最強✕最弱Re:start

月見団子

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第陸話

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…水月が水浸しの床に着地をする。「だ、大丈夫か?」「全然大丈夫!」「よし、残り少ないし、頑張ろうぜ!」「あれに耐えたやつもいるんだね」「運が良かったんだろう」「でも、ありがとう!お陰でかなり数が減ったよ」そうして、俺らは敵を殲滅し終わった。「お、終わったか?」「うん、殲滅任務、完了、だね」そう言って水月が俺の方に倒れた。俺はすぐさま腕で水月を抱きかかえ、その場にいた研究員に言う。「なぁ、こいt…水月さんのいつも休む部屋は何処だ?」「はい、それならこちらになります。」そう言い、先程まで戦いを繰り広げていた、あまりにも静かな部屋を出て長い通路を歩く。俺は水月をお姫様抱っこをしながらそいつの後ろについていく。それにしても、本当に凄いな…ここは。「水月様は…」「?」「あなたが目を覚ますまでの数カ月、目の色がありませんでした。それはまるで深淵を除くが如く。」「……。」「その理由は今まで私達にはわかりませんでした。なんせ、貴方は世界最弱と呼ばれている。そんな人をなぜ守り抜くのか。あなたも知っているでしょう?この世界において、“回復”や“治癒”なんて意味を成さない。それが例え、死者蘇生ができるとしても。この世界においては使えないゴミスキルなのです。」「そう、だな」「しかし、今回、私はこの目ではっきりと見ました。水月様が目に光を宿して、楽しそうに闘う姿。貴方が、水木様と肩を並べて闘う姿。そして何より、2人の100%とも言える信頼度。」「……。」「貴方は何故、世界最弱と呼ばれても、平気でいられるのですか?それだけの力を持ちながら、なぜ、自惚れないのですか?」「この力は俺の…俺だけのものではない。詳細はお前に告げる必要もないし、告げるつもりもない。俺が自惚れない理由か?自惚れや慢心は必ず負けを生む。強がりを強さと履き違えてはならない。」
「貴方は、水月様と全く同じことを言うのですね。さ、ここが水月様のお休みになられているお部屋となります。」大きな扉を前に立ち止まったそいつが言う。「ありがとうな」「いえ、」「なぁ、お前の名前は…?」「私に名乗るほどの名前はありません。」「だが、流石にお前と呼び続けるのは…」「でしたら、“ソムニウム”と、そうお呼びください。コードネームですので。」「水月さんにはなんと呼ばれているんだ?」「ソム、とそう呼ばれています。」「なら、俺もソム、と呼んでいいか?」「お好きなようにどうぞ。」「そうか、ソム、案内してくれてありがとうな」「いえ、これが仕事ですので…では、これで」そうして俺は水月の、身体認識によって自動で開いた扉をくぐり、その部屋に入るのだった。
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