一輪の花

月見団子

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二十二話〜出逢えて良かった〜

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「ごめんなさい」その謝罪は私の物だった。「その花には君の過去が辛い過去がある事は予想付いてたんだ。」「……」「でも、私は人に話せばその過去は超えられるものだと軽んじてしまっていたんだ。」「軽んじる…?」「うん。言葉で過去を乗り越えられると軽んじる事と、言葉で過去を乗り越えられると信じる事は似ているようで全く異なるんだよね。」「……」私は日向君の絶望や思い、苦痛や希望を全て背負う覚悟はあっただろうか?それが無いのであればその過去は言葉だけで乗り越えられると。相手の過去を軽く見ているのと同じになってしまう。「ね、水月」その優しい声音は私の鼓膜を揺らす。「なんか、僕達3人とも謝っちゃったね」その言葉はあまりにも優しすぎた。「僕達さ、それぞれが間違っている事を自覚したのなら、もう一度やり直せると思うんだ。1からじゃきっと繰り返しちゃうから、0からやり直そう。」嗚呼、なんて日向君は優しいのだろうか。そして、外もまさにファンタジー的展開である。雨が止み、虹が出て、日が部屋の中に指してきている。もはやその日は夕焼けに他ならないが、美しいの一言に尽きた。「水月」「ん、何?」「お前、言ったよな?雨が止んだら帰るって」「え」と私。「そうなの?」と真鳥ちゃん。まったく、この男は空気が読めないんだから。
…人を助けるには、アニメなどではただ助けるだけで終わりだ。けど、実際は違う。その人を助けて、その後の人生をも助け切らなければならないのだ。それが本当の意味で助けるという意味なのだから。だからこそ、私は日向君にその一言を言う。「ね、日向君。私は君の過去を知ってしまった。知りすぎてしまった。」その前置きを言う。「だからさ、日向君。私に君の未来も背負わせてくれない?」「水月ちゃん大胆だねー」「なら、僕は水月の未来やカリアちゃんの未来の2つを背負わなきゃいけないな」うん、全く伝わってないね。そういうことじゃないんだけどな。そんな事を考えながら真鳥ちゃんと目が合う。考えている事が一緒だったのか、二人で微笑を浮かべる。その姿を見た日向君が笑う。どんな関係性でもいいや。この三人で笑い合える未来を紡げれば。「ねぇ、日向君、真鳥ちゃん。私は君たち二人と出逢えて良かったよ」「それは僕も一緒だよ」「勿論私もね」
いじめはやってはいけないと思う。でも、その理由を経験してない人は知らない。だって、その理由を教わらないから。ただ、いじめは駄目だと。してはいけないと教わるだけ。…いじめっていつかなくなるのかな?もしなくなったとして、それだけで幸せになれるのかな…?いじめってのは自分を見返す機会や相手を見定める機会になってしまっている。戦争もまた然り。それがもたらした損害は多大で他ならないが、果たしてそれだけか?そのせいで技術が進歩してしまったのではないか?そのせいで物理学などの学術が進歩してしまったのではないか?戦争というのはものすごく簡単に言えば国同士の喧嘩だ。言ってしまえば規模の違いにほかならない。いじめで人が死んでしまうこの世の中で戦争といじめの境界線は曖昧だ。いくら戦争で技術が進歩した結果があったって、それは単なる副産物に過ぎない。技術が進み、人々の生活は便利になった。同時にいじめも増えた。誹謗中傷も増えた。感情を載せることのできない機械的な言葉の羅列だけがネット上には蔓延り、それ故の勘違いも日々生まれる。それは技術に人が追いついて居ないのだ。そんな技術、意味もない。話が長くなったが、纏めよう。
いつの日か、いじめも戦争も無くなる。そんな世界が来ることを祈るばかりである。
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※この物語に出てくる、《人物》《団体》等は全てフィクションです。 
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みんなの感想(1件)

ままくま
2023.02.12 ままくま

なかなか、良いですわ!映像が頭に浮かんできそうです。

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