30 / 89
季節外れのリュシオル
★雨が運んだ思わぬ邂逅【レナザード視点】①
しおりを挟む
今にも降り出しそうな曇天の空を見上げて、レナザードはふと思う。
春が来て花が咲けば、雨が降る。満開の花々は雨の雫に打たれ、その意思とは関係なく雨粒に混ざり花びらが落とされていく。
毎年のことだが、雨に打たれる花は死に急ぐ剣士のようで、レナザードは花と雨はあまり好きな組み合わせではない。
花びらはは舞うものだ。風に遊ばれ自由奔放に咲きたいときに咲き、散りたいときに舞い散るものだ。
しかし、散っていく花びらは、何を思うのであろう。舞っているのか、散らされているのか。その姿はあの少女、スラリスに似ている。
自分の意思と関係なく、振り回されるその姿は、運命に翻弄される花びらのようなもの。
「……って、おい、俺は何考えているんだ?」
東屋に続く渡り廊下で、レナザードはそう呟いて腕を組み溜息を付く。結局、詩人のような気持ちで春の庭を眺めていても、ケイノフの言葉が気になってしまい、辿り着くのはいつも彼女のこと。
『スラリスはあなたが望むものではないかもしれませんが、あなたの望むものを与えてくれるはずです』
淡々と自分に吐いたあの言葉が、何故か今も胸につかえている。レナザードはこの不明瞭な気持ちを打ち消すように、手首に巻かれている腕輪を掴んだ。
望みも、求めるものも同じ。ただ一つだけだ。それ以外は何もいらない。そう自分に言い聞かせるようにぐっと拳を握り締め、腕輪を見つめる。腕に巻かれているそれは、数珠の形をしている腕輪のように見える。
が、しかしこれは呪具であり禍々しいもの。そしてあの日から、一つだけ宝飾が欠けたままでいるのは、あの日の約束の証が果たされていないから。
「どんな手を使っても手に入れる。たとえ多少の血が流れても」
再びそう呟いて空を仰げば、背後からふわりと風が舞った。
「主様、その姿は一族の長というよりも、想い人を待ちわびる一人の青年の姿のようですね」
その言葉と同時にレナザードと同じ赤茶色髪の男が突如として現れたが、レナザードな特に驚く風でもなく、ちらりと視線を投げただけで再び視線を庭へと戻す。
突然現れた男は、レナザードの身の内に潜むもの。屋敷にいるものは皆、レナザードと同じように自分の身の内にもう一体のものを抱えている。
しかし、そのもの達が具現化することは殆どない。レナザードのを除いては。
気分気ままに現れた人外の男は、主のつれない態度はいつものことと気分を害することなく再び口を開いた。
「主さま見てください。スラリスがいますよ」
男はそう言って屋敷のある方向を指さす。つられるようにレナザードも男の指し示した先を追う。そうすれば彷徨わすことなく、すぐにスラリスの姿を見つけることができた。
レナザードの視線に気付いてないスラリスは、穏かな笑みを浮かべながら、やんちゃ盛りのリオンを相手に窓ふきをしていた。
ずいぶんと懐かれたなと、レナザードを苦笑を漏らす。警戒心の強いリオンが、スラリスの傍から離れないのは予想外であった。
リオンもまた人外のもの。こうして人の姿を保つのに、相当の妖力が必要になる。だというのに、毎日、子供の姿となりスラリスの傍にいるのは健気なことである。
そんなことをぼんやりと考えながら、スラリスを見つめていたレナザードの表情はどういうものだったか………それは、ここにいる男にしか見ることができないのが残念だ。
「ずいぶんきれいになりましたね」
「…………そうか?」
男の問いかけにレナザードは気のないふりをしながら適当に返事をする。が、確かにスラリスの浮かべている笑みは、ここへ来た頃のような堅い笑みではない。但し、その柔らかい笑みは自分に向けられたことはない。それに気付いた瞬間、軽い苛立ちが生まれる。
その苛立ちがどこから来るものなのかわからないレナザードは、無意識に眉間に皺を刻んだ。それを別の意味で解釈した男は目を丸くした。
「おやまぁ、主さまの目は節穴ですか?スラリスはここに来た頃より溌溂として笑顔も可愛らしく、花が良く似合いますこと」
「…………そうか?」
わざわざお前にそんなことを言われなくても分かっている。
そう言いかけた言葉を飲み込んで、レナザードは先ほどと同じようにおざなりにうなずくだけだ。
「それに引き換え……主さまは……」
ちらりとレナザードに視線を移した男は、可笑しくてたまらないといった感じてくっくと喉を鳴らした。そして無言のまま睨みつけるレナザードにゆったりと笑みを向けながら、意味有りげな視線を投げかける。
「女性は恋をすると綺麗になると言いますが、殿方ときたら、てんで駄目ですね」
