68 / 137
67話 サレスティの本当の目的
しおりを挟む
サレスティとともに古谷書店に戻ってくる。
僕にとっては友人……というよりはただの腐れ縁だが、このお店にとっては重要な顧客なのだ。
フルヤさんが小声で「大丈夫だったか?」と聞いてきたので
「なんとかなりました」
とだけ返答を返した。
サレスティは魔法関係の本がおいてあるコーナーを探していたが、おそらく探しものはそこにはないような気がする。
「シュン、ここにワープとかについて書かれている本はないのか?」
「上流貴族が秘密で代々伝えてある魔法がこんな所に置かれてあったら問題だと思うんだ」
「言われてみれば確かに……」
こういうところが素直なので言いくるめることは割と簡単だが一度決めたことは意地でもやりきる人間であるサレスティは少しのことじゃ諦めない。
「なら、国設ミトラス図書館ならあるかもしれない、ってことか」
確かにそこにならあるかもしれない。しかし、できればそこには寄りたくない。
何を隠そう国設ミトラス図書館は僕の父親が経営している。
当然父は表に姿を出すことはほとんどしないが、職員のほとんどが僕のことを知っている。
「勝手に見てきてくださいよ」
「え、昔はあそこに居ることが多かったのに?」
驚かれた。
魔法が使えず、貴族文字が読める僕は毎日のように国設ミトラス図書館に入り浸っていた。
それくらいしかやることがなかったからだ。でも、今は状況が違う。
「サレスティはさ、僕が上流貴族じゃなくなったって聞いてないのか?」
「そりゃ聞いたさ。でも、シュンは上流貴族のリストからは外されていないよ」
な、なんだって!?
まだ貴族位になれるかもしれない、ということになる。
貴族位から除名するのには親の同意が必要だ。
逆に言えば親の同意だけでも除名は出来る。
つまるところ、僕が家から逃げた時点で当然その手続きを親はすると考えていたわけだ。
「トリオス公がだいぶ頑張ったらしい、状況はよく知らないけど」
今更になってトリオスがどれだけの思いをしたかを考えることになる。
あんなふうに逃げたままで良いのだろうか。
もう一度こちらから会いに行ったほうが良いのではないか。
「サレスティ、もしかして今回の目的は?」
「トリオス公と仲直りしてもらうことだ」
サレスティならうまくやってくれると見込んだのだろう。
というか、振り返ってみるとうまーく乗せられた気はしなくもない。
当人にそんな気はないのかもしれないが。
「そうか。じゃあ今から兄に会いに行く、ということか?」
「ああ、ワープ地点はすでに登録してある。あとは行くだけだ。来なよ」
彼は僕の手を強引に握って引き込む。
次の瞬間に着いていたのは、トリオスの家の前だった。
僕にとっては友人……というよりはただの腐れ縁だが、このお店にとっては重要な顧客なのだ。
フルヤさんが小声で「大丈夫だったか?」と聞いてきたので
「なんとかなりました」
とだけ返答を返した。
サレスティは魔法関係の本がおいてあるコーナーを探していたが、おそらく探しものはそこにはないような気がする。
「シュン、ここにワープとかについて書かれている本はないのか?」
「上流貴族が秘密で代々伝えてある魔法がこんな所に置かれてあったら問題だと思うんだ」
「言われてみれば確かに……」
こういうところが素直なので言いくるめることは割と簡単だが一度決めたことは意地でもやりきる人間であるサレスティは少しのことじゃ諦めない。
「なら、国設ミトラス図書館ならあるかもしれない、ってことか」
確かにそこにならあるかもしれない。しかし、できればそこには寄りたくない。
何を隠そう国設ミトラス図書館は僕の父親が経営している。
当然父は表に姿を出すことはほとんどしないが、職員のほとんどが僕のことを知っている。
「勝手に見てきてくださいよ」
「え、昔はあそこに居ることが多かったのに?」
驚かれた。
魔法が使えず、貴族文字が読める僕は毎日のように国設ミトラス図書館に入り浸っていた。
それくらいしかやることがなかったからだ。でも、今は状況が違う。
「サレスティはさ、僕が上流貴族じゃなくなったって聞いてないのか?」
「そりゃ聞いたさ。でも、シュンは上流貴族のリストからは外されていないよ」
な、なんだって!?
まだ貴族位になれるかもしれない、ということになる。
貴族位から除名するのには親の同意が必要だ。
逆に言えば親の同意だけでも除名は出来る。
つまるところ、僕が家から逃げた時点で当然その手続きを親はすると考えていたわけだ。
「トリオス公がだいぶ頑張ったらしい、状況はよく知らないけど」
今更になってトリオスがどれだけの思いをしたかを考えることになる。
あんなふうに逃げたままで良いのだろうか。
もう一度こちらから会いに行ったほうが良いのではないか。
「サレスティ、もしかして今回の目的は?」
「トリオス公と仲直りしてもらうことだ」
サレスティならうまくやってくれると見込んだのだろう。
というか、振り返ってみるとうまーく乗せられた気はしなくもない。
当人にそんな気はないのかもしれないが。
「そうか。じゃあ今から兄に会いに行く、ということか?」
「ああ、ワープ地点はすでに登録してある。あとは行くだけだ。来なよ」
彼は僕の手を強引に握って引き込む。
次の瞬間に着いていたのは、トリオスの家の前だった。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
罠に嵌められたのは一体誰?
チカフジ ユキ
恋愛
卒業前夜祭とも言われる盛大なパーティーで、王太子の婚約者が多くの人の前で婚約破棄された。
誰もが冤罪だと思いながらも、破棄された令嬢は背筋を伸ばし、それを認め国を去ることを誓った。
そして、その一部始終すべてを見ていた僕もまた、その日に婚約が白紙になり、仕方がないかぁと思いながら、実家のある隣国へと帰って行った。
しかし帰宅した家で、なんと婚約破棄された元王太子殿下の婚約者様が僕を出迎えてた。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
チートな幼女に転生しました。【本編完結済み】
Nau
恋愛
道路に飛び出した子供を庇って死んだ北野優子。
でもその庇った子が結構すごい女神が転生した姿だった?!
感謝を込めて別世界で転生することに!
めちゃくちゃ感謝されて…出来上がった新しい私もしかして規格外?
しかも学園に通うことになって行ってみたら、女嫌いの公爵家嫡男に気に入られて?!
どうなる?私の人生!
※R15は保険です。
※しれっと改正することがあります。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる