42 / 75
42
しおりを挟む
レイの回し蹴りは、俺の頭上を空振った。
次はどんな攻撃が来るのだろうかと身構えたが、俺の予想とは反して、レイは俺から距離を取った。
「目で追えておらんはずじゃったんじゃが……」
レイは自分の攻撃が当たらず不服という様子だったが、すぐに気分をリセットした。
「まあ、よい。何度もやればいつかは当たろう。それより、ジン、避けるのはうまいようじゃが、攻撃せねば私は倒せぬぞ?」
レイはそう言って俺を挑発してきた。おそらく、俺が攻撃してくるところを狙ってカウンターを決めるつもりだろう。
「お主の攻撃を待ってやろう。私はここから動かぬ故、好きな間合いから攻撃してくるがよい」
明らかに俺の攻撃を誘っているのだが、攻撃しなければ勝てないというのも真実だ。しかし、俺は攻撃的な能力を一切持っていない。
「ほれほれ、どうした? 早く攻撃してみんか」
攻撃的な能力でなくても間接的に攻撃へと転用できる能力はないだろうか。時間停止でも透明化でもない。触手、丸飲み、服だけ溶かす粘液、媚薬、感度上昇、催眠、精力上昇、亀甲縛り……拘束系や催眠系は観客に違和感を与えそうだし……。あと、相手に与える能力は、母乳、産卵、オナホ化……オナホ化ではなく、オナホと感覚を共有する能力なら……いや、それよりも、離れていても相手の膣内に指や男性器を入れる能力がある。
その名前は、ワームホール!
自分の男性器のみを相手の膣内に転送したり、逆に相手の女性器だけをこちらに転送し、舐めたりして悪戯ができるという能力だ。
もちろん、今はそんなふしだらな行為に使う訳ではない。
「よし、いける……」
重要なのは、転送する位置だ。俺の想像通りに能力は働いてくれるだろうが、使う本人が目測を誤れば失敗してしまう。
「来るか……。来い! ジン! お前の攻撃を見せてみろ!」
レイも攻撃を受ける準備ができているようだ。
サラリーマンだった俺は、人を殴ったことがない。だから、殴り方なんて分からないのだが、せめて、格好だけはつけようと、片足を引き、腰を捻らせ、思いっきり拳を振り抜いた。
視界の端で見えたレイは、俺の挙動に眉をひそめて理解ができていない様子だ。それも当然だ。俺とレイの間には10メートルほどの距離がある。その距離を詰めることなく拳を振るっているのだから当然だ。
しかし、俺の拳は届く。
ワームホールにより、拳に一番力が伝わる位置とレイの目の前の位置を空間ごと繋げてしまったのだ。
レイはこの事態を予見できていなかったのだろう。
「ふぐぅっ……」
俺の空間を飛んだ拳は、レイの顔面にクリーンヒットした。
ただ、後ろへとよろけたレイを見て、申し訳なく感じた。
「あっ……ごめん……」
人を殴ったことがなかったとは言え、女の子の顔面に全力パンチをしてしまったのだ。今更だが、罪悪感がこみ上げる。
「ふっ……ふふっ……。この私に攻撃を与えるとは……」
やっぱり、怒らせてしまったのだろうか。そう思ったが、どうやら違うらしい。
次はどんな攻撃が来るのだろうかと身構えたが、俺の予想とは反して、レイは俺から距離を取った。
「目で追えておらんはずじゃったんじゃが……」
レイは自分の攻撃が当たらず不服という様子だったが、すぐに気分をリセットした。
「まあ、よい。何度もやればいつかは当たろう。それより、ジン、避けるのはうまいようじゃが、攻撃せねば私は倒せぬぞ?」
レイはそう言って俺を挑発してきた。おそらく、俺が攻撃してくるところを狙ってカウンターを決めるつもりだろう。
「お主の攻撃を待ってやろう。私はここから動かぬ故、好きな間合いから攻撃してくるがよい」
明らかに俺の攻撃を誘っているのだが、攻撃しなければ勝てないというのも真実だ。しかし、俺は攻撃的な能力を一切持っていない。
「ほれほれ、どうした? 早く攻撃してみんか」
攻撃的な能力でなくても間接的に攻撃へと転用できる能力はないだろうか。時間停止でも透明化でもない。触手、丸飲み、服だけ溶かす粘液、媚薬、感度上昇、催眠、精力上昇、亀甲縛り……拘束系や催眠系は観客に違和感を与えそうだし……。あと、相手に与える能力は、母乳、産卵、オナホ化……オナホ化ではなく、オナホと感覚を共有する能力なら……いや、それよりも、離れていても相手の膣内に指や男性器を入れる能力がある。
その名前は、ワームホール!
自分の男性器のみを相手の膣内に転送したり、逆に相手の女性器だけをこちらに転送し、舐めたりして悪戯ができるという能力だ。
もちろん、今はそんなふしだらな行為に使う訳ではない。
「よし、いける……」
重要なのは、転送する位置だ。俺の想像通りに能力は働いてくれるだろうが、使う本人が目測を誤れば失敗してしまう。
「来るか……。来い! ジン! お前の攻撃を見せてみろ!」
レイも攻撃を受ける準備ができているようだ。
サラリーマンだった俺は、人を殴ったことがない。だから、殴り方なんて分からないのだが、せめて、格好だけはつけようと、片足を引き、腰を捻らせ、思いっきり拳を振り抜いた。
視界の端で見えたレイは、俺の挙動に眉をひそめて理解ができていない様子だ。それも当然だ。俺とレイの間には10メートルほどの距離がある。その距離を詰めることなく拳を振るっているのだから当然だ。
しかし、俺の拳は届く。
ワームホールにより、拳に一番力が伝わる位置とレイの目の前の位置を空間ごと繋げてしまったのだ。
レイはこの事態を予見できていなかったのだろう。
「ふぐぅっ……」
俺の空間を飛んだ拳は、レイの顔面にクリーンヒットした。
ただ、後ろへとよろけたレイを見て、申し訳なく感じた。
「あっ……ごめん……」
人を殴ったことがなかったとは言え、女の子の顔面に全力パンチをしてしまったのだ。今更だが、罪悪感がこみ上げる。
「ふっ……ふふっ……。この私に攻撃を与えるとは……」
やっぱり、怒らせてしまったのだろうか。そう思ったが、どうやら違うらしい。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
落第組の呪いの子~ぼっちが転生した先は、転生者が処刑される世界だった。呪われた魔素の力で、魔法学園で成り上がる~
いとうヒンジ
ファンタジー
レグ・ラスターは、転生者が処刑される世界に「呪いの子」として転生してしまった。彼はその強大すぎる呪いの魔素の所為で、三年後に命を落としてしまうという。
呪われた運命を変える唯一の方法は、魔法学園ソロモンで優秀な成績を収め、学長に認めてもらうことだった。
彼が入学したクラスは、落ちこぼれが集まる通称落第組。レグは自分が転生者だとバレないよう、学園生活を送ることとなる。
そこで出会った、魔法が使えない落第魔女――エルマ・フィール。彼女は転生前の自分同様、他人と関わろうとしない「ぼっち」だった。
エルマの自信を持った生き様に、レグは次第に惹かれていく。
ぼっちだった自分を変えるため、呪われた運命に抗うため――そして何より、エルマを助けるため。
レグ・ラスターは、呪いの力で成り上がる。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
悪役令嬢?いま忙しいので後でやります
みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった!
しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢?
私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる