2 / 2
第二話
しおりを挟む
宮園くんが、柊えりかさんと付き合っている……!?
柊えりかもこのクラスの注目の的であり、その清潔感のあるビジュアルは特に男子たちによくウケた。
ただ、何人もの男子が彼女に告白しては玉砕しているため、色恋沙汰とは遠く無縁のように見えていた。
「ところでさ、どうしてそんなにあたふたしてるの。筆箱でも探してるの?」
「ち、違うよ……。違わないけど、違う」
華は少し深呼吸をして帰り支度を済ませた。
「早く帰ろう?」
「ハルって時々不思議ちゃんだよねー。ま、そういうところも好きなんだけどさ!」
恵はにっこりと笑うと振り返り、歩き始める。
そんな彼女の自由奔放さが私も好きで、少しだけ羨ましかった。
それに恵には裏表がない。だから、親友である私にも遠慮せずに色々なことを言ってくれる。
私にもこんな風に真正面からものが言えたらな……。
華はそんな風に思ったのだった。
翌日。
学校は土曜日の休日なので華はパソコンの前に座っていた。
なにも、ただただインターネットの海に流されるためにパソコンを付けたのではない。
液晶タブレットを取り出すと、華は絵を描き始めた。
何事にも縛られない、彼女にとって深く没頭できる趣味である。
線を引き、修正をして、色を塗る。すると段々と絵は形を作り、そして画面の中で活きていく。
「これ、宮園くん?」
完全に無意識のはずなのに、出来たのはアニメ調に書かれた宮園公哉。
とはいってもリアルとアニメ調ではかなり違うから、彼をベースにしたキャラクターというべきだろうか。
「どうしよう、こんなに上手く書けたのは中々無いんだけれど……」
描いた絵はツイッターにアップするようにしている。でも、この絵はほぼ別人とはいえ自分の身近な人をモチーフにしてしまったのだ。
でも、過去最高レベルで上手に描けているのも確か。
華は悩んだ末、オリジナルキャラクターとだけ書いてツイッターにアップした。
―――――昼頃から通知が鳴り止まなくなった。
例の絵は大量のいいねとリツイートが付き、ただの自己満足であったはずなのに瞬く間に拡散されてしまった。
単にバズったというだけならいいのにどうしてよりにもよってこの絵が、と華は頭を抱えた。
でも幸いにしてこのアカウントが誰か知人に知られるような事はないはずだ。
アカウント名も華だと分かる要素はなかったし、知人どころか親友の恵にもこのアカウントは教えていない。
しかし、その時は思いもしなかったのだ。
まさか、宮園公哉本人にバレることになろうとは……。
柊えりかもこのクラスの注目の的であり、その清潔感のあるビジュアルは特に男子たちによくウケた。
ただ、何人もの男子が彼女に告白しては玉砕しているため、色恋沙汰とは遠く無縁のように見えていた。
「ところでさ、どうしてそんなにあたふたしてるの。筆箱でも探してるの?」
「ち、違うよ……。違わないけど、違う」
華は少し深呼吸をして帰り支度を済ませた。
「早く帰ろう?」
「ハルって時々不思議ちゃんだよねー。ま、そういうところも好きなんだけどさ!」
恵はにっこりと笑うと振り返り、歩き始める。
そんな彼女の自由奔放さが私も好きで、少しだけ羨ましかった。
それに恵には裏表がない。だから、親友である私にも遠慮せずに色々なことを言ってくれる。
私にもこんな風に真正面からものが言えたらな……。
華はそんな風に思ったのだった。
翌日。
学校は土曜日の休日なので華はパソコンの前に座っていた。
なにも、ただただインターネットの海に流されるためにパソコンを付けたのではない。
液晶タブレットを取り出すと、華は絵を描き始めた。
何事にも縛られない、彼女にとって深く没頭できる趣味である。
線を引き、修正をして、色を塗る。すると段々と絵は形を作り、そして画面の中で活きていく。
「これ、宮園くん?」
完全に無意識のはずなのに、出来たのはアニメ調に書かれた宮園公哉。
とはいってもリアルとアニメ調ではかなり違うから、彼をベースにしたキャラクターというべきだろうか。
「どうしよう、こんなに上手く書けたのは中々無いんだけれど……」
描いた絵はツイッターにアップするようにしている。でも、この絵はほぼ別人とはいえ自分の身近な人をモチーフにしてしまったのだ。
でも、過去最高レベルで上手に描けているのも確か。
華は悩んだ末、オリジナルキャラクターとだけ書いてツイッターにアップした。
―――――昼頃から通知が鳴り止まなくなった。
例の絵は大量のいいねとリツイートが付き、ただの自己満足であったはずなのに瞬く間に拡散されてしまった。
単にバズったというだけならいいのにどうしてよりにもよってこの絵が、と華は頭を抱えた。
でも幸いにしてこのアカウントが誰か知人に知られるような事はないはずだ。
アカウント名も華だと分かる要素はなかったし、知人どころか親友の恵にもこのアカウントは教えていない。
しかし、その時は思いもしなかったのだ。
まさか、宮園公哉本人にバレることになろうとは……。
0
お気に入りに追加
3
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
My Doctor
west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生
病気系ですので、苦手な方は引き返してください。
初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです!
主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな)
妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ)
医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
JC💋フェラ
山葵あいす
恋愛
森野 稚菜(もりの わかな)は、中学2年生になる14歳の女の子だ。家では姉夫婦が一緒に暮らしており、稚菜に甘い義兄の真雄(まさお)は、いつも彼女におねだりされるままお小遣いを渡していたのだが……
秘密 〜官能短編集〜
槙璃人
恋愛
不定期に更新していく官能小説です。
まだまだ下手なので優しい目で見てくれればうれしいです。
小さなことでもいいので感想くれたら喜びます。
こここうしたらいいんじゃない?などもお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる