81 / 89
終焉の始まり
彼女を繋ぎ止める約束
しおりを挟む
同じ人を好きになってしまった。好きな人は血のつながった兄弟だった。好きな人は自分以外の人を選んでしまった。
どれ一つとっても、気持ちに折り合いをつけるのは、とても難しいこと。まして今すぐに解決できることではない。だからと言って、消えたいなんて悲しいことを願わないで欲しい。
そう思うのは、私の高慢ちきな考えの押し付けに過ぎないのだろうか。でもそう思われてもいい。身勝手だと罵られてもいい。【あなた何様よ!】と、ユズリが闇から戻って、私をビンタしてくれるなら、私は喜んでそれを受け止める。
そんなことを考えていても、目の前の人はいつまでたっても手を取ってくれない。とうとう痺れを切らした私は、強引にその手を掴んだ。
「ここに来て帰らないっていう選択はナシにしてください。お屋敷、絶対にハチャメチャになっています。私、頑張ってお掃除しますが、なにせ襲撃の後の片付けは初めてなんで、わからないことだらけなんです。だから色々と教えてください」
メイド長のお仕事心をくすぐる言葉をかけてみる。案の定、少女の瞳は戸惑いと葛藤で揺れてくれた。無意識に少女の手を握る力が強くなる。
「片付けが終わったら、一緒にお茶を飲んでください。ユズリさん、お土産にお茶を買ってきてくれるって約束てくれましたよね?それを一緒に飲みましょう。ケイノフさまとダーナさまが果実をもいできてくれたんです。ユズリさん、ジャムの作り方も教えてくださいね。アスラリア国では、お茶にジャムを入れて飲むのが流行だったんで、きっとユズリさんも美味しいっていってくれると思います。試してみてください」
更に少女の瞳が揺れる。ちらちらと表情が変わる。少女とユズリ、互いの表情が交差している。あと少し、あと少しで、ユズリは戻ってきてくれるはず。けれど───。
「あと、それから……」
ここにきて言葉に詰まってしまった。
だって、今話しているのは、現実に出来ないことばかりだから。お屋敷がまだ残っているのかもわからない。キッチンにあった果物は間違いなく、炭になってるだろうし、ケイノフとダーナが無事なのかも、宵闇の森に消えてしまったリオンの行方すらわからない。
きゅっと唇を噛み締める。現実に出来ることを思い出せ、何でもいいから絞り出せと必死に自分に発破をかける。そして、数拍の間の後、私はユズリと交わしたある約束事を思い出した。
「ユズリさん、相談したいことがあるんですっ」
突然大声を出した私に、少女といえば良いのかユズリさんと言えばいいのかわからないその人は、はっと目を瞠った。
たったそれだけの仕草でわかる。慌ただしい出かける前の小さな約束。ほんの日常のひとこまに過ぎない、このことをユズリは覚えていてくれていた。
ユズリがいつから闇に堕ちてしまったのかわからない。けれど、あの時私は間違いなくユズリと約束したのだ。
「ユズリさん覚えてますよね?私の相談に乗ってくれるって言ってくれましたよね?」
縋りつかんばかりの私の問い掛けに、その人は小さく頷いてくれた。
これはきっとユズリを呼び戻す最後の切り札になる。そう確信した私は、乱れる息を整えて、相談したいことを、どもらないように迷走しないように頭の中で組み立ててみる。
まぁ………当初の予定では、仕事の合間の休憩時間に、ゆっくりお茶でも飲みながら気分は女子会的なノリで相談に乗ってもらいたかったけれど、そんなこと然したる問題ではない。
「聞いてくださいっ。私、好きな人に向かって【嘘つき】って言っちゃったんです!!」
もともと相談に乗ってもらいたかった内容とは別モノだけれど、これだって私にとっては即時解決を望む重要案件なのだ。
勢い良く言い放った私に、ユズリと少女の中間のその人が驚いたのは一瞬で、おずおずと口を開いてくれた。
「な、なんでまた……そんなことを……」
戸惑いながら相談に乗ってきてくれたその人に向かって、私は胸の内でぐるぐるしている相談内容を一気に語り出した。
「えっと、ちょっと不測の事態に襲われて、そこで別の人からの嘘を信じちゃったんです。今、考えたら……すぐに本当なの?って聞けばよかったんですけど、なにせ突然のことだったし、私、いっぱいいっぱいになっちゃって、早とちりしちゃって、【嘘つき】って決めつけちゃって……で、まだ、謝ってないんです」
