オメガ殿下と大罪人

ジャム

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一つの希望、2つの愛

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「・・・ここ・・・は・・・?」

俺は真っ暗な部屋で目を覚ました

「・・・そうか。俺は罪を犯して・・・」

俺は大罪人
名前は・・・ロト・ブルルク
王妃を暗殺し・・・

「?誰かを殺すはずだった・・・よな?」

なんか・・・思い出せない
思い出そうとしても思い出せない
すごく大切なことだったはずなのに・・・

「・・・まぁいい。俺は待つだけだ」

俺は処刑を待つだけだ
あの人が大人になって・・・俺に罰を下せるまで・・・

「・・・あの人って誰だ?」

長い牢屋生活で色々忘れてしまったみたいだな

「ハハハ・・・もう歳かな?」

俺は自分の物忘れについ笑いが出てしまった

バンッ!バンッ!

「うるさいな・・・なにかの祭りか?」

地上では花火が鳴り響いている
どうやら祭り事のようだ

外「めでたいめでたい祝い事!ハルト殿下とイシュリット王国国王の婚姻の義だよ!」

「ハルト・・・殿下?・・・いっ!」

ハルト・・・
その名前を聞くと耳鳴りと共に頭痛がする

???『僕は???。あなたは?』

まだ幼い人間の少年が俺を見つめている

「だ、誰・・・だ?」

???『なんでここにいるの?』

少年は曇りのない瞳で俺を見つめてくる

「誰だ・・・誰なんだ」

身に覚えのない記憶
でも、知っている記憶

ガコンッ!

その時、扉が開く音が聞こえた

コツン・・・コツン・・・

足音が近づいてくる
食料を持ってきたやつか?・・・それにしては足音が違う

???「・・・久しいな」

「・・・あなたは・・・」

目の前には王族の服を着た人物がいた
見覚えがある
陛下だ
アカトシ・レムリックだ

アカトシ「お主・・・完璧に忘れているのだな」

「なにを・・・おっしゃっているのですか?」

レムリック王が何を言っているかわからない

アカトシ「・・・さすが我が息子だ。完璧な魔法だな」

そういうと俺の額に手を置いた

「・・・っ!!」

レムリック王の手が光ったと同時に身に覚えのない映像が頭に流れる

???『お前は今、死んだ。これからは新しいお前として生きろ』

さっきの少年が剣を握りしめている
地面には俺の・・・毛?がたくさん散っていた

???『死ぬ覚悟があるなら、僕の手となり足となれ!剣となり盾となれ!その命、僕のために使え!僕以外の誰にも使うな!僕だけに従え!!』

少年は俺の胸倉を掴んで

???『僕が許すまで死ぬことは許さない!!』

その表情は凛々しく王族そのものだ

「一体・・・なんだ・・・」

アカトシ「思い出せ。お前の大切な存在を・・・お前が守るべき存在を」

「う・・・頭が・・・割れる・・・」

頭が割れそうな酷い頭痛がする

?ル?『おいしい!!ロト、これおいしいよ!』

そういい無邪気で可愛らしい笑顔で俺に食べ物を強引に渡してきた

?ルト『似合ってるじゃん!』

「だ・・・れだ・・・?」

少年が笑顔で俺の耳にアクセサリーを付けてくる
その笑顔を見ると・・・胸が痛くなり苦しくなる

ハ??『は・・・ん・・・』

今度は少年を・・・抱いている・・・?俺が・・・?

アカトシ「ロト・・・お前は思い出さなければならない。お主がなぜここにいるのか」

「俺は・・・なぜ・・・」

アカトシ「お主はやらねばならない。役目を・・・思い出すのだ」

「俺は・・・俺は・・・」

アカトシ「思い出せ!!!大切な存在を!!!」

「俺の・・・大切な・・・」

色々な映像が頭を駆け巡る
その映像のすべてに少年がいる
笑顔の少年
怒っている少年
悲しそうな顔の少年
ベッドの上で可愛らしく・・・色気のある少年

「お前は・・・」

映像が一つになり少年が現れ

ハルト『ロト!』

笑顔満開の少年が・・・ハルトがいた

「!ハルト!!!」

俺はすべてを思い出した

アカトシ「思い出したか」

「陛下!!」

アカトシ「お主の役目はなんだ?」

「私の役目はハルトをお守りすること・・・いえ、ハルトの傍に居ることです!!」

アカトシ「いい答えだ!!では行け!!」

そういうと陛下は俺の防具と剣を渡してきた

アカトシ「レムリック王国国王として命じる。私の馬鹿息子。ハルト・レムリックを救い出せ!」

「はっ!!」

俺は着替え牢屋を出て階段を駆け上がる
真っ暗な地下
暗い階段
でも、俺にはわかる
ハルトのいる場所が

「馬鹿ハルト。待ってろよ!!」

そして俺は扉を蹴破って外に飛び出した・・・
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