「…………お前、何が言いたいんだ?」
さすがに度の超えた男の発言に、レナザードは乱暴に渡り廊下の手すりに寄りかかりながら、ぎろりと睨みつけた。
しかしレナザードに睨まれた男は、怯えるどころか信じられないと口元に手を覆いながら、ゆるゆると後ずさりをする。
「おやまあ…………恐ろしい。主さまは気付いておられないのですか?」
「だから何がだ、ちっ」
舌打ちと共に、さらにレナザードが鋭く睨みつければ男は、おお怖いと白々しく身震いさせ、とんと地面を蹴った。
ありえないことにその瞬間、男の身体は宙に浮く。でもレナザードは動揺する素振りはみせない。つまり、これもまた彼の日常ということ。
「わたくしの口からは言えませぬ。もう少々一人お悩み下さいませ」
そう男はレナザードに言い残して、一陣の風と共にふわりと消えていった。消え去った男に向かってレナザードは溜息を付く。
最近、どうもこの屋敷の住人は自分に対して捨て台詞を吐いて去っていく。激高という程ではないが、主という立場として怒りを感じたレナザードの頭上に、天から頭を冷やせと言わんばかりにぽたぽたと雫が降って来た。
泣きっ面に蜂とまではいかないが、踏んだり蹴ったりだと再び溜息を付きながら東屋へと移動した。
再び視線を屋敷に移せば、そこにスラリスの姿はなかった。既に仕事を終え、別の仕事の為に移動してしまったのだろう。小さい身体に似合わずスラリスはくるくると良く動く。
見失ってしまったことに軽い後悔を覚えると共に、もしかしたら別の場所にいるかもと、少し横にずらせば予想通りスラリスがいた。
スラリスも雨に気付いたのだろう。
窓から見えた彼女は、両頬に手を当てこの世の終わりというような表情を浮かべている。たかだか雨ごときに、そこまで悲壮な表情を浮かべなくても、と呆れてしまう。
そしてスラリスは、はっと何かを思い出して、ばたばたと大急ぎで廊下を駆けだして行った。
あっという間に消えてしまったスラリスの姿の行く先はわからない。再び視界に入るかも、と淡い期待を持ち屋敷を見つめていたが、どこからかぱしゃぱしゃと水を踏む音が聞こえ、それがこちらに近づいたと思ったら突然その音が停まった。
ふと視線を感じて緩慢に振り返った先には───先ほどまで屋敷にいた彼女、スラリスがいた。そう、大きな籠を抱えたまま、自分を見つめていた。
春が来て花が咲けば、雨が降る。満開の花々は雨の雫に打たれ、その意思とは関係なく雨粒に混ざり花びらが落とされていく。
毎年のことだが、雨に打たれる花は死に急ぐ剣士のようで、レナザードは花と雨はあまり好きな組み合わせではない。
花びらはは舞うものだ。風に遊ばれ自由奔放に咲きたいときに咲き、散りたいときに舞い散るものだ。
しかし、散っていく花びらは、何を思うのであろう。舞っているのか、散らされているのか。その姿はあの少女、スラリスに似ている。
自分の意思と関係なく、振り回されるその姿は、運命に翻弄される花びらのようなもの。
「……って、おい、俺は何考えているんだ?」
東屋に続く渡り廊下で、レナザードはそう呟いて腕を組み溜息を付く。結局、詩人のような気持ちで春の庭を眺めていても、ケイノフの言葉が気になってしまい、辿り着くのはいつも彼女のこと。
『スラリスはあなたが望むものではないかもしれませんが、あなたの望むものを与えてくれるはずです』
淡々と自分に吐いたあの言葉が、何故か今も胸につかえている。レナザードはこの不明瞭な気持ちを打ち消すように、手首に巻かれている腕輪を掴んだ。
望みも、求めるものも同じ。ただ一つだけだ。それ以外は何もいらない。そう自分に言い聞かせるようにぐっと拳を握り締め、腕輪を見つめる。腕に巻かれているそれは、数珠の形をしている腕輪のように見える。
が、しかしこれは呪具であり禍々しいもの。そしてあの日から、一つだけ宝飾が欠けたままでいるのは、あの日の約束の証が果たされていないから。
「どんな手を使っても手に入れる。たとえ多少の血が流れても」
再びそう呟いて空を仰げば、背後からふわりと風が舞った。
「主様、その姿は一族の長というよりも、想い人を待ちわびる一人の青年の姿のようですね」
その言葉と同時にレナザードと同じ赤茶色髪の男が突如として現れたが、レナザードな特に驚く風でもなく、ちらりと視線を投げただけで再び視線を庭へと戻す。
突然現れた男は、レナザードの身の内に潜むもの。屋敷にいるものは皆、レナザードと同じように自分の身の内にもう一体のものを抱えている。
しかし、そのもの達が具現化することは殆どない。レナザードのを除いては。
気分気ままに現れた人外の男は、主のつれない態度はいつものことと気分を害することなく再び口を開いた。
