山神様に捧げられました

ジャム

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本編

冬に語らう一節

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・・・冬・・・

「はぁ~~~・・・やっぱり息が白いな~」

毎年やってしまう息の確認
なんでやってしまうんだろう?

「・・・さて・・・食料もあるし、問題はない!何をしようかな・・・」

そんなことを考えている時

「うわっ!」

山神「ダメだぞ?風邪を引くだろう?」

「山神様・・・過保護すぎですよ・・・」

山神「ハハハ。いいだろう?大切な嫁なんだから!」

「フフフ。そうですね!」

山神様は僕を肩に抱える
僕は山神様の顔に抱き着く
あの時・・・奇跡が起こったのだ


・・・あの時・・・
僕は目を覚ました

「ん・・・」

周りを見渡すと山神様の家だった

「いつの間に寝ちゃったんだろう・・・」

僕はベッドから起きた
家の中は真っ暗で夜だとわかった

「・・・あれ?お花がない・・・」

持ってきたはずのお花が花瓶になかった

「どこに行っちゃったんだろう・・・」

大切な物だからなくしたくないのに・・・

???「・・・・・・かった・・・」

「ん?」

お花を探していたら外から声が聞こえた
風神様の声・・・に似ていた気がする

「遊びに来たのかな?夜遅いのに・・・」

僕は扉を開けて外に出た

「風神様・・・来てくださったのは嬉しいんですが、今は夜中なので・・・うわっ!」

風神様に文句を言っている時、僕を暖かい何かか包んだ

???「ハルト・・・」

「!?」

この温もり・・・獣の匂い・・・そして・・・懐かしい声・・・

「え・・・山神様!?」

山神「ああ!」

そこには山神様が居た

「ほ、本当に・・・山神様?」

山神「ああ!ほら?本物だろう?」

そういい僕の手を取り自分の頬に当てる
僕は山神様の頬を撫でた

「ほ、本物だ・・・本物だ!!」

そのまま僕は山神様に抱き着いた

「暖かい・・・獣の匂いがする・・・」

山神「け、獣・・・そんなに臭いか?」

「違います!!僕の好きな匂いです!!」

山神「そうか!」

でも、なんで・・・?
なんでいるの?

