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弥助の大冒険 -少年は巴里を目指す- 6.5
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ふむふむ。
ところで家綱くん。
正妻は取らんのですか。
(な、ななななななぜに今、お聞きにっ)
私の何気ない思いつきの質問に、激しく動揺する少年将軍。
(ほ、ほほほほほ、その話題を出しますると家綱のとらうまが出てしまいまする…)
(あ…もしかしてぇっ)
思い出しましたよ。
そう…家綱くんの童貞を奪ったのは、どこのどなたかを。
https://novel18.syosetu.com/n5728gy/197/
そう、ジョスリンですっ。
そして、家綱くんがジョスリンにホの字だったのも聞いてるんですよね…。
ううむ。
確かに、こう言ってしまうと身も蓋もない話だとは思いますけど、ジョスリーヌさんは一見すると童顔小柄で、その凶暴過激な本来の性格を知らない人には、全くもって無害に見えてしまうのです。
そして、かつての本業で鍛えた自己操作のなせる技で、ベラちゃん以外にはなかなか本性というか地の自分を見せておりそうで見せない人物です。
ですから、風俗嬢や水商売嬢の「恋愛営業」そこのけの態度を取ることなど造作もなかったのでしょう。
当時の関係者の記憶を参照しても「あーこりゃ、コロっといかれるわ」と言う光景や感情やセリフしか見えてきませんから。
ええ、げに恐ろしきはガチのスパイ組織勤務経験者だと思います、改めて。
(マダム・ムロミが辛辣です)
(一応、なんかあったら女官長として復帰する立場ですからね…幹部の性格は頭に入れておくことにしておりますので…)
(小官は思うのですが、あのチェーザレ猊下にすらずけずけと物言うマダムこそ、ある意味ではコワイモンシラズというべきではないのでしょうか)
(口にチャックをするのが苦手なだけです。それはいいんですけど早よ、比丘尼国に戻らんのですか。フランス王国派遣とか言いつつもヴェロニクさんにお役目を押し付けて逃げ回ってるとか、マドリード駐在のフランス共和国軍基地に隠れていたりイザベル陛下に匿われているとか色々と噂が出回ってますよっ)
(お願いですから比丘尼国に戻すのだけは…マダムの掌握しておられる権限範囲だと、小官の原職復帰が好ましいというだけで本当にそうなってしまいかねないのは承知しておりますので、なにとぞお手柔らかに…)
(ふほほほほほ、あたしもジョスリーヌさんには色々とお世話になっておりますから、事更にああだこうだと申す気はありませんわねっ)
(しんじられないのです…あのじょすりんが…へたをするとうちのよめにすら、いいたいことをいうじょすりんがぺこぺこしているのです…)
ええ、重ねて申しますが、この室見は人の弱みを握りたくて握っているわけではないのです。
そして、元来ならばこういうお話って、内務局とか厚労局の上の人がすべきだと思うのです。
少なくとも建設事業や運輸事業の長であるこのわたくし室見が、前に出てするべきであるとは思えないのです。
で、矛先を変えます。
家綱くんの小姓団にも入っているという、井伊直澄くん。
この少年なのですがね。
例え日本史の成績がベラちゃんよりは多少マシな部類だったとしても、この室見理恵にすら彼が「桜田門外の変」の犠牲者となった時の大老・井伊直弼のご先祖さまになるであろう人物だとは察しがつきます。
もっとも、痴女皇国世界の江戸ではそもそも、桜田門外の変の遠因ともなった井伊家からの贈答用牛肉の味噌漬けの贈呈出荷取りやめが起きたところで、さほどの影響はないのではとも思えるのです。
なぜならば、比丘尼国は連邦世界の江戸時代と違って儒学の影響がさほど強くない状態で、食肉が禁忌とはされていない上に、既に牛肉はまだまだ高級品とはいえど、決して大衆の口に入らない高嶺の花でもなくなっているからです。
まず、痴女皇国が流刑地大陸や有全珍、そして比丘尼国との連携事業ではありますが北海道を中心として肉牛の大量牧畜と輸出に乗り出しています。
そして、比丘尼国内でも高級和牛の畜育に着手しているのが彦根藩だけではなくなっていたのです。
例えば、上杉家でも米沢牛の飼育に早くから取り組んでおりまして、商業出荷の目処も立つまでに頭数が増え牛も育っておる模様。
同様に、松阪や三田や篠山や日向といった今日でも知られる牛肉の美味しい土地でも同様の取り組みが図られています。
そして何より、我が痴女皇国国土局・通商局との連携事業として松前藩並びに江戸幕府の苫小牧天領で、アイヌの皆様の生計の助けとして乳牛や肉牛、そして豚や鶏の飼育が開始されております。
(北海道だと餌用の大豆やとうもろこしの栽培とセットでできるのよね…土地もあるし…)
(りええ…乳製品の製造も端緒についてるって言ってあげなよ…)
つまり、横濱租界で日本産の食材だけでビーフシチューが作れるくらいには、欧州系の料理の材料が日本でも生産可能なまでに進んでいるのです。
ただ、こういうことをすると、彦根藩ならぬ近江彦根国としては、それまで高級和牛として知られた近江牛の売り上げや、ひいては税収にも影響するのではと思われた方へ。
ところが、直澄くんのお父さんの井伊直孝さんが国主として治める彦根国…正式な国名は省略します…は以前の井伊家に絡む問題のお詫びというか謝礼にということで、近江牛のさらなるカイゼンはもとより、チンポネックスの密かな供与によって近江米の生産量も増加しておりまして、今や元々の石高である三十万石の収入が二倍になったそうです。
(りええ、新幹線用地の供出の補償もあるだろ…あと、三河監獄国の守山工場の地税も収入に入ってるはずだぞ…)
そう、監獄国の労働工場を分社するような形で、九州と北海道と盛岡、そしてこの守山に工場が出来ているのです。
とりあえずは欧米向けの絹布や織物のための織機製造工場なのですが、ゆくゆくは自動車製造工場にも転用可能なよう、考えられております。
そう…直澄くんのおうち、百万石といかねど、それなりの収入を得た結果、家計も大助かり、なのです。
なにせ、雅美さんが噛んでいた一件だけでも、国主の皆様の間ではですね、妻子を江戸に住ませて教育や流行の最前線に触れさせようという風潮が広まってるんですよ。
https://novel18.syosetu.com/n5728gy/189/
いえ、奥方様やお子様からもそういう突き上げを喰らっている気の毒な領主様の話もお聞きしました。
しかも、旦那さん方である高級武士の皆様に対して発令された、国主旗本色里奉賛令。
これによって、夫人や娘さんの売春に買春を容認する代償として、男衆の女遊びも奨励されてしまったのですよ…。
(ただし、今度はこの件で別のいさかいがおきたんですよね…よしわらで…)
(上様…うちの父もそれでこぼしておりました…)
つまり、吉原に通う武士たちの間で女の取り合いが発生したのです…。
この問題、奉賛令が考えられていた当初より指摘されておりましたが、やはりというべきか、起きてしまったのです。
https://novel18.syosetu.com/n5728gy/191/
そして国主…お殿様同士で太夫のような高級遊女を取り合うと、それこそ女を取ったの取られたのという恨みの果てに、松の廊下だの堀田正俊刺殺事件の城外版になってしまいかねません。
そこで、江戸市中においては、ある程度の地位にある武士の方々への女遊びの対策が練られたそうでして…。
ぶっちゃけ江戸城勤務の方については、逆に太夫や格子を招請する方向となったのです…。
ただし。
単純に、吉原の中でも高級な部類の遊女の方をデリバリーしているわけでもないそうです。
で、実のところは農業や漁業方面を重点とした比丘尼国への産業振興政策のテコ入れによって、一時期は存続が危ぶまれた業界が存在するのです…。
ええ、その、件の吉原です。
連邦世界の吉原は、言うなれば旱魃や飢饉、あるいは水害や地震に大火事などの災害によって生活が成り立たなくなった家庭から身売りされた児童や、あるいは孤児などの身請けによって遊女を採用しておりました。
(博打の借金のかたに身売りされたのもおりますが、まぁ大筋ではそんなものでしょう)
で、連邦世界の吉原だと一辺300メートル四方の狭いエリアに女子を囲い込んで働かせるシステムが組まれていました。
そして、ロリヤ事案となるであろう未成年どころか男性の相手をすることすら厳しい少女やょぅι゛ょ時代から、遊女としての作法を叩き込む教育がなされていたのです。
ーーーー吉原色里遊女階級略図ーーーーーー
| |
|ー花魁・おいらんーーーーーーーーーー|
|太夫・たゆう |
|格子・こうし |
| |
|・客を拒否する権利あり |
|・座敷持ちまたは部屋持ちとされる |
| |
|ー散茶・さんちゃーーーーーーーーーー|
|局・つぼね |
|端・はし |
|∟大見世・中見世・小見世 |
|切見世・きりみせ |
| |
|・積極的に客を取らされる |
|・18歳以上 |
|・切見世は熟女枠 |
| |
|ー見習いーーーーーーーーーーーーーー|
|番頭新造・ばんとうしんぞう |
|振袖新造・ふりそでしんぞう |
|禿・かむろ |
| |
|・積極的に客を取らない |
|・10~12歳以上18歳まで |
| |
|ー吉原神社扱いーーーーーーーーーーー|
|夜鷹(立ちんぼ、色里の外で営業) |
|陰間(をかまorほも) |
|ーーーーーーーーーーーーーーーーーー|
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
しかし、痴女皇国主導・比丘尼国協賛で行われた産業や税制革命というべき諸々によって、子供を売るような事態が皮肉にも回避された代わりに、売春業界への新規人材参入が激減してしまったのです…。
で、この状態を回避するために打ち出された施策が、まずは痴女皇国の支配する他の地域からの女性の応援。
これ自体は、懲罰偽女種の女性版とでもいうべき女官種を苗床なりプラントチャンバー生産なりで行えば割と簡単に補充可能です。
いえ、実際に補充されました…。
で、こうした無名の夜鷹系の女性たちを再生再利用するためにも、江戸市内への苗床設置が好ましいとされた結果、大奥の構成部門である将軍家居宅区画の分離と、日枝神社や日枝慈母寺とも直結する地下の苗床室設置に繋がったのです…。
で、散茶や花魁といった、上級の遊女の成り手をどうするかっ。
先ほどの表の、見習いのカテゴリーに属する少女たち。
この少女たちについては…おまつさんが詳しいんです…。
「前田家七日市領に設けられましたる富岡製糸場、あそこはおなごの工員を大量に雇用することになりまして…」
で、奉公女として比丘尼国全国から女子を公募したそうです。
しかし、連邦世界だとグンマーの片田舎の寮暮らし。
いかに、いわば夜間学生のように教育も受けられて云々という売り込みがあったにせよ、新しい形態の労働に挫折しかける女の子もまた、多数。
そして、衣食住を工場が持つ代わりに薄給だったんですよね…。
(ふふふ、そこで讀賣がききめを発揮するのですよ…)
そう、改革実施中の江戸のお仕事もあるよと斡旋する求人広告誌めいたものが流通したのです…。
そして、富岡製糸場の学徒工員少女の奉公期間は1年とされました。
この1年を勤め上げれば、自由の身。
いわば正社員となる女工の道を選ぶもよし、あるいは江戸に出て働き口を探すもよしとされたのです。
(下級とはいえ巫女種化して詰め込み教育を受けさせるんですよね…)
つまり、吉原の太夫さんたちと同じで、痴女宮の女官同様に戦力化にかかる年数を短縮する試みがなされたのです。
で、品川や吉原の奉公明けの遊女の方で、堅気に戻る道を選択した方も、女子工員として来られていました。
そして、遊郭時代の経験を活かして女学生工員の監督指導に当たることも多いそうですけどね…。
ええ、お分かりでしょう。
玉の輿に乗るワンチャンもあるで、と吹き込まれたのです、工員暮らしが嫌な女学生には…。
ところで家綱くん。
正妻は取らんのですか。
(な、ななななななぜに今、お聞きにっ)
私の何気ない思いつきの質問に、激しく動揺する少年将軍。
(ほ、ほほほほほ、その話題を出しますると家綱のとらうまが出てしまいまする…)
(あ…もしかしてぇっ)
思い出しましたよ。
そう…家綱くんの童貞を奪ったのは、どこのどなたかを。
https://novel18.syosetu.com/n5728gy/197/
そう、ジョスリンですっ。
そして、家綱くんがジョスリンにホの字だったのも聞いてるんですよね…。
ううむ。
確かに、こう言ってしまうと身も蓋もない話だとは思いますけど、ジョスリーヌさんは一見すると童顔小柄で、その凶暴過激な本来の性格を知らない人には、全くもって無害に見えてしまうのです。
そして、かつての本業で鍛えた自己操作のなせる技で、ベラちゃん以外にはなかなか本性というか地の自分を見せておりそうで見せない人物です。
ですから、風俗嬢や水商売嬢の「恋愛営業」そこのけの態度を取ることなど造作もなかったのでしょう。
当時の関係者の記憶を参照しても「あーこりゃ、コロっといかれるわ」と言う光景や感情やセリフしか見えてきませんから。
ええ、げに恐ろしきはガチのスパイ組織勤務経験者だと思います、改めて。
(マダム・ムロミが辛辣です)
(一応、なんかあったら女官長として復帰する立場ですからね…幹部の性格は頭に入れておくことにしておりますので…)
(小官は思うのですが、あのチェーザレ猊下にすらずけずけと物言うマダムこそ、ある意味ではコワイモンシラズというべきではないのでしょうか)
(口にチャックをするのが苦手なだけです。それはいいんですけど早よ、比丘尼国に戻らんのですか。フランス王国派遣とか言いつつもヴェロニクさんにお役目を押し付けて逃げ回ってるとか、マドリード駐在のフランス共和国軍基地に隠れていたりイザベル陛下に匿われているとか色々と噂が出回ってますよっ)
(お願いですから比丘尼国に戻すのだけは…マダムの掌握しておられる権限範囲だと、小官の原職復帰が好ましいというだけで本当にそうなってしまいかねないのは承知しておりますので、なにとぞお手柔らかに…)
(ふほほほほほ、あたしもジョスリーヌさんには色々とお世話になっておりますから、事更にああだこうだと申す気はありませんわねっ)
(しんじられないのです…あのじょすりんが…へたをするとうちのよめにすら、いいたいことをいうじょすりんがぺこぺこしているのです…)
ええ、重ねて申しますが、この室見は人の弱みを握りたくて握っているわけではないのです。
そして、元来ならばこういうお話って、内務局とか厚労局の上の人がすべきだと思うのです。
少なくとも建設事業や運輸事業の長であるこのわたくし室見が、前に出てするべきであるとは思えないのです。
で、矛先を変えます。
家綱くんの小姓団にも入っているという、井伊直澄くん。
この少年なのですがね。
例え日本史の成績がベラちゃんよりは多少マシな部類だったとしても、この室見理恵にすら彼が「桜田門外の変」の犠牲者となった時の大老・井伊直弼のご先祖さまになるであろう人物だとは察しがつきます。
もっとも、痴女皇国世界の江戸ではそもそも、桜田門外の変の遠因ともなった井伊家からの贈答用牛肉の味噌漬けの贈呈出荷取りやめが起きたところで、さほどの影響はないのではとも思えるのです。
なぜならば、比丘尼国は連邦世界の江戸時代と違って儒学の影響がさほど強くない状態で、食肉が禁忌とはされていない上に、既に牛肉はまだまだ高級品とはいえど、決して大衆の口に入らない高嶺の花でもなくなっているからです。
まず、痴女皇国が流刑地大陸や有全珍、そして比丘尼国との連携事業ではありますが北海道を中心として肉牛の大量牧畜と輸出に乗り出しています。
そして、比丘尼国内でも高級和牛の畜育に着手しているのが彦根藩だけではなくなっていたのです。
例えば、上杉家でも米沢牛の飼育に早くから取り組んでおりまして、商業出荷の目処も立つまでに頭数が増え牛も育っておる模様。
同様に、松阪や三田や篠山や日向といった今日でも知られる牛肉の美味しい土地でも同様の取り組みが図られています。
そして何より、我が痴女皇国国土局・通商局との連携事業として松前藩並びに江戸幕府の苫小牧天領で、アイヌの皆様の生計の助けとして乳牛や肉牛、そして豚や鶏の飼育が開始されております。
(北海道だと餌用の大豆やとうもろこしの栽培とセットでできるのよね…土地もあるし…)
(りええ…乳製品の製造も端緒についてるって言ってあげなよ…)
つまり、横濱租界で日本産の食材だけでビーフシチューが作れるくらいには、欧州系の料理の材料が日本でも生産可能なまでに進んでいるのです。
ただ、こういうことをすると、彦根藩ならぬ近江彦根国としては、それまで高級和牛として知られた近江牛の売り上げや、ひいては税収にも影響するのではと思われた方へ。
ところが、直澄くんのお父さんの井伊直孝さんが国主として治める彦根国…正式な国名は省略します…は以前の井伊家に絡む問題のお詫びというか謝礼にということで、近江牛のさらなるカイゼンはもとより、チンポネックスの密かな供与によって近江米の生産量も増加しておりまして、今や元々の石高である三十万石の収入が二倍になったそうです。
(りええ、新幹線用地の供出の補償もあるだろ…あと、三河監獄国の守山工場の地税も収入に入ってるはずだぞ…)
そう、監獄国の労働工場を分社するような形で、九州と北海道と盛岡、そしてこの守山に工場が出来ているのです。
とりあえずは欧米向けの絹布や織物のための織機製造工場なのですが、ゆくゆくは自動車製造工場にも転用可能なよう、考えられております。
そう…直澄くんのおうち、百万石といかねど、それなりの収入を得た結果、家計も大助かり、なのです。
なにせ、雅美さんが噛んでいた一件だけでも、国主の皆様の間ではですね、妻子を江戸に住ませて教育や流行の最前線に触れさせようという風潮が広まってるんですよ。
https://novel18.syosetu.com/n5728gy/189/
いえ、奥方様やお子様からもそういう突き上げを喰らっている気の毒な領主様の話もお聞きしました。
しかも、旦那さん方である高級武士の皆様に対して発令された、国主旗本色里奉賛令。
これによって、夫人や娘さんの売春に買春を容認する代償として、男衆の女遊びも奨励されてしまったのですよ…。
(ただし、今度はこの件で別のいさかいがおきたんですよね…よしわらで…)
(上様…うちの父もそれでこぼしておりました…)
つまり、吉原に通う武士たちの間で女の取り合いが発生したのです…。
この問題、奉賛令が考えられていた当初より指摘されておりましたが、やはりというべきか、起きてしまったのです。
https://novel18.syosetu.com/n5728gy/191/
そして国主…お殿様同士で太夫のような高級遊女を取り合うと、それこそ女を取ったの取られたのという恨みの果てに、松の廊下だの堀田正俊刺殺事件の城外版になってしまいかねません。
そこで、江戸市中においては、ある程度の地位にある武士の方々への女遊びの対策が練られたそうでして…。
ぶっちゃけ江戸城勤務の方については、逆に太夫や格子を招請する方向となったのです…。
ただし。
単純に、吉原の中でも高級な部類の遊女の方をデリバリーしているわけでもないそうです。
で、実のところは農業や漁業方面を重点とした比丘尼国への産業振興政策のテコ入れによって、一時期は存続が危ぶまれた業界が存在するのです…。
ええ、その、件の吉原です。
連邦世界の吉原は、言うなれば旱魃や飢饉、あるいは水害や地震に大火事などの災害によって生活が成り立たなくなった家庭から身売りされた児童や、あるいは孤児などの身請けによって遊女を採用しておりました。
(博打の借金のかたに身売りされたのもおりますが、まぁ大筋ではそんなものでしょう)
で、連邦世界の吉原だと一辺300メートル四方の狭いエリアに女子を囲い込んで働かせるシステムが組まれていました。
そして、ロリヤ事案となるであろう未成年どころか男性の相手をすることすら厳しい少女やょぅι゛ょ時代から、遊女としての作法を叩き込む教育がなされていたのです。
ーーーー吉原色里遊女階級略図ーーーーーー
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|ー花魁・おいらんーーーーーーーーーー|
|太夫・たゆう |
|格子・こうし |
| |
|・客を拒否する権利あり |
|・座敷持ちまたは部屋持ちとされる |
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|ー散茶・さんちゃーーーーーーーーーー|
|局・つぼね |
|端・はし |
|∟大見世・中見世・小見世 |
|切見世・きりみせ |
| |
|・積極的に客を取らされる |
|・18歳以上 |
|・切見世は熟女枠 |
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|ー見習いーーーーーーーーーーーーーー|
|番頭新造・ばんとうしんぞう |
|振袖新造・ふりそでしんぞう |
|禿・かむろ |
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|・積極的に客を取らない |
|・10~12歳以上18歳まで |
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|ー吉原神社扱いーーーーーーーーーーー|
|夜鷹(立ちんぼ、色里の外で営業) |
|陰間(をかまorほも) |
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しかし、痴女皇国主導・比丘尼国協賛で行われた産業や税制革命というべき諸々によって、子供を売るような事態が皮肉にも回避された代わりに、売春業界への新規人材参入が激減してしまったのです…。
で、この状態を回避するために打ち出された施策が、まずは痴女皇国の支配する他の地域からの女性の応援。
これ自体は、懲罰偽女種の女性版とでもいうべき女官種を苗床なりプラントチャンバー生産なりで行えば割と簡単に補充可能です。
いえ、実際に補充されました…。
で、こうした無名の夜鷹系の女性たちを再生再利用するためにも、江戸市内への苗床設置が好ましいとされた結果、大奥の構成部門である将軍家居宅区画の分離と、日枝神社や日枝慈母寺とも直結する地下の苗床室設置に繋がったのです…。
で、散茶や花魁といった、上級の遊女の成り手をどうするかっ。
先ほどの表の、見習いのカテゴリーに属する少女たち。
この少女たちについては…おまつさんが詳しいんです…。
「前田家七日市領に設けられましたる富岡製糸場、あそこはおなごの工員を大量に雇用することになりまして…」
で、奉公女として比丘尼国全国から女子を公募したそうです。
しかし、連邦世界だとグンマーの片田舎の寮暮らし。
いかに、いわば夜間学生のように教育も受けられて云々という売り込みがあったにせよ、新しい形態の労働に挫折しかける女の子もまた、多数。
そして、衣食住を工場が持つ代わりに薄給だったんですよね…。
(ふふふ、そこで讀賣がききめを発揮するのですよ…)
そう、改革実施中の江戸のお仕事もあるよと斡旋する求人広告誌めいたものが流通したのです…。
そして、富岡製糸場の学徒工員少女の奉公期間は1年とされました。
この1年を勤め上げれば、自由の身。
いわば正社員となる女工の道を選ぶもよし、あるいは江戸に出て働き口を探すもよしとされたのです。
(下級とはいえ巫女種化して詰め込み教育を受けさせるんですよね…)
つまり、吉原の太夫さんたちと同じで、痴女宮の女官同様に戦力化にかかる年数を短縮する試みがなされたのです。
で、品川や吉原の奉公明けの遊女の方で、堅気に戻る道を選択した方も、女子工員として来られていました。
そして、遊郭時代の経験を活かして女学生工員の監督指導に当たることも多いそうですけどね…。
ええ、お分かりでしょう。
玉の輿に乗るワンチャンもあるで、と吹き込まれたのです、工員暮らしが嫌な女学生には…。
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