「主さま見てください。スラリスがいますよ」
男はそう言って屋敷のある方向を指さす。つられるようにレナザードも男の指し示した先を追う。そうすれば彷徨わすことなく、すぐにスラリスの姿を見つけることができた。
レナザードの視線に気付いてないスラリスは、穏かな笑みを浮かべながら、やんちゃ盛りのリオンを相手に窓ふきをしていた。
ずいぶんと懐かれたなと、レナザードを苦笑を漏らす。警戒心の強いリオンが、スラリスの傍から離れないのは予想外であった。
リオンもまた人外のもの。こうして人の姿を保つのに、相当の妖力が必要になる。だというのに、毎日、子供の姿となりスラリスの傍にいるのは健気なことである。
そんなことをぼんやりと考えながら、スラリスを見つめていたレナザードの表情はどういうものだったか………それは、ここにいる男にしか見ることができないのが残念だ。
「ずいぶんきれいになりましたね」
「…………そうか?」
男の問いかけにレナザードは気のないふりをしながら適当に返事をする。が、確かにスラリスの浮かべている笑みは、ここへ来た頃のような堅い笑みではない。但し、その柔らかい笑みは自分に向けられたことはない。それに気付いた瞬間、軽い苛立ちが生まれる。
その苛立ちがどこから来るものなのかわからないレナザードは、無意識に眉間に皺を刻んだ。それを別の意味で解釈した男は目を丸くした。
「おやまぁ、主さまの目は節穴ですか?スラリスはここに来た頃より溌溂として笑顔も可愛らしく、花が良く似合いますこと」
「…………そうか?」
わざわざお前にそんなことを言われなくても分かっている。
そう言いかけた言葉を飲み込んで、レナザードは先ほどと同じようにおざなりにうなずくだけだ。
「それに引き換え……主さまは……」
ちらりとレナザードに視線を移した男は、可笑しくてたまらないといった感じてくっくと喉を鳴らした。そして無言のまま睨みつけるレナザードにゆったりと笑みを向けながら、意味有りげな視線を投げかける。
「女性は恋をすると綺麗になると言いますが、殿方ときたら、てんで駄目ですね」
「…………お前、何が言いたいんだ?」
さすがに度の超えた男の発言に、レナザードは乱暴に渡り廊下の手すりに寄りかかりながら、ぎろりと睨みつけた。
しかしレナザードに睨まれた男は、怯えるどころか信じられないと口元に手を覆いながら、ゆるゆると後ずさりをする。
「おやまあ…………恐ろしい。主さまは気付いておられないのですか?」
「だから何がだ、ちっ」
舌打ちと共に、さらにレナザードが鋭く睨みつければ男は、おお怖いと白々しく身震いさせ、とんと地面を蹴った。
ありえないことにその瞬間、男の身体は宙に浮く。でもレナザードは動揺する素振りはみせない。つまり、これもまた彼の日常ということ。
「わたくしの口からは言えませぬ。もう少々一人お悩み下さいませ」
そう男はレナザードに言い残して、一陣の風と共にふわりと消えていった。消え去った男に向かってレナザードは溜息を付く。
最近、どうもこの屋敷の住人は自分に対して捨て台詞を吐いて去っていく。激高という程ではないが、主という立場として怒りを感じたレナザードの頭上に、天から頭を冷やせと言わんばかりにぽたぽたと雫が降って来た。
泣きっ面に蜂とまではいかないが、踏んだり蹴ったりだと再び溜息を付きながら東屋へと移動した。
再び視線を屋敷に移せば、そこにスラリスの姿はなかった。既に仕事を終え、別の仕事の為に移動してしまったのだろう。小さい身体に似合わずスラリスはくるくると良く動く。
見失ってしまったことに軽い後悔を覚えると共に、もしかしたら別の場所にいるかもと、少し横にずらせば予想通りスラリスがいた。
スラリスも雨に気付いたのだろう。
窓から見えた彼女は、両頬に手を当てこの世の終わりというような表情を浮かべている。たかだか雨ごときに、そこまで悲壮な表情を浮かべなくても、と呆れてしまう。
そしてスラリスは、はっと何かを思い出して、ばたばたと大急ぎで廊下を駆けだして行った。
あっという間に消えてしまったスラリスの姿の行く先はわからない。再び視界に入るかも、と淡い期待を持ち屋敷を見つめていたが、どこからかぱしゃぱしゃと水を踏む音が聞こえ、それがこちらに近づいたと思ったら突然その音が停まった。
ふと視線を感じて緩慢に振り返った先には───先ほどまで屋敷にいた彼女、スラリスがいた。そう、大きな籠を抱えたまま、自分を見つめていた。
0
お気に入りに追加
1,020
あなたにおすすめの小説
溺愛の始まりは魔眼でした。騎士団事務員の貧乏令嬢、片想いの騎士団長と婚約?!
