72 / 89
終焉の始まり
もう一人のあなたが語る真実①
しおりを挟む
私を見下ろすその《少女》は、ユズリよりも私よりも幼く、けれども幻影のように美しく、闇夜に艶やかに咲く竜胆のような容姿だった。
「あなたは、ユズリさん……ではないですね?」
恐る恐る問いかける私に、少女は曖昧な笑みを浮かべた。
「うーん、いきなり質問されるなんて驚きだわ。普通の人間なら、悲鳴の一つぐらいあげてくれるものなんだけど。ふふっ、あなたはやっぱり面白い人ね」
私の問いかけには応えることなく、少女はさも面白そうに、ころころと無邪気に笑った。
反対に私は、この少女がユズリではないと確信した。だってユズリはどんなに忙しくても、何度も同じことを聞いてもちゃんと答えてくれた。一方的に言い放って、笑うような人ではない。
でも二人が、あっという間に入れ替わってしまったことが理解できず……その理由を知りたくて一歩、歩を進めようとした。けれど───。
「あまり動かないほうが身のためよ」
踏み込もうとした私に、少女は表情を厳しくして、片手を挙げると人差し指と薬指を僅かに折った。
「っ……っ痛」
刹那、私は全身が見えない何かに縛り上げられてしまった。
腕も足も、そして首にまで、目に見えない細い糸のようなものが絡みつき、身動きが取れない。そして、纏わりついた糸から吸い取られるように、自分の力が抜けていく。
「ユズリさんは……どこに……?」
「ここにいるわ」
痛みに顔を顰めながら問うた私に、少女はそう答えながら自分の胸を、とんとんと叩いた。まったく意味が分からない。
「あらあら、欠片も理解できていないようね。ま、私も人間に説明するのは初めてだから、ちょっと下手くそだったかもしれないわね」
少女はくすくすと口元に手を当てて笑う。そして再び口を開いた。
「初めまして、スラリス。私はユズリだけれど、あなたの知っているユズリではないわ。ユズリの身の内に潜むもう一人のユズリよ」
「……もう一人のユズリさん?」
ぽかんとしたまま、目を瞬せる私に、少女は困ったように小首を傾げた。
「せっかく自己紹介したのに、つれないわね。私、ずっとあなたとこうしてお話したかったのに」
そう少女は拗ねた口調で、唇を尖らす。その一つ一つの仕草は可憐でとても可愛らしい。だけど、私の本能が告げている、この少女はとても危険な存在だと。
警鐘が頭の中でぐわんぐわんと鳴り響く状態では、せっかく自己紹介をしてもらったけれど、私も初めましてと流暢に挨拶を返す余裕はどこにもない。そして、少女も私の自己紹介など期待していなかったようで、表情を厳しくしてこう言った。
「大人しくしてて。あと少ししたらお迎えがくるから。それまでしばらく私とおしゃべりでもしてましょう。あなたが知りたいこと、私が教えてあげる」
そう言い切った後、少女は表情を一変させ、にこりと私に笑みを向けた。その瞬間、ざわりと悪寒が走った。
だけど、そんな私を捨て置いて、少女は静かに語り出した。
「私達はね、悪魔遣いと呼ばれているの。別名《オルガの民》あ、《影の一族》なんて言われることもあったっけ。とにかく、この世界からはみ出した異形の者なのよ」
その言葉に、弾かれてように見上げてしまう。枝に腰掛けている少女の瞳はほんの少し翳っていた。静かに語りだした鈴のような声が闇森に木霊して、奇々怪々とする話なのにどこか物悲しい。
「悪魔遣い……ですか?」
思わず零れるように呟いた問いに、少女はゆっくり是と頷いた。
「そう。でも初代の悪魔遣いは、もともとは精霊と呼ばれる草木など自然界の種々の物に宿ると考えられる魂と調和ができる力を持っていただけなの。ただ、反対に精霊達は初代の悪魔遣いを愛していた。だから必要以上に彼に力を与えてしまったの。そして稀有な力を手に入れた彼は精霊と人間が共存できる為の、大国を築いたの。と、いうこでただの人間だった男は精霊遣いとなり、あれよあれよと言う間に王となって身に付けた術で外敵から国を護っていたのよ。たった一人でね」
微かに笑みを漏らしながら、少女は語りかけてくる。まるでリオンにおとぎ話を聞かせるような、歌うような口調で。
「でもね、人一人の力には限界があるの。もともと精霊の力で得た術は、人々の咎や憂いを取り除くために使われる為のものだったのだけれど、より強力な力を手に入れようとして、いつしか闇に囚われてしまったわ。王は最後には、禁忌と呼ばれる自らの身に悪しきものを取り込む術に手を染めてしまったの。もちろん力は強大になったわ。でも……禁忌を犯して手に入れた力で、次第に王自身が闇へ闇へと引きずり込まれていったのよ。そしてあっけなく国も滅んでしまった。今はその痕跡すらないわ」
さらさらと夜風が少女の髪をなびかせる。闇に引きずり込まれていた祖先の話をしているというのに、少女は表情を変えずに淡々と語っていた。けれど、突然私に向かって問い掛けた。
「ねぇスラリス、自らの身に悪しきものを取り込んだらどうなると思う?」
そんなものわかるわけが無い。身体に悪いことは間違いないけれど、そんな当たり前のことを聞いてるわけじゃない。でも、どんなに想像しても、それ以上の答えなんて出てこない。だから私はその問いにただ首を横に振ることしかできなかった。
私の答えを予想していたのか少女は、表情を崩すことなく、そうよね、と呟いた。
「王は、あっという間に《悪魔遣い》とよばれるようになったわ。そして、人間じゃなくなったわ。その証拠に人が持って産まれて来ることがない瞳と髪の色になったの。ま、そこで終わればただの夢物語で終わるんだけど、皮肉なことに国が滅んでも王は、生き残ってしまったのよ。そして山間の僻地でひっそりと生き延びて……子孫を残してしまったの。そしてその血を受け継ぐ一族は、生涯その身にもう一つ、悪しきもの潜まして生きるのが運命となってしまったわ」
どうしよう。少女の言葉が理解できない。きっととても大事なことを話してくれたはずなのに、ただの音となって、耳からすり抜けて行ってしまう。
だって想像を絶する言葉だ。得体の知れない何かが、自分の内に潜むなんて。そしてそれが一生続くなんて、想像すらできない。
屋敷の庭でケイノフとダーナに問われた時もそうだったように、想像できないものほど、恐ろしいものはない。
「あなたは、ユズリさん……ではないですね?」
恐る恐る問いかける私に、少女は曖昧な笑みを浮かべた。
「うーん、いきなり質問されるなんて驚きだわ。普通の人間なら、悲鳴の一つぐらいあげてくれるものなんだけど。ふふっ、あなたはやっぱり面白い人ね」
私の問いかけには応えることなく、少女はさも面白そうに、ころころと無邪気に笑った。
反対に私は、この少女がユズリではないと確信した。だってユズリはどんなに忙しくても、何度も同じことを聞いてもちゃんと答えてくれた。一方的に言い放って、笑うような人ではない。
でも二人が、あっという間に入れ替わってしまったことが理解できず……その理由を知りたくて一歩、歩を進めようとした。けれど───。
「あまり動かないほうが身のためよ」
踏み込もうとした私に、少女は表情を厳しくして、片手を挙げると人差し指と薬指を僅かに折った。
「っ……っ痛」
刹那、私は全身が見えない何かに縛り上げられてしまった。
腕も足も、そして首にまで、目に見えない細い糸のようなものが絡みつき、身動きが取れない。そして、纏わりついた糸から吸い取られるように、自分の力が抜けていく。
「ユズリさんは……どこに……?」
「ここにいるわ」
痛みに顔を顰めながら問うた私に、少女はそう答えながら自分の胸を、とんとんと叩いた。まったく意味が分からない。
「あらあら、欠片も理解できていないようね。ま、私も人間に説明するのは初めてだから、ちょっと下手くそだったかもしれないわね」
少女はくすくすと口元に手を当てて笑う。そして再び口を開いた。
「初めまして、スラリス。私はユズリだけれど、あなたの知っているユズリではないわ。ユズリの身の内に潜むもう一人のユズリよ」
「……もう一人のユズリさん?」
ぽかんとしたまま、目を瞬せる私に、少女は困ったように小首を傾げた。
「せっかく自己紹介したのに、つれないわね。私、ずっとあなたとこうしてお話したかったのに」
