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11話 僕の部屋
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その後、僕たちは夕飯を食べた。
食卓にはフルヤさんとユナと僕。ユナのお母さんらしき人は見当たらなかった。けど、こういうことは食卓の場では雰囲気をなんとなく損ねてしまうのでやめておこう。
せっかく和やかなムードなんだから。
僕たちの前に出た料理はカレーという、日本でも馴染み深いものだった。貴族たちはあまりカレーを好んで食べない。二年前から僕が食べたかった一品である。
野菜は男の料理とばかりに大きく切られていて、中のほうが生なのではないだろうかという心配を少ししたが、見た目とは裏腹に口の中でほろほろと崩れていく食感がたまらない。
スパイスもあまり辛いものではないが、ほのかな辛さがアクセントになっていてやみつきになる。これにお米がついてきたらなぁと思っていたら本当にお米がついてきた。
異世界転生すると基本的にパン食でお米はそのまま飼料にしたりもっと遠い所で食べられていて高級品だったりと日本人が奮闘してお米を食べる、というものも少なくないのだが。いや、僕のラノベ知識が少なすぎるだけか?
ともかく、貴族時代には少なくともお米は出ていなかったと思うのでこれはありがたい。
僕はフルヤさんの特製カレーとお米を合わせてカレーライスにしたところ、フルヤさんたちが怪訝そうな顔をした。
なんでカレーとお米があってカレーライスがないんだ、この組み合わせ最高だぞ?
「貴族なのに食べ方知ってるんだ……」
おっと?そうではなかったらしい。そういえばそうか。上流貴族はカレーを好んで食べないということはカレーラ
イスも知っているはずがない、という事が言いたいのだろう。
でも、考えてもみなさい、魔法が使えなかったという事があるにしろそうそう十二歳で上流貴族の家から出ていくなんて少なくともまともではない。
「一般人のことは、本で読んだことがあるので」
これぞまさしく詐欺のいや、ぶっとんだことを言うよりもこう言っておいたほうが楽ってだけだ。
フルヤさんたちはすぐに納得してくれて、カレーライスにして食べ始めた。
少しだけ緊張感がはしっていたものの、すぐにそれは解消されてまた和やかな食卓になる。
なんだろう、久しぶりにこんなに暖かい食卓でご飯を食べたものだと、なんだか少し泣きそうになってしまった。
その後は僕の部屋に案内された。どうやら、この部屋はユナの母親が使っていた部屋らしかったが、当分使う予定もないとのことなので使わせていただくことにした。
生活に必要なものは揃っているしクローゼットの中は何もかかってないから自分の荷物でもかけておいてねと言われ、僕は自分の服をクローゼットにかけていく。
自分の服と言っても、上流貴族たちが着るような服は持ち出していないし、できるだけシンプルなものを選んだらすごい少なくなってしまった。
まあ、お金はそこそこあることだし、今度街に出て服を見てみるのも良いかもしれないな。
あとは、ベッドと机、イスがあるくらいだろうか。まあ、これなら読書に勤しむ事もできるだろう。
そんな事を考えていると、トントン、と扉を叩く音がした。
「どなたですか?」
「私、ユナです」
女子が男子の部屋に来るのはマズいのでは?とも思ったがそもそもまだ十二歳だしっていうかなんなら家族みたいなものだから別にややこしく考える必要もないのでは?
と、色々考えてしまったのは内緒である。
食卓にはフルヤさんとユナと僕。ユナのお母さんらしき人は見当たらなかった。けど、こういうことは食卓の場では雰囲気をなんとなく損ねてしまうのでやめておこう。
せっかく和やかなムードなんだから。
僕たちの前に出た料理はカレーという、日本でも馴染み深いものだった。貴族たちはあまりカレーを好んで食べない。二年前から僕が食べたかった一品である。
野菜は男の料理とばかりに大きく切られていて、中のほうが生なのではないだろうかという心配を少ししたが、見た目とは裏腹に口の中でほろほろと崩れていく食感がたまらない。
スパイスもあまり辛いものではないが、ほのかな辛さがアクセントになっていてやみつきになる。これにお米がついてきたらなぁと思っていたら本当にお米がついてきた。
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ともかく、貴族時代には少なくともお米は出ていなかったと思うのでこれはありがたい。
僕はフルヤさんの特製カレーとお米を合わせてカレーライスにしたところ、フルヤさんたちが怪訝そうな顔をした。
なんでカレーとお米があってカレーライスがないんだ、この組み合わせ最高だぞ?
「貴族なのに食べ方知ってるんだ……」
おっと?そうではなかったらしい。そういえばそうか。上流貴族はカレーを好んで食べないということはカレーラ
イスも知っているはずがない、という事が言いたいのだろう。
でも、考えてもみなさい、魔法が使えなかったという事があるにしろそうそう十二歳で上流貴族の家から出ていくなんて少なくともまともではない。
「一般人のことは、本で読んだことがあるので」
これぞまさしく詐欺のいや、ぶっとんだことを言うよりもこう言っておいたほうが楽ってだけだ。
フルヤさんたちはすぐに納得してくれて、カレーライスにして食べ始めた。
少しだけ緊張感がはしっていたものの、すぐにそれは解消されてまた和やかな食卓になる。
なんだろう、久しぶりにこんなに暖かい食卓でご飯を食べたものだと、なんだか少し泣きそうになってしまった。
その後は僕の部屋に案内された。どうやら、この部屋はユナの母親が使っていた部屋らしかったが、当分使う予定もないとのことなので使わせていただくことにした。
生活に必要なものは揃っているしクローゼットの中は何もかかってないから自分の荷物でもかけておいてねと言われ、僕は自分の服をクローゼットにかけていく。
自分の服と言っても、上流貴族たちが着るような服は持ち出していないし、できるだけシンプルなものを選んだらすごい少なくなってしまった。
まあ、お金はそこそこあることだし、今度街に出て服を見てみるのも良いかもしれないな。
あとは、ベッドと机、イスがあるくらいだろうか。まあ、これなら読書に勤しむ事もできるだろう。
そんな事を考えていると、トントン、と扉を叩く音がした。
「どなたですか?」
「私、ユナです」
女子が男子の部屋に来るのはマズいのでは?とも思ったがそもそもまだ十二歳だしっていうかなんなら家族みたいなものだから別にややこしく考える必要もないのでは?
と、色々考えてしまったのは内緒である。
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ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
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