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予知部と二人の初任務
予知部と弱気な新入生 68
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「あの、一ついいですか?」
口を開いたのは、一緒に来ていた泉ちゃんだった。
「何か文句でも?」
「そう言うわけではなくて……」
凄んだ態度をとるちゃちゃ丸さんに泉ちゃんは圧倒されて口を噤んでしまった。泉ちゃんが犬派と言うことを察して、敵視しているのだろうか。
「まあまあ、そんな邪険にしないでくださいよ。私たちが喧嘩してたところで、何も解決しないんですから」
「言われなくても分かっている。言いたいことは何だ?」
そう言っているが、攻撃的な態度は変わっていない。
「あんまり気にしなくていいから。それで、泉ちゃん、何か気づいたことがあるの?」
「気づいた事って言うか……」
言うべきか悩んでいるようだが、決めたようだ。
「あの、悪霊って全員悪いものなんでしょうか?」
「そりゃあ、悪霊ってのは、恨み妬み嫉み、そういった負の感情で出来上がっているからな。それがいい行いをするとは思えない」
今まで、神秘的な存在は私の想像と違うことが多かったが、悪いイメージはよく当たる。今回の悪霊も悪いイメージと合致していた。その上で、いい悪霊がいるとも信じたいのだが、いい悪霊ならば、それはもう悪霊ではないのではないのかという疑問もある。
「でも、悪い気を出して、その場所に誰かが近づかないようにしてるだけかもしれないじゃないですか」
「仮にそうだとしても、確証を得る手段がない」
「それは……」
話せば分かると言いたかったのだろう。だが、悪霊は危険だから近づくことはできない。危険ではない事を証明するために近づかなければならないに、危険だから近づけないとい。完全に堂々巡りになっているようだ。
「話は終わりだな。お前がなぜ悪霊の肩を持つのかは問いつめないでおこう」
「……ありがとうございます」
ちゃちゃ丸さんが言うように、泉ちゃんは悪霊の味方ををしているようにも感じる。過去、悪霊に助けられた事でもあるのだろうか。
気にはなるが、ちゃちゃ丸さんが気遣って聞かないでいるので、私もそのことについては聞かないでおこう。
「それじゃあ、俺はこれで帰らせてもらうぞ。報酬も貰ったことだしな」
猫缶を器用に頭の上に乗せて、ちゃちゃ丸さんは満足そうだ。私も、ちゃちゃ丸さんから話は聞けたのは満足だが、欲求を解消しきれてはいない。
「あ、あの、ちゃちゃ丸さん」
「なんだ? もう用はないぞ」
「その……なでなでさせてくれませんか?」
今日は疲れているので、それを紛らわせる為にも可愛い成分を補給しておきたい。
「別にいいが、それに見合った報酬はあるんだろうな?」
「今はないんですけど……後払いで……」
「後払い? 話にならないな」
「そんな……。あ、ちょっと、待ってくださいよ!」
私の叫びは届かず、ちゃちゃ丸さんは金網に開いた穴から校外へと出て行ってしまった。猫缶を出していたときはあんなにモテていたのに、完全にふられてしまったようだ。
口を開いたのは、一緒に来ていた泉ちゃんだった。
「何か文句でも?」
「そう言うわけではなくて……」
凄んだ態度をとるちゃちゃ丸さんに泉ちゃんは圧倒されて口を噤んでしまった。泉ちゃんが犬派と言うことを察して、敵視しているのだろうか。
「まあまあ、そんな邪険にしないでくださいよ。私たちが喧嘩してたところで、何も解決しないんですから」
「言われなくても分かっている。言いたいことは何だ?」
そう言っているが、攻撃的な態度は変わっていない。
「あんまり気にしなくていいから。それで、泉ちゃん、何か気づいたことがあるの?」
「気づいた事って言うか……」
言うべきか悩んでいるようだが、決めたようだ。
「あの、悪霊って全員悪いものなんでしょうか?」
「そりゃあ、悪霊ってのは、恨み妬み嫉み、そういった負の感情で出来上がっているからな。それがいい行いをするとは思えない」
今まで、神秘的な存在は私の想像と違うことが多かったが、悪いイメージはよく当たる。今回の悪霊も悪いイメージと合致していた。その上で、いい悪霊がいるとも信じたいのだが、いい悪霊ならば、それはもう悪霊ではないのではないのかという疑問もある。
「でも、悪い気を出して、その場所に誰かが近づかないようにしてるだけかもしれないじゃないですか」
「仮にそうだとしても、確証を得る手段がない」
「それは……」
話せば分かると言いたかったのだろう。だが、悪霊は危険だから近づくことはできない。危険ではない事を証明するために近づかなければならないに、危険だから近づけないとい。完全に堂々巡りになっているようだ。
「話は終わりだな。お前がなぜ悪霊の肩を持つのかは問いつめないでおこう」
「……ありがとうございます」
ちゃちゃ丸さんが言うように、泉ちゃんは悪霊の味方ををしているようにも感じる。過去、悪霊に助けられた事でもあるのだろうか。
気にはなるが、ちゃちゃ丸さんが気遣って聞かないでいるので、私もそのことについては聞かないでおこう。
「それじゃあ、俺はこれで帰らせてもらうぞ。報酬も貰ったことだしな」
猫缶を器用に頭の上に乗せて、ちゃちゃ丸さんは満足そうだ。私も、ちゃちゃ丸さんから話は聞けたのは満足だが、欲求を解消しきれてはいない。
「あ、あの、ちゃちゃ丸さん」
「なんだ? もう用はないぞ」
「その……なでなでさせてくれませんか?」
今日は疲れているので、それを紛らわせる為にも可愛い成分を補給しておきたい。
「別にいいが、それに見合った報酬はあるんだろうな?」
「今はないんですけど……後払いで……」
「後払い? 話にならないな」
「そんな……。あ、ちょっと、待ってくださいよ!」
私の叫びは届かず、ちゃちゃ丸さんは金網に開いた穴から校外へと出て行ってしまった。猫缶を出していたときはあんなにモテていたのに、完全にふられてしまったようだ。
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