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不安と希望
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次の日
ロト「足元、気を付けろよ」
「うん」
僕たちを森を抜け近くの街を目指した
今いる場所はきっとレムリック王国の南・・・
だとしたら近くに港町があるはずだ
ロト「あと少しで港町が見えてくるはずだ」
「うん」
険しい道を港町に向かって進む
自然が多いのはいいことだけど・・・
だけど・・・
「はぁはぁはぁ・・・」
足場は悪いし、僕たちが流れ着いたのが港町よりかなり離れている
だから、たどり着くのも大変だ
「・・・うわっ!」
ロト「おっと!足元に気を付けろって言っただろう・・・」
「わ、わかってるよ!わざとだよ!わざと足を滑らせたの!」
ロト「ふ~ん?」
「・・・もう!早く行くよ!」
恥ずかしくてついね
そしてしばらくすると港町に到着した
ロト「綺麗なところだな」
「・・・おかしいな」
ロト「なにがだ?」
「なんか・・・静かすぎる」
賑やかで騒がしい街・・・港町
そう聞いてたんだけど・・・
「なんでこんなに静かなんだろう」
まるで誰もいないかのように静かだ
ロト「・・・行くぞ。行ってみないとわからない」
「うん・・・」
嫌な予感がするが行くしかない
街に入ると
ロト「・・・!?隠れろ!」
ロトは僕を抱えると物陰に隠れた
「・・・イシュリット兵・・・」
ロト「ああ」
こんなところにもイシュリット兵が・・・
イシュリット兵「問題はないか!」
イシュリット兵「ああ。だが、まだ見つかってないんだよな・・・」
イシュリット兵「ああ。陛下からの命令だとは言え無理があるよ」
イシュリット兵「”ハルト皇太子を見つけるまで戻るな!”だもんな~」
イシュリット兵「きっと死体は海まで流されただろうけどな」
イシュリット兵「ってことは一生戻れないのか!?」
イシュリット兵「そんなこと・・・あり得るんだよな・・・」
ロト「・・・奴らはハルトは死んだと思ってるのか?」
「あの高さから落ちたら普通は助からないよ」
ロト「じゃあなんで俺たちは助かったんだ?」
「・・・わからないけど・・・」
助かったのは運がよかったからなんだと思う
じゃなきゃ助かるはずがない
ロト「・・・まぁいい。この街に詳しいか?」
「詳しい・・・とは言えないけど。魚のおじさんに会おうと思うんだ」
ロト「魚・・・のおじさん?」
「うん。父上の知り合いなんだよ。昔からよくお城にも来てくれてったんだ。最近はあまり来なかったけど」
ロト「じゃあ、その人に会えばいいんだな?」
「うん。家は”海の見渡せる場所”って聞いてる」
ロト「”海の見渡せる場所”・・・。あの高台にある家がそうか?」
ロトが指さす方向を見ると一軒の家が丘の上に建っていた
「たぶん・・・」
ロト「と、なると・・・」
「・・・」
丘に向かうにはイシュリット兵の目の前を通らなくてはならない
警備が厳重だし
ロト「・・・もう少しで日が落ちる。闇に紛れて行こう」
「うん」
夜になるまで僕たちは下水で過ごした
「・・・」
ロト「ここなら見つからないだろう」
「・・・ねぇロト」
ロト「ん?」
「僕・・・王として国や民を未来に連れて行けるのかな?」
ロト「できる」
「即答なんだね」
ロト「俺は疑問も疑いもない。お前は立派な王になる」
「・・・なんでそこまで言えるの?」
ロト「俺はお前を見てきた。弱い所ももちろんある。だが、いざとなれば先を歩き導く。お前は立派な王になる」
「もし・・・なれなかったら?」
ロト「いや、なれる」
「・・・」
ロト「俺が傍に居る。たとえどんな奴が立ちふさがっても、俺がお前を守る」
そういいキスをしてきた
ロト「お前は俺の世界で一番大切な王様だよ」
「・・・うん。ありがとう」
キスをし返すとロトは舌を入れてきた
「ん・・・」
ロト「不安なのか?王になるのが」
「・・・自信ないんだ。父上みたいな王になれるか・・・」
ロト「・・・」
「今まで好きなように過ごしてた。お城を抜け出したり、城下町で遊んだり・・・”王位継承者”・・・その肩書がとても重くて・・・それから逃れられるのが民に紛れることだった。活気づいた街、人、空気。そのどれもが僕を”ハルト殿下”ではなく”ただのハルト”にしてくれた。それが好きだったんだ」
ロト「ハルトは王家が嫌いなのか?」
「違うよ!嫌いじゃないよ!ただ・・・」
ロト「・・・王になること・・・それが重荷だった・・と」
「うん。父上みたいに立派な王になれるわけないよ」
涙が頬を流れる
ロトは僕の頬を撫で涙を拭った
ロト「言っただろう?お前は立派な王になれるって」
「・・・」
ロト「今はわからないだろうけど、いずれわかる時が来る。その時まではそのままでいいんだ」
強く抱きしめられる
そのぬくもりが心地いい
「ロトは強いね。僕は・・・弱いよ」
ロト「お前は強いよ。俺なんかよりな」
強く抱きしめてくる
胸に顔を埋めると鼓動が伝わってきた
ロト「少し寝とけ。俺が見張っておくから」
「・・・うん」
目を閉じ休むことにした
でも、寝れなかった
ロト「お前は希望なんだ。レムリック王国にとって・・・俺にとって・・・」
僕が寝てると思っているのか、起きているとわかって言っているのか・・・
でも、僕は寝たふりをした
聞かなかった事・・・にはできないけどね・・・
ロト「足元、気を付けろよ」
「うん」
僕たちを森を抜け近くの街を目指した
今いる場所はきっとレムリック王国の南・・・
だとしたら近くに港町があるはずだ
ロト「あと少しで港町が見えてくるはずだ」
「うん」
険しい道を港町に向かって進む
自然が多いのはいいことだけど・・・
だけど・・・
「はぁはぁはぁ・・・」
足場は悪いし、僕たちが流れ着いたのが港町よりかなり離れている
だから、たどり着くのも大変だ
「・・・うわっ!」
ロト「おっと!足元に気を付けろって言っただろう・・・」
「わ、わかってるよ!わざとだよ!わざと足を滑らせたの!」
ロト「ふ~ん?」
「・・・もう!早く行くよ!」
恥ずかしくてついね
そしてしばらくすると港町に到着した
ロト「綺麗なところだな」
「・・・おかしいな」
ロト「なにがだ?」
「なんか・・・静かすぎる」
賑やかで騒がしい街・・・港町
そう聞いてたんだけど・・・
「なんでこんなに静かなんだろう」
まるで誰もいないかのように静かだ
ロト「・・・行くぞ。行ってみないとわからない」
「うん・・・」
嫌な予感がするが行くしかない
街に入ると
ロト「・・・!?隠れろ!」
ロトは僕を抱えると物陰に隠れた
「・・・イシュリット兵・・・」
ロト「ああ」
こんなところにもイシュリット兵が・・・
イシュリット兵「問題はないか!」
イシュリット兵「ああ。だが、まだ見つかってないんだよな・・・」
イシュリット兵「ああ。陛下からの命令だとは言え無理があるよ」
イシュリット兵「”ハルト皇太子を見つけるまで戻るな!”だもんな~」
イシュリット兵「きっと死体は海まで流されただろうけどな」
イシュリット兵「ってことは一生戻れないのか!?」
イシュリット兵「そんなこと・・・あり得るんだよな・・・」
ロト「・・・奴らはハルトは死んだと思ってるのか?」
「あの高さから落ちたら普通は助からないよ」
ロト「じゃあなんで俺たちは助かったんだ?」
「・・・わからないけど・・・」
助かったのは運がよかったからなんだと思う
じゃなきゃ助かるはずがない
ロト「・・・まぁいい。この街に詳しいか?」
「詳しい・・・とは言えないけど。魚のおじさんに会おうと思うんだ」
ロト「魚・・・のおじさん?」
「うん。父上の知り合いなんだよ。昔からよくお城にも来てくれてったんだ。最近はあまり来なかったけど」
ロト「じゃあ、その人に会えばいいんだな?」
「うん。家は”海の見渡せる場所”って聞いてる」
ロト「”海の見渡せる場所”・・・。あの高台にある家がそうか?」
ロトが指さす方向を見ると一軒の家が丘の上に建っていた
「たぶん・・・」
ロト「と、なると・・・」
「・・・」
丘に向かうにはイシュリット兵の目の前を通らなくてはならない
警備が厳重だし
ロト「・・・もう少しで日が落ちる。闇に紛れて行こう」
「うん」
夜になるまで僕たちは下水で過ごした
「・・・」
ロト「ここなら見つからないだろう」
「・・・ねぇロト」
ロト「ん?」
「僕・・・王として国や民を未来に連れて行けるのかな?」
ロト「できる」
「即答なんだね」
ロト「俺は疑問も疑いもない。お前は立派な王になる」
「・・・なんでそこまで言えるの?」
ロト「俺はお前を見てきた。弱い所ももちろんある。だが、いざとなれば先を歩き導く。お前は立派な王になる」
「もし・・・なれなかったら?」
ロト「いや、なれる」
「・・・」
ロト「俺が傍に居る。たとえどんな奴が立ちふさがっても、俺がお前を守る」
そういいキスをしてきた
ロト「お前は俺の世界で一番大切な王様だよ」
「・・・うん。ありがとう」
キスをし返すとロトは舌を入れてきた
「ん・・・」
ロト「不安なのか?王になるのが」
「・・・自信ないんだ。父上みたいな王になれるか・・・」
ロト「・・・」
「今まで好きなように過ごしてた。お城を抜け出したり、城下町で遊んだり・・・”王位継承者”・・・その肩書がとても重くて・・・それから逃れられるのが民に紛れることだった。活気づいた街、人、空気。そのどれもが僕を”ハルト殿下”ではなく”ただのハルト”にしてくれた。それが好きだったんだ」
ロト「ハルトは王家が嫌いなのか?」
「違うよ!嫌いじゃないよ!ただ・・・」
ロト「・・・王になること・・・それが重荷だった・・と」
「うん。父上みたいに立派な王になれるわけないよ」
涙が頬を流れる
ロトは僕の頬を撫で涙を拭った
ロト「言っただろう?お前は立派な王になれるって」
「・・・」
ロト「今はわからないだろうけど、いずれわかる時が来る。その時まではそのままでいいんだ」
強く抱きしめられる
そのぬくもりが心地いい
「ロトは強いね。僕は・・・弱いよ」
ロト「お前は強いよ。俺なんかよりな」
強く抱きしめてくる
胸に顔を埋めると鼓動が伝わってきた
ロト「少し寝とけ。俺が見張っておくから」
「・・・うん」
目を閉じ休むことにした
でも、寝れなかった
ロト「お前は希望なんだ。レムリック王国にとって・・・俺にとって・・・」
僕が寝てると思っているのか、起きているとわかって言っているのか・・・
でも、僕は寝たふりをした
聞かなかった事・・・にはできないけどね・・・
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