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私と司令官さまの攻防戦
謝罪と注意と禁酒宣言②
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長い長い沈黙を破ったのは、司令官さまの微かな笑い声だった。
「ははっ……いや、失礼。シンシア殿、君の望みは全て叶えたいと思っているが、これは忘れることはできない。実に興味深いものを見せて貰ったしな」
「そんなぁー。お願いですっ。忘れて下さいっ」
「却下」
「えー」
舌の根も乾かぬうちに不満の声を上げた私を見て、司令官さまの綺麗な眉がピクリと撥ねた。
「ご不満そうだな」
「はい。不満です」
間髪入れずにそう主張してしまったけれど、はたと気付く。ここは下手に出た方が良いと。
「……私、お酒を飲んだのは、昨晩が初めてだったんです。ですので……その…上手く酔えなかったというか、お酒に耐性がなかったというか……とにかくっ、あんなことはもうしないので、どうか私の黒歴史を、お忘れになってくださいっ。司令官さまが忘れて下されば、それで万事解決なんです。どうか司令官さまの血が赤いなら────」
「初めて、だったのか?」
え?食いつくとこ、そこですか?それとも、困る私を見て、楽しんでおられますか?
でも、私の懇願を遮ったその一言は、意地の悪さは感じられない。そして、私はもう一押しでイケる予感を覚え、強く強く頷いた。
「ええ、初めてです。初体験だったんです」
「なるほど。では、より忘れることはできない。それに、さんざん私を苦しめたというのに、君は私が一生大事にしたいと思うこの記憶まで奪うと言うのか?それは無理だ。それこそ鬼畜の所業だ」
そう言って組んだ指に額を押し当てる司令官さまは、心から苦悶しているように見える。……けれど、ちょっと待った。
えーっ、なんか私、ものすごい意地悪な人になっている設定ですか?逆だと思うんですけど。
そんなふうに主張したいのは山々だったけれど、それより早く司令官さまが口を開いてしまった。
「私は君の要求を呑み、夜明けまで君の膝枕をしていた。そして自分の部屋には戻らず、ここに居る。何故かわかるか?」
「えっと………自分の部屋に戻るのが面倒くさかったからですか?」
「それは君のことだろう」
司令官さま、そこはしっかりツッコミをいれるんですね。我慢できず、思わずジト目で睨んでしまう。
「………ずっと、訓練所にいた」
「え?」
てっきり『何だその眼はっ。お前も偉くなったなぁ』的な、お叱りを受けると思いきや、司令官さまは、今度は頬杖を付く。そして私から視線をずらし、ぼそっと悔しそうに呟いた。
「なぜ……ですか?」
司令官さまがそんな顔をするのもわからないし、そんなところに行った理由もわからない。
それは純粋な疑問だったけれど、司令官さまの形の良い唇は答えを紡ぐことはせず、代わりに別の質問を紡いだ。
「君の寝顔をずっと見て、私がどれだけ苦しかったかわかるか?」
「…………そんなに見苦しかったですか?」
「その逆だ。触りたくて仕方が無かった」
「!!!!!」
この人、今、なんかさらっと凄いことを言いましたよ!?そして、司令官さま、なぜこの流れで手袋を外すんですか?
すっと伸びた指先。でも、内側には、ごつごつした剣だこがあるのを知っている。そして昨晩、薬草園の新しい土の匂いがする薄闇で、もみもみしながら、ちゃんと目にしたのを私は覚えている。
な、なんだろう。この前と同様のイケメンアレルギーが再発しそうな予感がする。
痒くも無いけれど、二の腕をかきかきしながら、一歩後退すれば、司令官さま逃げるなと言わんばかりに、目力を強めた。
「その煩悩を振り払うために、私は訓練所で一人剣を振るっていたんだ。明日からまた何食わぬ顔をして、君に会わないといけなかったしな」
「………それは……そのぉ……お、疲れ様です」
当たり障りのない返答をすれば、司令官さまは、ぎろりと私を睨む。
しかもこれ見よがしに肩を叩く。あ、つまり、私に肩を揉めということですか?でもそれ、やったら、私、下僕確定のような気がする。
そして次に要求することは、靴を舐めろとか?
そんなふうに警戒した私の耳に、司令官さまの斜め上の言葉が飛んできた。
「ああ、まったくもって疲れた。しかも、君がいないお陰で書類をさばくのに普段の3倍は時間を要したし、そして未だに君に触れたい気持は消えていない」
それを聞いて、靴舐めた方が良いかな?と一瞬、人の尊厳を捨ててしまいたくなった私。
あなた人間やめたいんですか?などと聞かないで欲しい。そして、本当は私、そんなこと思っていない。
もうわかっている。司令官さまは、私に対してちゃんと気持ちがあることを。
彼が紡ぐ言葉には、一度だって嘘も、からかいもないことに気付いている。ただ、冗談であって欲しいと願っている私がいるだけ。
司令官さまは、優しい人だ。
そして、滅多なことでは怒らない。彼が怒る時は、自分以外の人が、傷つけられた時だけだ。部下の言葉に耳を傾けてくれるし、私の言葉も一つ一つ丁寧に拾ってくれる。
でも、駄目なのだ。これは司令官さまに何かが欠けているかという訳ではなく、私が臆病になっているだけ。
そして、その臆病を克服したいとは、私はまだ思えない。
「私、何度も、言ってますが、多分、司令官さまと同じ気持ちにはなれないと思います」
「結構。それは中間報告として聞いておこう」
「いや、ちょ………ちょ…それは───」
なんとなく思考を読まれたような気がして、狼狽える私に、司令官さま表情を硬くして口を開く。
「そういう訳で、私は今でも君に触れたい気持を必死に押さえている。そして、私は軍人だ。記憶力というのは、武力・統率力に匹敵するスキルでもあるから、はいそうですかと消すことは容易なことではない。ちなみに私は、どんな拷問にも耐えれる精神力を持っているので、今回の件は諦めてくれ。ただし、他言しないことは、この剣に賭けて誓うことにする」
口を挟む隙間など、どこにもなかった。
ぽかんと口を開けたまま、司令官さまの一方的な持論に耳を傾けることしかできない。
ただ、あまりに間抜け面だったのだろう。聞いているのか?と確認されてしまった。すぐさま、かくかくと頷けば、司令官さまは半信半疑のまま、再び語り出す。
「───………長々と話してしまったが、今のは全て間置きだ。要は、私は君にどんなことを言われても、想いを断ち切るつもりがないことを知って欲しかっただけだ。そして君は、こんな深夜にここに来ることをこれから禁ずる。良いな?」
これぞまさしく鋼の意志。
そんなことを思ったけれど、司令官さまは鋼の眼光で私に返事を求めてくる。
「はいっ」
敬礼までおまけして、元気の良い返事をすれば、司令官さまはゆっくりと顎を引く。ただ───。
「それと、シア」
「は?」
さらりと私の愛称を呼ぶ司令官さまに、間の抜けた声を出してしまう。
でも、それだけで言いたいことが通じたようだ。司令官さまは、ちょっと眉を上げて口を開いた。
「なんだ、その心外そうな顔は。言っておくが、昨晩、そう呼んでいいと君が言ったんだ。そして、私のこともアルと呼ぶと自ら宣言した」
「………嘘」
「あいにく私は、惚れた女性には誠実でいたいと思う人間だ。故に、嘘ではない」
「………………うわぁ」
思わず額に手を当てて、天を仰ぎ見る。そのくだり、私、全然覚えてない!
