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国民的アイドル!?いえいえ、ゆるキャラ大臣です。
16.国家事業に取り組んでいます
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さて、フロイラに任命されて数日後、テストまで残り2日に迫った現在、私は西崎家のリビングで勉強に励んでいる。でも───。
「ねぇ隆兄ちゃん」
私はシャープペンをくるくる回しながら、隣にいる隆兄ちゃんに話しかけた。
「あ?どうした。水樹」
家庭教師モードに入った隆兄ちゃんは、教科書から目を離さずに返事をする。ちなみに今、広げているのは数学の教科書だ。
「あのね、数学の先生って鬼畜だよね?」
私の問いかけに、優秀な家庭教師は今度は返事をしてくれなかった。胡乱げな表情をして、こちらを見るだけだ。でも別に今の質問に返事が欲しかった訳ではないので、私は構うことなく口を開く。
「必死に公式に当てはめて、超必死に計算してさぁ、なのにちょっとした計算ミスで、今までの私の頑張りをさくっと無視してバツを付けるんだよ?鬼畜の所業としか思えないよ。なんかさぁ、正解、不正解の前に、そこまでの頑張りとか、努力をもう少し鑑みてほしい」
「……で、水樹、何が言いたいんだ?」
「数学が苦手って言いたい」
「……随分遠回りの自己主張だったな。気持ちは良くわかった。じゃ、次の問題やれ」
「…………はぁーい」
私の精一杯の自己主張は秒殺されたので、しぶしぶシャープペンを持ち直して問題を解き始める。けれど、解き始めて2秒でうんうん唸りだした私に、隆兄ちゃんは遠くを見つめている。あ、これギブアップしたい表情だ。となれば次に隆兄ちゃんが言う事は───。
「ここの問題全部解いたら休憩するぞ」
「はぁーい!」
隆兄ちゃんは私の目の前でチョコレートの箱を振る。休憩と聞いて急に真剣に問題を解き始める私は、我ながらゲンキンな性格をしていると思う。
ちなみにこのチョコレートはおじさんからの差し入れだ。
試行錯誤の末、一番向いている私の勉強方法は、こまめに休憩を挟むことと程よいご褒美を与えること。所謂、【アメとムチ】作成に落ち着いたのだ。それがこうを成して、私は今までで一番の頑張りをみせている。
そしてあっという間に問題を解き終わった私は、無事に短い休憩に入ることができた。
休憩に入るとすぐに、私は二人分のコーヒーを淹れて、教科書とかノートをテーブルの脇に寄せる。あうんの呼吸で、隆兄ちゃんはチョコレートの箱を空いたスペースに置いてくれる。
それから隆兄ちゃんと並んで、チョコレートを食べる。でも私は、そっと隣の幼なじみを盗み見る。今日の隆兄ちゃんは、王冠とマントがない王子様の半コスプレ仕様だ。
なんでそんな中途半端なコスプレをしているかというと、ここ最近、隆兄ちゃんはお城と西崎家のを一日に何度も往復するからだ。一日に何度も着替えるのが面倒くさいらしい。それは、急に代替わりしたフロイラ関係の政務が多忙を極めているからなので、おじさんは元より、おばさんも最近家を空けることが多くなっている。
そして、隆兄ちゃんが行ったり来たりしているのは、現在、国家の一大事業である私の【テスト全科目補習回避プロジェクト】の最中だからである。
でも一応、隆兄ちゃんだって学生だ。大学は行かなくて良いの?と聞いたら【単位は取ってあるから大丈夫】とあっさり答えてくれた。大学の単位がどういうものなのかわからない。けれど羨ましい、なんてこと口に出せないことはわかる。隆兄ちゃんのが大学に行けないのは、全て私の残念な学力のせいだからだ。
そんな多大な迷惑をかけている私といえば、勉強よりも先日の窓越しに言われた言葉が頭から離れない状況で、時々上の空になっている体たらくなのだ。ご迷惑をかけている皆様に土下座して謝りたい気持ちでいっぱいだ。
ちなみにヘタレの私は、隆兄ちゃんの気持ちを未だに確認できないでいる。
さて、そんな未成年の心を掻き乱すという軽犯罪を犯している隆兄ちゃんは、襟の詰まった丈の長い濃紺の上着に沢山の銀装飾をつけているという見目麗しい姿だ。ちなみに王子様の衣装は毎日変わる。最近一緒にいすぎるせいで、私はこの衣装の些細な変化に気づくようになってしまった。
