崩壊した世界を共に

ジャム

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招かざる者たち

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銃声が鳴り響き、僕の右頬に鋭い痛みが走った

クルス「ハルト!!」

クルスさんは慌てて僕の頬を確認する

クルス「かすり傷か・・・よかった・・・」

警備ロボット「北西、狙撃者ヲ確認」

ネピー「・・・!?ミュータント!?」

北西からミュータントの集団が迫ってきた

案内ロボット「ミュータントの集団を確認しました。安全のため工場内に避難してください!」

そう言われ僕たちは工場内に避難した

バババババババ
ズドドドドドド

外では銃撃戦が始まっていた

ジェット「大丈夫です。私が手当ていたします」

ジェットが備え付けの消毒スプレーで傷を手当てしてくれた

クルス「大丈夫か!?」

「大丈夫ですよ!このくらい!」

クルスさんは安心した顔をしていた

ネピー「あんな大群・・・見たことない・・・」

ネピーさんは窓から外の様子を確認しピストルを構える

クルス「お前はハルトといろ。俺が戦う」

そういうと大型マシンガンをもって外に行こうとした

ネピー「私も行くわ!」

クルス「危険だ!」

ネピー「こんな危険、何度も潜り抜けてきたわ!私は足手まといにならない!!」

「・・・」

それを聞いて僕は心が痛かった

クルス「・・・わかった。だが、無理はするな」

そういうと二人は工場を出て行った

ジェット「大丈夫ですよ!クルス様はお強い方です!それにネピー様もお強い方に見えました!」

「それに比べて僕は弱いんだよね・・・」

ジェット「そういう意味では・・・」

「いいんだよ・・・事実なんだから・・・」

僕は弱い・・・
子供なんだから・・・

「・・・」

悔しいという気持ちと悲しいという気持ちがごちゃ混ぜになっている

「・・・」

ジェット「坊ちゃん?」

外では銃撃戦が激化している

「・・・っ!」

ジェット「坊ちゃん!?」

僕は外に飛び出した

ミュータント「殺せ!!皆殺しだ!復讐だ!」

ミュータントたちは波のように工場に向かってくる
それをクルスさんやネピーさん、警備ロボットたちがなんとか食い止めていた

「クルスさん!ネピーさん!」

クルス「ハ、ハルト!?中に戻れ!!」

ネピー「そうよ!危ないわ!!」

「で、でも・・・僕だって戦えます!」

クルス「馬鹿な事言うな!お前は子供なんだ!中に戻れ!!」

「い、嫌です!!」

クルス「馬鹿が!」

そう言うとクルスさんは僕の腕を掴んで工場に引っ張っていく

「は、離してください!」

クルスさんは無言で僕を引きずり工場に向かう

「離してください!僕も戦います!」

パシンッ!

