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10章 火星人との邂逅
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ボルダリングの練習は城山先生が言っていたように1週間みっちり続きました。おかげで技術はもちろん体力もついたようです。
「見て見て! ほら、力こぶ!」
そう言って、私は肘を曲げて二の腕に力を入れます。すると、少しではありますが筋肉が盛り上がります。
「本当に力こぶか?」
訝しげに目を細めているのは彦君です。
そんなに怪しいんなら触って確かめたらいいと言おうとした瞬間です。
「それじゃあ、私が確認してしんぜよう」
そう言いながら後ろから私の二の腕を握ったのはマリさんです。
「ちょ、ちょっと……」
「プニプニじゃんか? 筋肉はどこに行ったんだ?」
そう言いながらもマリさんは私の二の腕を離してはくれず、プニプニしてきます。想像以上にくすぐったいです。
すぐにやめてほしいと言おうとしたのですが、その手は止まりました。
「そう言えば、二の腕って胸と同じ柔らかさだって……。もしかして、鷲斗、触ろうとしてた?」
「ち、違……。俺は見てただけで触ろうなんて……」
「本当かなぁ? 思春期真っ盛りの男子高校生はエッチなことしか考えてないからなぁ」
「考えてませんよ! そういうこと言うマリさんこそ、そういうこと考えてるんじゃないんですか?」
「そういうことって、どういうことぉ?」
「そ、それは……分かるでしょ!」
「言葉で言ってくれないと分かんないなぁ」
そんな感じで戯れている私たちは、今、火星探査部の部室にいました。
忙しいという残りの二人を待っているのですが、時間はかかりませんでした。
「あっ! 部長! お久しぶりです!」
部室へと入ってきたのは、桜井高校火星探査部の部長である大葉部長です。
この1週間、私はボルダリングに励んでいたので、会うのは1週間ぶりとなります。
「緋色さん、お久しぶり。みんなも」
1週間ぶりに見る大葉部長の笑顔で癒されます。
「そんなに気を許してると危ないぞ? 特に夏。夏服になったら二の腕が無防備になるからな」
「ちょ! なに言ってるんですか!」
そんな彦君とマリさんの様子を見て、大葉部長は首を傾げます。
「なんのことですか?」
「い、いえ、何でもないんです! ほんとに! 気にしないでください!」
彦君が必死に取り繕っています。その姿は滑稽で見ていて飽きません。
そんな大葉部長との再会の後に、城山先生が寂しそうに入ってきました。
「私も1週間ぶりだと思うんだが、なにもないのか?」
「先生は毎日授業で会ってるんで、それほど……」
「悲しいなぁ」
そう言っていますが、悲しい様子はしていません。
「見て見て! ほら、力こぶ!」
そう言って、私は肘を曲げて二の腕に力を入れます。すると、少しではありますが筋肉が盛り上がります。
「本当に力こぶか?」
訝しげに目を細めているのは彦君です。
そんなに怪しいんなら触って確かめたらいいと言おうとした瞬間です。
「それじゃあ、私が確認してしんぜよう」
そう言いながら後ろから私の二の腕を握ったのはマリさんです。
「ちょ、ちょっと……」
「プニプニじゃんか? 筋肉はどこに行ったんだ?」
そう言いながらもマリさんは私の二の腕を離してはくれず、プニプニしてきます。想像以上にくすぐったいです。
すぐにやめてほしいと言おうとしたのですが、その手は止まりました。
「そう言えば、二の腕って胸と同じ柔らかさだって……。もしかして、鷲斗、触ろうとしてた?」
「ち、違……。俺は見てただけで触ろうなんて……」
「本当かなぁ? 思春期真っ盛りの男子高校生はエッチなことしか考えてないからなぁ」
「考えてませんよ! そういうこと言うマリさんこそ、そういうこと考えてるんじゃないんですか?」
「そういうことって、どういうことぉ?」
「そ、それは……分かるでしょ!」
「言葉で言ってくれないと分かんないなぁ」
そんな感じで戯れている私たちは、今、火星探査部の部室にいました。
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「あっ! 部長! お久しぶりです!」
部室へと入ってきたのは、桜井高校火星探査部の部長である大葉部長です。
この1週間、私はボルダリングに励んでいたので、会うのは1週間ぶりとなります。
「緋色さん、お久しぶり。みんなも」
1週間ぶりに見る大葉部長の笑顔で癒されます。
「そんなに気を許してると危ないぞ? 特に夏。夏服になったら二の腕が無防備になるからな」
「ちょ! なに言ってるんですか!」
そんな彦君とマリさんの様子を見て、大葉部長は首を傾げます。
「なんのことですか?」
「い、いえ、何でもないんです! ほんとに! 気にしないでください!」
彦君が必死に取り繕っています。その姿は滑稽で見ていて飽きません。
そんな大葉部長との再会の後に、城山先生が寂しそうに入ってきました。
「私も1週間ぶりだと思うんだが、なにもないのか?」
「先生は毎日授業で会ってるんで、それほど……」
「悲しいなぁ」
そう言っていますが、悲しい様子はしていません。
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