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24日目⑥
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音を立てないように気を付けながら、カップをソーサーに戻した私は、そっとアイリーンさんを見つめる。
レースのカーテン越しに柔らかな日差しが差し込み、アイリーンさんの茶褐色の髪を金色に変える。うっすらと口元に笑みを浮かべる彼女は、何度見てもやはり綺麗だった。そして、レオナードが隣にいれば、どんなに絵になるだろうとも考える。
アイリーンさんは、確かに私より年上だ。でも、未婚でいることが不思議なほど魅力的な女性だ。
そこでやっぱりこう思ってしまう。レオナードはアイリーンさんには恋人も夫もいないと言い切っていた。けれど、本当にそうなのだろうかと。
「………………アイリーンさんは、恋人はいないのですか?」
おずおずと問いかけた私に、アイリーンさんはちょっと驚いたように目を開いた。けれどすぐに、声を上げて笑った。
「ふふっ。いませんよ。こんなおばさんを相手にしてくれる人なんていませんからね」
「…………んなわけないですっ。それって嘘ですよね」
ぎこちなく笑うアイリーンさんは、まるで自分自身を偽っているように感じて────気付いたら私は全力でツッコミを入れていた。
でも、声に出してから、はたと気付く。私の立ち位置って、今どこなんだろう、と。
私はレオナードの協力者だ。それは嘘ではない。でも、アイリーンさんにとって私は協力者でもなんでもない。だから私はアイリーンさんに対してあれこれと口出す権利はどこにもない。
しまった。やってしまった。そんなことを思った時には、私は両手で自分の口を押えていた。時すでに遅し。そんなことをしても、声に出して発してしまったことを取り消すことなどできるわけないのに。
「ミリアさま、お気になさらず。良いんですよ。あなたの言う通り、私が嘘を付いたわ。ごめんなさい」
アイリーンさんの声音は、しっとりと落ち着いたものだった。不機嫌さなど、どこを探しても見つからなかった。あるのは、観念した表情だけ。
そしてその表情のまま、アイリーンさんは口を開く。溜息と共に。
「実はね、ひと月………は、経っていないかしら。少し前に、教え子ががここに来たの。いっぱしの青年のように花束なんて手にしてね。ありったけの勇気をかき集めたような顔をして、花束を持つ手なんか、ものすごく震えていてね。そんな姿を見たら、どうしても無下に帰すことができなくて、ここに招き入れたのよ」
あ、それ私、知っている。この偽装婚約が始まってすぐのことだ。
「そうしたら、部屋に入って早々、私に跪いて花束を差し出しながら、求婚したのよ。しかも求婚だけならまだしも、なぜか駆け落ちなんていう頼んでもいないオプションまで付けてくれてね。わたくし、長い人生であんなに驚いたことはなかったわ」
「ですよね」
…………無意識に、思わず合いの手を入れてしまった。
そんな私にアイリーンさんは、同意するように頷いてから、再び続きを話し出した。
「でもね、私の教え子は、私に恋をしている訳じゃないってわかっていたから…………。こう言ったのよ」
「どんな言葉を?」
今度は無意識ではなく、自分の意志で彼女に問うてみた。
そうすれば、アイリーンさんは、ちょっといたずらっ子のように、瞳をくるりと向けてこう言った。
「あら嬉しい。では今すぐ私にキスして、と」
「…………したんですか?」
「ええ、すぐさま、あの子はしましたよ」
恐る恐る問うた私に、アイリーンさんはさらりと答えた。瞬間、きゅっと胸を掴まれたような痛みが走った。
なんでだろう。アイリーンさんのことが大好きなレオナードなら、絶対にそうするってわかっているはずなのに。私の心臓、ちょっと壊れたかもしれない。そんな不安がよぎった。
両手を胸に当てて、小さく息を吐く。でも痛みは治まらない。どうしよう、私死ぬかもしれない。
そんなふうに不安に駆られた私に、アイリーンさんは何故かくすりと笑う。そして、その余韻を残したまま、大きな溜息を付いた。なんだか急に頭痛を覚えたような表情だった。
「しましたよ。したんですけどねぇ………。彼の唇が触れたのは、わたくしの額でした」
「え?」
そう間抜けな声を出した途端、アイリーンさんは、ありえないでしょ?そう、言って苦笑を浮かべた。
私もつられて同じ表情を浮かべたくなる。だって額のキスは、祝福や友情を意味するもの。強い恋愛感情や欲求というよりも、どっちかっていうと愛おしさや可愛いといったような意味。ぶっちゃけ友情に近い心理からするものだ。
あの馬鹿、なんてところにしたんだ。
もちろんそんなことは口には出せない。出せないけれど、表情には思いっきり出てしまっていたようで、アイリーンさんは苦笑を深くしてこう言った。
「そういうことなんです。教え子は、幼いころの憧れをそのまま恋というものに置き換えてしまっただけなのです。ただの勘違いをしているだけなのです。だから私は彼にこう言ったんです。前言撤回。もう二度と来るな、と。彼は納得したか───」
「ちょっと待ってくださいっ」
思わずアイリーンさんの言葉を遮ってしまった私だったけれど、続きの言葉が見つからない。
もどかしい思いで目の前にいる婦人を見つめれば、その人はかつての家庭教師の表情に戻っていた。落ち着いて考えなさい。そう言っているかのように。
そして少し時間を置いて私は再び口を開いた。自分の知っている言葉をかき集めて。
「…………でも、憧れから始まる恋だってきっとあります。どれが本当かなんて、どれが正解で不正解だなんて、そんなの誰が決めて良いことじゃないと思います。その青年は本気でアイリーンさんのことが好きだったはずです」
私は恋をしたことがない。特別に誰かを好きになったことはない。
ないけれど、恋をしている人を見たことはある。客観的にならちゃんとわかる。レオナードは本気の恋をしていた。勘違いなんてしていない。私は側でずっと見てきたから、そう断言できる。
そんな気持ちを込めて、アイリーンさんを挑むように見つめる。そうすれば、彼女は目を細めて頷いた。
「あなたの言う通りよ。ミリアさま。でもね…………」
そこで言葉を区切って、アイリーンさんはふっと笑った。それは今までとは違う、大人の女の微笑だった。
「私は、そういう恋じゃ嫌だった。それだけです」
「………………」
そんなふうに言われたら、何も言い返せない。
ぎゅっとスカートの裾を握りしめた私に、アイリーンさんは何も言わない。そして失礼しますと、短く断りを入れて静かに席を立った。
空いてしまった席を見つめながら、私はここにはいないあの人に向かって悪態を付く。
馬鹿だ馬鹿だと思っていたけど、レオナードは本当に馬鹿だ。最大にして唯一のチャンスを棒に振ってしまうなんて、大馬鹿野郎だ。救いようの無いほどに。
レースのカーテン越しに柔らかな日差しが差し込み、アイリーンさんの茶褐色の髪を金色に変える。うっすらと口元に笑みを浮かべる彼女は、何度見てもやはり綺麗だった。そして、レオナードが隣にいれば、どんなに絵になるだろうとも考える。
アイリーンさんは、確かに私より年上だ。でも、未婚でいることが不思議なほど魅力的な女性だ。
そこでやっぱりこう思ってしまう。レオナードはアイリーンさんには恋人も夫もいないと言い切っていた。けれど、本当にそうなのだろうかと。
「………………アイリーンさんは、恋人はいないのですか?」
おずおずと問いかけた私に、アイリーンさんはちょっと驚いたように目を開いた。けれどすぐに、声を上げて笑った。
「ふふっ。いませんよ。こんなおばさんを相手にしてくれる人なんていませんからね」
「…………んなわけないですっ。それって嘘ですよね」
ぎこちなく笑うアイリーンさんは、まるで自分自身を偽っているように感じて────気付いたら私は全力でツッコミを入れていた。
でも、声に出してから、はたと気付く。私の立ち位置って、今どこなんだろう、と。
私はレオナードの協力者だ。それは嘘ではない。でも、アイリーンさんにとって私は協力者でもなんでもない。だから私はアイリーンさんに対してあれこれと口出す権利はどこにもない。
しまった。やってしまった。そんなことを思った時には、私は両手で自分の口を押えていた。時すでに遅し。そんなことをしても、声に出して発してしまったことを取り消すことなどできるわけないのに。
「ミリアさま、お気になさらず。良いんですよ。あなたの言う通り、私が嘘を付いたわ。ごめんなさい」
アイリーンさんの声音は、しっとりと落ち着いたものだった。不機嫌さなど、どこを探しても見つからなかった。あるのは、観念した表情だけ。
そしてその表情のまま、アイリーンさんは口を開く。溜息と共に。
「実はね、ひと月………は、経っていないかしら。少し前に、教え子ががここに来たの。いっぱしの青年のように花束なんて手にしてね。ありったけの勇気をかき集めたような顔をして、花束を持つ手なんか、ものすごく震えていてね。そんな姿を見たら、どうしても無下に帰すことができなくて、ここに招き入れたのよ」
