オメガに産まれた宿命

ジャム

文字の大きさ
上 下
17 / 20

出産を迎えて

しおりを挟む
陣痛が始まりみんな慌ただしくしている
お兄ちゃんと誠は電話をしている
狼里は僕の荷物をまとめてくれている
豹谷は泣きながらそばにいる
ほかの人たちも色々な準備をしている

「うっ!」

陣痛は収まったり、痛くなったりを繰り返す

豹谷「一ノ瀬!!!」

豹谷は僕の手を握ってくれている
よくよく見たら随分痩せたな・・・
なんて考えているがそれはそうだ
きっとここ七か月ほどロクにご飯を食べていないのだから

「豹谷・・・」

豹谷「なんだ!?痛いのか!?苦しいのか!?」

「ごめんね・・・」

豹谷「謝るのは俺のほうだ・・・すまない・・・」

そしてまた痛みが僕を襲う
僕はこの痛みに耐えながら救急車が来るのを待った

兄「救急車が今全部出払ってるみたいで到着はまだ先になるらしい!」

誠「父さんたちに連絡したが、準備したらすぐ来てくれるらしい。でも、車がつかえないみたいだ・・・」

兄「親父は電話に出ないし」

豹谷「一ノ瀬を病院まで抱えていきましょう!」

犬山「無理だ!病院はここから車でも一時間かかる!それにこの時間は大通りは混んでいてタクシーも難しい!」

みんなが慌てている
僕は覚悟を決めないと・・・

「ここで産みます」

みんな驚いている

兄「ここでって・・・無理だろ!助産師もいないんだぞ!」

誠「誰かそういう資格持ってる知り合いはいないのか!!」

兄「たしか・・・親父が持ってたはず・・・」

誠「本当ですか!!」

兄「ああ。もう一度電話してみる!」

そういうと電話を掛けた
その間にも陣痛は続く

「いっ!!」

豹谷「一ノ瀬!しっかり!!」

誠「晴斗!!」

みんながパニックになっている
それを見ていたらこっちが冷静になる

「ひとまず・・・産湯・・・お湯を用意して・・・あと、清潔なタオル・・・」

豹谷「え・・・」

「はやく!!!」

そういうと豹谷と狼里は慌ててキッチンと浴室に向かった
お兄ちゃんが電話を終えて帰ってきた

兄「やっと連絡ついた!やっぱり資格持ってるらしい!すぐにくるって!」

それを聞いて安心した
しばらくするとお父さんが慌てて

父「大丈夫か?産湯やタオルは?」

「い・・・ま、用意してもらって・・・る・・・」

父「そうか・・・じゃあ、ちょっと失礼するぞ」

そしてお父さんは様子を確認した

父「もう生まれるな・・・」

誠「そんな早く!?」

父「なにか興奮するようなことでもしたのか?」

タオルを持った豹谷が

豹谷「俺のせいです・・・」

豹谷は説明した

父「そうか・・・まぁ、それはしかたない・・・今は晴斗だ」

産湯とタオルが用意できた

父「じゃあ、そろそろ・・・お前たちは全員部屋からでなさい」

みんな部屋から出て行った

父「任せておけ。俺の言う通りにな」

「う・・・ん・・・」

部屋をノックする音がした

マスター「熊さん?どう?」

父「もう少し・・・ただ、ちょっと・・・」

マスター「俺も手伝うよ」

父「助かる」

みんな気になるらしく部屋を覗いている

マスター「お前たちは外にいなさい。大丈夫だから」

そして二人で出産を手伝ってくれた

「うっ!!!」

ラバーズ法で呼吸を整えながら痛みに耐える

「ひぃ・・・ひぃ・・・ふぅ・・」

父「がんばれ!!もう少しだ!」

マスター「大丈夫だ!」

マスターは頭を撫でてくれる
そして

赤ちゃん「おぎゃー!おぎゃー!」

父「う、生まれたぞ!」

マスター「よくやったな!」

「・・・ふぅ・・・」

扉の外ではなにか騒いでいる声が聞こえる
お父さんは赤ちゃんを産湯に入れ綺麗にしている
マスターは僕の手当てをしている

生まれたんだ・・・
誠の子供・・・

父「ほら!元気な男の子だ!」

僕は赤ちゃんを抱っこした

「かわいい・・・誠にそっくりなライオン獣人だ・・・よかった・・・」

お父さんは扉を開けみんなを招きいれた

誠「晴斗!!」

「誠・・・見て・・・男の子だよ!」

誠「ああ!かわいい!晴斗そっくりな可愛さだ!」

「誠そっくりなかっこよさだよw」

みんなが「かわいい」と見に来る中、豹谷は扉の近くに居てこっちに来ないでいる

「豹谷・・・こっちにおいで?」

豹谷「でも・・・」

「ぜひ、見てあげて?」

豹谷は恐る恐るこちらに近づき赤ちゃんを見た

豹谷「うわぁ~一ノ瀬にそっくりな目だ!」

豹谷は目を輝かせていた

「これからも子供と僕をよろしくね?」

豹谷「俺なんかでいいのか?」

「親友なんだから当然だよw」

そういうと僕は豹谷に赤ちゃんを抱かせた
豹谷は赤ちゃんを抱え涙を流した

豹谷「すごい・・・自分の子供じゃないのに自分の子供みたいに感じる・・・」

誠「俺にも抱かせろよ・・・」

豹谷は誠に赤ちゃんを渡した

誠「俺の子・・・俺の子だ・・・」

誠は興奮気味なようだ

マスター「フフフ、誠が生まれたときの自分を見ているみたいだ」

父「俺ももうおじいちゃんか・・・」

マスター「お互いもういい年ってことだね」

みんなが赤ちゃんをみて「抱かせて!」とか「やわらかい」とか言っていた

誠「名前!?もう決めたか!?」

「誠と一緒に考えたいと思って」

誠「そうだな・・・」

「候補は一応あるよ?」

誠「参考までに聞いておこう!w」

「博昭(ヒロアキ)、獅子丸 博昭ってどうかな?」

誠「博昭・・・いい名前じゃないか!」

父「覚えやすいい名前だな!」

マスター「ああ。いい名前だ!」

誠「博昭はどんな子になるかな?強い子になるかな?あ、晴斗みたいに天才になるかな?」

「まだわからないよwでも、両方がいいなw」

誠「そうだな!俺たちの子なんだからきっと両方だ!」

そういうと誠は僕のおでこにキスしてきた

豹谷「お、俺も・・・この子の成長を見届けたい・・・」

「もちろんだよ!お願いね?」

豹谷「ああ!」

これからの生活はきっと大変だろうけど
みんなで乗り越えられるだろう・・・
みんな、僕の家族なのだから・・・

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

序盤で殺される悪役貴族に転生した俺、前世のスキルが残っているため、勇者よりも強くなってしまう〜主人公がキレてるけど気にしません

そらら
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ 大人気ゲーム「剣と魔法のファンタジー」の悪役貴族に転生した俺。 貴族という血統でありながら、何も努力しない怠惰な公爵家の令息。 序盤で王国から追放されてしまうざまぁ対象。 だがどうやら前世でプレイしていたスキルが引き継がれているようで、最強な件。 そんで王国の為に暗躍してたら、主人公がキレて来たんだが? 「お前なんかにヒロインは渡さないぞ!?」 「俺は別に構わないぞ? 王国の為に暗躍中だ」 「ふざけんな! 原作をぶっ壊しやがって、殺してやる」 「すまないが、俺には勝てないぞ?」 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル総合週間ランキング40位入り。1300スター、3800フォロワーを達成!

学級委員長だったのにクラスのおまんこ係にされて人権がなくなりました

ごみでこくん
BL
クラスに一人おまんこ係を置くことが法律で義務化された世界線。真面目でプライドの高い学級委員長の高瀬くんが転校生の丹羽くんによっておまんこ係堕ちさせられてエッチな目に遭う主人公総受けラブコメディです。(愛はめちゃくちゃある) ※主人公総受け ※常識改変 ※♡喘ぎ、隠語、下品 ※なんでも許せる方向け pixivにて連載中。順次こちらに転載します。 pixivでは全11話(40万文字over)公開中。 表紙ロゴ:おいもさんよりいただきました。

転生したら乙女ゲームの攻略対象者!?攻略されるのが嫌なので女装をしたら、ヒロインそっちのけで口説かれてるんですけど…

リンゴリラ
BL
病弱だった男子高校生。 乙女ゲームあと一歩でクリアというところで寿命が尽きた。 (あぁ、死ぬんだ、自分。……せめて…ハッピーエンドを迎えたかった…) 次に目を開けたとき、そこにあるのは自分のではない体があり… 前世やっていた乙女ゲームの攻略対象者、『ジュン・テイジャー』に転生していた… そうして…攻略対象者=女の子口説く側という、前世入院ばかりしていた自分があの甘い言葉を吐けるわけもなく。 それならば、ただのモブになるために!!この顔面を隠すために女装をしちゃいましょう。 じゃあ、ヒロインは王子や暗殺者やらまぁ他の攻略対象者にお任せしちゃいましょう。 ん…?いや待って!!ヒロインは自分じゃないからね!? ※ただいま修正につき、全てを非公開にしてから1話ずつ投稿をしております

【完結】イケメン騎士が僕に救いを求めてきたので呪いをかけてあげました

及川奈津生
BL
気づいたら十四世紀のフランスに居た。百年戦争の真っ只中、どうやら僕は密偵と疑われているらしい。そんなわけない!と誤解をとこうと思ったら、僕を尋問する騎士が現代にいるはずの恋人にそっくりだった。全3話。 ※pome村さんがXで投稿された「#イラストを投げたら文字書きさんが引用rtでssを勝手に添えてくれる」向けに書いたものです。元イラストを表紙に設定しています。投稿元はこちら→https://x.com/pomemura_/status/1792159557269303476?t=pgeU3dApwW0DEeHzsGiHRg&s=19

総長の彼氏が俺にだけ優しい

桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、 関東で最強の暴走族の総長。 みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。 そんな日常を描いた話である。

エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!

たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった! せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。 失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。 「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」 アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。 でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。 ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!? 完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ! ※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※ pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。 https://www.pixiv.net/artworks/105819552

そばにいられるだけで十分だから僕の気持ちに気付かないでいて

千環
BL
大学生の先輩×後輩。両片想い。 本編完結済みで、番外編をのんびり更新します。

【完結】お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して、公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…我慢の限界で田舎の領地から家出をして来た。もう戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが我らが坊ちゃま…ジュリアス様だ!坊ちゃまと初めて会った時、不思議な感覚を覚えた。そして突然閃く「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけにジュリアス様が主人公だ!」 知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。だけど何で?全然シナリオ通りじゃないんですけど? お気に入り&いいね&感想をいただけると嬉しいです!孤独な作業なので(笑)励みになります。 ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

処理中です...