立ち、ルカはセクハラの魔の手を強める。
「ちょうど良いサイズでハリのあるおっぱいがあって……モデルみたいな長くて綺麗な足があって……毛ひとつないツルツルのあそこがあって……こんなに綺麗なのに経験が無いなんて嘘ですよね?」
「ちょっとルカ、手付きがほんとにいやらし……うぅん!」
いたずらっぽい笑みを浮かべながら、ルカは渚の乳房を優しく撫で、内ももへ指を這わせる。
手が動くたびに体をぴくっと震わせて少し仰け反るその姿が可愛くて、ルカの中に眠る情欲が徐々に目を覚ましてきてしまった。
「ほら、渚さんは綺麗なんですから、卑屈にしてたらお仕置きしちゃいますよ?」
「そう言われても自分に自信なんて……ひゃあん」
「全部話す、って約束してくれないとこのまま最後までヤっちゃいます。 私も全部話すので、もう秘密は無しですよ?」
「わかった、わかったから指を……はぁぁん♡」
指先で渚の桜色の乳首を微かにひっかきながら、秘部の入口を優しくなぞり、ほんの少しだけひだをなぞる。
温められ、火照った体に受ける優しい快感を渚の体は驚くほど簡単に受け入れて、ルカにされるがままになる事を望んでいた。
影響はあまり無いにせよ霊の気にあてられ、触られ、揉まれ、舐められ、吸われた体がそれを求めている。
心を許した相手から与えられる絶対的な愛。
渚の体はルカの行為をそう受け取って、嬉しさに震えると共にさらなる愛を受け入れる準備をしていた。
「指をどうして欲しいんですか?」
「どうって……ぁ♡ そこっ、なぞられるとぉ……♡ だめっ、勝手に腰が、あぁ♡」
渚は無意識のうちに、されている行為とその影響を口に出す。
そんな事をしてしまう理由が、ルカにはわかっていた。
もっと気持ちよくして欲しくて、おねだりしているのだ。
「こうですか?」
「あっ♡ だめっ♡ ゆびっ挿れたまま動いたらっ……♡ はぁぁ♡」
「おっぱいはどうです?」
「さきっちょは痛いから優しく……はぁっ♡ 外側撫でられるとびくってして……んんんん♡」
潤んだ目で恥ずかしそうに口元を抑え、目を閉じながら必死に快感に耐えている。
それなのにして欲しい事を全部喋り、さらなる快感を得ようと自ら体を押し付けてくる。
その矛盾した姿が可愛くて、愛おしくて、最高にエロくて、ルカは渚の事を責め続けた。
「イく時はイくって言ってくださいね。 私の顔を見ながら、ちゃんと気持ちよくなってください」
「そんなっ♡ はずかしっ……はぁん! あっ♡ だめっ♡ もう我慢っ♡ できな……」
蜜壺の奥をトントンとされながら乳首を転がされ、時々秘豆を撫でられる。
その優しくも浸透する快感は渚を絶頂へと誘っている。
体をのけ反らせ、腰をかくかくと細かく上下させる姿はまるで誘っているようだ。
そんな渚の蕩けた顔を捕まえて、ルカはその蕩けきった頭と体へラストスパートをかけていく。
「あっ♡ ルカっ♡ ルカぁ……♡」
「はい、ルカですよ渚さん。 貴女の初めてを奪う悪ーい女です」
いつものようににっこりと笑いかけ、舌のピアスを見せつけて、蜜壺を責める指の動きを加速させる。
ぱしゃぱしゃという水の跳ねる音と喘ぎ声が反響し、責めているルカの体をも熱くする。
ルカはもう、その音と渚の表情だけでイきそうだった。
一緒にイけたら気持ちいいだろうなと思いながらも、初めてを奪うその瞬間を強く脳に刻み込むために平静を保つ。
凛とした綺麗な顔が快感に蕩け、その小さな口から甘えた声で自分の名を呼び、均整の取れた体を惜しげもなく差し出し、誰も触れたことの無い秘部を濡らして必死に快感を貪るその姿を忘れてなるものか。
その瞬間を忘れないように、忘れさせないように、唇が触れそうな距離で真っ直ぐに顔を向けあった。
「イくっ♡ もうむりっ♡ イっ、ちゃうぅぅぅ♡」
びくんと大きく跳ねる体。
視線が逸れそうになるがルカの手がそれを防いだ。
ルカの目の前で、渚は蕩けきった顔で涙を流しながら口をだらしなく開け放ち、熱い息を漏らしている。
「渚さん、すっごくエロい顔してますよ。 そんな顔、人に見せたらダメですよ」
「だって……♡ ルカ、が……♡」
「渚さんが悪いんです。 そんなエロい顔と体で誘惑するから、そんな事したら愛されちゃっても文句言えないですよ」
「愛……される?」
「はい。 同意のもとでエッチな事したら愛し合った、って事になるんですよ?」
「じゃあ……しょうがないね……」
ルカの腕の中で満足そうな顔をしている渚に、ルカの中の何かが刺激される。
もっと喘ぐところが見たい。
もっと乱れたところが見たい。
全部を埋め尽くして、自分以外の事を考えられなくしたい。
暴力的なその願望をそっと押し殺して、渚の髪を優しく撫でた。
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