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58話 情報収集をしよう
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レイシェルがドアを締めたタイミングで僕とトリオスは席につく。
一度何かが起こると色々と連続してしまうため、話の本筋が吹っ飛んでいきそうになる。
だが、今回の本題は上流貴族の中でなにか変わった動きはあったか、というところである。
あとこの家の詳しい生い立ちについても聞いてみたかったがそれは時間に余裕があるときにでも。
「それで、今日はどのような用事で?」
手短に起きたことを説明する。学園祭のことを話すと
「色々起きるなぁ……」
と少し悲しそうにこちらを見てくる。ワタシコンカイハナニモワルイコトシテマセンヨ?
「けど、婚約したとか養子に入ったとかそういう話は聞いてないと思うけどなぁ、それくらいの規模の話なら人づてにくらいには聞きそうだし……」
確かに上流貴族は数が少ないので何かあればすぐに出来事が広まってしまう。おそらく僕が家を出たのも共通認識としてあるんだろうな。レイさんは知らなかったみたいだけど。
生徒会長の調べでは婚約するか養子に入るかどちらかの可能性で上流貴族になることが出来ると言っていたがそもそももしかしたら他に可能性があるかもしれないし、なんなら上流貴族にならなくても試験を受けずに卒業できる可能性はあるかもしれない。
「それにしても、試験を受けずに卒業か……。アステイモ公なら何か教えてくれるかな?」
あ、時々見せる兄の悪い顔。トリオスはカードを持つと紋章のところを長く触る。
ついでに確認しておくが、やはり僕の持っているトリオスのカードとはデザインと色が違う。
おそらくそれぞれの家によって違うのだろう。
「あ、先日はどうも。アトラト学園のことなんですけど……」
いつも弟がお世話になります、弟も元気そうで何よりです、え、シュンが生徒会役員に?
「推薦されたんですか?」
されてないよ?ちゃんとお断りしたはずだけれど……。
「なってくれると嬉しい、ですか。それは思いますよ?」
思うんですか。
いや、僕はそんなのなるつもりないけど……。
「今回の用事はそうじゃないんですけど……、昨年って特例卒業あったんですか?」
特例卒業とは卒業条件を満たしていなかったとしても別の何らかの要因で卒業が認められる時のことを指すらしい。
ちなみに僕が上流貴族になるっていって貴族学校に通ったらその年の卒業もしくは自分の卒業の年に卒業することが出来るというご都合主義の極みみたいな事ができる。
そして、昨年はそのご都合主義の極みを使った人物が一人だけいた。
彼だった。
一度何かが起こると色々と連続してしまうため、話の本筋が吹っ飛んでいきそうになる。
だが、今回の本題は上流貴族の中でなにか変わった動きはあったか、というところである。
あとこの家の詳しい生い立ちについても聞いてみたかったがそれは時間に余裕があるときにでも。
「それで、今日はどのような用事で?」
手短に起きたことを説明する。学園祭のことを話すと
「色々起きるなぁ……」
と少し悲しそうにこちらを見てくる。ワタシコンカイハナニモワルイコトシテマセンヨ?
「けど、婚約したとか養子に入ったとかそういう話は聞いてないと思うけどなぁ、それくらいの規模の話なら人づてにくらいには聞きそうだし……」
確かに上流貴族は数が少ないので何かあればすぐに出来事が広まってしまう。おそらく僕が家を出たのも共通認識としてあるんだろうな。レイさんは知らなかったみたいだけど。
生徒会長の調べでは婚約するか養子に入るかどちらかの可能性で上流貴族になることが出来ると言っていたがそもそももしかしたら他に可能性があるかもしれないし、なんなら上流貴族にならなくても試験を受けずに卒業できる可能性はあるかもしれない。
「それにしても、試験を受けずに卒業か……。アステイモ公なら何か教えてくれるかな?」
あ、時々見せる兄の悪い顔。トリオスはカードを持つと紋章のところを長く触る。
ついでに確認しておくが、やはり僕の持っているトリオスのカードとはデザインと色が違う。
おそらくそれぞれの家によって違うのだろう。
「あ、先日はどうも。アトラト学園のことなんですけど……」
いつも弟がお世話になります、弟も元気そうで何よりです、え、シュンが生徒会役員に?
「推薦されたんですか?」
されてないよ?ちゃんとお断りしたはずだけれど……。
「なってくれると嬉しい、ですか。それは思いますよ?」
思うんですか。
いや、僕はそんなのなるつもりないけど……。
「今回の用事はそうじゃないんですけど……、昨年って特例卒業あったんですか?」
特例卒業とは卒業条件を満たしていなかったとしても別の何らかの要因で卒業が認められる時のことを指すらしい。
ちなみに僕が上流貴族になるっていって貴族学校に通ったらその年の卒業もしくは自分の卒業の年に卒業することが出来るというご都合主義の極みみたいな事ができる。
そして、昨年はそのご都合主義の極みを使った人物が一人だけいた。
彼だった。
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