八百屋の白熊さん

ジャム

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八百屋の危機!?

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一週間後
僕の発情期も落ち着いた

「ふわ~~~!」

と伸びをして目を覚ます
隣には耳や鼻を時々ピクピク動かして可愛い顔で寝ている熊助さんがいた

「フフフ。可愛い・・・」

そして僕はベッドから出て朝食の支度をしていた

熊助「おはよう!」

「おはよう!」

あれからほぼ一緒に住んでいるみたいになっている
そしてご飯を食べて熊助さんは出勤?している

「行ってらっしゃい!」

チュッ!

熊助「ああ!行ってくるよ!」

チュッ!

そして家を出る熊助さん・・・
僕は食器を洗ってから執筆を行う・・・
最近は発情期でロクにできていなかったから遅れを取り戻さないと・・・
お昼になり電話がなる

「熊助さんかな?」

電話に出ると虎狼だった

虎狼『久しぶり!虎狼だけど』

『虎狼!久しぶり!』

虎狼『ああ。どうだ?』

『知ってるんでしょう?w」

虎狼『まぁなwよかったな!』

『うん!ありがとね!』

虎狼『いいってことよ!それより・・・』

『ん?』

虎狼『・・・いや、何でもない・・・』

『なに?気になるんだけど?』

虎狼『・・・今から会えるか?」

『ん?いいけど・・・』

虎狼『じゃあ、今から向かうわ』

そういい電話が切れた
何だろう・・・
大切な話かな・・・
そして一時間くらいして虎狼がやってきた
僕は虎狼を客間に通してお茶を出した

「で、話って?」

虎狼「・・・」

「・・・」

虎狼「八百屋シロクマの話・・・聞いてるか?」

「なんのこと?」

虎狼「やっぱり聞いてないか・・・」

「なにかあったの!?」

虎狼「・・・経営が厳しくてそろそろ潰れるかもって噂が・・・」

「え!?」

虎狼「近くにスーパーがあるだろう?」

「う、うん」

虎狼「お客さんがそっちに流れるらしくて・・・」

「・・・知らなかった・・・なんで話してくれなかったんだろう・・・」

虎狼「心配かけたくないからだろう。それに仕事のこと言わないのはお前も同じだろう?」

「・・・」

虎狼「まだ言ってないんだろう?」

「うん・・・」

虎狼「・・・まぁそれは今はいい。それより八百屋のことだ」

「・・・」

虎狼「もし潰れたら白井さんはどうするんだろうな・・・」

「ここらへんでお仕事探すんじゃない?」

虎狼「こんな田舎にロクな仕事なんてないよ・・・」

「そうなの?」

虎狼「お前には無縁の話だけどな・・・」

「・・・」

虎狼「なんとかしてやりたいとは思うんだけど・・・」

「虎狼がなんで?」

虎狼「お前の運命の相手だからだよ。二人に幸せになってもらいたいからな!」

「・・・ありがとう」

虎狼「ああ。でも・・・俺にできることは何もないんだよ・・・たかが探偵だからな・・・」

「・・・」

虎狼「・・・こういう田舎では古い物は新しい物に負ける・・・」

「でも、その古い物も必要なんだと僕は思う・・・」

虎狼「それは俺も賛成だ。でも、それだけじゃダメなんだよ・・・店の利益になる何かがないと・・・」

「・・・」

虎狼「まぁ、もしかしたら持ち直すかもしれない。まだ噂だからな」

「なら・・・いいんだけど・・・」

虎狼「しばらく様子を見た方がいい・・・お前も白井さんに変に聞いたりしないでやれよ?」

「うん・・・わかった・・・」

そして虎狼は帰って行った
そういえば最近帰ってきたとき思い詰めてるような顔してるよな・・・
もっと早く気づいてあげられればよかったな・・・

「・・・」

僕になにかできることはないか・・・
でも、僕にできることって?
稼いではいるから支援する?
いや、それはきっと熊助さんが嫌がるだろう

「う~ん・・・」

コンコン

執筆部屋の扉がノックされた
僕は時間を確認したら20時30分だった
慌てて扉を開けるとそこには熊助さんがいた

熊助「お、おう。帰ったぞ。まだ仕事残ってるのか?」

「あ、お帰り!ごめんね!ちょっと考え事してたからお仕事まだおわってなくて」

熊助「そうなのか?大丈夫か?」

笑顔で聞いてくる熊助さん
本当は熊助さんが一番つらいだろうに・・・

「ご飯は?」

熊助「今日は食欲なくてな。用意しちゃったか?」

「まだしてないけど・・・」

熊助「じゃあ、今日はいらない。ごめんな・・・」

「ううん。大丈夫だよ」

熊助「じゃあ、俺疲れてるから先に寝るな?あまり遅くまで仕事するんじゃないぞ?」

「う、うん・・・おやすみ・・・」

熊助「ああ・・・お休み」

今日はしないんだ・・・
まぁ、そんな気分じゃないよね・・・

「・・・」

僕はパソコンに向かうがどうしても熊助さんのことが気になって執筆に集中できない・・・

「僕も寝よう・・・」

僕は寝室に向かった
扉を開けたら窓が開いていてバルコニーに熊助さんがいた

「どうしたの?」

熊助「ああ。満月だから・・・」

「そうだね~綺麗だね~」

熊助「ああ」

「・・・」

熊助「・・・なぁ・・・」

「ん?」

熊助「弱音言っていいか?」

「うん」

熊助さんは僕を後ろから抱きしめてきた

熊助「・・・もうダメかもしれない・・・」

「え?」

熊助「店・・・閉めることになるかも・・・」

「・・・」

熊助「お前との生活もあるこれからって時に・・・ごめんな・・・」

「・・・」

熊助「でも、心配するなよ?ちゃんと仕事見つけるからな?」

「うん・・・」

熊助「・・・スーパーの方が色々あるし、24時間やってるからそっちの方が便利なんだよな・・・」

「そうだね・・・」

熊助「俺、店気に入ってたんだけどな・・・」

と涙を流しながら言った

熊助「俺・・・頑張ったんだよ?おすすめは見やすいようにしたり、サービスしたりさ・・・でも、客足は遠のく一方・・・父さんは『遥斗を連れて都内に帰れ』って言うし・・・」

「・・・」

熊助「でも、遥斗にはこの家があるから都内なんかに行けないよ・・・離れ離れなんて・・・無理だ・・・」

抱き締める腕の力が強くなる

熊助「なんで・・・俺が無愛想だからか?季節の野菜しかないのがいけないのか?俺・・・どうしたらいいんだ・・・店を・・・やめ、たくな、い・・・」

「・・・」

僕は無言で頭を撫でた
やめたくないって気持ちはわかる
僕も小説を書くのはやめたくない
でも、熊助さんと離れるのも考えられない

熊助「俺・・・どこで間違えたんだろう・・・」

「間違えてないよ。熊助さんはすごい頑張ってると思う」

熊助「でも、それが結果として出てない以上、意味がないんだよ・・・」

「そう、だね。・・・古い物は新しい物に負ける・・・」

熊助「そんなの間違ってる・・・」

「僕もそう思う」

熊助「え?」

「古いからいい物だってある。古いから味がある。そんな風に感じるときない?」

熊助「ああ。あるよ。でも、今回のは無理だろう・・・商店街のほかの店も閉めるかもって話だし・・・」

「・・・田舎のいいところってどこだと思う?」

熊助「・・・自然が多い・・・とか?」

「それもあるけど、『古風な街並み』もあると思うんだよね?」

熊助「でも・・・その『古風』が嫌だからみんなスーパーに行くんだろう?」

「確かに便利だと思うよ?僕もよく利用するし」

熊助「・・・」

「でも、商店街には商店街の良さがある。だから、僕はここが好き。だから僕はここに来た」

熊助「・・・」

「親の残してくれた家って言うのもあるけど、一番は『古風』が好きだからなんだよね」

熊助「・・・そうか、ありがとう・・・ごめんな?弱音吐いたりして」

「いいんだよ。熊助さん一人で悩まないで。僕は熊助さんの恋人で将来は嫁になるんだから。もう少し頼ってほしい」

熊助「ああ。必要になったら頼るよ」

「うん!」

そして二人でベッドに入って寝た

(もう・・・プライドなんて捨てよう・・・)

僕はある決断をした・・・
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