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3章 農業がしたい

19、beginning

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「……暇ぁ」


 よく晴れた昼のことだった。 リビングのソファーで寝転がってくつろいでいた私は、おもむろにそんなことをつぶやいていた

 

「どうしたのじゃ? 何か刺激が欲しいのか?」


 同居人のロり魔王は、私の顔を覗き込むようにとなりに立っていた。 着ているローブのフード越しに見る彼女の顔には、何やら不気味な笑みが浮かべられている


「刺激ねぇ……どういったものがあるの?」

「ドラゴン討伐とかダンジョン攻略とかチート農業とかじゃのぅ」


 ロり魔王が並べた単語は、ファンタジー世界では必須の要素。 難易度にもよるが、言葉の響きは刺激的といっても過言ではないだろう……ただ一つを除いては


「チート農業って何?」

「その名前の通り、お主のチートスペックでやる農業じゃ」

「ふぇっ!?」

 

 ロり魔王がしれっとそんなことを言うので、ソファーから起き上がった私は驚きのあまりそのまま転げ落ちそうになった。


 チートスペックって基本的に戦闘向けのものだよね!? それで戦闘以外にほとんど興味なさそうなロり魔王が農業とか……お腹痛いのかなぁ?


「別に我はお腹が痛いわけではないのじゃが…… お主ってたまに発言がアレなんじゃな」

「あの……圧倒的なブーメラン刺さってますよ~」


 元異世界の魔王に、「ブーメラン」なんていう一般人にはあまり馴染みのないような単語が伝わったのかはさておき、先ほどのロり魔王のセリフからは割と真面目に農業がしたいことが分かった。


 はてさて……農業といっても何から始めようか。 とりあえずクワと土地は必要だよね~


「お主のクワ、なんか変な名前になってたのじゃが……」

「マ?」

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