「山神様・・・なんでいるんですか?」

山神「それはわからない・・・気が付いたらお前のことを抱きしめてたんだ」

水神「私が少し説明をしよう」

水神様の話では花が強い光を放ったあと、花が消え、その代わり机の上に僕を抱えた山神様が現れたみたいだ

「そんなことが・・・」

水神「最初見たときは驚いたよ・・・」

風神「話を聞いた私も驚いたけどね」

炎神「俺もだ」

水神「一体・・・なにが起こったんだろうか・・・」

風神「・・・本物・・・なのよね?」

炎神「そうだろう」

水神「ああ。それは間違いない」

水神様は水晶を山神様にかざした

水神「・・・うん。何度やってもクマスケの命の色だ」

風神「あんたの能力が間違ったことはない。なら信じるわよ」

「山神様・・・」

山神「ハルト・・・」

水神「今は二人だけにしてあげよう」

そういうとみんな帰って行った
僕と山神様は家に入り椅子に座った

「・・・」

山神「・・・」

なにを話したらいいのかわからない

山神「ハルト?」

「は、はい・・・」

山神「体調は・・・どうだ?」

「え?」

山神「辛いとか苦しいとか・・・」

「ないですよ?」

山神「そ、そうか!よかった・・・」

「山神様は・・・どうなんですか?」

山神「俺?」

「はい。体調がおかしいとか・・・」

山神「とくにはないかな?」

「夢・・・のことは?」

山神「夢?」

「・・・何でもないです」

あれは夢だったんだ・・・
いや、今も夢を見てるのかもしれない・・・
僕は自分の頬をつねった

「痛い・・・」

山神「ハルト!?何をしてるんだ!?」

「痛いということは・・・現実?」

山神「当たり前だろう!!なにを考えてるんだ・・・」

「・・・うっ・・・山神様!!」

僕は思いっきり山神様に抱き着いた
その反動で山神様が尻もちをつく

山神「いてて・・・危ないだろう?」

「寂しかった・・・辛かったです・・・」

山神「・・・そうか・・・そうだよな・・・」

そういい抱きしめ頭を撫でてくる

「もう一人にしないでください!!もう・・・孤独は・・・嫌です!!」

山神「ああ。もう一人にしない。これからはずっと一緒だ」

「本当!?嘘じゃない!?」

山神「ホントだ!約束する!」

「っ・・・山神様!!!」

そして・・・

「はぁ・・・はぁ・・・」

山神「う・・・イク・・・」

「中に・・・ください・・・」

山神「ああ・・・出すぞ・・・うっ!!」

お腹の中が暖かくなる

山神「う・・・まだ・・・出る・・・」

山神様の腰がビクビク動いている

山神「はぁはぁ・・・二回目だな!中に出したのは!」

「え?二回・・・目?」

山神「ああ!・・・そうか・・・一回目はお前は眠りについてたんだもんな・・・」

そうか・・・
目を覚ました時には山神様はもう・・・

「うぅ・・・」

山神「!?痛かったか!?そうだよな・・・久しぶりだもんな・・・」

「違います・・・嬉しいんです・・・」

山神「・・・」

「目を覚ましたら・・・山神様が居なくて・・・でも、今はいる・・・それが嬉しんです」

山神「そうか・・・」

「お願い・・・もう・・・もう孤独は嫌・・・っ!?」

山神「もう言うな」

「・・・」

山神「もう一人にしない。もう傍を離れない」

「うぅ・・・」

山神「だから泣くな。笑顔を見せてくれ。な?」

「・・・はい!」

僕は涙を拭い笑顔を山神様に向けた

山神「いい子だ・・・」

そして・・・何度も・・・何度も身体を重ねた・・・


・・・現在・・・
冬になって僕達は山道を歩いている

「寒い・・・」

山神「そうだな・・・寒いな・・・」

「でも・・・」

山神「ん?」

「一人じゃないから辛くないです!」

山神「そうだな!」

そして夜・・・

風神「ゴクッゴクッ・・・プッハ~~~~!!!お酒がおいしい!!」

炎神「年寄り臭いな・・・」

風神「何ですって~~~!!」

水神「そんなに暴れては危険だよ・・・」

今日は山神様が帰ってきたお祝いをしていた
帰ってきたのは春なんだけど、神様って案外忙しくて結局冬になってしまった

「雪が綺麗だな・・・」

山神「寒くないか?俺の上着着るか?」

「大丈夫ですよ!」

炎神「そうだぞ!俺の嫁が作った服なんだ!暖かいはずだぞ!」

炎神のお嫁さんは何百年も前に亡くなった・・・
さすがの炎神様もかなり落ち込んでいたけど、今では元通りだ

山神「次の嫁は?」

炎神「いや~あいつほどの嫁は・・・な・・・」

山神「・・・そうか」

炎神「ほら!飲もう!」

そういい山神様にお酒をつぐ

「・・・曇りなき白雪が大地を覆い、白銀の世界が降り立つ時、神々は宴を踊り、大地に祝福をもたらす・・・か・・・」

山神「それ・・・前にも聞いたな・・・」

「はい。僕の村に伝わる一節です」

山神「まるで今の俺たちみたいだな・・・」

目の前ではお酒を飲み踊る神々がいる

「誰かがこの光景を見たのかもしれないですね!」

山神「そうかもな!」

そして宴は夜中まで続きみんなが酔いつぶれてしまった

山神「たく・・・」

山神様は三人を家に入れて寝かせた

山神「キツヒとフウネはわかるが・・・イヌスケまで・・・」

「それだけ嬉しかったってことじゃないですか?」

僕は椅子に座りお茶を飲んでいた
山神様も椅子に座りお茶を飲む

山神「今夜のことは周りの村にも語り継がれそうだな・・・」

「そうですね・・・でも、いいんじゃないですか?」

山神「冬はお前とゆっくり過ごしたいんだがな・・・」

「これからずっと一緒なんですからいいじゃないですか」

山神「ハルト・・・お前少し生意気になったな?」

そういうと僕にキスをしてきた

「嫌でしたか?」

山神「そんなことはない!むしろ・・・可愛い・・・」

そういい僕はベッドに連れていかれた

山神「これから一生・・・何百年何千年・・・ずっと・・・ず~~~っと一緒だぞ?」

「はい!」

そして身体を重ねる・・・

その年から山には幸せそうな神々の声が聞こえるという言い伝えが人々の間で語り継がれていった
その声は二人の神の声・・・
何千年も前にお嫁に行った人間と山神様の声だと・・・
その声を聞いた者は幸せになれると・・・
今もどこかの山では山神様とその嫁が楽しく暮らしているという・・・


END
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