そう少女は拗ねた口調で、唇を尖らす。その一つ一つの仕草は可憐でとても可愛らしい。だけど、私の本能が告げている、この少女はとても危険な存在だと。
警鐘が頭の中でぐわんぐわんと鳴り響く状態では、せっかく自己紹介をしてもらったけれど、私も初めましてと流暢に挨拶を返す余裕はどこにもない。そして、少女も私の自己紹介など期待していなかったようで、表情を厳しくしてこう言った。
「大人しくしてて。あと少ししたらお迎えがくるから。それまでしばらく私とおしゃべりでもしてましょう。あなたが知りたいこと、私が教えてあげる」
そう言い切った後、少女は表情を一変させ、にこりと私に笑みを向けた。その瞬間、ざわりと悪寒が走った。
だけど、そんな私を捨て置いて、少女は静かに語り出した。
「私達はね、悪魔遣いと呼ばれているの。別名《オルガの民》あ、《影の一族》なんて言われることもあったっけ。とにかく、この世界からはみ出した異形の者なのよ」
その言葉に、弾かれてように見上げてしまう。枝に腰掛けている少女の瞳はほんの少し翳っていた。静かに語りだした鈴のような声が闇森に木霊して、奇々怪々とする話なのにどこか物悲しい。
「悪魔遣い……ですか?」
思わず零れるように呟いた問いに、少女はゆっくり是と頷いた。
「そう。でも初代の悪魔遣いは、もともとは精霊と呼ばれる草木など自然界の種々の物に宿ると考えられる魂と調和ができる力を持っていただけなの。ただ、反対に精霊達は初代の悪魔遣いを愛していた。だから必要以上に彼に力を与えてしまったの。そして稀有な力を手に入れた彼は精霊と人間が共存できる為の、大国を築いたの。と、いうこでただの人間だった男は精霊遣いとなり、あれよあれよと言う間に王となって身に付けた術で外敵から国を護っていたのよ。たった一人でね」
微かに笑みを漏らしながら、少女は語りかけてくる。まるでリオンにおとぎ話を聞かせるような、歌うような口調で。
「でもね、人一人の力には限界があるの。もともと精霊の力で得た術は、人々の咎や憂いを取り除くために使われる為のものだったのだけれど、より強力な力を手に入れようとして、いつしか闇に囚われてしまったわ。王は最後には、禁忌と呼ばれる自らの身に悪しきものを取り込む術に手を染めてしまったの。もちろん力は強大になったわ。でも……禁忌を犯して手に入れた力で、次第に王自身が闇へ闇へと引きずり込まれていったのよ。そしてあっけなく国も滅んでしまった。今はその痕跡すらないわ」
さらさらと夜風が少女の髪をなびかせる。闇に引きずり込まれていた祖先の話をしているというのに、少女は表情を変えずに淡々と語っていた。けれど、突然私に向かって問い掛けた。
「ねぇスラリス、自らの身に悪しきものを取り込んだらどうなると思う?」
そんなものわかるわけが無い。身体に悪いことは間違いないけれど、そんな当たり前のことを聞いてるわけじゃない。でも、どんなに想像しても、それ以上の答えなんて出てこない。だから私はその問いにただ首を横に振ることしかできなかった。
私の答えを予想していたのか少女は、表情を崩すことなく、そうよね、と呟いた。
「王は、あっという間に《悪魔遣い》とよばれるようになったわ。そして、人間じゃなくなったわ。その証拠に人が持って産まれて来ることがない瞳と髪の色になったの。ま、そこで終わればただの夢物語で終わるんだけど、皮肉なことに国が滅んでも王は、生き残ってしまったのよ。そして山間の僻地でひっそりと生き延びて……子孫を残してしまったの。そしてその血を受け継ぐ一族は、生涯その身にもう一つ、悪しきもの潜まして生きるのが運命となってしまったわ」
どうしよう。少女の言葉が理解できない。きっととても大事なことを話してくれたはずなのに、ただの音となって、耳からすり抜けて行ってしまう。
だって想像を絶する言葉だ。得体の知れない何かが、自分の内に潜むなんて。そしてそれが一生続くなんて、想像すらできない。
屋敷の庭でケイノフとダーナに問われた時もそうだったように、想像できないものほど、恐ろしいものはない。
0
お気に入りに追加
1,020
あなたにおすすめの小説
溺愛の始まりは魔眼でした。騎士団事務員の貧乏令嬢、片想いの騎士団長と婚約?!
