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重なり合う運命
ゲームのキャラに恋するのは規約違反ですか? 35
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そう思い、寝室の扉を開けると、それと同時に、どこかの扉が閉まる音がした。
「今のは?」
「玄関の方からだと思うけど……」
お隣の住人が帰って来たときの音かもしれないが、それにしては近いような。
「私が見てくるから。コルテはゲームしてていいよ」
「あ、ちょっと」
コルテが引き留めようとしていたが、構わず、私は寝室を出た。
暗いリビングを歩き、玄関の方へと行こうとすると、勝手にリビングの扉が開いた。
「え……」
そこには、私の知らない中年の男性が立っていた。
「あの……場所、間違え」
「か、金をだせ!」
目の前の男性は、まさかの強盗だった。
「あ、あの、落ち着いて……」
「いいから、あるだけ金を出せ!」
何で、と考えればすぐに分かった。
今日、コルテが鍵を開けていたことで、ステルスミッションを敢行した。その時、私は鍵を閉めていない。それが原因だ。
この男は、鍵が開いている部屋を狙った空き巣なのだろう。不幸にも、リビングの電気を消していたことで無人だと勘違いしたのだ。
でも、人がいるのに気づいたのなら、逃げればいいのに。出口を塞がれている訳でもないんだから。私が女だと分かって強気なのだろう。でも、ここには私しかいない訳ではない。
「どうしたんだ。客か?」
騒ぎを聞きつけたコルテが、寝室から出てきてくれた。
強盗のことを客だと勘違いしているようだが、そんなことはどうでもいい。男が、しかも、コルテのように屈強な男がいると分かれば、強盗も撤退して……。
「ちょっ……」
撤退するどころか、襲ってきた。
予想外の出来事で、反応できず、強盗に捕まってしまった。
「動くんじゃなねぇぞ!」
刃物のような凶器を持っているわけではない。けれど、このままでは、首に入った腕が、私を絞め殺すかもしれない。
「金だ、金を持ってこい!」
「動いたらだめじゃ……」
「いいから早くしろ!」
近くにあったコップを投げつけた。
しかし、銃弾ですら避けることができるコルテにとって、投げられたコップなんて余裕で反応してキャッチすることができる。ただ、コップから中身がこぼれることを知らなかったコルテは、流れる水で濡れていた。
「すまないが、俺はお金がどこにあるか知らないんだ。だから、彼女を解放してくれないか? 人質は俺が代わりになるから」
「そんなの聞くと思ってんのか! なめやがって……。お前の持ち金だけでいいからさっさと出せ!」
「そう言われても、俺にはアイテム欄が……」
「さっさとしろ!」
コルテは私を助けようとしてくれている。でも、このままだと、私の意識が……。
途切れそうな意識の中、走馬燈のように記憶が蘇る。
それは、私の友達である浅井さんの言葉だ。
『奥手にならず、積極的にね。男はそういうのに弱いんだから』
その通りだ。積極的に動かなければならない。
そう考えた時、体は自然と動いた。
重心を傾け、強盗の姿勢が崩れた隙に腕から逃れ、さらに、その腕と一緒に背後へと回り込み、関節の痛みと共に地面に叩きつけた。
私が身につけた護身術。それは、ただの男性に負けるような柔なものではない。
「コルテ、ちょっとこいつ押さえてて」
「あ、ああ」
急いで来たコルテと役を変わる。馬乗りで押さえつけるのなら、体重が軽い私よりも適任だ。
「驚いた……。玲は強いんだな」
その言葉で、薄々感じていた勘違いがはっきりとした。
浅井さんが言っていた「奥手にならずに積極的に」というのはこういうことではない。
大体、男というのは、か弱くて守ってやらなければならないような女の子が好きなのだ。こんな男にも負けないような強さを見せてしまっては、完全に逆効果……。
「安心したよ。玲みたいなプレイヤーなら、背中を預けれる。最初に会えたのが玲でよかった」
「ちゃ、ちゃんと押さえつけておいてよね!」
恋人として一歩進んだのか、それとも、盟友として一歩進んだのか。
私の心は、とても複雑だった。
「今のは?」
「玄関の方からだと思うけど……」
お隣の住人が帰って来たときの音かもしれないが、それにしては近いような。
「私が見てくるから。コルテはゲームしてていいよ」
「あ、ちょっと」
コルテが引き留めようとしていたが、構わず、私は寝室を出た。
暗いリビングを歩き、玄関の方へと行こうとすると、勝手にリビングの扉が開いた。
「え……」
そこには、私の知らない中年の男性が立っていた。
「あの……場所、間違え」
「か、金をだせ!」
目の前の男性は、まさかの強盗だった。
「あ、あの、落ち着いて……」
「いいから、あるだけ金を出せ!」
何で、と考えればすぐに分かった。
今日、コルテが鍵を開けていたことで、ステルスミッションを敢行した。その時、私は鍵を閉めていない。それが原因だ。
この男は、鍵が開いている部屋を狙った空き巣なのだろう。不幸にも、リビングの電気を消していたことで無人だと勘違いしたのだ。
でも、人がいるのに気づいたのなら、逃げればいいのに。出口を塞がれている訳でもないんだから。私が女だと分かって強気なのだろう。でも、ここには私しかいない訳ではない。
「どうしたんだ。客か?」
騒ぎを聞きつけたコルテが、寝室から出てきてくれた。
強盗のことを客だと勘違いしているようだが、そんなことはどうでもいい。男が、しかも、コルテのように屈強な男がいると分かれば、強盗も撤退して……。
「ちょっ……」
撤退するどころか、襲ってきた。
予想外の出来事で、反応できず、強盗に捕まってしまった。
「動くんじゃなねぇぞ!」
刃物のような凶器を持っているわけではない。けれど、このままでは、首に入った腕が、私を絞め殺すかもしれない。
「金だ、金を持ってこい!」
「動いたらだめじゃ……」
「いいから早くしろ!」
近くにあったコップを投げつけた。
しかし、銃弾ですら避けることができるコルテにとって、投げられたコップなんて余裕で反応してキャッチすることができる。ただ、コップから中身がこぼれることを知らなかったコルテは、流れる水で濡れていた。
「すまないが、俺はお金がどこにあるか知らないんだ。だから、彼女を解放してくれないか? 人質は俺が代わりになるから」
「そんなの聞くと思ってんのか! なめやがって……。お前の持ち金だけでいいからさっさと出せ!」
「そう言われても、俺にはアイテム欄が……」
「さっさとしろ!」
コルテは私を助けようとしてくれている。でも、このままだと、私の意識が……。
途切れそうな意識の中、走馬燈のように記憶が蘇る。
それは、私の友達である浅井さんの言葉だ。
『奥手にならず、積極的にね。男はそういうのに弱いんだから』
その通りだ。積極的に動かなければならない。
そう考えた時、体は自然と動いた。
重心を傾け、強盗の姿勢が崩れた隙に腕から逃れ、さらに、その腕と一緒に背後へと回り込み、関節の痛みと共に地面に叩きつけた。
私が身につけた護身術。それは、ただの男性に負けるような柔なものではない。
「コルテ、ちょっとこいつ押さえてて」
「あ、ああ」
急いで来たコルテと役を変わる。馬乗りで押さえつけるのなら、体重が軽い私よりも適任だ。
「驚いた……。玲は強いんだな」
その言葉で、薄々感じていた勘違いがはっきりとした。
浅井さんが言っていた「奥手にならずに積極的に」というのはこういうことではない。
大体、男というのは、か弱くて守ってやらなければならないような女の子が好きなのだ。こんな男にも負けないような強さを見せてしまっては、完全に逆効果……。
「安心したよ。玲みたいなプレイヤーなら、背中を預けれる。最初に会えたのが玲でよかった」
「ちゃ、ちゃんと押さえつけておいてよね!」
恋人として一歩進んだのか、それとも、盟友として一歩進んだのか。
私の心は、とても複雑だった。
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