最強✕最弱Re:start

プロローグ《前編》

〘本当に、良いの？〙
『よく言うよ。
お前が一番それを望んでるのにさ』
〘バレてた？〙
『もちろん』
〘んじゃ、始めよっか〙
『だね』
シークレットパラメータの奥の、その更に奥のパラメータ。
水月の《トップシークレットパラメータ（崩壊）》
日向の《トップシークレットパラメータ（創造）》
それを発動させ、俺はその扉を開けた。
見た目よりも軽い音を立てながらその扉は開いた。
開けて直ぐに聞こえてきたのは怒気の籠った叫び声だった。
「こんな事が許されるとでも思ってるのか！？」
『許されるも何も、お前を倒せば俺らが世界のトップだ。』
「よく言うぜ、人類最弱DDPがよ」
『はっ…人類最弱、ね。
確かに、俺1人だったらそうだったな』
「なんだと？」
『特殊スキルを手に入れたからな』
〘私と一緒なら2人で1人。
私達が人類最強DDPだよ〙
「お前は確か…人類最強DDPの天芽 水月あまめ みずき､だったか」
〘へぇ、憶えててくれたんだね〙
「その死に際をこの目で見れるのは光栄だよ」
その男が指を鳴らすとどこからとも無くGDDS:1が雪崩れこんでくる。
『あー、嫌になる』
〘第一級がこんなに居るんだもんね
いち、にー、さん…数えるのが嫌になるよ〙
『530万。
神眼を使えば人数なんて分かるだろう？』
〘人数を知るのが嫌だからわざと使わなかったのに…。
ほんとに君は空気が読めないね〙
『悪かったな、読めなくてよ』
そいつらと闘うとき、どれだけの骨を折っただろう。
どれだけの血を流しただろう。
そのたびに俺のスキルで回復させる。
そして、また骨を折る、血を流す。
永遠にその繰り返し。
その間に何十、何百、何千と倒してきた。
それでも、まるで無くなった水を水道をひねって追加するように。
永遠に雪崩れこんでくる。
「もう、きつくなってきたのか？」
何か、ほざいている奴が居る。
〘そんなこと言っちゃって…べぶぁ…〙
『サポートスキル…不屈の精神（奏）！』
〘良いのかな！？
ありがとね、日向君。〙
『どーいたしまして』
…本当に俺ら2人の会話はこんな状況でも緊張感がない。
ただ…何度見ても水月が死にかける瞬間を見るのは慣れないし、嫌になる。
そうして、見え始めたのは何時ぶりかに見たこの部屋壁だ。
それは、俺らが530万近くのGDDS:1を倒したことを表していた。
残りは約1500人。
今まで倒してきた人数に比べれば大したことなかった。…筈だった。
「残りのGDDS:1に告ぐ！
女じゃなく、男を狙え！
男に集中砲火だ！
そうすれば、我らに光が注ぐであろう！！」