あ、それ私、知っている。この偽装婚約が始まってすぐのことだ。
「そうしたら、部屋に入って早々、私に跪いて花束を差し出しながら、求婚したのよ。しかも求婚だけならまだしも、なぜか駆け落ちなんていう頼んでもいないオプションまで付けてくれてね。わたくし、長い人生であんなに驚いたことはなかったわ」
「ですよね」
…………無意識に、思わず合いの手を入れてしまった。
そんな私にアイリーンさんは、同意するように頷いてから、再び続きを話し出した。
「でもね、私の教え子は、私に恋をしている訳じゃないってわかっていたから…………。こう言ったのよ」
「どんな言葉を?」
今度は無意識ではなく、自分の意志で彼女に問うてみた。
そうすれば、アイリーンさんは、ちょっといたずらっ子のように、瞳をくるりと向けてこう言った。
「あら嬉しい。では今すぐ私にキスして、と」
「…………したんですか?」
「ええ、すぐさま、あの子はしましたよ」
恐る恐る問うた私に、アイリーンさんはさらりと答えた。瞬間、きゅっと胸を掴まれたような痛みが走った。
なんでだろう。アイリーンさんのことが大好きなレオナードなら、絶対にそうするってわかっているはずなのに。私の心臓、ちょっと壊れたかもしれない。そんな不安がよぎった。
両手を胸に当てて、小さく息を吐く。でも痛みは治まらない。どうしよう、私死ぬかもしれない。
そんなふうに不安に駆られた私に、アイリーンさんは何故かくすりと笑う。そして、その余韻を残したまま、大きな溜息を付いた。なんだか急に頭痛を覚えたような表情だった。
「しましたよ。したんですけどねぇ………。彼の唇が触れたのは、わたくしの額でした」
「え?」
そう間抜けな声を出した途端、アイリーンさんは、ありえないでしょ?そう、言って苦笑を浮かべた。
私もつられて同じ表情を浮かべたくなる。だって額のキスは、祝福や友情を意味するもの。強い恋愛感情や欲求というよりも、どっちかっていうと愛おしさや可愛いといったような意味。ぶっちゃけ友情に近い心理からするものだ。
あの馬鹿、なんてところにしたんだ。
もちろんそんなことは口には出せない。出せないけれど、表情には思いっきり出てしまっていたようで、アイリーンさんは苦笑を深くしてこう言った。
「そういうことなんです。教え子は、幼いころの憧れをそのまま恋というものに置き換えてしまっただけなのです。ただの勘違いをしているだけなのです。だから私は彼にこう言ったんです。前言撤回。もう二度と来るな、と。彼は納得したか───」
「ちょっと待ってくださいっ」
思わずアイリーンさんの言葉を遮ってしまった私だったけれど、続きの言葉が見つからない。
もどかしい思いで目の前にいる婦人を見つめれば、その人はかつての家庭教師の表情に戻っていた。落ち着いて考えなさい。そう言っているかのように。
そして少し時間を置いて私は再び口を開いた。自分の知っている言葉をかき集めて。
「…………でも、憧れから始まる恋だってきっとあります。どれが本当かなんて、どれが正解で不正解だなんて、そんなの誰が決めて良いことじゃないと思います。その青年は本気でアイリーンさんのことが好きだったはずです」
私は恋をしたことがない。特別に誰かを好きになったことはない。
ないけれど、恋をしている人を見たことはある。客観的にならちゃんとわかる。レオナードは本気の恋をしていた。勘違いなんてしていない。私は側でずっと見てきたから、そう断言できる。
そんな気持ちを込めて、アイリーンさんを挑むように見つめる。そうすれば、彼女は目を細めて頷いた。
「あなたの言う通りよ。ミリアさま。でもね…………」
そこで言葉を区切って、アイリーンさんはふっと笑った。それは今までとは違う、大人の女の微笑だった。
「私は、そういう恋じゃ嫌だった。それだけです」
「………………」
そんなふうに言われたら、何も言い返せない。
ぎゅっとスカートの裾を握りしめた私に、アイリーンさんは何も言わない。そして失礼しますと、短く断りを入れて静かに席を立った。
空いてしまった席を見つめながら、私はここにはいないあの人に向かって悪態を付く。
馬鹿だ馬鹿だと思っていたけど、レオナードは本当に馬鹿だ。最大にして唯一のチャンスを棒に振ってしまうなんて、大馬鹿野郎だ。救いようの無いほどに。
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