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167・ハレンチ警察出動だ!

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「……どうも、妙な展開になってしまったな」

 裾にくっついた俺を、サフィールはさりげなく引き剥がす。あ、やっぱそういうとこは親愛ゼロのまんまなんですね。だが無理に突き放すまではせずに、サフィールは手すりに腕をかけて城下を覗く。

「本当は、励ますつもりなんて微塵もなかった。それどころか返答とことの次第によっては、貴方をここから突き落とすことすら辞さない構えでいたのに」
「そうなの!? 怖っ!!」

 思わず今度は俺が飛びのいた。てかそんなん本人に言うなよ。素直か。
 まあしかし、サフィールの立場になってみれば気持ちはわからなくもない。敬して護るべき主君であり、同時に幼い頃からの友達でもあるジルコンが、どこの馬の骨とも知れない相手にうつつを抜かしかけているのだ。あまつさえその相手はハーレムだのチヤホヤだのわけわからんことを吹聴しながら、目を向けてくれているジルコン自身にはどっちつかずのあいまいな態度を取っている。……うん。むしろよく今まで突き落とされなかったな、俺。今後は身辺気を付けとこう、マジで。
 ……まあ、それはともあれ。

「ありがとな」
「? 何がだ」
「んー、なんつーか。お前にこんだけガン詰めされて、俺もいい加減腹決まったよ」
「……そうか」

 俺が見ている海の方へ、サフィールもまた視線を移す。太陽はゆっくりと傾き始めている。海に見える小さな黒い影は、もしかしたらハフノンさんたちの漁船だろうか。小さな頃のジルコンは、あの海辺でサフィールたちと一緒に遊んだり喧嘩したりしていた。その友情は、地位や立場が変わった今になってもちゃんと続いている。なんだかちょっと羨ましい気分になりながら、続けて口を開く。

「実は、ちょっと前ジルコンに言われたんだけどさ。この戦いが終わったら、答えを聞かせてほしいって」
「……は?」
「でもお前が背中押してくれたおかげで、ようやく俺もちゃんと」
「ちょ、ちょっと待て。待ってくれ」
「え?」

 サフィールの手が、俺の肩をがっしりと掴む。妙に慌てているみたいだ。なんで? 俺またなんかまずいこと言っちゃいました?

「その、答えと言うのは、恋愛関係を結ぶに至る可否の問い、に対する返答、ということか?」
「あ、うん、まあ……そう」
「なっ……つ、つまりジルコンは、というか貴方は、いや貴方とジルコンはその、もうそんなところまで進展してるのか?」
「そ、そんなところって、何その言い方? い……いやん」
「いやん!?!?」
「アッ違う、そんなハレンチな意味じゃない!! 俺たちまだ全然そんなんじゃないから、もう見事になんもない清い関係だから!!」
「当たり前だ!! というかまだとはなんだ、まだとは!!」

 血相を変えて怒鳴られてしまった。ええ……? この反応は予想外。つまりサフィールが問い詰めたかったのは俺側の気持ちだけで、ジルコン側の色々自体は何も知らなかったってこと? や、てっきり相談とかされてるのかと。ってことはつまり今のこの状況は、俺がマジでいらんこと言ってしまったパターンですね?
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