そして隆兄ちゃんは、どの王子様スタイルも冗談抜きにして良く似合う。隣に座られると、ドキドキが止まらなくて落ち着かない。
それにしても、隆兄ちゃんへの想いを断ち切ると決心した途端、今まで以上に一緒に過ごす時間が増えているのは神様の意地悪だとしか思えない。意識したくなくても、やっぱり意識してしまう。
でも今更、ドキドキするのはおかしいのかもしれない。【なぁんだー、私の誤解だったんだぁー。じゃ、やっぱり好きぃー】ていうのは、チョコレートで勉強を頑張ることよりゲンキンなことだと思うのだ。でも、何が正解かもわからない。こじらせた初恋しかしてない私は、恋愛のルールがよくわからない。
そんなことをぼんやり考えていたら───
「水樹はさぁ……わけの分からない自分だけのルールを持っているんだろ」
「へ!?」
隆兄ちゃんのその言葉にドキッとする。異世界の王子様は私の思考まで読めるのだろうか。冷や汗をかく私に気付いていないのか、隆兄ちゃんはテーブルに頬杖をついて言葉を続ける。
「数学なんてもんは、納得してから解くもんじゃない。沢山解いて数をこなして【こんなもんか】って感覚をつかんでいけばいいんだよ」
あ、なんだ、数学の話だった。肩の力を抜いて、ヘヘッっと乾いた笑いを漏らした私に、隆兄ちゃんは半目になる。
「おい、聞いてんのか?」
「きっ、聞いてるよー」
隆兄ちゃんは半信半疑の視線を私に向ける。ごめん、咄嗟にそう言ったけど、実はあんまり聞いてなかった。
15分程の短い休憩が終わり、再び数学の問題と睨めっこする時間に戻される。が、3問目で手が止まり、私は隆兄ちゃんに問いかけた。
「ねぁ、隆兄ちゃん、この問題おかしいよ」
「は?問題におかしいとかおかしくないとかあるのか?」
「うん。だって、この問題、きっちり割り切れないもん」
「……答えが割り切れなくても、別におかしくない。それはお前が勝手に決めたルールだろ」
隆兄ちゃんはその後すぐに【やっぱり聞いてなかったか】と呟いた。あ、さっきの話は、そういうことだったんだ。申し訳ありません!
さてそれから、国家事業はどうなったかというと───無事、前科目補習を回避することができました。
でも、いつもより平均点の上がった私に先生が【どうした?悩み事があったら聞くぞ】と真顔で言われてしまった。生徒一人一人に目を配る先生には尊敬するけど……あのね、赤点ギリギリが当たり前だと思わないで欲しい。
「ねぇ隆兄ちゃん」
私はシャープペンをくるくる回しながら、隣にいる隆兄ちゃんに話しかけた。
「あ?どうした。水樹」
家庭教師モードに入った隆兄ちゃんは、教科書から目を離さずに返事をする。ちなみに今、広げているのは数学の教科書だ。
「あのね、数学の先生って鬼畜だよね?」
私の問いかけに、優秀な家庭教師は今度は返事をしてくれなかった。胡乱げな表情をして、こちらを見るだけだ。でも別に今の質問に返事が欲しかった訳ではないので、私は構うことなく口を開く。
「必死に公式に当てはめて、超必死に計算してさぁ、なのにちょっとした計算ミスで、今までの私の頑張りをさくっと無視してバツを付けるんだよ?鬼畜の所業としか思えないよ。なんかさぁ、正解、不正解の前に、そこまでの頑張りとか、努力をもう少し鑑みてほしい」
「……で、水樹、何が言いたいんだ?」
「数学が苦手って言いたい」
「……随分遠回りの自己主張だったな。気持ちは良くわかった。じゃ、次の問題やれ」
「…………はぁーい」
私の精一杯の自己主張は秒殺されたので、しぶしぶシャープペンを持ち直して問題を解き始める。けれど、解き始めて2秒でうんうん唸りだした私に、隆兄ちゃんは遠くを見つめている。あ、これギブアップしたい表情だ。となれば次に隆兄ちゃんが言う事は───。
「ここの問題全部解いたら休憩するぞ」
「はぁーい!」
隆兄ちゃんは私の目の前でチョコレートの箱を振る。休憩と聞いて急に真剣に問題を解き始める私は、我ながらゲンキンな性格をしていると思う。
ちなみにこのチョコレートはおじさんからの差し入れだ。
試行錯誤の末、一番向いている私の勉強方法は、こまめに休憩を挟むことと程よいご褒美を与えること。所謂、【アメとムチ】作成に落ち着いたのだ。それがこうを成して、私は今までで一番の頑張りをみせている。
そしてあっという間に問題を解き終わった私は、無事に短い休憩に入ることができた。
休憩に入るとすぐに、私は二人分のコーヒーを淹れて、教科書とかノートをテーブルの脇に寄せる。あうんの呼吸で、隆兄ちゃんはチョコレートの箱を空いたスペースに置いてくれる。
それから隆兄ちゃんと並んで、チョコレートを食べる。でも私は、そっと隣の幼なじみを盗み見る。今日の隆兄ちゃんは、王冠とマントがない王子様の半コスプレ仕様だ。
なんでそんな中途半端なコスプレをしているかというと、ここ最近、隆兄ちゃんはお城と西崎家のを一日に何度も往復するからだ。一日に何度も着替えるのが面倒くさいらしい。それは、急に代替わりしたフロイラ関係の政務が多忙を極めているからなので、おじさんは元より、おばさんも最近家を空けることが多くなっている。
そして、隆兄ちゃんが行ったり来たりしているのは、現在、国家の一大事業である私の【テスト全科目補習回避プロジェクト】の最中だからである。
でも一応、隆兄ちゃんだって学生だ。大学は行かなくて良いの?と聞いたら【単位は取ってあるから大丈夫】とあっさり答えてくれた。大学の単位がどういうものなのかわからない。けれど羨ましい、なんてこと口に出せないことはわかる。隆兄ちゃんのが大学に行けないのは、全て私の残念な学力のせいだからだ。
そんな多大な迷惑をかけている私といえば、勉強よりも先日の窓越しに言われた言葉が頭から離れない状況で、時々上の空になっている体たらくなのだ。ご迷惑をかけている皆様に土下座して謝りたい気持ちでいっぱいだ。
ちなみにヘタレの私は、隆兄ちゃんの気持ちを未だに確認できないでいる。
さて、そんな未成年の心を掻き乱すという軽犯罪を犯している隆兄ちゃんは、襟の詰まった丈の長い濃紺の上着に沢山の銀装飾をつけているという見目麗しい姿だ。ちなみに王子様の衣装は毎日変わる。最近一緒にいすぎるせいで、私はこの衣装の些細な変化に気づくようになってしまった。
そして隆兄ちゃんは、どの王子様スタイルも冗談抜きにして良く似合う。隣に座られると、ドキドキが止まらなくて落ち着かない。
それにしても、隆兄ちゃんへの想いを断ち切ると決心した途端、今まで以上に一緒に過ごす時間が増えているのは神様の意地悪だとしか思えない。意識したくなくても、やっぱり意識してしまう。
でも今更、ドキドキするのはおかしいのかもしれない。【なぁんだー、私の誤解だったんだぁー。じゃ、やっぱり好きぃー】ていうのは、チョコレートで勉強を頑張ることよりゲンキンなことだと思うのだ。でも、何が正解かもわからない。こじらせた初恋しかしてない私は、恋愛のルールがよくわからない。
そんなことをぼんやり考えていたら───
「水樹はさぁ……わけの分からない自分だけのルールを持っているんだろ」
「へ!?」
隆兄ちゃんのその言葉にドキッとする。異世界の王子様は私の思考まで読めるのだろうか。冷や汗をかく私に気付いていないのか、隆兄ちゃんはテーブルに頬杖をついて言葉を続ける。
「数学なんてもんは、納得してから解くもんじゃない。沢山解いて数をこなして【こんなもんか】って感覚をつかんでいけばいいんだよ」
あ、なんだ、数学の話だった。肩の力を抜いて、ヘヘッっと乾いた笑いを漏らした私に、隆兄ちゃんは半目になる。
「おい、聞いてんのか?」
「きっ、聞いてるよー」
隆兄ちゃんは半信半疑の視線を私に向ける。ごめん、咄嗟にそう言ったけど、実はあんまり聞いてなかった。
15分程の短い休憩が終わり、再び数学の問題と睨めっこする時間に戻される。が、3問目で手が止まり、私は隆兄ちゃんに問いかけた。
「ねぁ、隆兄ちゃん、この問題おかしいよ」
「は?問題におかしいとかおかしくないとかあるのか?」
「うん。だって、この問題、きっちり割り切れないもん」
「……答えが割り切れなくても、別におかしくない。それはお前が勝手に決めたルールだろ」
隆兄ちゃんはその後すぐに【やっぱり聞いてなかったか】と呟いた。あ、さっきの話は、そういうことだったんだ。申し訳ありません!
さてそれから、国家事業はどうなったかというと───無事、前科目補習を回避することができました。
でも、いつもより平均点の上がった私に先生が【どうした?悩み事があったら聞くぞ】と真顔で言われてしまった。生徒一人一人に目を配る先生には尊敬するけど……あのね、赤点ギリギリが当たり前だと思わないで欲しい。
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