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十六夜に願うのは
確信と予想外のお誘い
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かちゃかちゃと耳障りにならない程度に、食器を持ち上げする音だけが部屋に響く。結局、私は間抜けな返事をした後、レナザードと共に朝食を取ることになってしまった。
ちなみにレナザードの部屋は本に埋もれているので、空いている場所はとても少ない。そして食事を取るために使っているテーブルも一人用なのでこれまた小さい。最初はその二つを理由に断った。けれどレナザードは【ワゴンを補助テーブルとして使えば良い】とあっさりと結論付けてしまい、今に至る。
そして、小さなテーブルで向かい合っている私達の距離はとてつもなく近い。近すぎるのだ。
雨宿りをした時も少し動けば肩が触れ合う程に近かった。けれど同じ方向を向いていたので、前さえ向いていればあまり距離を感じることはなかった。
でも今は違う。ちょっとでも気を抜けばレナザードと眼が合ってしまう。それはつまりレナザードも至近距離で私を見ているということ。
そう気付いた途端、体が急にこわばる。緊張していると意識した途端、ひどく落ち着かなくなる。ちらりとレナザードを見ると、優雅に………というか黙々と食事を進めている。どうやら緊張していたのは私だけのようだった。
レナザードが朝食を誘った理由はわからない。多分気まぐれの類だろう。でもこんな至近距離で彼を見つめることができるなんてかなりレアだ。ということで、彼が私の視線に気付いていないなら、今がチャンスとばかりにレナザードを観察することにした。
窓から差し込む陽の光で今日もレナザードの毛先は金色に輝いている。そして陽の指している側の瞳だけ同じく金色だ。やっぱりここは記憶の中の少年と同じ。
それから他にも記憶と一致するところがないか、レナザードの指先から上にゆっくりと視線を動かした。そして首筋から顎を眺め、額に視線を移そうとした瞬間、心臓がドクンと跳ねた。
レナザードの眉の上にはうっすらと傷跡があった。ほとんど消えかけているその傷跡は、言い換えるならかなり古いもの。記憶の中の少年も同じところに傷を負ったことがある。忘れる訳がない、だって私が手当てをしたのだから。そして、顔面血だらけの少年を見て絶叫してしまったのだから。
怪我人の少年のほうが、びっくりして泣き叫ぶ私を心配してくれて、もう二度と顔に怪我を負わないと約束してくれたのだ。今思えば相当な無茶ぶりだったなと思う。でもレナザードの顔には他に傷跡は見当たらない。もしかして、あの約束を覚えていてくれているのだろうか。
「俺の顔に何か付いているのか?」
レナザードに声を掛けられ、はっと私は我に返った。凝視していたことをいつから気づかれていたのだろう。
「あ、はい。あの………いいえ」
「で、どっちなんだ?」
適当な言い訳が見つからず挙動不審になってしまう私を見つめるレナザードの表情は、なぜか意地悪く片方の唇を釣り上げている。
「俺の顔を見ながらだと食事が進むのなら、別に構わないぞ」
「……………………」
この場を和まそうとして彼なりに冗談を言ってくれたのだろう。でも、私は傷跡に気を取られてしまい、彼に応えることができなかった。それをレナザードは何か言いたいことがあると気付いたのだろう。強要はしないが、逆らうことができない口調で話せと私に言った。
「あの、ここの傷痛かったですか?」
聞いて良いのかという戸惑う気持ちはもちろんあったけれど、気付けばそう口に出していた。
そして私が自分の眉の上を指差しながらレナザードに聞いてみた途端、レナザードはなんだそんなことかと苦笑を漏らした。
「ああ、どうだろう。昔のこと過ぎて覚えてないな。そんなに目立つか?」
やっぱり、そうか。確信を一つ得ることができた。ただ、それを口にできない私は、取り繕うような言葉を口にすることしかできなかった。
「いいえ。私も今、気付いたぐらいですから、全然、目立ちません。ただ、随分とやんちゃ………あ、いえ、溌剌とした少年だったのですね」
「………スラリス、別に言い換えなくていいぞ。確かに俺はやんちゃと言われればそうだったな。大人達も手を焼いていたし、傷も多かったぞ」
あの頃会えば必ず、少年は大なり小なり怪我を負っていた。
ただ、私といた時は乱暴な口調でもなく物腰も穏やかだったので、大人の手を焼かす程にやんちゃだったとは思えない。
でも私といえば、少年に会いたくて、しょちゅうお城を抜け出そうとしていた。きっと大人たちはそんな私に随分と手を焼いていたのだろう。もし彼が私と同じ理由で大人の手を焼かしていたとするなら……
「そういえば、よくティリアに傷の手当をしてもらったな」
あの頃の少年の記憶をたどっていた私は、懐かしそうに微笑みながらさらりと言ったそのレナザードの言葉に、心臓を鷲掴みにされたような気がした。間違いない、私の記憶の中にいる少年はレナザードだ。
そして確固たる確信を得た今、記憶の中の少年とレナザードが重なった。その途端、随分大きくなったものだと感慨深い気持ちになってしまう。出会った頃は背は同じくらいだったのに、あっという間に私を追い越してしまったんだ。
不意に泣きたくなった。
バイドライル国が攻めてこなけば、そして私が落城の際にティリア王女の身代わりにならなければ、幼い頃に出会った少年はずっと私の記憶の奥底に眠ったままだったのだ。
思い出すことができて良かった。
もう一度再会することができて本当に良かった。
私は自分の本当の名前を言えない罪悪感から、彼の名前を聞くことができなかった。そんな名前も知らない朧げな存在でしかなかった少年が今ここにいる。
そのことをじわじわと実感すると共に匙を持つ手が震えて、滑り落しそうになって慌ててテーブルに置く。
「もう食べないのか?スラリス」
「……はい、ごちそうさまでした」
心配そうにこちらを見るレナザードに少し微笑んでそう返す。胸がいっぱいになってこれ以上食べることはできそうにない。答えた瞬間、不満げなレナザードの視線を感じたけれど、咎められる程は残していないので気付かないふりをする。
それでもレナザードは何か言いたげの様子だ。だから彼が口を開く前に片付けますと断りを入れ、手際よくレナザードと自分の食器をワゴンに収めて席を立つ。
「お誘いありがとうございました。では、失礼します」
レナザードに向かって一礼すると、部屋の入り口まで歩を進めた。そして扉に手を掛けようとする前に、無意識に部屋にある膨大な本を一瞥してしまった。
ティリア王女の身代わりとしての教育はとても厳しいものだったけれど、読み書きを教えて貰えたのは感謝している。
アスラリア国は貧しい国だったから教育施設は充実していたとは言い難がった。商人、貴族の子供はそれなりの教育を受けることができたけれど、農民の子供……しかも私が産まれたのは辺境の村だったから学校すらなかったのだ。
王城へ来て文字を読めるようになって私は本という存在を知った。それから物語を読むことが大好きになった。しかし、メイドの給金では本は高価なものだったので、貸本屋に頼るしかなく、しかも頼りの貸本屋のラインナップは店主の趣味全開の狩猟の本ばかりで物語は殆ど置いてなかった。
そんな経緯もあり、目の前に溢れんばかりの本がある。ここに未だ読んだことが無い物語がある。となると、読みたい気持ちを抑えきれずに、うずうずしてしまう気持ちを隠せない。
しかしここは図書室ではない。お屋敷の主様のお部屋。メイドが私情で触れて良いものなど一つも無い。
「お前そんなに本が好きなのか?」
「え?」
レナザードの突然の問いに、私は反射的に振り返った。彼はメイドの不躾な視線を咎めるどころか、穏かな微笑みを浮かべていた。
