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145・花よりお肉の親睦会
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暖かな陽差しが草花を彩る、光麗らかな好日。
我らが耀燈騎士団一行(+コラル)は、海を望む崖の上に広がる、花咲き乱れる丘へと遊びに来ていた。
集合場所は、なだらかな草地が続く草原だ。柔らかな下草のそこここに、白く小さな花が群生している。薄く削ったロウのような、透けるほどに繊細な花びらを持つこの花は、白蝋花といってエーデルシュタイン王国の名産らしい。ちょうど今の時期が盛りでよかった。まあ、なかったらなかったで別の口実を探すだけだけど。
その花々に囲まれて、高くそびえ立つ大木の下。俺たちは長机サイズのバーベキューグリルを囲んで、それぞれに飲み食いを始めようとしていた。
「はあ……許されるのでしょうか。国を守る騎士である私たちが、こんなときにこんな場所で遊んでいるなんて」
「ははっ、相変わらず心配性だなあ、スマラクトは。でもむしろこんな時だからこそ、仲間との友情を深めるのも大事だと思うぜ?」
「一理あるな。だからこそ殿下もこの会を企画して下さったのだろう」
木の陰で後ろめたそうに縮こまるスマラクトを、杯片手のトパシオとサフィールが諭す。今回の主催者は表向き、ジルコンことディアマンテ王子サマということにしてもらっている。士気高揚のための決起集会という名目もあるが、何より俺が誘ったんじゃ全員に来てもらえるとは思えなかったからだ。特にミマ。
そのミマはと言うと、グリルに陣取る俺とは少し離れたテーブルにて、いつの間にか騎士サマ方への配膳をしてくれていた。
「はいはいはい、こっちの肉はもう焼けたよー。こっから先はもうちょい待ってねーはい味変にディップとスパイスどうぞージルコン特製だよー」
「ランジン様、はい、どうぞ。お肉よりお野菜の方がお好きでしたよね? このミモザサラダ、僕が作ってきたんです」
「あっ、ありがとうございます。わあ、すごい、美味しそう。この黄色いのがミモザのお花なんですか?」
「ランジン、それはどっからどう見ても卵ですぅ。オマエは見立てというものを学ぶがいいですぅ」
肉焼きおじちゃんと化す俺と、そつなくサラダ取り分け男子をこなすミマ。ミマは相変わらずこっちを見ようとしないが、雰囲気は普段よりいくらか柔らかい。持ち寄り一品までちゃんと作ってきてくれてるあたり、なんだかんだこの会自体はまんざらでもないってことだろう。ちょっとほっとする。
「やぁやぁ、みんな花よりお肉丸出しだねぇ。咲き誇る小さな命を愛でようよぉ」
「とか言いつつアメティスタ、オマエも飲み過ぎだぜ。既に何杯空けてるんだ」
「えぇー? やだなぁルビーノ、硬いこと言わないの。それにこれだって命の水だよぉ」
「まったく……オマエなら酔い潰れたりはしないだろうが、ほどほどにしておけよ。いつか体を壊すぞ」
「にゃははは。はぁーい」
とか言いつつアメティスタは次の一杯を手酌で注いでいる。まあ、ざっと見ている限りでは、みんなそれぞれ宴を楽しんでくれているみたいだ。まずは第一段階クリアってとこだろうか。これだけでも最低限、やった甲斐はあった。
我らが耀燈騎士団一行(+コラル)は、海を望む崖の上に広がる、花咲き乱れる丘へと遊びに来ていた。
集合場所は、なだらかな草地が続く草原だ。柔らかな下草のそこここに、白く小さな花が群生している。薄く削ったロウのような、透けるほどに繊細な花びらを持つこの花は、白蝋花といってエーデルシュタイン王国の名産らしい。ちょうど今の時期が盛りでよかった。まあ、なかったらなかったで別の口実を探すだけだけど。
その花々に囲まれて、高くそびえ立つ大木の下。俺たちは長机サイズのバーベキューグリルを囲んで、それぞれに飲み食いを始めようとしていた。
「はあ……許されるのでしょうか。国を守る騎士である私たちが、こんなときにこんな場所で遊んでいるなんて」
「ははっ、相変わらず心配性だなあ、スマラクトは。でもむしろこんな時だからこそ、仲間との友情を深めるのも大事だと思うぜ?」
「一理あるな。だからこそ殿下もこの会を企画して下さったのだろう」
木の陰で後ろめたそうに縮こまるスマラクトを、杯片手のトパシオとサフィールが諭す。今回の主催者は表向き、ジルコンことディアマンテ王子サマということにしてもらっている。士気高揚のための決起集会という名目もあるが、何より俺が誘ったんじゃ全員に来てもらえるとは思えなかったからだ。特にミマ。
そのミマはと言うと、グリルに陣取る俺とは少し離れたテーブルにて、いつの間にか騎士サマ方への配膳をしてくれていた。
「はいはいはい、こっちの肉はもう焼けたよー。こっから先はもうちょい待ってねーはい味変にディップとスパイスどうぞージルコン特製だよー」
「ランジン様、はい、どうぞ。お肉よりお野菜の方がお好きでしたよね? このミモザサラダ、僕が作ってきたんです」
「あっ、ありがとうございます。わあ、すごい、美味しそう。この黄色いのがミモザのお花なんですか?」
「ランジン、それはどっからどう見ても卵ですぅ。オマエは見立てというものを学ぶがいいですぅ」
肉焼きおじちゃんと化す俺と、そつなくサラダ取り分け男子をこなすミマ。ミマは相変わらずこっちを見ようとしないが、雰囲気は普段よりいくらか柔らかい。持ち寄り一品までちゃんと作ってきてくれてるあたり、なんだかんだこの会自体はまんざらでもないってことだろう。ちょっとほっとする。
「やぁやぁ、みんな花よりお肉丸出しだねぇ。咲き誇る小さな命を愛でようよぉ」
「とか言いつつアメティスタ、オマエも飲み過ぎだぜ。既に何杯空けてるんだ」
「えぇー? やだなぁルビーノ、硬いこと言わないの。それにこれだって命の水だよぉ」
「まったく……オマエなら酔い潰れたりはしないだろうが、ほどほどにしておけよ。いつか体を壊すぞ」
「にゃははは。はぁーい」
とか言いつつアメティスタは次の一杯を手酌で注いでいる。まあ、ざっと見ている限りでは、みんなそれぞれ宴を楽しんでくれているみたいだ。まずは第一段階クリアってとこだろうか。これだけでも最低限、やった甲斐はあった。
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