いやぁぁぁっ。お酒って怖いっ。マジで怖いっ。
そんなふうに羞恥で身もだえる私に、司令官さまは淡々と忠告をする。
「ということは置いといて………今後、むやみやたらに他人から貰ったものを食べるのは控えるように」
「はいっ。もう、お酒は飲みませんし、ちゃんと中身を確認してから食べることにしますっ」
びしっと居ずまいを正して、禁酒宣言をした私に、司令官さまは、満足そうに頷いた。そして話は以上だと言いたげに、書類を手にした。
「では、休みたまえ」
「はい」
そう言う司令官さまの視線は、既に書類に向いている。
それつまり、出ていけということなのだろう。もちろん、私は、それに異議を唱えるつもはない。
事務処理の邪魔にならぬよう、無言でぺこりと頭を下げて背を向けようとした。けれど、呼び止められてしまった。
「シア、言い忘れていたが……おやすみ。…………ああ、謝罪の代わりに、私にも就寝の挨拶をしてくれ。それで、昨晩の件はチャラにしよう。二度とこの話題には触れないと約束する」
「え?たったそれだけで、良いんですか?」
きょとんとする私に、司令官さまは苦笑を浮かべた。
「たったそれだけを望むのにも、こんな手を使わないといけない私の気持ちを少しは理解してくれ。さ、あまり長引かせるな。……もっと、過激なことを要求するぞ」
ノーサンキューですっ。
そう思った時には、私は最初の司令官さまの要求を呑んでいた。
「おやすみなさいっ、アル司令官さまっ」
すぐさま、後ろに余分な語彙があるぞと司令官さま苦々しく言う。
けれど、私は勢い良く扉を閉めて廊下に飛び出ることで、それを遮断させていただいた。
「ははっ……いや、失礼。シンシア殿、君の望みは全て叶えたいと思っているが、これは忘れることはできない。実に興味深いものを見せて貰ったしな」
「そんなぁー。お願いですっ。忘れて下さいっ」
「却下」
「えー」
舌の根も乾かぬうちに不満の声を上げた私を見て、司令官さまの綺麗な眉がピクリと撥ねた。
「ご不満そうだな」
「はい。不満です」
間髪入れずにそう主張してしまったけれど、はたと気付く。ここは下手に出た方が良いと。
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そう言って組んだ指に額を押し当てる司令官さまは、心から苦悶しているように見える。……けれど、ちょっと待った。
えーっ、なんか私、ものすごい意地悪な人になっている設定ですか?逆だと思うんですけど。
そんなふうに主張したいのは山々だったけれど、それより早く司令官さまが口を開いてしまった。
「私は君の要求を呑み、夜明けまで君の膝枕をしていた。そして自分の部屋には戻らず、ここに居る。何故かわかるか?」
「えっと………自分の部屋に戻るのが面倒くさかったからですか?」
「それは君のことだろう」
司令官さま、そこはしっかりツッコミをいれるんですね。我慢できず、思わずジト目で睨んでしまう。
「………ずっと、訓練所にいた」
「え?」
てっきり『何だその眼はっ。お前も偉くなったなぁ』的な、お叱りを受けると思いきや、司令官さまは、今度は頬杖を付く。そして私から視線をずらし、ぼそっと悔しそうに呟いた。
「なぜ……ですか?」
司令官さまがそんな顔をするのもわからないし、そんなところに行った理由もわからない。
それは純粋な疑問だったけれど、司令官さまの形の良い唇は答えを紡ぐことはせず、代わりに別の質問を紡いだ。
「君の寝顔をずっと見て、私がどれだけ苦しかったかわかるか?」
「…………そんなに見苦しかったですか?」
「その逆だ。触りたくて仕方が無かった」
「!!!!!」
この人、今、なんかさらっと凄いことを言いましたよ!?そして、司令官さま、なぜこの流れで手袋を外すんですか?
すっと伸びた指先。でも、内側には、ごつごつした剣だこがあるのを知っている。そして昨晩、薬草園の新しい土の匂いがする薄闇で、もみもみしながら、ちゃんと目にしたのを私は覚えている。
な、なんだろう。この前と同様のイケメンアレルギーが再発しそうな予感がする。
痒くも無いけれど、二の腕をかきかきしながら、一歩後退すれば、司令官さま逃げるなと言わんばかりに、目力を強めた。
「その煩悩を振り払うために、私は訓練所で一人剣を振るっていたんだ。明日からまた何食わぬ顔をして、君に会わないといけなかったしな」
「………それは……そのぉ……お、疲れ様です」
当たり障りのない返答をすれば、司令官さまは、ぎろりと私を睨む。
しかもこれ見よがしに肩を叩く。あ、つまり、私に肩を揉めということですか?でもそれ、やったら、私、下僕確定のような気がする。
そして次に要求することは、靴を舐めろとか?
そんなふうに警戒した私の耳に、司令官さまの斜め上の言葉が飛んできた。
「ああ、まったくもって疲れた。しかも、君がいないお陰で書類をさばくのに普段の3倍は時間を要したし、そして未だに君に触れたい気持は消えていない」
それを聞いて、靴舐めた方が良いかな?と一瞬、人の尊厳を捨ててしまいたくなった私。
あなた人間やめたいんですか?などと聞かないで欲しい。そして、本当は私、そんなこと思っていない。
もうわかっている。司令官さまは、私に対してちゃんと気持ちがあることを。
彼が紡ぐ言葉には、一度だって嘘も、からかいもないことに気付いている。ただ、冗談であって欲しいと願っている私がいるだけ。
司令官さまは、優しい人だ。
そして、滅多なことでは怒らない。彼が怒る時は、自分以外の人が、傷つけられた時だけだ。部下の言葉に耳を傾けてくれるし、私の言葉も一つ一つ丁寧に拾ってくれる。
でも、駄目なのだ。これは司令官さまに何かが欠けているかという訳ではなく、私が臆病になっているだけ。
そして、その臆病を克服したいとは、私はまだ思えない。
「私、何度も、言ってますが、多分、司令官さまと同じ気持ちにはなれないと思います」
「結構。それは中間報告として聞いておこう」
「いや、ちょ………ちょ…それは───」
なんとなく思考を読まれたような気がして、狼狽える私に、司令官さま表情を硬くして口を開く。
「そういう訳で、私は今でも君に触れたい気持を必死に押さえている。そして、私は軍人だ。記憶力というのは、武力・統率力に匹敵するスキルでもあるから、はいそうですかと消すことは容易なことではない。ちなみに私は、どんな拷問にも耐えれる精神力を持っているので、今回の件は諦めてくれ。ただし、他言しないことは、この剣に賭けて誓うことにする」
口を挟む隙間など、どこにもなかった。
ぽかんと口を開けたまま、司令官さまの一方的な持論に耳を傾けることしかできない。
ただ、あまりに間抜け面だったのだろう。聞いているのか?と確認されてしまった。すぐさま、かくかくと頷けば、司令官さまは半信半疑のまま、再び語り出す。
「───………長々と話してしまったが、今のは全て間置きだ。要は、私は君にどんなことを言われても、想いを断ち切るつもりがないことを知って欲しかっただけだ。そして君は、こんな深夜にここに来ることをこれから禁ずる。良いな?」
これぞまさしく鋼の意志。
そんなことを思ったけれど、司令官さまは鋼の眼光で私に返事を求めてくる。
「はいっ」
敬礼までおまけして、元気の良い返事をすれば、司令官さまはゆっくりと顎を引く。ただ───。
「それと、シア」
「は?」
さらりと私の愛称を呼ぶ司令官さまに、間の抜けた声を出してしまう。
でも、それだけで言いたいことが通じたようだ。司令官さまは、ちょっと眉を上げて口を開いた。
「なんだ、その心外そうな顔は。言っておくが、昨晩、そう呼んでいいと君が言ったんだ。そして、私のこともアルと呼ぶと自ら宣言した」
「………嘘」
「あいにく私は、惚れた女性には誠実でいたいと思う人間だ。故に、嘘ではない」
「………………うわぁ」
思わず額に手を当てて、天を仰ぎ見る。そのくだり、私、全然覚えてない!
いやぁぁぁっ。お酒って怖いっ。マジで怖いっ。
そんなふうに羞恥で身もだえる私に、司令官さまは淡々と忠告をする。
「ということは置いといて………今後、むやみやたらに他人から貰ったものを食べるのは控えるように」
「はいっ。もう、お酒は飲みませんし、ちゃんと中身を確認してから食べることにしますっ」
びしっと居ずまいを正して、禁酒宣言をした私に、司令官さまは、満足そうに頷いた。そして話は以上だと言いたげに、書類を手にした。
「では、休みたまえ」
「はい」
そう言う司令官さまの視線は、既に書類に向いている。
それつまり、出ていけということなのだろう。もちろん、私は、それに異議を唱えるつもはない。
事務処理の邪魔にならぬよう、無言でぺこりと頭を下げて背を向けようとした。けれど、呼び止められてしまった。
「シア、言い忘れていたが……おやすみ。…………ああ、謝罪の代わりに、私にも就寝の挨拶をしてくれ。それで、昨晩の件はチャラにしよう。二度とこの話題には触れないと約束する」
「え?たったそれだけで、良いんですか?」
きょとんとする私に、司令官さまは苦笑を浮かべた。
「たったそれだけを望むのにも、こんな手を使わないといけない私の気持ちを少しは理解してくれ。さ、あまり長引かせるな。……もっと、過激なことを要求するぞ」
ノーサンキューですっ。
そう思った時には、私は最初の司令官さまの要求を呑んでいた。
「おやすみなさいっ、アル司令官さまっ」
すぐさま、後ろに余分な語彙があるぞと司令官さま苦々しく言う。
けれど、私は勢い良く扉を閉めて廊下に飛び出ることで、それを遮断させていただいた。
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