「さっさとそれを置いて、ここに戻って来い。好きなだけ読ましてやる」
「はっ……はい!」
その言葉を聞いた途端、私は一目散にキッチンへと走り出していた。
ちなみにレナザードの部屋は本に埋もれているので、空いている場所はとても少ない。そして食事を取るために使っているテーブルも一人用なのでこれまた小さい。最初はその二つを理由に断った。けれどレナザードは【ワゴンを補助テーブルとして使えば良い】とあっさりと結論付けてしまい、今に至る。
そして、小さなテーブルで向かい合っている私達の距離はとてつもなく近い。近すぎるのだ。
雨宿りをした時も少し動けば肩が触れ合う程に近かった。けれど同じ方向を向いていたので、前さえ向いていればあまり距離を感じることはなかった。
でも今は違う。ちょっとでも気を抜けばレナザードと眼が合ってしまう。それはつまりレナザードも至近距離で私を見ているということ。
そう気付いた途端、体が急にこわばる。緊張していると意識した途端、ひどく落ち着かなくなる。ちらりとレナザードを見ると、優雅に………というか黙々と食事を進めている。どうやら緊張していたのは私だけのようだった。
レナザードが朝食を誘った理由はわからない。多分気まぐれの類だろう。でもこんな至近距離で彼を見つめることができるなんてかなりレアだ。ということで、彼が私の視線に気付いていないなら、今がチャンスとばかりにレナザードを観察することにした。
窓から差し込む陽の光で今日もレナザードの毛先は金色に輝いている。そして陽の指している側の瞳だけ同じく金色だ。やっぱりここは記憶の中の少年と同じ。
それから他にも記憶と一致するところがないか、レナザードの指先から上にゆっくりと視線を動かした。そして首筋から顎を眺め、額に視線を移そうとした瞬間、心臓がドクンと跳ねた。
レナザードの眉の上にはうっすらと傷跡があった。ほとんど消えかけているその傷跡は、言い換えるならかなり古いもの。記憶の中の少年も同じところに傷を負ったことがある。忘れる訳がない、だって私が手当てをしたのだから。そして、顔面血だらけの少年を見て絶叫してしまったのだから。
怪我人の少年のほうが、びっくりして泣き叫ぶ私を心配してくれて、もう二度と顔に怪我を負わないと約束してくれたのだ。今思えば相当な無茶ぶりだったなと思う。でもレナザードの顔には他に傷跡は見当たらない。もしかして、あの約束を覚えていてくれているのだろうか。
「俺の顔に何か付いているのか?」
レナザードに声を掛けられ、はっと私は我に返った。凝視していたことをいつから気づかれていたのだろう。
「あ、はい。あの………いいえ」
「で、どっちなんだ?」
適当な言い訳が見つからず挙動不審になってしまう私を見つめるレナザードの表情は、なぜか意地悪く片方の唇を釣り上げている。
「俺の顔を見ながらだと食事が進むのなら、別に構わないぞ」
「……………………」
この場を和まそうとして彼なりに冗談を言ってくれたのだろう。でも、私は傷跡に気を取られてしまい、彼に応えることができなかった。それをレナザードは何か言いたいことがあると気付いたのだろう。強要はしないが、逆らうことができない口調で話せと私に言った。
「あの、ここの傷痛かったですか?」
聞いて良いのかという戸惑う気持ちはもちろんあったけれど、気付けばそう口に出していた。
そして私が自分の眉の上を指差しながらレナザードに聞いてみた途端、レナザードはなんだそんなことかと苦笑を漏らした。
「ああ、どうだろう。昔のこと過ぎて覚えてないな。そんなに目立つか?」
やっぱり、そうか。確信を一つ得ることができた。ただ、それを口にできない私は、取り繕うような言葉を口にすることしかできなかった。
「いいえ。私も今、気付いたぐらいですから、全然、目立ちません。ただ、随分とやんちゃ………あ、いえ、溌剌とした少年だったのですね」
「………スラリス、別に言い換えなくていいぞ。確かに俺はやんちゃと言われればそうだったな。大人達も手を焼いていたし、傷も多かったぞ」
あの頃会えば必ず、少年は大なり小なり怪我を負っていた。
ただ、私といた時は乱暴な口調でもなく物腰も穏やかだったので、大人の手を焼かす程にやんちゃだったとは思えない。
でも私といえば、少年に会いたくて、しょちゅうお城を抜け出そうとしていた。きっと大人たちはそんな私に随分と手を焼いていたのだろう。もし彼が私と同じ理由で大人の手を焼かしていたとするなら……
「そういえば、よくティリアに傷の手当をしてもらったな」
あの頃の少年の記憶をたどっていた私は、懐かしそうに微笑みながらさらりと言ったそのレナザードの言葉に、心臓を鷲掴みにされたような気がした。間違いない、私の記憶の中にいる少年はレナザードだ。
そして確固たる確信を得た今、記憶の中の少年とレナザードが重なった。その途端、随分大きくなったものだと感慨深い気持ちになってしまう。出会った頃は背は同じくらいだったのに、あっという間に私を追い越してしまったんだ。
不意に泣きたくなった。
バイドライル国が攻めてこなけば、そして私が落城の際にティリア王女の身代わりにならなければ、幼い頃に出会った少年はずっと私の記憶の奥底に眠ったままだったのだ。
思い出すことができて良かった。
もう一度再会することができて本当に良かった。
私は自分の本当の名前を言えない罪悪感から、彼の名前を聞くことができなかった。そんな名前も知らない朧げな存在でしかなかった少年が今ここにいる。
そのことをじわじわと実感すると共に匙を持つ手が震えて、滑り落しそうになって慌ててテーブルに置く。
「もう食べないのか?スラリス」
「……はい、ごちそうさまでした」
心配そうにこちらを見るレナザードに少し微笑んでそう返す。胸がいっぱいになってこれ以上食べることはできそうにない。答えた瞬間、不満げなレナザードの視線を感じたけれど、咎められる程は残していないので気付かないふりをする。
それでもレナザードは何か言いたげの様子だ。だから彼が口を開く前に片付けますと断りを入れ、手際よくレナザードと自分の食器をワゴンに収めて席を立つ。
「お誘いありがとうございました。では、失礼します」
レナザードに向かって一礼すると、部屋の入り口まで歩を進めた。そして扉に手を掛けようとする前に、無意識に部屋にある膨大な本を一瞥してしまった。
ティリア王女の身代わりとしての教育はとても厳しいものだったけれど、読み書きを教えて貰えたのは感謝している。
アスラリア国は貧しい国だったから教育施設は充実していたとは言い難がった。商人、貴族の子供はそれなりの教育を受けることができたけれど、農民の子供……しかも私が産まれたのは辺境の村だったから学校すらなかったのだ。
王城へ来て文字を読めるようになって私は本という存在を知った。それから物語を読むことが大好きになった。しかし、メイドの給金では本は高価なものだったので、貸本屋に頼るしかなく、しかも頼りの貸本屋のラインナップは店主の趣味全開の狩猟の本ばかりで物語は殆ど置いてなかった。
そんな経緯もあり、目の前に溢れんばかりの本がある。ここに未だ読んだことが無い物語がある。となると、読みたい気持ちを抑えきれずに、うずうずしてしまう気持ちを隠せない。
しかしここは図書室ではない。お屋敷の主様のお部屋。メイドが私情で触れて良いものなど一つも無い。
「お前そんなに本が好きなのか?」
「え?」
レナザードの突然の問いに、私は反射的に振り返った。彼はメイドの不躾な視線を咎めるどころか、穏かな微笑みを浮かべていた。
「さっさとそれを置いて、ここに戻って来い。好きなだけ読ましてやる」
「はっ……はい!」
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