つらつらと自分で説明をしながら、しでかしてしまった重さに落ち込んでしまう。
少女は語ってくれた。レナザードがバイドライル国の兵士に紛れて、仲間を救ってくれていたということを。ただ、そのことを聞いた時、既にいっぱいいっぱいだった私は、別のことを考えてしまっていた。
それにバイドライル国の使者が伝えたことは、あの時は嘘でも本当でもどっちでも良かった。レナザード達を無事に逃がせればそれでよかったから。
でも、レナザードにとったらバイドライル国の使者の言葉を信じた私を見てどう思ったのだろう。しかも、嘘つきと言われたのだ。絶対に傷付いたはず。
「いや、本当にどうしよう……」
そう呟きながら、私はずるずると体中の力が抜けていく。そして慣用句ではなく、本当に頭を抱えてしまった。
ただならぬ何かを感じたのだろう、ゆらりと後にいるレナザードが動く気配がする。でも別の意味でそちらを向くことができない。
今レナザードはどんな表情を浮かべているのだろうか。呆れを通り越した苦笑いなら救われるけれど、それ以外だったら、今度は私が闇に堕ちそうだ。
説得から相談に変わり、そして何故か一人落ち込み始めた私のすぐ傍にいた少女は、長い長い溜息を付いた後、急に気配が消えてしまった。
ちょっと待ってと慌てふためく私だったけれど、呆れた声が頭上から降ってきて、思わず息を呑む。
「あなたは、本当にうっかり者ね」
その声と共に一陣の風が吹いた。それは湿った夜風ではない、柔らかい小春日のような暖かく乾いた風だった。
その風に導かれるように、ゆるゆると両手を離して声がする方に視線を向ければ、そこに見事な金髪の美しい女性がいた。私の上司であるメイド長、闇に堕ちたはずのその人が居た。
「………ユズリさん」
「ユズリなのか」
同時に声を発した私とレナザードを無視して、その人は乱れた髪を手櫛で直しながら口を開いた。
「酷いことを言ったと自覚しているなら、そんなの、素直に謝ればいいじゃない」
そうユズリは呆れた口調で言う。いつも通り、ちょっと苦笑を浮かべながら。
どれ一つとっても、気持ちに折り合いをつけるのは、とても難しいこと。まして今すぐに解決できることではない。だからと言って、消えたいなんて悲しいことを願わないで欲しい。
そう思うのは、私の高慢ちきな考えの押し付けに過ぎないのだろうか。でもそう思われてもいい。身勝手だと罵られてもいい。【あなた何様よ!】と、ユズリが闇から戻って、私をビンタしてくれるなら、私は喜んでそれを受け止める。
そんなことを考えていても、目の前の人はいつまでたっても手を取ってくれない。とうとう痺れを切らした私は、強引にその手を掴んだ。
「ここに来て帰らないっていう選択はナシにしてください。お屋敷、絶対にハチャメチャになっています。私、頑張ってお掃除しますが、なにせ襲撃の後の片付けは初めてなんで、わからないことだらけなんです。だから色々と教えてください」
メイド長のお仕事心をくすぐる言葉をかけてみる。案の定、少女の瞳は戸惑いと葛藤で揺れてくれた。無意識に少女の手を握る力が強くなる。
「片付けが終わったら、一緒にお茶を飲んでください。ユズリさん、お土産にお茶を買ってきてくれるって約束てくれましたよね?それを一緒に飲みましょう。ケイノフさまとダーナさまが果実をもいできてくれたんです。ユズリさん、ジャムの作り方も教えてくださいね。アスラリア国では、お茶にジャムを入れて飲むのが流行だったんで、きっとユズリさんも美味しいっていってくれると思います。試してみてください」
更に少女の瞳が揺れる。ちらちらと表情が変わる。少女とユズリ、互いの表情が交差している。あと少し、あと少しで、ユズリは戻ってきてくれるはず。けれど───。
「あと、それから……」
ここにきて言葉に詰まってしまった。
だって、今話しているのは、現実に出来ないことばかりだから。お屋敷がまだ残っているのかもわからない。キッチンにあった果物は間違いなく、炭になってるだろうし、ケイノフとダーナが無事なのかも、宵闇の森に消えてしまったリオンの行方すらわからない。
きゅっと唇を噛み締める。現実に出来ることを思い出せ、何でもいいから絞り出せと必死に自分に発破をかける。そして、数拍の間の後、私はユズリと交わしたある約束事を思い出した。
「ユズリさん、相談したいことがあるんですっ」
突然大声を出した私に、少女といえば良いのかユズリさんと言えばいいのかわからないその人は、はっと目を瞠った。
たったそれだけの仕草でわかる。慌ただしい出かける前の小さな約束。ほんの日常のひとこまに過ぎない、このことをユズリは覚えていてくれていた。
ユズリがいつから闇に堕ちてしまったのかわからない。けれど、あの時私は間違いなくユズリと約束したのだ。
「ユズリさん覚えてますよね?私の相談に乗ってくれるって言ってくれましたよね?」
縋りつかんばかりの私の問い掛けに、その人は小さく頷いてくれた。
これはきっとユズリを呼び戻す最後の切り札になる。そう確信した私は、乱れる息を整えて、相談したいことを、どもらないように迷走しないように頭の中で組み立ててみる。
まぁ………当初の予定では、仕事の合間の休憩時間に、ゆっくりお茶でも飲みながら気分は女子会的なノリで相談に乗ってもらいたかったけれど、そんなこと然したる問題ではない。
「聞いてくださいっ。私、好きな人に向かって【嘘つき】って言っちゃったんです!!」
もともと相談に乗ってもらいたかった内容とは別モノだけれど、これだって私にとっては即時解決を望む重要案件なのだ。
勢い良く言い放った私に、ユズリと少女の中間のその人が驚いたのは一瞬で、おずおずと口を開いてくれた。
「な、なんでまた……そんなことを……」
戸惑いながら相談に乗ってきてくれたその人に向かって、私は胸の内でぐるぐるしている相談内容を一気に語り出した。
「えっと、ちょっと不測の事態に襲われて、そこで別の人からの嘘を信じちゃったんです。今、考えたら……すぐに本当なの?って聞けばよかったんですけど、なにせ突然のことだったし、私、いっぱいいっぱいになっちゃって、早とちりしちゃって、【嘘つき】って決めつけちゃって……で、まだ、謝ってないんです」
つらつらと自分で説明をしながら、しでかしてしまった重さに落ち込んでしまう。
少女は語ってくれた。レナザードがバイドライル国の兵士に紛れて、仲間を救ってくれていたということを。ただ、そのことを聞いた時、既にいっぱいいっぱいだった私は、別のことを考えてしまっていた。
それにバイドライル国の使者が伝えたことは、あの時は嘘でも本当でもどっちでも良かった。レナザード達を無事に逃がせればそれでよかったから。
でも、レナザードにとったらバイドライル国の使者の言葉を信じた私を見てどう思ったのだろう。しかも、嘘つきと言われたのだ。絶対に傷付いたはず。
「いや、本当にどうしよう……」
そう呟きながら、私はずるずると体中の力が抜けていく。そして慣用句ではなく、本当に頭を抱えてしまった。
ただならぬ何かを感じたのだろう、ゆらりと後にいるレナザードが動く気配がする。でも別の意味でそちらを向くことができない。
今レナザードはどんな表情を浮かべているのだろうか。呆れを通り越した苦笑いなら救われるけれど、それ以外だったら、今度は私が闇に堕ちそうだ。
説得から相談に変わり、そして何故か一人落ち込み始めた私のすぐ傍にいた少女は、長い長い溜息を付いた後、急に気配が消えてしまった。
ちょっと待ってと慌てふためく私だったけれど、呆れた声が頭上から降ってきて、思わず息を呑む。
「あなたは、本当にうっかり者ね」
その声と共に一陣の風が吹いた。それは湿った夜風ではない、柔らかい小春日のような暖かく乾いた風だった。
その風に導かれるように、ゆるゆると両手を離して声がする方に視線を向ければ、そこに見事な金髪の美しい女性がいた。私の上司であるメイド長、闇に堕ちたはずのその人が居た。
「………ユズリさん」
「ユズリなのか」
同時に声を発した私とレナザードを無視して、その人は乱れた髪を手櫛で直しながら口を開いた。
「酷いことを言ったと自覚しているなら、そんなの、素直に謝ればいいじゃない」
そうユズリは呆れた口調で言う。いつも通り、ちょっと苦笑を浮かべながら。
0
お気に入りに追加
1,020
あなたにおすすめの小説
溺愛の始まりは魔眼でした。騎士団事務員の貧乏令嬢、片想いの騎士団長と婚約?!
参
恋愛
男爵令嬢ミナは実家が貧乏で騎士団の事務員と騎士団寮の炊事洗濯を掛け持ちして働いていた。ミナは騎士団長オレンに片想いしている。バレないようにしつつ長年真面目に働きオレンの信頼も得、休憩のお茶まで一緒にするようになった。
ある日、謎の香料を口にしてミナは魔法が宿る眼、魔眼に目覚める。魔眼のスキルは、筋肉のステータスが見え、良い筋肉が目の前にあると相手の服が破けてしまうものだった。ミナは無類の筋肉好きで、筋肉が近くで見られる騎士団は彼女にとっては天職だ。魔眼のせいでクビにされるわけにはいかない。なのにオレンの服をびりびりに破いてしまい魔眼のスキルを話さなければいけない状況になった。
全てを話すと、オレンはミナと協力して魔眼を治そうと提案する。対処法で筋肉を見たり触ったりすることから始まった。ミナが長い間封印していた絵描きの趣味も魔眼対策で復活し、よりオレンとの時間が増えていく。片想いがバレないようにするも何故か魔眼がバレてからオレンが好意的で距離も近くなり甘やかされてばかりでミナは戸惑う。別の日には我慢しすぎて自分の服を魔眼で破り真っ裸になった所をオレンに見られ彼は責任を取るとまで言いだして?!
※結構ふざけたラブコメです。
恋愛が苦手な女性シリーズ、前作と同じ世界線で描かれた2作品目です(続きものではなく単品で読めます)。今回は無自覚系恋愛苦手女性。
ヒロインによる一人称視点。全56話、一話あたり概ね1000~2000字程度で公開。
前々作「訳あり女装夫は契約結婚した副業男装妻の推し」前作「身体強化魔法で拳交える外交令嬢の拗らせ恋愛~隣国の悪役令嬢を妻にと連れてきた王子に本来の婚約者がいないとでも?~」と同じ時代・世界です。
※小説家になろう、ノベルアップ+にも投稿しています。※R15は保険です。
【完結】忘れられた王女は獣人皇帝に溺愛される
雑食ハラミ
恋愛
平民として働くロザリンドは、かつて王女だった。
貴族夫人の付添人としてこき使われる毎日だったロザリンドは、ある日王宮に呼び出される。そこで、父の国王と再会し、獣人が治める国タルホディアの皇帝に嫁ぐようにと命令された。
ロザリンドは戸惑いながらも、王族に復帰して付け焼刃の花嫁修業をすることになる。母が姦淫の罪で処刑された影響で身分をはく奪された彼女は、被差別対象の獣人に嫁がせるにはうってつけの存在であり、周囲の冷ややかな視線に耐えながら隣国タルホディアへと向かった。
しかし、新天地に着くなり早々体調を崩して倒れ、快復した後も夫となるレグルスは姿を現わさなかった。やはり自分は避けられているのだろうと思う彼女だったが、ある日宮殿の庭で放し飼いにされている不思議なライオンと出くわす。そのライオンは、まるで心が通じ合うかのように彼女に懐いたのであった。
これは、虐げられた王女が、様々な障害やすれ違いを乗り越えて、自分の居場所を見つけると共に夫となる皇帝と心を通わすまでのお話。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
追放された薬師は騎士と王子に溺愛される 薬を作るしか能がないのに、騎士団の皆さんが離してくれません!
沙寺絃
ファンタジー
唯一の肉親の母と死に別れ、田舎から王都にやってきて2年半。これまで薬師としてパーティーに尽くしてきた16歳の少女リゼットは、ある日突然追放を言い渡される。
「リゼット、お前はクビだ。お前がいるせいで俺たちはSランクパーティーになれないんだ。明日から俺たちに近付くんじゃないぞ、このお荷物が!」
Sランクパーティーを目指す仲間から、薬作りしかできないリゼットは疫病神扱いされ追放されてしまう。
さらにタイミングの悪いことに、下宿先の宿代が値上がりする。節約の為ダンジョンへ採取に出ると、魔物討伐任務中の王国騎士団と出くわした。
毒を受けた騎士団はリゼットの作る解毒薬に助けられる。そして最新の解析装置によると、リゼットは冒険者としてはFランクだが【調合師】としてはSSSランクだったと判明。騎士団はリゼットに感謝して、専属薬師として雇うことに決める。
騎士団で認められ、才能を開花させていくリゼット。一方でリゼットを追放したパーティーでは、クエストが失敗続き。連携も取りにくくなり、雲行きが怪しくなり始めていた――。
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。
石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。
雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。
一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。
ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。
その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。
愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる