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予知部となくした心
予知部と弱気な新入生 48
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「そういえば、ちゃちゃ丸さんみたいな化け猫とかネズ吉くんみたいな化けネズミも寿命は同じなんですか?」
想像だと、人間ほどではないが寿命は長い気はする。ただ、これまで、私の空想は壊されてきている。ここらで、このルーティンは崩れてほしい。
その願いは、なぜか知らないが通じた。
「察しがいいな。彼らは普通よりも寿命が長い」
「そうなんですね。よかった……」
とりあえず、在学中にネズ吉くんのお墓を作る必要はなさそうでよかった。
「それほど、いいものでもないさ。化け猫でも大体40年。化けネズミだと10年も生きれないそうだ。人間と比べると、とても短いことに代わりはない」
「いいんです。人間と比べなくても」
勝手に比較対照を人間にしているが、それなら、人間にもそのような存在がいるのだろうか。
「あの、人間も化け猫や化けネズミみたいに、化け人間みたいなのがいるんですか?」
「もちろん、いるが、化け人間はないだろ」
愛先輩に笑われるが、化け猫、化けネズミならば、当然、人間の場合は化け人間となるのが自然な流れだ。笑われるようなことではないはずなのだ。
「じゃあ、なんて言うんですか」
「そうだな……。色々あるが、やっぱり、吸血鬼が一般的だな」
「吸血鬼、ですか」
そもそも、特殊な人間を知っている人間が一般的ではないのだが、そこは突っ込まないでおこう。
「吸血鬼って、やっぱり血を吸ったり、ニンニクに弱かったり、日光に弱かったりするんですか?」
「あぁ……それな……」
なんだか、言いたくなさそうなのだが、ここまできたら言ってもらわないと気が済まない。
「もったいぶらないでください」
「つまらない話だぞ?」
「つまらないかどうかは私が判断します」
「……分かった」
そんなに話したくないのか、ため息まで吐いていた。
「最初に確認された長寿の人間がな、蚊みたいに手足が細くて、そのくせ角張った顔が鬼のように怖かったから、吸血鬼と呼ばれるようになったんだ。だから、別に血は吸わないし、ニンニクもそいつの好み。日光に関しては、夜型のインドアが原因説が濃厚だ」
最初の人のイメージに引っ張られ、さらに尾ひれまで付いて広まってしまったようだ。でも、少し安心した。
「じゃあ、吸血鬼って言っても、そんなに怖いものじゃないんですね」
「そうだが、やけに嬉しそうだな」
「だって……その……私たちだって……」
特殊な人間。それは私たちのことを指す。ならば、いずれ通る道かもしれない。それが思ったほど酷くないと感じたから嬉しいのだ。
「あぁ、私たちはそんなことにはならないぞ。普通に寿命は80年かそこらだ」
「え……でも……」
「何というか、種類が違うんだ。ちゃちゃ丸は猫とほとんど変わらないが、そもそも猫ではなく化け猫という種類。普通の猫がいきなり化け猫になったり……するケースもあるが、ごく希にだ。突然変異とでも考えてくれ」
想像だと、人間ほどではないが寿命は長い気はする。ただ、これまで、私の空想は壊されてきている。ここらで、このルーティンは崩れてほしい。
その願いは、なぜか知らないが通じた。
「察しがいいな。彼らは普通よりも寿命が長い」
「そうなんですね。よかった……」
とりあえず、在学中にネズ吉くんのお墓を作る必要はなさそうでよかった。
「それほど、いいものでもないさ。化け猫でも大体40年。化けネズミだと10年も生きれないそうだ。人間と比べると、とても短いことに代わりはない」
「いいんです。人間と比べなくても」
勝手に比較対照を人間にしているが、それなら、人間にもそのような存在がいるのだろうか。
「あの、人間も化け猫や化けネズミみたいに、化け人間みたいなのがいるんですか?」
「もちろん、いるが、化け人間はないだろ」
愛先輩に笑われるが、化け猫、化けネズミならば、当然、人間の場合は化け人間となるのが自然な流れだ。笑われるようなことではないはずなのだ。
「じゃあ、なんて言うんですか」
「そうだな……。色々あるが、やっぱり、吸血鬼が一般的だな」
「吸血鬼、ですか」
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「吸血鬼って、やっぱり血を吸ったり、ニンニクに弱かったり、日光に弱かったりするんですか?」
「あぁ……それな……」
なんだか、言いたくなさそうなのだが、ここまできたら言ってもらわないと気が済まない。
「もったいぶらないでください」
「つまらない話だぞ?」
「つまらないかどうかは私が判断します」
「……分かった」
そんなに話したくないのか、ため息まで吐いていた。
「最初に確認された長寿の人間がな、蚊みたいに手足が細くて、そのくせ角張った顔が鬼のように怖かったから、吸血鬼と呼ばれるようになったんだ。だから、別に血は吸わないし、ニンニクもそいつの好み。日光に関しては、夜型のインドアが原因説が濃厚だ」
最初の人のイメージに引っ張られ、さらに尾ひれまで付いて広まってしまったようだ。でも、少し安心した。
「じゃあ、吸血鬼って言っても、そんなに怖いものじゃないんですね」
「そうだが、やけに嬉しそうだな」
「だって……その……私たちだって……」
特殊な人間。それは私たちのことを指す。ならば、いずれ通る道かもしれない。それが思ったほど酷くないと感じたから嬉しいのだ。
「あぁ、私たちはそんなことにはならないぞ。普通に寿命は80年かそこらだ」
「え……でも……」
「何というか、種類が違うんだ。ちゃちゃ丸は猫とほとんど変わらないが、そもそも猫ではなく化け猫という種類。普通の猫がいきなり化け猫になったり……するケースもあるが、ごく希にだ。突然変異とでも考えてくれ」
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