オメガ殿下と大罪人

ジャム

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終戦への希望と別れ

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父上「引くな!押し返せ!!」

伝令「報告です!南に敵軍の増援です!」

父上「くっ・・・またしても増援か・・・」

・・・数分前・・・
結界のおかげで一時の安らぎを過ごしていたが・・・

ドガ~~ン!!

大きな爆音と地響きで僕とロトは目を覚ました

ロト「な、なんだ!?」

僕は部屋の窓から外を見た

「!?そんな・・・」

僕の目に映ったのは、砕け散った結界と結界に開いた大きな穴だった

ロト「!?結界に大穴が・・・」

「・・・まずい!敵軍が侵入してきてる!」

僕たちは急いで着替え父上がいるであろう謁見の間に向かった

「父上!」

父上「北門に兵を配備!」

ジィヤ「殿下!」

「ジィヤ!状況は!?」

父上は指揮系統を統括していて僕に構っている暇はなさそうだ

ジィヤ「北門方面の結界が破壊され敵兵が大量に流れ込んできています!」

「そんな・・・結界が破られるなんて・・・」

ジィヤ「結界に大穴を開けられるほどの兵器を隠し持っていたらしいのです・・・」

ロト「それを出してきたってことは・・・本気なんだろうな」

「最初から本気でしょう。とにかく、城内に敵が入ってきたら終わりだよ・・・」

父上「・・・ハルト」

「はい?」

父上「・・・イシュリット王国からの使者が来たらしい」

「・・・」

父上「お前も一緒に話を聞くんだ」

「はい」

僕は玉座に座る父上の隣に立った

死者「我はイシュリット王国国王の命により参った!」

父上「うむ。要件を聞こう」

死者「イシュリット王国国王は貴国に平和条約をお望みだ」

ロト「平和条約だと!?ここまでやっておいて!」

父上「ロト。お主は口を挟むでない」

ロト「しかし!」

「ロト。お願い」

ロト「・・・くっ」

ロトは悔しそうに口を閉じた

死者「平和条約を結ぶ上で条件がある」

父上「・・・申してみよ」

死者「1,レムリック王国が所有する土地の半分の所有」

ジィヤ「は、半分だと!?」

死者「2,魔力の継承」

「魔力の・・・継承・・・」

魔力が欲しい
そういうことだよね・・・
あとレムリック王国の土地・・・

死者「3、これが国王が一番お望みの条件だ」

父上「・・・申してみよ」

死者「レムリック国王の息子。ハルト・レムリックとの婚姻」

「・・・」

ロト「!?」

父上「・・・」

死者「以上が国王より授かった平和条約の条件だ」

ロト「ふ、ふざけるな!!そんな条件飲めるわけないだろう!!」

死者「よく吠える家来だな。断るなら断れよ。俺たちはどっちでもいいんだぞ?」

父上「・・・」

「・・・」

死者「返事は明日、また聞きに来る」

そういうと死者は謁見の間を出て行った
それと同時に外も静かになった

「・・・」

猶予は24時間・・・
その間に決めないと・・・

父上「・・・」

父上は険しい顔をして考えている

ロト「・・・殿下」

「ん?なに?」

ロト「二人でお話をしたいのですが」

「・・・わかった。部屋に戻ろう。父上。よろしいですか?」

父上「・・・ああ」

父上は短く返事をするだけだった
僕はロトと一緒に部屋に戻ってきた

「話ってなに?」

ロト「条件を飲まないよな?」

「・・・」

ロト「答えろよ」

「・・・」

ロト「答えろ!!」

ロトの怒号が部屋に響く

「・・・」

ロト「なんで・・・なんで答えないんだよ・・・」

ロトは涙を流していた

ロト「答えてくれよ・・・俺の望む答えを・・・」

「ロトの望みの答え?」

ロト「こんな条件は飲まない!敵をせん滅する!って・・・言ってくれよ・・・」

「・・・」

ロト「お前が命じるなら俺はイシュリット王国国王を暗殺してやる!だから・・・命じろよ!!」

「・・・」

僕にそんな命令できない
好きな人を危険な目に合わせたくない・・・

ロト「・・・黙るのかよ」

「・・・決めるのは僕じゃない」

ロト「・・・そうだな。陛下が決めることだろうな。だから命じろ」

「・・・」

ロト「今なら俺が独断で動いたと言い訳ができる。お前はただ俺にだけ命じればいい。『イシュリット王国国王を殺せ』って」

「・・・」

ロト「・・・」

「命じる前に・・・一度だけ・・・身体を重ねたい」

ロト「・・・わかった」

僕たちは・・・身体を重ねた

「あ・・・ん・・・」

ロト「はぁはぁ・・・イクぞ・・・イク!!」

中が温かくなる

ロト「ハァハァ・・・」

「ロト・・・」

ロト「なんだ?」

「愛してるよ」

ロト「俺も愛してるぞ」

「今まで・・・ありがとう」

ロト「え?」

「ロトに会えてよかったよ。さようなら。元気でね」

ロト「なにを・・・っ!!」

ドサッ!

「ロト・・・」

僕はロトに電気を流して気絶させた
そして・・・

「記憶を遠い彼方へ・・・底知れぬ暗闇へ・・・」

ガチャッ

僕がロトから僕に関する記憶をすべて消したとき扉が開いた

父上「やっぱりやったのか」

「・・・うん」

そこにはとても悲しそうな顔をした父上がいた

父上「あの時。いきなり記憶改ざん魔法を教えてほしいと言われたときは驚いたが・・・」

あの時・・・
父上が戦いから帰って来た時
庭で話したのだ
こうなることは薄々わかっていたから

「父上・・・」

父上「わかっている。お前の願いは聞き届ける。心配するな」

「ありがとう・・・ごめんね」

父上「謝るのは私の方だ。息子を取引に使うなんて・・・」

父上は怒りで震えていた

「いいんだよ。国民と家臣、ロトと父上が安全に暮らせるなら」

服装を整え僕は部屋を出た
婚姻の準備のために・・・
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