右頬に痛みが走った

クルス「いい加減にしろ!」

「・・・」

クルス「お前のわがままに今は付き合ってられないんだ!!」

「わがまま・・・」

クルス「お前は非力だ!大人しく中で隠れてろ!邪魔だ!!」

そう言うと僕を工場内に強引に入れて扉を閉め外に行ってしまった

「・・・」

クルスさんの顔・・・今まで見たことのない顔をしてた

「・・・非力・・・」

確かにそうだ
僕はピストルもきっと扱えない
非力と言われても仕方ない
わかってる・・・わかってるけど・・・

「うぅ・・・」

役に立てないことが悔しかった
クルスさんに役に立たないと言われたようで・・・悲しかった

ジェット「坊ちゃん・・・ここは危険です。地下に移動しましょう?」

「・・・うん・・・」

僕はジェットと共に地下への扉に向かった

「・・・」

ジェット「・・・坊ちゃん」

「なに?」

ジェット「これは私の独り言です」

「え?」

ジェット「坊ちゃんはこの工場の管理者です」

「・・・」

ジェット「ですので、お役に立てると思うのですが・・・」

「え?」

ジェット「管理者権限ですべてのロボットや警備システムに命令を下すことができる立場です」

「!」

ジェット「私としたことが・・・独り言を言ってしまうとは・・・誤作動が起こったのかもしれませんね」

「・・・ジェット!ありがとう!」

僕は急いで管理室に向かった
管理室に着きパソコンを操作した・・・


~クルス視点~
「・・・くっ・・・」

ミュータントの数が多すぎる
いくら足止めしても奴らは立ち上がり進軍してくる

ネピー「このままだと工場に入ってきちゃう・・・」

警備ロボットたちも戦うが圧倒的に戦力が足りていない

ズガガガガガガ・・・カチカチカチ・・・

「くそ・・・」

弾をリロードするがもうこれが最後だ

ネピー「ねぇ。私のピストルの弾ってある?」

「すまない・・・ないんだ」

ネピー「じゃあ、これが最後・・・」

ネピーは最後の弾倉を見ていた

「・・・っ!!」

俺は諦めずマシンガンを撃ち続けた
何体かは倒すことができた
でも、数は相手の方が多い

ズガガガガガガガ

ここで諦めたら・・・ハルトが・・・

カチカチカチ・・・

「・・・」

とうとう弾切れになってしまった

「・・・クソ・・・」

俺は物陰で座り込んだ
もう終わりだ・・・
こんな数・・・勝てるはずがない・・・

「・・・すまない・・・」

俺は囁いた
ハルトを叩いてしまった
ハルトに怒鳴ってしまった
非力と言ってしまった
邪魔と言ってしまった
後悔が俺の頭を駆け巡る

「はぁ・・・後悔して死にたくはなかったな・・・」

俺は青空を眺めて諦めていた

ミュータント「攻め落とせ!!皆殺しだ!!」

ミュータントたちは攻め込んでくる
その時

ズガガガガガガガ

ミュータント「グハッ!」

ミュータントたち数匹が一斉に倒れた

「え・・・一体なにが・・・」

ネピー「!あれを見て!」

ネピーが指さす方向を見ると地面から小さな円形状の何かが無数に出ていてそこからマシンガンを放っていた

「あれは・・・なんだ?」

ハルト『防衛装置を起動しました!』

「ハルト!?」

倉庫中に響く放送でハルトの声が聞こえた

ハルト『僕は・・・非力です・・・でも、これくらいはできます!』

そういうとロボットが大量の弾を持ってきてくれた

運搬ロボット「弾ヲオ持チイタシマシタ」

「助かる!」

俺は弾を補充し銃撃戦を再開した

ネピー「私の弾もある!」

ネピーも弾を補充し応戦してくれた
防衛装置は地面だけじゃなく工場の壁や屋根にもあったらしく
形勢は一気に逆転した

ミュータント「ひ、引け!」

50体以上いたミュータントも退散したころには数体になって引き上げて行った

「はぁ・・・はぁ・・・なんとか・・・なったな・・・」

ネピー「え、ええ・・・よかった・・・」

俺たちはその場に座り込んだ

ネピー「ハルトさんに感謝ね・・・防衛装置を作動してくれたおかげで助かったんだし・・・」

「・・・ああ・・・」

少し休憩をして俺たちは工場に入った

ジェット「クルス様、ネピー様、お疲れさまでした!」

「ああ。その・・・ハルトは?」

ジェット「坊ちゃんは・・・その・・・」

「ん?・・・もしかして何かあったのか!?」

ジェット「とんでもありません!お元気ですよ!ただ・・・」

「???」

俺はジェットに連れられて地下への扉の前に来た

「ここは?」

ジェット「地下避難防空壕です」

「そんなのがあったのか・・・で、ここがどうしたんだ?」

ジェット「それが・・・坊ちゃんはここに閉じこもってしまいまして・・・」

「・・・」

俺は扉の取っ手を掴んで回した
しかし、扉を開けることはできなかった

「ハルト・・・開けてくれないか?」

ジェット「無駄です。この扉は防音です。それにシステムで強固にロックされています」

「解除はできないのか?」

ジェット「それは管理者権限のある坊ちゃん以外には・・・」

「・・・」

俺は大声で

「ハルト・・・聞こえるか?頼む!話を聞いてくれ!」

ハルト「・・・」

「頼む!!聞いてくれ!!」

何度声をかけても返事は帰って来なかった

「・・・」

ジェット「クルス様・・・ひとまず今はそっとしておきませんか?」

「・・・そうだな・・・俺はこいつを送ってくる」

俺はネピーをバイクに乗せてクリスタルシティに向かった
クリスタルシティに着きネピーを降ろした

ネピー「送ってくれてありがとう・・・その・・・ハルトさんとなにかあったの?」

「・・・俺、あいつを傷つけたんだ」

ネピー「え?」

「非力だ。大人しく隠れてろ。邪魔だって言ってしまった・・・」

ネピー「・・・」

「俺は・・・言ってはいけないことを言った・・・もう・・・取返しが付かない・・・」

ネピー「し、仕方ないわよ!あの時は危険な状態だったし・・・」

「だからって言っていいことじゃない」

ネピー「でも、しっかり話せばきっと理解してくれるわよ!」

「・・・慰めてくれてありがとう」

そういい俺は拠点に向かった
向かっている間、どうやって話をするか、なにをしたら許してくれるかを考えた
でも、何も思いつかず拠点に着いてしまった

「・・・はぁ・・・」

俺は大きなため息をつきバイクから降り工場内に入った
ハルトは相変わらず地下に籠っているみたいだ

「ハルト・・・」

俺は扉に触れ、押した
でも、開くことはない
開くはずがない・・・

「・・・」

今はそっとしておこう
出て来てくれないと話し合いもできない・・・
食事のときになったらきっと出てきてくれるだろう
今の俺はそんな軽い気持ちでいた・・・


~ハルト視点~
「うぅ・・・」

僕は地下で泣いていた
一人で泣いていた
僕にできることはやった
きっとクルスさんやネピーさんの役には立てたはず
でも・・・

「僕自身が役に立ったわけじゃない・・・」

非力・・・邪魔・・・
その言葉が心に深く刺さる

「うぅ・・・」

その時小型端末に連絡が入った
相手はジェットだった

ジェット『坊ちゃん。お夕食の準備ができています』

「いらない」

ジェット『ですが、なにかをお食べにならないと・・・』

「いらない」

そういい端末を切った

「うぅ・・・うっ・・・」

叩かれたショック
言われたことのショック

「・・・もう・・・嫌だ・・・」

僕は暗い地下室でうずくまっていた・・・
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