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オカルトハンター渚編
第4話 汚される自分
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「ねぇルカ、ここの温泉って源泉かけ流しって書いてあったよね」
バスルームの方から渚の弱々しい声が聞こえてくる。
部屋で見つけたタオルと浴衣を持って嬉しそうに入って行ったのに。
この様子からすると湯が出なかったのだろう。
ルカはベッドに転がったまま、まくらを抱きかかえて暇つぶしにスマホを眺めていた。
「書いてありましたけど、水場はヤバいです」
「温泉でも?」
渚さんがシャワールームから顔だけを出して聞いてくる。
霊の影響があると危ないって言ってるのに、ここまで無防備に肌を出すという事は私を誘っているんだろうか。
ルカは一回本気で襲ってやろうか、と物騒な事を考えながら、気を紛らわせるためにスマホの画面に集中した。
「危ないと思いますよ、結界になりそうな物があるならまだしも」
「ルカが一緒でも?」
本当にこの人は。
ルカが呆れ顔で渚の方を見る。
渚はきょとんとした顔をしていた。
「あのですね、前も言った通り霊の影響を受けたら女とだってヤっちゃうんですよ? 裸でお風呂、なんて危なすぎます」
渚はしゅんとした顔で、そうだよねと言ってバスルームへ戻って行った。
そうは言いつつ、お風呂に入りたいのはルカも同じだ。
ここに来るまでショーツも履かずに歩いて来たし、太ももにはまだ自分の愛液の感触が残っている気がする。
本当ならここでゆっくり温泉に浸かって、今日の疲れを癒したい。
リスクは高いが、その分得るものも大きいはずだ。
もし霊が現れたとして、結界が作れなくても逃げ道が確保できていれば良いんじゃないか。
あるいは、影響を受けずに除霊できるならそれでも良い。
「ねぇ、これって使える?」
バスルームから服を着て戻った渚は、どこで見つけたのか小さな人形を持っていた。
毛糸をぐるぐると巻いて人型にしたもの、いわゆるブードゥー人形だ。
なんでこんな物があるんだろう。
ルカはそれを不思議そうな顔で見て、にやりと笑った。
「いけます。 身代わり作戦で行きましょう」
ふたりは大浴場に設けられた脱衣所へと来ていた。
手にはタオルと浴衣とブードゥー人形。
このブードゥー人形はどうやらお土産だったようで、途中のお土産売り場に数個残っていた。
「せっかくだから男湯の方に入りません?」
「どっちでも良いよ、早く入ろ」
ルカの提案で男湯の方に入る事になり、静かに中の様子を確認する。
運の良い事に霊の姿は無い。
次に、大浴場の中を確認する。
大半の湯船には濁ったような水が溜まっており、とても入られた物じゃない。
しかし、外にある露天風呂だけは頭上から絶えずお湯が流れ、小さな湯船を満たしている。
「ここなら入れるんじゃない?」
「大丈夫そうですね! やったーお風呂だ!」
ルカはいかにも嬉しそうに鼻歌交じりで脱衣所へと戻り、渚も念願のお風呂に心が踊る。
さっさと服を脱いで、タオルとブードゥー人形を手に露天風呂へ戻る。
その途中、渚は驚いてしまった。
ルカはパーカーの下にインナーを着ておらず、下着一枚だったのだ。
ショーツと同じ、灰色に黒いラインの入ったブラ。
パーカーのせいで分からなかったが、ルカは小さいながらも形の良い胸をしていた。
一方、ルカも驚いた。
パーカーから覗く薄手のキャミソール越しに渚のスタイルの良さは察していたが、裸になるとなお凄い。
細く長い手足に、高い腰。
張りのある胸はなかなかの大きさで、お尻が小さいのもポイントが高い。
髪をお団子にして留めたことで顔の小ささも際立っていて、ルカは少し憧れを感じてしまった。
お互い驚きながら、それを悟られないよう平静を装って露天風呂へと到着する。
露天風呂の湯船は小さいながらもふたりで入るには十分で、足を伸ばして伸び伸びと入る事が出来る。
これで外が赤くなければ完璧だったのだが。
せっかくの観葉植物たちも、こんな環境では不気味でしかない。
「はぁ……生き返る……」
「ふぅ……」
湯船の縁に頭を乗せた仰向けの状態で、渚は自身の胸の上に手を置いて目を瞑っている。
ルカも仰向けでお腹の上に手を乗せて両足を開いており、はしたないながらもとても気持ち良さそうだ。
間違いなくリスクを冒したかいがあった。
ゆっくり温泉に入れた事で知らず知らず消耗していたふたりの心は回復し、これからに希望を持つことが出来る。
具体的に何をしたら良いかはわからないが、少なくともふたり一緒なら大丈夫。
渚とルカは、図らずも同じ事を考えていた。
しかし、幸運はそうも続かない。
まずそれに気が付いたのはルカだった。
男女を仕切る木の柵の向こう側、女湯の方から何か嫌な気配がする。
その気配の主はこちらに気付いていないようだが、こうなってはもうゆっくり温泉に浸かっている場合ではない。
静かに浮かぶ渚の脇を肘でつついて合図を送る。
びっくりした顔をしたものの、真剣なルカの顔を見て渚も事態を把握した。
一番安全なのは見つからない事。
ふたりはゆっくりと露天風呂を出て、出来るだけ音をたてないように大浴場へと戻った。
大浴場は地獄絵図だった。
どこからかやってきた裸の男性の霊が数体。
虚ろな瞳ながら、皆イチモツをいきり立たせてうろついている。
渚はその光景に恐怖を覚え、ルカは強い嫌悪感を覚える。
ルカは、右手に握ったブードゥー人形を投げるのを躊躇っていた。
この人形に霊力を込めれば、身代わりとして利用できる。
霊の注意を逸らすだけなら、せいぜい匂いがする程度で大丈夫だ。
しかし、この数を騙すとなると話が変わってくる。
十分な霊力を込めて分身とし、長い時間注意を引いてもらわないといけない。
そんな事を考えている間にも男たちの霊はこちらへと近づいてくる。
隣では、渚が怯え切った顔でこっちを見ていた。
ルカは意を決して人形を投げる。
すると人形は、ルカの目から見ても完璧な自分の姿へと変化した。
案の定、霊たちはそれをルカ本人と認識して集まり始める。
渚の目にはどう映っているんだろう。
男たちの汚い手が分身の白い肌に近付き、男たちの目が獣の物へと変わる。
分身のルカは無表情のままだが、後ろから抱き着いた男に小ぶりな胸を形が変わるくらい強く握られ、その先端を千切れそうなほど引っ張られている。
その最中も、いきり立った男根が尻の割れ目へと擦りつけられていた。
前から抱き着いた男はその閉じた秘部へ無理やり男根を突き立てて、唇を重ねながら一心不乱に腰を振っている。
やがて同時に果てたのか、分身の尻と秘部の奥へと、どろどろとした白濁液が吐き出される。
男根が勢いよく引き抜かれた影響で分身の体勢が崩れ、秘部から白濁液を漏らしながら床へと倒れる。
男たちはそれを見逃さず、分身はすぐに取り囲まれてしまった。
分身の綺麗な茶色い髪を、小さな口を、赤く腫れた胸を、艶やかな腹を、小ぶりな尻を、健康的なふとももを、すらっとした足を。
男たちは好き好きに犯し、黄色味を帯びた白濁液で汚していく。
あれは分身で自分じゃない。
あれは精液じゃない、霊はもう死んでいる。
分身の表情が変わるはずがない、蕩けて見えるのは気のせいだ。
その悲惨な光景にルカは気が遠くなり、自分が立っているのかどうかもわからなくなってくる。
「ルカ」
その声ではっと我に返った。
耳元で囁かれた渚の声で、ルカは正気を取り戻す。
白濁液に沈む自分の姿を横目に見ながら、そっと脇を通り抜けた。
脱衣所から素早く服を回収して浴衣を羽織り、小走りで201号室へ戻る。
帯を締めている時間は無い。
はだけた浴衣を押さえながら部屋の中へ入ると、素早く鍵を閉めて扉の方をじっと見る。
しばらく無言でそうした後、もう安全だとほっと胸を撫で下ろした。
「ルカ、なんでぼうっとしてたの?」
「え……ああ、ブードゥー人形に霊力を移し過ぎちゃって、心配かけてすみません」
渚にはあの陵辱を見られていない。
その事実にほっとしながら、ルカは浴衣の帯をしっかりと締める。
私自身も渚さんも、絶対にあんな風にはさせない。
そう決意を固めた時、ルカのスマホが楽し気な音楽を奏で始めた。
バスルームの方から渚の弱々しい声が聞こえてくる。
部屋で見つけたタオルと浴衣を持って嬉しそうに入って行ったのに。
この様子からすると湯が出なかったのだろう。
ルカはベッドに転がったまま、まくらを抱きかかえて暇つぶしにスマホを眺めていた。
「書いてありましたけど、水場はヤバいです」
「温泉でも?」
渚さんがシャワールームから顔だけを出して聞いてくる。
霊の影響があると危ないって言ってるのに、ここまで無防備に肌を出すという事は私を誘っているんだろうか。
ルカは一回本気で襲ってやろうか、と物騒な事を考えながら、気を紛らわせるためにスマホの画面に集中した。
「危ないと思いますよ、結界になりそうな物があるならまだしも」
「ルカが一緒でも?」
本当にこの人は。
ルカが呆れ顔で渚の方を見る。
渚はきょとんとした顔をしていた。
「あのですね、前も言った通り霊の影響を受けたら女とだってヤっちゃうんですよ? 裸でお風呂、なんて危なすぎます」
渚はしゅんとした顔で、そうだよねと言ってバスルームへ戻って行った。
そうは言いつつ、お風呂に入りたいのはルカも同じだ。
ここに来るまでショーツも履かずに歩いて来たし、太ももにはまだ自分の愛液の感触が残っている気がする。
本当ならここでゆっくり温泉に浸かって、今日の疲れを癒したい。
リスクは高いが、その分得るものも大きいはずだ。
もし霊が現れたとして、結界が作れなくても逃げ道が確保できていれば良いんじゃないか。
あるいは、影響を受けずに除霊できるならそれでも良い。
「ねぇ、これって使える?」
バスルームから服を着て戻った渚は、どこで見つけたのか小さな人形を持っていた。
毛糸をぐるぐると巻いて人型にしたもの、いわゆるブードゥー人形だ。
なんでこんな物があるんだろう。
ルカはそれを不思議そうな顔で見て、にやりと笑った。
「いけます。 身代わり作戦で行きましょう」
ふたりは大浴場に設けられた脱衣所へと来ていた。
手にはタオルと浴衣とブードゥー人形。
このブードゥー人形はどうやらお土産だったようで、途中のお土産売り場に数個残っていた。
「せっかくだから男湯の方に入りません?」
「どっちでも良いよ、早く入ろ」
ルカの提案で男湯の方に入る事になり、静かに中の様子を確認する。
運の良い事に霊の姿は無い。
次に、大浴場の中を確認する。
大半の湯船には濁ったような水が溜まっており、とても入られた物じゃない。
しかし、外にある露天風呂だけは頭上から絶えずお湯が流れ、小さな湯船を満たしている。
「ここなら入れるんじゃない?」
「大丈夫そうですね! やったーお風呂だ!」
ルカはいかにも嬉しそうに鼻歌交じりで脱衣所へと戻り、渚も念願のお風呂に心が踊る。
さっさと服を脱いで、タオルとブードゥー人形を手に露天風呂へ戻る。
その途中、渚は驚いてしまった。
ルカはパーカーの下にインナーを着ておらず、下着一枚だったのだ。
ショーツと同じ、灰色に黒いラインの入ったブラ。
パーカーのせいで分からなかったが、ルカは小さいながらも形の良い胸をしていた。
一方、ルカも驚いた。
パーカーから覗く薄手のキャミソール越しに渚のスタイルの良さは察していたが、裸になるとなお凄い。
細く長い手足に、高い腰。
張りのある胸はなかなかの大きさで、お尻が小さいのもポイントが高い。
髪をお団子にして留めたことで顔の小ささも際立っていて、ルカは少し憧れを感じてしまった。
お互い驚きながら、それを悟られないよう平静を装って露天風呂へと到着する。
露天風呂の湯船は小さいながらもふたりで入るには十分で、足を伸ばして伸び伸びと入る事が出来る。
これで外が赤くなければ完璧だったのだが。
せっかくの観葉植物たちも、こんな環境では不気味でしかない。
「はぁ……生き返る……」
「ふぅ……」
湯船の縁に頭を乗せた仰向けの状態で、渚は自身の胸の上に手を置いて目を瞑っている。
ルカも仰向けでお腹の上に手を乗せて両足を開いており、はしたないながらもとても気持ち良さそうだ。
間違いなくリスクを冒したかいがあった。
ゆっくり温泉に入れた事で知らず知らず消耗していたふたりの心は回復し、これからに希望を持つことが出来る。
具体的に何をしたら良いかはわからないが、少なくともふたり一緒なら大丈夫。
渚とルカは、図らずも同じ事を考えていた。
しかし、幸運はそうも続かない。
まずそれに気が付いたのはルカだった。
男女を仕切る木の柵の向こう側、女湯の方から何か嫌な気配がする。
その気配の主はこちらに気付いていないようだが、こうなってはもうゆっくり温泉に浸かっている場合ではない。
静かに浮かぶ渚の脇を肘でつついて合図を送る。
びっくりした顔をしたものの、真剣なルカの顔を見て渚も事態を把握した。
一番安全なのは見つからない事。
ふたりはゆっくりと露天風呂を出て、出来るだけ音をたてないように大浴場へと戻った。
大浴場は地獄絵図だった。
どこからかやってきた裸の男性の霊が数体。
虚ろな瞳ながら、皆イチモツをいきり立たせてうろついている。
渚はその光景に恐怖を覚え、ルカは強い嫌悪感を覚える。
ルカは、右手に握ったブードゥー人形を投げるのを躊躇っていた。
この人形に霊力を込めれば、身代わりとして利用できる。
霊の注意を逸らすだけなら、せいぜい匂いがする程度で大丈夫だ。
しかし、この数を騙すとなると話が変わってくる。
十分な霊力を込めて分身とし、長い時間注意を引いてもらわないといけない。
そんな事を考えている間にも男たちの霊はこちらへと近づいてくる。
隣では、渚が怯え切った顔でこっちを見ていた。
ルカは意を決して人形を投げる。
すると人形は、ルカの目から見ても完璧な自分の姿へと変化した。
案の定、霊たちはそれをルカ本人と認識して集まり始める。
渚の目にはどう映っているんだろう。
男たちの汚い手が分身の白い肌に近付き、男たちの目が獣の物へと変わる。
分身のルカは無表情のままだが、後ろから抱き着いた男に小ぶりな胸を形が変わるくらい強く握られ、その先端を千切れそうなほど引っ張られている。
その最中も、いきり立った男根が尻の割れ目へと擦りつけられていた。
前から抱き着いた男はその閉じた秘部へ無理やり男根を突き立てて、唇を重ねながら一心不乱に腰を振っている。
やがて同時に果てたのか、分身の尻と秘部の奥へと、どろどろとした白濁液が吐き出される。
男根が勢いよく引き抜かれた影響で分身の体勢が崩れ、秘部から白濁液を漏らしながら床へと倒れる。
男たちはそれを見逃さず、分身はすぐに取り囲まれてしまった。
分身の綺麗な茶色い髪を、小さな口を、赤く腫れた胸を、艶やかな腹を、小ぶりな尻を、健康的なふとももを、すらっとした足を。
男たちは好き好きに犯し、黄色味を帯びた白濁液で汚していく。
あれは分身で自分じゃない。
あれは精液じゃない、霊はもう死んでいる。
分身の表情が変わるはずがない、蕩けて見えるのは気のせいだ。
その悲惨な光景にルカは気が遠くなり、自分が立っているのかどうかもわからなくなってくる。
「ルカ」
その声ではっと我に返った。
耳元で囁かれた渚の声で、ルカは正気を取り戻す。
白濁液に沈む自分の姿を横目に見ながら、そっと脇を通り抜けた。
脱衣所から素早く服を回収して浴衣を羽織り、小走りで201号室へ戻る。
帯を締めている時間は無い。
はだけた浴衣を押さえながら部屋の中へ入ると、素早く鍵を閉めて扉の方をじっと見る。
しばらく無言でそうした後、もう安全だとほっと胸を撫で下ろした。
「ルカ、なんでぼうっとしてたの?」
「え……ああ、ブードゥー人形に霊力を移し過ぎちゃって、心配かけてすみません」
渚にはあの陵辱を見られていない。
その事実にほっとしながら、ルカは浴衣の帯をしっかりと締める。
私自身も渚さんも、絶対にあんな風にはさせない。
そう決意を固めた時、ルカのスマホが楽し気な音楽を奏で始めた。
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