参
恋愛
男爵令嬢ミナは実家が貧乏で騎士団の事務員と騎士団寮の炊事洗濯を掛け持ちして働いていた。ミナは騎士団長オレンに片想いしている。バレないようにしつつ長年真面目に働きオレンの信頼も得、休憩のお茶まで一緒にするようになった。
ある日、謎の香料を口にしてミナは魔法が宿る眼、魔眼に目覚める。魔眼のスキルは、筋肉のステータスが見え、良い筋肉が目の前にあると相手の服が破けてしまうものだった。ミナは無類の筋肉好きで、筋肉が近くで見られる騎士団は彼女にとっては天職だ。魔眼のせいでクビにされるわけにはいかない。なのにオレンの服をびりびりに破いてしまい魔眼のスキルを話さなければいけない状況になった。
全てを話すと、オレンはミナと協力して魔眼を治そうと提案する。対処法で筋肉を見たり触ったりすることから始まった。ミナが長い間封印していた絵描きの趣味も魔眼対策で復活し、よりオレンとの時間が増えていく。片想いがバレないようにするも何故か魔眼がバレてからオレンが好意的で距離も近くなり甘やかされてばかりでミナは戸惑う。別の日には我慢しすぎて自分の服を魔眼で破り真っ裸になった所をオレンに見られ彼は責任を取るとまで言いだして?!
※結構ふざけたラブコメです。
恋愛が苦手な女性シリーズ、前作と同じ世界線で描かれた2作品目です(続きものではなく単品で読めます)。今回は無自覚系恋愛苦手女性。
ヒロインによる一人称視点。全56話、一話あたり概ね1000~2000字程度で公開。
前々作「訳あり女装夫は契約結婚した副業男装妻の推し」前作「身体強化魔法で拳交える外交令嬢の拗らせ恋愛~隣国の悪役令嬢を妻にと連れてきた王子に本来の婚約者がいないとでも?~」と同じ時代・世界です。
※小説家になろう、ノベルアップ+にも投稿しています。※R15は保険です。
【完結】忘れられた王女は獣人皇帝に溺愛される
雑食ハラミ
恋愛
平民として働くロザリンドは、かつて王女だった。
貴族夫人の付添人としてこき使われる毎日だったロザリンドは、ある日王宮に呼び出される。そこで、父の国王と再会し、獣人が治める国タルホディアの皇帝に嫁ぐようにと命令された。
ロザリンドは戸惑いながらも、王族に復帰して付け焼刃の花嫁修業をすることになる。母が姦淫の罪で処刑された影響で身分をはく奪された彼女は、被差別対象の獣人に嫁がせるにはうってつけの存在であり、周囲の冷ややかな視線に耐えながら隣国タルホディアへと向かった。
しかし、新天地に着くなり早々体調を崩して倒れ、快復した後も夫となるレグルスは姿を現わさなかった。やはり自分は避けられているのだろうと思う彼女だったが、ある日宮殿の庭で放し飼いにされている不思議なライオンと出くわす。そのライオンは、まるで心が通じ合うかのように彼女に懐いたのであった。
これは、虐げられた王女が、様々な障害やすれ違いを乗り越えて、自分の居場所を見つけると共に夫となる皇帝と心を通わすまでのお話。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
追放された薬師は騎士と王子に溺愛される 薬を作るしか能がないのに、騎士団の皆さんが離してくれません!
沙寺絃
ファンタジー
唯一の肉親の母と死に別れ、田舎から王都にやってきて2年半。これまで薬師としてパーティーに尽くしてきた16歳の少女リゼットは、ある日突然追放を言い渡される。
「リゼット、お前はクビだ。お前がいるせいで俺たちはSランクパーティーになれないんだ。明日から俺たちに近付くんじゃないぞ、このお荷物が!」
Sランクパーティーを目指す仲間から、薬作りしかできないリゼットは疫病神扱いされ追放されてしまう。
さらにタイミングの悪いことに、下宿先の宿代が値上がりする。節約の為ダンジョンへ採取に出ると、魔物討伐任務中の王国騎士団と出くわした。
毒を受けた騎士団はリゼットの作る解毒薬に助けられる。そして最新の解析装置によると、リゼットは冒険者としてはFランクだが【調合師】としてはSSSランクだったと判明。騎士団はリゼットに感謝して、専属薬師として雇うことに決める。
騎士団で認められ、才能を開花させていくリゼット。一方でリゼットを追放したパーティーでは、クエストが失敗続き。連携も取りにくくなり、雲行きが怪しくなり始めていた――。
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる