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54・寝てから言え
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「ねえ、スマラクト様」
場違いに明るい声が、森の方から聞こえた。ハッとしてそっちに目を向ける。ミマだ。小柄さに見合わぬ圧倒的な存在感が、一瞬で全員の目を惹きつける。背後に広がる薄暗い森が、そこだけぱっと明るくなったみたいだ。
「僕、今回はスマラクト様に耀燈輝昇をお願いしたいなあ。構いませんよね?」
「なっ」
「ええ、もちろんです」
絶句する俺とは対照的に、スマラクトはあっさりと首を縦に振る。こ、この薄情もの!
いや、理屈で考えてみればここで断る理由はないのだ。俺がちょっとだけ押し返したとはいえ、スマラクトとミマの親愛度は高いままだし、今回の討伐だってMVPはミマだ。それはわかってる。わかってるんだけどぉ、それでもさぁ……! NTRやんけこんなん~!! 寝てないけど!!
「じゃ、スマラクト様。100ジュエネルです」
「ありがとう。不束者ですが、よろしくお願いしますね……ん……っ」
スマラクトの胸から、エメラルドで飾られたランプが浮き上がる。そして始まるのは例の手コ……儀式だ。
「……っは、あ……私なんかが、こんな……ああ、温かいっ……!」
「んっ、スマラクト様、すごい……ふふっ♡」
ミマの視線が、時折こちらに飛んでくる。火照り顔で声を漏らすスマラクトよりも、ミマはむしろ俺の反応を楽しんでいる気がする。ち、ちくしょう、薄々思ってたけど絶対そういう性癖あるだろこの野郎。娘を買われるおとっつぁんの気分だぜ。
「は、っ……うあっ、ミマ……もう、私、は……あっ!!」
「……ふふっ♡ お疲れ様でした、スマラクト様」
「……」
うわーもう、やなもん見ちまったなぁ。スマラクトは荒い息を落ち着かせるように、目を閉じて一度大きく深呼吸をした。そして再びまぶたを開いたとき、たまたま視線の先にいた俺と目が合う。
(あっ……)
反射的に目を逸らした。気まずさもあるけれどそれより何より、ミマとのアレを終えたスマラクトが、また俺に冷たい目を向けてたらどうしよう、と思ってしまったからだ。そんな賢者タイムは見たくないのよいろんな意味で。生々しさで心が折れかねない。
だが。
(……あれ?)
俺の目に映ったスマラクトは、若干恥ずかしそうにはしていたものの特に今までと変わった様子はなかった。別に俺に対して熱い視線を浴びせるとかはなかったけど、いや他の男に手コかれた直後にそんなことしてたらそれこそどんな性癖だよって話になるけど、とにかく良くも悪くも、スマラクトは普通、だったのだ。
えっ、これってセーフってこと? 数値を超えた思いの力で生まれた絆がうんたらら? 思わずジルコンの方を振り返る。木陰で左腕を押さえたジルコンが、かすかに笑って俺に頷く。
自分の顔がぱっとほころぶのが、自分でもわかった。
「やっ……たー!! やーったやった、俺の勝ちー!!」
「……っ」
手を叩いて飛び上がる俺を、ミマが奥歯を噛み締めて睨む。その顔、その顔が見たかったんだよ俺は! へへぇん、ざっまああ!!
場違いに明るい声が、森の方から聞こえた。ハッとしてそっちに目を向ける。ミマだ。小柄さに見合わぬ圧倒的な存在感が、一瞬で全員の目を惹きつける。背後に広がる薄暗い森が、そこだけぱっと明るくなったみたいだ。
「僕、今回はスマラクト様に耀燈輝昇をお願いしたいなあ。構いませんよね?」
「なっ」
「ええ、もちろんです」
絶句する俺とは対照的に、スマラクトはあっさりと首を縦に振る。こ、この薄情もの!
いや、理屈で考えてみればここで断る理由はないのだ。俺がちょっとだけ押し返したとはいえ、スマラクトとミマの親愛度は高いままだし、今回の討伐だってMVPはミマだ。それはわかってる。わかってるんだけどぉ、それでもさぁ……! NTRやんけこんなん~!! 寝てないけど!!
「じゃ、スマラクト様。100ジュエネルです」
「ありがとう。不束者ですが、よろしくお願いしますね……ん……っ」
スマラクトの胸から、エメラルドで飾られたランプが浮き上がる。そして始まるのは例の手コ……儀式だ。
「……っは、あ……私なんかが、こんな……ああ、温かいっ……!」
「んっ、スマラクト様、すごい……ふふっ♡」
ミマの視線が、時折こちらに飛んでくる。火照り顔で声を漏らすスマラクトよりも、ミマはむしろ俺の反応を楽しんでいる気がする。ち、ちくしょう、薄々思ってたけど絶対そういう性癖あるだろこの野郎。娘を買われるおとっつぁんの気分だぜ。
「は、っ……うあっ、ミマ……もう、私、は……あっ!!」
「……ふふっ♡ お疲れ様でした、スマラクト様」
「……」
うわーもう、やなもん見ちまったなぁ。スマラクトは荒い息を落ち着かせるように、目を閉じて一度大きく深呼吸をした。そして再びまぶたを開いたとき、たまたま視線の先にいた俺と目が合う。
(あっ……)
反射的に目を逸らした。気まずさもあるけれどそれより何より、ミマとのアレを終えたスマラクトが、また俺に冷たい目を向けてたらどうしよう、と思ってしまったからだ。そんな賢者タイムは見たくないのよいろんな意味で。生々しさで心が折れかねない。
だが。
(……あれ?)
俺の目に映ったスマラクトは、若干恥ずかしそうにはしていたものの特に今までと変わった様子はなかった。別に俺に対して熱い視線を浴びせるとかはなかったけど、いや他の男に手コかれた直後にそんなことしてたらそれこそどんな性癖だよって話になるけど、とにかく良くも悪くも、スマラクトは普通、だったのだ。
えっ、これってセーフってこと? 数値を超えた思いの力で生まれた絆がうんたらら? 思わずジルコンの方を振り返る。木陰で左腕を押さえたジルコンが、かすかに笑って俺に頷く。
自分の顔がぱっとほころぶのが、自分でもわかった。
「やっ……たー!! やーったやった、俺の勝ちー!!」
「……っ」
手を叩いて飛び上がる俺を、ミマが奥歯を噛み締めて睨む。その顔、その顔が見たかったんだよ俺は! へへぇん、ざっまああ!!
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