参
恋愛
男爵令嬢ミナは実家が貧乏で騎士団の事務員と騎士団寮の炊事洗濯を掛け持ちして働いていた。ミナは騎士団長オレンに片想いしている。バレないようにしつつ長年真面目に働きオレンの信頼も得、休憩のお茶まで一緒にするようになった。
ある日、謎の香料を口にしてミナは魔法が宿る眼、魔眼に目覚める。魔眼のスキルは、筋肉のステータスが見え、良い筋肉が目の前にあると相手の服が破けてしまうものだった。ミナは無類の筋肉好きで、筋肉が近くで見られる騎士団は彼女にとっては天職だ。魔眼のせいでクビにされるわけにはいかない。なのにオレンの服をびりびりに破いてしまい魔眼のスキルを話さなければいけない状況になった。
全てを話すと、オレンはミナと協力して魔眼を治そうと提案する。対処法で筋肉を見たり触ったりすることから始まった。ミナが長い間封印していた絵描きの趣味も魔眼対策で復活し、よりオレンとの時間が増えていく。片想いがバレないようにするも何故か魔眼がバレてからオレンが好意的で距離も近くなり甘やかされてばかりでミナは戸惑う。別の日には我慢しすぎて自分の服を魔眼で破り真っ裸になった所をオレンに見られ彼は責任を取るとまで言いだして?!
※結構ふざけたラブコメです。
恋愛が苦手な女性シリーズ、前作と同じ世界線で描かれた2作品目です(続きものではなく単品で読めます)。今回は無自覚系恋愛苦手女性。
ヒロインによる一人称視点。全56話、一話あたり概ね1000~2000字程度で公開。
前々作「訳あり女装夫は契約結婚した副業男装妻の推し」前作「身体強化魔法で拳交える外交令嬢の拗らせ恋愛~隣国の悪役令嬢を妻にと連れてきた王子に本来の婚約者がいないとでも?~」と同じ時代・世界です。
※小説家になろう、ノベルアップ+にも投稿しています。※R15は保険です。
【完結】忘れられた王女は獣人皇帝に溺愛される
雑食ハラミ
恋愛
平民として働くロザリンドは、かつて王女だった。
貴族夫人の付添人としてこき使われる毎日だったロザリンドは、ある日王宮に呼び出される。そこで、父の国王と再会し、獣人が治める国タルホディアの皇帝に嫁ぐようにと命令された。
ロザリンドは戸惑いながらも、王族に復帰して付け焼刃の花嫁修業をすることになる。母が姦淫の罪で処刑された影響で身分をはく奪された彼女は、被差別対象の獣人に嫁がせるにはうってつけの存在であり、周囲の冷ややかな視線に耐えながら隣国タルホディアへと向かった。
しかし、新天地に着くなり早々体調を崩して倒れ、快復した後も夫となるレグルスは姿を現わさなかった。やはり自分は避けられているのだろうと思う彼女だったが、ある日宮殿の庭で放し飼いにされている不思議なライオンと出くわす。そのライオンは、まるで心が通じ合うかのように彼女に懐いたのであった。
これは、虐げられた王女が、様々な障害やすれ違いを乗り越えて、自分の居場所を見つけると共に夫となる皇帝と心を通わすまでのお話。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
追放された薬師は騎士と王子に溺愛される 薬を作るしか能がないのに、騎士団の皆さんが離してくれません!
沙寺絃
ファンタジー
唯一の肉親の母と死に別れ、田舎から王都にやってきて2年半。これまで薬師としてパーティーに尽くしてきた16歳の少女リゼットは、ある日突然追放を言い渡される。
「リゼット、お前はクビだ。お前がいるせいで俺たちはSランクパーティーになれないんだ。明日から俺たちに近付くんじゃないぞ、このお荷物が!」
Sランクパーティーを目指す仲間から、薬作りしかできないリゼットは疫病神扱いされ追放されてしまう。
さらにタイミングの悪いことに、下宿先の宿代が値上がりする。節約の為ダンジョンへ採取に出ると、魔物討伐任務中の王国騎士団と出くわした。
毒を受けた騎士団はリゼットの作る解毒薬に助けられる。そして最新の解析装置によると、リゼットは冒険者としてはFランクだが【調合師】としてはSSSランクだったと判明。騎士団はリゼットに感謝して、専属薬師として雇うことに決める。
騎士団で認められ、才能を開花させていくリゼット。一方でリゼットを追放したパーティーでは、クエストが失敗続き。連携も取りにくくなり、雲行きが怪しくなり始めていた――。
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。
石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。
雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。
一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。
ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。
その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。
愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる