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-Tango Argentina- ラテンの紅い情熱の花・5
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まだ朝も明けやらぬマドリード空港に着陸する、変態輸送機のスケアクロウ。
それも、2機が駆り出されております。
ええ、撮影隊と機材の移動のために飛んで頂いたのは、申し上げるまでもありません。
それはいいのですが、なんで有全珍変の、いえ、アルゼンチンチン編の第一幕の撮影が終わったのに、このわたくしフランシスカまでもが。
ちなみに痴女皇国世界のマドリード空港、場所は連邦世界と多少違います。
というかアドルフォ・スアレス・マドリード=バラハス空港が巨大すぎるのです。
ですので、それなりに規模を今の現状で大丈夫なように変更しておるはず。
で、アルゼンチンから我々を連れてきてくれたスケアクロウ、IT011号機とIT013号機という番号が振られておるそうですけど、従来から痴女皇国に置かれている011号機をベラ子陛下、013号機はなんとマルハレータ殿下が、ジーナ閣下の付き添いで操縦しておられました…。
(痴女皇国世界限定やけどな…マルハちゃんのオランダ国籍を取るのがちょっと難航しててな…英国籍やったらすぐ降ろせるんやけど)
そう、向こうのオランダ王室がちょお~~~~~~っと難色を示しておられるようなのですよ。
ですので、殿下が操縦桿を握れるのは痴女皇国世界の地球と、そしてNBになるそうです。
あ、聖院世界でもいけるんですか。
それはまぁともかく、滑走路2本はこの時代でもやりすぎではと思った痴女皇国世界のマドリード空港ですけど、実のところはスペイン空軍とフランス空軍が宙兵隊派遣部隊の扱いで駐留しており、アトランティック2輸送機を主力とした輸送部隊の基地として運用しているために、ある程度の広さを必要とするそうです。
ええ…密かに、というには悪目立ちしておりますけど、痴女皇国世界での航空機運用、とりあえず連邦世界からの機材や人員持ち込みを主力として、それなりに本格化しつつあるのです。
でまぁ。
スケアクロウから降ろされたロケバスやらトラック、そしてシトロエン2CVだのなんだかんだ、とりあえずは宙兵隊基地扱いの区画の倉庫に仮置きさせて頂いたりした後で、お出迎えに来られたイザベル陛下に撮影の成功を告げ…。
あのぉ、陛下。
それ、ライダースーツでは。
ええ、スペインのメーカーの製造らしいオートバイで空港まで来られたとか…。
「くるまを出してくれる心優しい臣下がおらんってどういうことですの!」
いやその、我々にそういう愚痴を言われましても。
で、実のところは別の理由やろと勘繰った私の勘、正しかったようです。
要は、ベラ子陛下やジーナ閣下が来てるのにリムジンとか何だで来るのはちょいとまずい。
それと、陛下も割に新しもん好きです。
で、オートバイなる乗り物で、颯爽と走る女の何がしかを見たのでしょう。
これならば、婦人騎士団ライダー隊(イザベル陛下談話)なるポリス集団を率いて我々を先導しても、不自然には思えません。
そして…イタリアメーカーのライセンス品ですが、痴女島でベラ子陛下がアシに使っている私物の火事場の125cc、あれの10倍近い大型バイクに乗って来られた理由は…まぁ、マウント合戦っちゅうやつでしょうね…。
(デカかったらいいってもんじゃないですよ…)
(へーか。それ、へーかの股ぐらのラスプーチンちんに聞いてみて頂けませんこと?)
(あたしの意志で装備したんじゃありません!)
で、痴女皇国世界のマドリード、連邦世界ほどにどばっと広がってません。
ですが、これは都市計画設計もあっての話だそうです。
周辺の住宅街から都心に地下鉄やセルカニアスとかいう近郊列車…フランスだとRER、日本では池尻大橋の東京支部に縁深いデンエントシセンのようなしろもので都心に通わせることを狙っておるのだとか。
そしてチャマルティン駅やアトーチャ駅周辺を民間の企業街や繁華街に仕立て、チャマルティンから王宮までを官庁街として、連邦世界のマドリードとはいささかに違った碁盤目の街区配置にしたいとの仰せ。
これは、スペインの地下水枯渇に起因する地震発生を受けての措置でもあり、連邦世界のマドリードほど古めの建物が密集した放射状の道路配置ではなく、街路を広めに取り建物も効率よく配置したいとの国土局側の提案もあったようなのです。
そして、緊急時の車両走行路確保や、はたまた地震による建物倒壊によって道を塞がれたり、発生した火災の延焼を防ぐためにも、特に行政区はナゴヤやブラジリアのような余裕ある広い街路と街並みを考えられたようなのです。
そして、痴女皇国世界ではもろもろが機能的に動くこともあって、連邦世界ほどに労働人口を必要としない、というのも街区設計に影響を及ぼしております。
おりますが…。
でまぁ、イザベル陛下のオートバイと、そして婦人騎士団の赤いバイク数台に続いて王宮に向かう我々ですが、ロケバスをなぜかベラ子陛下の分体、そして私たちの乗る大型バスをジーナ閣下がなぜか運転しておることに。
「うちは運転手の宿命なんやろな…」
(かーさま、それはあたしのセリフでもあります…イザベルさんを久々に泣かそうと思うあたしの心情は否定しないで欲しいのです…)
ちなみにですね、アルゼンチンチンでのロケバス運転、誰がしたか。
私ですよ、ええ。
(車の運転ができるとこき使われる。うちらの宿命や…フランシスカさんも馴染めるように頑張ってな…)
そして、同じように泣いているのが道具類運搬のトラックのハンドル、鉢巻して握ってるマルハレータ殿下。
(ワイは運転手役を否定はしまへんけどな…ただ、なんですか、日本のエイガにあった、あのカミカゼ・トラックとか何か。あれ運転する格好に無理からに着替えさせられるんは、ちょっとやめてもらえたら…)
で、なんで私がロケバス運転を免除されたか。
それは、ヴィータとホセの付き添い役を言われたからです。
ええ、この二人、結局はマドリードに連れて来られたのです。
ただ、目的はあくまでも映画の撮影。
この撮影が終わったら、ちゃんとブエノスアイレスに返して当初の予定通りにもろもろの試験や講習を受けてもらう予定ですよ。
で、ヴィータにとっては実は2回目のマドリードなのですけど、当時とは来る道のりが違っています。
その時はあくまでも一般研修者としてスペインに来ておりますので、旅客船に乗ってカディスに来た後、迎えに来た婦人騎士団員に付き添われて直通高速列車でマドリード・アトーチャ駅に向かっていたはずです。
ですから、地下のアトーチャ駅に降りていきなり地上に放り出されるのと、飛行機でマドリード上空を待機旋回してから着地している上に、郊外の空港から中心部をくるまで目指すのとでは見えるものが全く違うと思いますよ、ええ。
ですから、ヴィータが舞踊研修生として暮らしていた場所に行くまでは、ドヤ顔できないのも無理はないのです。
この私にしても、まともにマドリード…それも痴女皇国世界のマドリードを訪れるのは、後見支部である南欧支部に出向く仕事のためでしたし、だいいち片手の指で数えるほどにしか訪問しておりません。
とりあえずはお仕事でしか来れておらんのです…です…。
(意外にフランシスカさんて、男らしいというか、あんま観光とか物見遊山っちゅう考えがあらへんねんな…いや、うちも海外どさ回りとか基地派遣とか多かったから、旅といえば仕事という部類やったんやけど)
(マンハッタンにはアパートあるんですけどねぇ…)
そう、モデル仕事の際の拠点ということで、改めて取得し直した物件があるのです。
場所は…ママの店NY支店の近所、とだけ今はお伝えしておきましょう。
(つまり、マリ公やベラ子が仕事で使うことも考えてると…)
(ま、おかげで経費は持って頂けましたし)
と、合理的に割り切る私です。
そしてこのアパートというか、日本の皆様にはセキュリティばっきばきの分譲マンションというべき代物ですけど、ここは連邦世界ではメキシコ大統領という公職に就任している私が、密かに滞在して連邦政府のNY事務局だの、ポワカール閣下の事務局長公邸だの、果てはラッツィオーニ行政顧問のお宅にも行きやすい場所ではあるのです、閑話休題。
で、こうしてマドリード市街の区画を分けた理由で、大きなものがもう一つあると申されるイザベル陛下。
そして、その区分けと居住層が、実のところ今、撮影中の映画の第二幕の主な舞台となる場所の重要な要素となるようなのです。
で、我々はエル・レティーロ王宮庭園の中にある婦人騎士団駐屯地を見ながら、王立軍学校の近くに建つ王立婦人舞踏団・王立歌劇団官舎に参ります。
ここがサド記念劇団またはスペイン王立過激団、いえ歌劇団の本拠地となるそうでして、かつての王の離宮や小さな演劇場などもすぐそばに存在します。
(マダム・フランシスカまでもがそのような言い方を…)
(お言葉ですがイザベル陛下、私はセニョーラはまだしもマダムはきついです…意味は同じでも、いちおーは戸籍でも実態でも独身かつ未婚の母であって、気分はマドモアゼルでセニョリ~~~~~~~タなのです!)
(ううううう、あたくし一応は亭主がおった身の上なんですわよねぇ…)
ええ、この辺は言い方にこだわるとして、さてさて、マドリード市街、それもオリエンテ宮殿付近です。
南北の長さでは、メヒコの国立宮殿の半分くらいですけど、充分に巨大です。
…というかウチの国立宮殿がデカすぎるのです。
ただ…連邦世界ではオリエンテ宮殿やマドリードを参考にしてメキシコシティを造ったのだろうなというのは、こうしてマドリードの市街を見ておればなんとなく勘づく話ではあります。
⬜︎サルスエラ宮殿(かなり山の中)
マンサナレス川 プラド通り(上下線間は公園)
カ|| || ||
サ|| ⬜︎オリエンテ宮殿 || || アルカラ凱旋門
デ|| ==グランビア(美麗通り)==||=>
カ|| ⬜︎アルムデナ聖堂 || || 下の図に続く
ン||⬜︎愛隣会館 || ||
ポ|| || ||
----------------------------------------------------
↓旧・前王離宮庭園
プラド通り(上下線間は公園) エル・レティーロ
|| || |王立軍学校⬜︎
|| || |(兵卒科・士官科)
|| || アルカラ凱旋門 |
<= ==||=グラン・ビア=
|| || |婦人騎士団寮
|| || |闘牛騎士団寮
|| || |練兵場他もろもろ
で、問題はここから。
この、あからさまに軍事行動の際のことも考えているとしか思えない騎士団駐屯地の配置です。
なにせ、エル・レティーロから美麗大通りを進むと、女の通常の足でもオリエンテ宮殿と南側のアルムデナ大聖堂の間の広場までは10分とかかりません。
いわんや、痴女種…それも、千人卒以上の騎士が動けば、それこそ秒単位での移動も可能でしょう。
つまり、王宮や大聖堂、そして騎士団に何かあった場合は相互の鎮圧兵力が動かせるようにも考慮されているのです。
そして、オリエンテ宮殿の北側地下に位置する宮廷駅プリンシペ・ピオへはこの広場の入り口からちょっとした車の乗り入れを含めて利用可能とあれば、いざという時には軍用列車を仕立てて兵力をスペイン各地へ送り込む目的も感じられるのです。
(フランシスカさん、正解ですよ…あの駅から臨時出発可能なS1919型高速列車、1編成が常駐しています…何かあった場合には臨時便をすぐに出せるようにとの理恵パイセン…室見局長の配慮もあるんです…)
そう、婦人騎士団の騎士を数十名送り込むだけでも、かなりのことができるでしょう。
実際にそこまでの事が起きたのは、ポルトガル女体化作戦の際の混乱が起きた時くらいだそうですけどね。
で、その広場前でアウグスティーナ行政総統兼・スペイン王立婦人騎士団長と引き合わされる私たち。
このアウグスティーナ団長が今はスペインの行政を仕切る摂政の立場で、イザベル陛下が隠居されている間の…そして、アウグスティーナ団長とイザベル陛下の間の庶子でもあるフラメンシア王女殿下が次期スペイン国王に即位なさるまでの間の繋ぎ役であること、支部長会議の席上他でも聞かされております。
で、アウグスティーナ団長と私、役職も実際の立場も結構似通っておるところがありますし、何より使用母語は違いますけど、お互いにバスクの血を引くということで親近感はお持ち頂けておるようなのです。
で、オリエンテ宮殿の食堂で歓待の朝食のあと、映画撮影を再開する話となっております。
そして、マドリードを舞台とする映画第二幕は、マドリードにやって来たヴィータと魔毒抜き従者扱いのホセが、とりあえずは河原女の出であるヴィータの希望で、マドリード愛隣会館…スペイン在住の河原者頭が館長を務める館を訪問することになります。
このマドリード愛隣会館、離魔愛隣会館とはいささかに違った対象を保護し、その生活を助けるための施設です。
ただ、離魔愛隣会館が不良少年や孤児の救済、わけても労働者適性の向上や地方定住者化を目指した施設なのに対して、マドリード愛隣会館は漂泊の流浪芸人なら芸人、浮浪者黒人なら浮浪者をなるべく浮浪者のままで保護するためにも動いている違いがある、という説明をアウグスティーナ団長から受けることに。
そして朝食の席に同席していた河原者頭を兼ねる愛隣会館長司教…つまり司教資格を持った尼僧でもある方いわく。
「マンサナレス河川敷公園の舞踊女については、ヴィータもよく知っておるでしょう…あの女たちはたとえマドリード在住の貴族や富豪といえど、直接の身請けが叶わぬ立場…あの女どもが流浪を止めると言い出さぬ限りは、流浪者のままでおいてやる方針なのです…」
で、この河原女たちと、そしてマンサナレス川西岸の広大な敷地を誇るカーサ・デ・カンポ王立庭園公園。
ここが夜には強姦公園指定がかかった公園であり、かつ中央の王賓庭園と周囲の公園部分ががっつりと仕切られているのを図で見せられます。
王宮西側にはカンポ・デ・モーロという庭園公園がもう一つ存在しますが、ここは言うなればアルムデナ大聖堂附属修道院の学生と、オリエンテ宮殿勤務者の青姦公園に近い性格があるというのがアウグスティーナ団長のご説明。
その、カンポ・デ・モーロと、その中央部を貫く通りを進み、マンサナレス川にかかる橋を渡るとカーサ・デ・カンポの広大な面積を誇る森林が西側に広がる光景を目にするのです。
なにせこのカーサ・デ・カンポ、連邦世界のマドリード市街地中心部と比較しても三分の一程度の広大な面積を誇っているのです。
そして、王宮前からの通りの橋を渡った先に、小さな湖と…先ほど申し上げました王賓庭園が存在します。
で、その王賓庭園の南北が、主に暗黒大陸から出稼ぎにやってきた労働者のうち、浮浪売春資格を認定された浮浪黒人の居住地に指定されているのです…。
つまり、王賓庭園というそこそこの公園内庭園の北側がアフリカ出身の出稼ぎ女の居住地、王賓庭園の南側が偽女種を含む黒人中心の暗黒大陸から来た少年たちの野宿場所の中心となっているとお考えください。
で、私が仮にマドリード市内東側に住む富豪なり貴族であったとしましょう。
つまり、ハリウッドやシリコンバレーのセレブあるいはリッチってやつのスペイン版ですね。
そして、女遊びを思い立った場合ですが、このマドリードでの流行の一つに、河原女の踊り子の野外鑑賞と姦淫、そして黒人少年や少女を買う遊びがあるそうです。
ううむ。
「昨今の貴族や富豪、卑しい者との行為を朝から昼から楽しむ傾向があるのですわ…つまり、労働者たちであれば、下手をすると日の出前からあくせくと働くべき時に、おのれは女遊びにふける余裕があるのだという余裕を富裕者どうしでのまうんと合戦に使っておるのです…」
それも、2機が駆り出されております。
ええ、撮影隊と機材の移動のために飛んで頂いたのは、申し上げるまでもありません。
それはいいのですが、なんで有全珍変の、いえ、アルゼンチンチン編の第一幕の撮影が終わったのに、このわたくしフランシスカまでもが。
ちなみに痴女皇国世界のマドリード空港、場所は連邦世界と多少違います。
というかアドルフォ・スアレス・マドリード=バラハス空港が巨大すぎるのです。
ですので、それなりに規模を今の現状で大丈夫なように変更しておるはず。
で、アルゼンチンから我々を連れてきてくれたスケアクロウ、IT011号機とIT013号機という番号が振られておるそうですけど、従来から痴女皇国に置かれている011号機をベラ子陛下、013号機はなんとマルハレータ殿下が、ジーナ閣下の付き添いで操縦しておられました…。
(痴女皇国世界限定やけどな…マルハちゃんのオランダ国籍を取るのがちょっと難航しててな…英国籍やったらすぐ降ろせるんやけど)
そう、向こうのオランダ王室がちょお~~~~~~っと難色を示しておられるようなのですよ。
ですので、殿下が操縦桿を握れるのは痴女皇国世界の地球と、そしてNBになるそうです。
あ、聖院世界でもいけるんですか。
それはまぁともかく、滑走路2本はこの時代でもやりすぎではと思った痴女皇国世界のマドリード空港ですけど、実のところはスペイン空軍とフランス空軍が宙兵隊派遣部隊の扱いで駐留しており、アトランティック2輸送機を主力とした輸送部隊の基地として運用しているために、ある程度の広さを必要とするそうです。
ええ…密かに、というには悪目立ちしておりますけど、痴女皇国世界での航空機運用、とりあえず連邦世界からの機材や人員持ち込みを主力として、それなりに本格化しつつあるのです。
でまぁ。
スケアクロウから降ろされたロケバスやらトラック、そしてシトロエン2CVだのなんだかんだ、とりあえずは宙兵隊基地扱いの区画の倉庫に仮置きさせて頂いたりした後で、お出迎えに来られたイザベル陛下に撮影の成功を告げ…。
あのぉ、陛下。
それ、ライダースーツでは。
ええ、スペインのメーカーの製造らしいオートバイで空港まで来られたとか…。
「くるまを出してくれる心優しい臣下がおらんってどういうことですの!」
いやその、我々にそういう愚痴を言われましても。
で、実のところは別の理由やろと勘繰った私の勘、正しかったようです。
要は、ベラ子陛下やジーナ閣下が来てるのにリムジンとか何だで来るのはちょいとまずい。
それと、陛下も割に新しもん好きです。
で、オートバイなる乗り物で、颯爽と走る女の何がしかを見たのでしょう。
これならば、婦人騎士団ライダー隊(イザベル陛下談話)なるポリス集団を率いて我々を先導しても、不自然には思えません。
そして…イタリアメーカーのライセンス品ですが、痴女島でベラ子陛下がアシに使っている私物の火事場の125cc、あれの10倍近い大型バイクに乗って来られた理由は…まぁ、マウント合戦っちゅうやつでしょうね…。
(デカかったらいいってもんじゃないですよ…)
(へーか。それ、へーかの股ぐらのラスプーチンちんに聞いてみて頂けませんこと?)
(あたしの意志で装備したんじゃありません!)
で、痴女皇国世界のマドリード、連邦世界ほどにどばっと広がってません。
ですが、これは都市計画設計もあっての話だそうです。
周辺の住宅街から都心に地下鉄やセルカニアスとかいう近郊列車…フランスだとRER、日本では池尻大橋の東京支部に縁深いデンエントシセンのようなしろもので都心に通わせることを狙っておるのだとか。
そしてチャマルティン駅やアトーチャ駅周辺を民間の企業街や繁華街に仕立て、チャマルティンから王宮までを官庁街として、連邦世界のマドリードとはいささかに違った碁盤目の街区配置にしたいとの仰せ。
これは、スペインの地下水枯渇に起因する地震発生を受けての措置でもあり、連邦世界のマドリードほど古めの建物が密集した放射状の道路配置ではなく、街路を広めに取り建物も効率よく配置したいとの国土局側の提案もあったようなのです。
そして、緊急時の車両走行路確保や、はたまた地震による建物倒壊によって道を塞がれたり、発生した火災の延焼を防ぐためにも、特に行政区はナゴヤやブラジリアのような余裕ある広い街路と街並みを考えられたようなのです。
そして、痴女皇国世界ではもろもろが機能的に動くこともあって、連邦世界ほどに労働人口を必要としない、というのも街区設計に影響を及ぼしております。
おりますが…。
でまぁ、イザベル陛下のオートバイと、そして婦人騎士団の赤いバイク数台に続いて王宮に向かう我々ですが、ロケバスをなぜかベラ子陛下の分体、そして私たちの乗る大型バスをジーナ閣下がなぜか運転しておることに。
「うちは運転手の宿命なんやろな…」
(かーさま、それはあたしのセリフでもあります…イザベルさんを久々に泣かそうと思うあたしの心情は否定しないで欲しいのです…)
ちなみにですね、アルゼンチンチンでのロケバス運転、誰がしたか。
私ですよ、ええ。
(車の運転ができるとこき使われる。うちらの宿命や…フランシスカさんも馴染めるように頑張ってな…)
そして、同じように泣いているのが道具類運搬のトラックのハンドル、鉢巻して握ってるマルハレータ殿下。
(ワイは運転手役を否定はしまへんけどな…ただ、なんですか、日本のエイガにあった、あのカミカゼ・トラックとか何か。あれ運転する格好に無理からに着替えさせられるんは、ちょっとやめてもらえたら…)
で、なんで私がロケバス運転を免除されたか。
それは、ヴィータとホセの付き添い役を言われたからです。
ええ、この二人、結局はマドリードに連れて来られたのです。
ただ、目的はあくまでも映画の撮影。
この撮影が終わったら、ちゃんとブエノスアイレスに返して当初の予定通りにもろもろの試験や講習を受けてもらう予定ですよ。
で、ヴィータにとっては実は2回目のマドリードなのですけど、当時とは来る道のりが違っています。
その時はあくまでも一般研修者としてスペインに来ておりますので、旅客船に乗ってカディスに来た後、迎えに来た婦人騎士団員に付き添われて直通高速列車でマドリード・アトーチャ駅に向かっていたはずです。
ですから、地下のアトーチャ駅に降りていきなり地上に放り出されるのと、飛行機でマドリード上空を待機旋回してから着地している上に、郊外の空港から中心部をくるまで目指すのとでは見えるものが全く違うと思いますよ、ええ。
ですから、ヴィータが舞踊研修生として暮らしていた場所に行くまでは、ドヤ顔できないのも無理はないのです。
この私にしても、まともにマドリード…それも痴女皇国世界のマドリードを訪れるのは、後見支部である南欧支部に出向く仕事のためでしたし、だいいち片手の指で数えるほどにしか訪問しておりません。
とりあえずはお仕事でしか来れておらんのです…です…。
(意外にフランシスカさんて、男らしいというか、あんま観光とか物見遊山っちゅう考えがあらへんねんな…いや、うちも海外どさ回りとか基地派遣とか多かったから、旅といえば仕事という部類やったんやけど)
(マンハッタンにはアパートあるんですけどねぇ…)
そう、モデル仕事の際の拠点ということで、改めて取得し直した物件があるのです。
場所は…ママの店NY支店の近所、とだけ今はお伝えしておきましょう。
(つまり、マリ公やベラ子が仕事で使うことも考えてると…)
(ま、おかげで経費は持って頂けましたし)
と、合理的に割り切る私です。
そしてこのアパートというか、日本の皆様にはセキュリティばっきばきの分譲マンションというべき代物ですけど、ここは連邦世界ではメキシコ大統領という公職に就任している私が、密かに滞在して連邦政府のNY事務局だの、ポワカール閣下の事務局長公邸だの、果てはラッツィオーニ行政顧問のお宅にも行きやすい場所ではあるのです、閑話休題。
で、こうしてマドリード市街の区画を分けた理由で、大きなものがもう一つあると申されるイザベル陛下。
そして、その区分けと居住層が、実のところ今、撮影中の映画の第二幕の主な舞台となる場所の重要な要素となるようなのです。
で、我々はエル・レティーロ王宮庭園の中にある婦人騎士団駐屯地を見ながら、王立軍学校の近くに建つ王立婦人舞踏団・王立歌劇団官舎に参ります。
ここがサド記念劇団またはスペイン王立過激団、いえ歌劇団の本拠地となるそうでして、かつての王の離宮や小さな演劇場などもすぐそばに存在します。
(マダム・フランシスカまでもがそのような言い方を…)
(お言葉ですがイザベル陛下、私はセニョーラはまだしもマダムはきついです…意味は同じでも、いちおーは戸籍でも実態でも独身かつ未婚の母であって、気分はマドモアゼルでセニョリ~~~~~~~タなのです!)
(ううううう、あたくし一応は亭主がおった身の上なんですわよねぇ…)
ええ、この辺は言い方にこだわるとして、さてさて、マドリード市街、それもオリエンテ宮殿付近です。
南北の長さでは、メヒコの国立宮殿の半分くらいですけど、充分に巨大です。
…というかウチの国立宮殿がデカすぎるのです。
ただ…連邦世界ではオリエンテ宮殿やマドリードを参考にしてメキシコシティを造ったのだろうなというのは、こうしてマドリードの市街を見ておればなんとなく勘づく話ではあります。
⬜︎サルスエラ宮殿(かなり山の中)
マンサナレス川 プラド通り(上下線間は公園)
カ|| || ||
サ|| ⬜︎オリエンテ宮殿 || || アルカラ凱旋門
デ|| ==グランビア(美麗通り)==||=>
カ|| ⬜︎アルムデナ聖堂 || || 下の図に続く
ン||⬜︎愛隣会館 || ||
ポ|| || ||
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↓旧・前王離宮庭園
プラド通り(上下線間は公園) エル・レティーロ
|| || |王立軍学校⬜︎
|| || |(兵卒科・士官科)
|| || アルカラ凱旋門 |
<= ==||=グラン・ビア=
|| || |婦人騎士団寮
|| || |闘牛騎士団寮
|| || |練兵場他もろもろ
で、問題はここから。
この、あからさまに軍事行動の際のことも考えているとしか思えない騎士団駐屯地の配置です。
なにせ、エル・レティーロから美麗大通りを進むと、女の通常の足でもオリエンテ宮殿と南側のアルムデナ大聖堂の間の広場までは10分とかかりません。
いわんや、痴女種…それも、千人卒以上の騎士が動けば、それこそ秒単位での移動も可能でしょう。
つまり、王宮や大聖堂、そして騎士団に何かあった場合は相互の鎮圧兵力が動かせるようにも考慮されているのです。
そして、オリエンテ宮殿の北側地下に位置する宮廷駅プリンシペ・ピオへはこの広場の入り口からちょっとした車の乗り入れを含めて利用可能とあれば、いざという時には軍用列車を仕立てて兵力をスペイン各地へ送り込む目的も感じられるのです。
(フランシスカさん、正解ですよ…あの駅から臨時出発可能なS1919型高速列車、1編成が常駐しています…何かあった場合には臨時便をすぐに出せるようにとの理恵パイセン…室見局長の配慮もあるんです…)
そう、婦人騎士団の騎士を数十名送り込むだけでも、かなりのことができるでしょう。
実際にそこまでの事が起きたのは、ポルトガル女体化作戦の際の混乱が起きた時くらいだそうですけどね。
で、その広場前でアウグスティーナ行政総統兼・スペイン王立婦人騎士団長と引き合わされる私たち。
このアウグスティーナ団長が今はスペインの行政を仕切る摂政の立場で、イザベル陛下が隠居されている間の…そして、アウグスティーナ団長とイザベル陛下の間の庶子でもあるフラメンシア王女殿下が次期スペイン国王に即位なさるまでの間の繋ぎ役であること、支部長会議の席上他でも聞かされております。
で、アウグスティーナ団長と私、役職も実際の立場も結構似通っておるところがありますし、何より使用母語は違いますけど、お互いにバスクの血を引くということで親近感はお持ち頂けておるようなのです。
で、オリエンテ宮殿の食堂で歓待の朝食のあと、映画撮影を再開する話となっております。
そして、マドリードを舞台とする映画第二幕は、マドリードにやって来たヴィータと魔毒抜き従者扱いのホセが、とりあえずは河原女の出であるヴィータの希望で、マドリード愛隣会館…スペイン在住の河原者頭が館長を務める館を訪問することになります。
このマドリード愛隣会館、離魔愛隣会館とはいささかに違った対象を保護し、その生活を助けるための施設です。
ただ、離魔愛隣会館が不良少年や孤児の救済、わけても労働者適性の向上や地方定住者化を目指した施設なのに対して、マドリード愛隣会館は漂泊の流浪芸人なら芸人、浮浪者黒人なら浮浪者をなるべく浮浪者のままで保護するためにも動いている違いがある、という説明をアウグスティーナ団長から受けることに。
そして朝食の席に同席していた河原者頭を兼ねる愛隣会館長司教…つまり司教資格を持った尼僧でもある方いわく。
「マンサナレス河川敷公園の舞踊女については、ヴィータもよく知っておるでしょう…あの女たちはたとえマドリード在住の貴族や富豪といえど、直接の身請けが叶わぬ立場…あの女どもが流浪を止めると言い出さぬ限りは、流浪者のままでおいてやる方針なのです…」
で、この河原女たちと、そしてマンサナレス川西岸の広大な敷地を誇るカーサ・デ・カンポ王立庭園公園。
ここが夜には強姦公園指定がかかった公園であり、かつ中央の王賓庭園と周囲の公園部分ががっつりと仕切られているのを図で見せられます。
王宮西側にはカンポ・デ・モーロという庭園公園がもう一つ存在しますが、ここは言うなればアルムデナ大聖堂附属修道院の学生と、オリエンテ宮殿勤務者の青姦公園に近い性格があるというのがアウグスティーナ団長のご説明。
その、カンポ・デ・モーロと、その中央部を貫く通りを進み、マンサナレス川にかかる橋を渡るとカーサ・デ・カンポの広大な面積を誇る森林が西側に広がる光景を目にするのです。
なにせこのカーサ・デ・カンポ、連邦世界のマドリード市街地中心部と比較しても三分の一程度の広大な面積を誇っているのです。
そして、王宮前からの通りの橋を渡った先に、小さな湖と…先ほど申し上げました王賓庭園が存在します。
で、その王賓庭園の南北が、主に暗黒大陸から出稼ぎにやってきた労働者のうち、浮浪売春資格を認定された浮浪黒人の居住地に指定されているのです…。
つまり、王賓庭園というそこそこの公園内庭園の北側がアフリカ出身の出稼ぎ女の居住地、王賓庭園の南側が偽女種を含む黒人中心の暗黒大陸から来た少年たちの野宿場所の中心となっているとお考えください。
で、私が仮にマドリード市内東側に住む富豪なり貴族であったとしましょう。
つまり、ハリウッドやシリコンバレーのセレブあるいはリッチってやつのスペイン版ですね。
そして、女遊びを思い立った場合ですが、このマドリードでの流行の一つに、河原女の踊り子の野外鑑賞と姦淫、そして黒人少年や少女を買う遊びがあるそうです。
ううむ。
「昨今の貴族や富豪、卑しい者との行為を朝から昼から楽しむ傾向があるのですわ…つまり、労働者たちであれば、下手をすると日の出前からあくせくと働くべき時に、おのれは女遊びにふける余裕があるのだという余裕を富裕者どうしでのまうんと合戦に使っておるのです…」
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弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
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