アルトリーネさんのいけない修行の日々

すずめのおやど

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悪霊の盆踊り? 赤道祭りだワッショイ・11

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しかしですねぇ。

我々が乗っているこのDA-62、数百メートルの滑走路があれば離着陸できるのですが、問題はですねぇ。

それすらも不可能なのがわかっている、ジョグジャカルタに該当する町というか村の状況。

当たり前ですが、この時代にアジスチプト飛行場は存在しません。

そして、この飛行機の降着装置は、不整地に対応していません。

ある程度は平らになっている場所でないと厳しいですね。

ダリアさん用の紫薔薇仕様の滑空翼は積んでいますが、これは全員で現地にお邪魔した方が良さそうな雰囲気です。

どうやら、この噴火で現地は混乱している模様。

更には火山の知識がないためにですね、下の町の方々は逃げるべきか、はたまた逃げたとしてどこに行けば良いのか等々、皆が正常な判断を下せないようです。

これは、ダリアさんだけを行かせてこっそり等の工作だけで、どうにかなるものではないでしょう。

どないしたもんでしょうか。

(マリアヴェッラ。まちの中を見渡せるばしょまで近づいてご覧なさい)

え。

(えーまーちゃーん。悪いけど、ジョグジャカルタの街の中の現在状況、衛星か航空映像でこちらに送ってくれる? )と、エマ助に依頼します。

(へいへい…あのー、アジスチプト空港の位置に滑走路、初代様が作りました。あそこ連邦世界だと09/27で2,200mのコンクリ張りと、1,300mの草地の二本立てでしょう。そのうち、草地の方を…)

えええええ。

送られてきた映像を見ると、確かにそれっぽいものが存在します。

しかし、そんな平坦な空き地をこしらえてしまって良いものでしょうか。それ以前にあの空港、確かものすごく街中にあって危険だということもあるから移転したのでは…。

(さっき作りました。おうちや森にはちょっとどいてもらって)

そういう事を断りもなく実行しても、果たして良いものでしょうか。

何か、事実を知ったら住民の皆様が変な塔や小屋を立てて何年も籠城して「空港はんたーい」とかやってしまいかねないのでは…。

(そういうことをする者が現れて称賛される時代かはともかく、あそこにおうちをたてようとすると呪われるようにしましたわ。ぽるたーがいすととかいうのですか、たてる段階でがたがたと地鳴りがするとか)

全く、えげつない事をするおばちゃんですねっ。

まぁともかく、これで、せっかく積んで来た滑空翼は不要にこそなりましたが、飛行機そのものを降ろす目処はつきました。

あ、地面、まっ平でしょうね…。

(草で隠しておりますが、じめんからすぐ下になめらかな岩を敷いておりますよ。ですから、たてものの土台を作ろうにも掘れないのです。そして岩のそざい素材は…痴女宮や聖院開闢記念大堤…だむとおなじ、みかげ石でしてよ)

あ。

この御影石、ただの黒または赤御影石じゃないんですよね。

痴女宮はもちろん、聖院側の本宮もそうですけど、この石、一種の生物めいたものだそうです。

周辺の地盤や、聖院湖に流れ込む土砂を取り込んで分解し、自己修復する機能があるとか。

(つまり、聖院湖の底も石でつくっておりましてよ。でなければ、あんな大きなみずうみの水の重さ、支え切れませんでしょ?)

なるほど…だからあのダムでも耐えていられるのですね。

(本当なら、そうなるまでに時間のかかるものなのですけどね。エマちゃんがしてくれまして…)

(端的に言うと昔の聖環の通信回路と同じで、石を浸食する作用の結晶生物を寄生させてますね。駄洒落菌に感染するような感じで、花崗岩系の雲母に取って代わるんです。で、自己修復能力のある珪素系生物とでも言うべきものに、石質を作り替えると…これもオーパーツの部類ですね)

はぁ…大丈夫なんでしょうね、それ。

(実は、持ち込み元にも責任を取らせるために、サン=ジェルマンのおっさんに同じもん渡していますよ。向こうの月面事業所や連邦軍の月基地の構造物周辺、この結晶生物に置き換えていかせてます)

えー…まぁ、エマちゃんとサン=ジェルマンさんに任せます…。

(一応言っとくけど、僕の一族が持ち込んだものだから信頼性は大丈夫なはずなんだよね。生物として死亡しても…そうだね、ラリベラと…あと、マチュピチュみたいに岩や石として残存はするよ)と、サン=ジェルマン先生の解説が入りました。

…本当でしょうね。間違っていたら次は髪の毛ですよ。ハゲにしますからね。

それはともかく、エチオピアのラリベラ遺跡ならわかります。あそこは今や、痴女皇国暗黒大陸地域本部を置いてますし。

まぁ、考えていても始まりません。

それに、飛行機を降ろす場所のめどがついたのであれば、火山の噴火状況についての方に目を向けるべきでしょう。

初代様、その辺に抜かりは。

火山弾に直撃でもされたら、痴女種3人はまだしもベテハリ君はまずいのです。

いざとなればあたしが抱き抱えて地表に下ろしますけど…。

それと、この飛行機を壊したらジーナ母様が怒ります。不可抗力ならまだしも、初代様の起こした噴火となりますと人災というか、神災。

(けむりだけを盛大に吹き上げさせておけば、それだけで下の村の者は怯えてくれるでしょう。すいじょうきばくはつ、と言うのですか、あれを軽く起こしたように見せかけただけですわ。本当にどかんとふかないようにはしておりますよ)

でまぁ、おっかなびっくりでとりあえず、エマちゃんのお願いに従って、ジョグジャカルタの上空から撮影を開始。

なるべく噴煙…つまり、火山灰を浴びないように注意します。

火山灰は月の粉塵と同じで、ガラスの粒子のようなものですから、いくら吸気フィルタがあるとは言ってもエンジンに良いものではないでしょう。

そして、もっと良くない事に、可動部分や隙間に入り込むとヤスリの粉のように作用しますからね…。

(撮影処理はこっちでやりますさかい、かーさまは左旋回でらせん状に降下していってください。その方がかーさまも降りやすいでっしゃろ)

へいへい。

という訳で、噴煙たなびくムラピ山…すぐ北側にもう1つ、メルバブ山という火山があって、双子の山のようにも見えます…に接近します。

(うわーこわー)

(ひぇえええええ)

(ベテハリはまだしもダリア様が怯えるなんて…)

(あ、アンヌマリーちゃん、そう言いますけどね、うちもやっぱり火の山見るのは嫌なんですよ…ほら、こないだの校外学習で行ったハワイでしたか、あそこはもっと火の河渦巻くえげつない光景でしたでしょ、あれがね…)

あー…その話はまた後にしましょう…機会があれば天の声にR15枠で書かせるとします…ええ、原住民と交流できたり痴女皇国の拠点を置く目処はつきましたが、火山について相談されましてね…。

(大丈夫ですよダリアさん。火口に溶岩も上がっていませんし、この噴煙は黒くありませんから本物の噴火ではないでしょう)

と、火口の状態を観察しながら山頂付近をくるくる回りつつ、高度を落として行きます。

(山頂付近まで高度が落ちたら、24方向へ市街地を飛び抜けながら海上へ進出降下、Uターンキューに従って市街地へ戻って場周経路に入って27方向へ着陸願います)

(その高度ならダイブ降下できるわね。…ベテハリ君、ちょっときつい動きをするけど驚かないでね…)

ええ、エマ助の指示だと、二つの山の間を飛び抜けた後で町の上を西南方向に向けて飛行する事になりますけど…海上の仮想ウェイポイントまでの間に、1,500mは高度を落とす事になりますからね…。

ぷぁああああああ。

いわゆるパワーダイブ、エンジンの回転を上げながら降下するやり方です。

しかし、複合素材で出来ている上にエアブレーキやスピードブレーキと言われる、飛行時に使う減速装置なんてついていない小型機です。

あまり無茶をしないように、機首下げ角度30度程度で降下します。ですが。

ぴーぴーぴー。

「きゃああああ!」

「ひぇええええ!」

スピード出過ぎの過速警報はまだしも、隣と右後ろ、うるさい。

アンヌマリーちゃん、あなたは痴女宮または茸島にいる間、聖院学院の校外学習絡みでスケアクロウに乗る可能性が高い立場でしょう。

事によれば戦闘機の後ろにすら乗せられるかも知れないのですよっ。

それにロレーヌに帰ったが最後、絶対にあのカエル女はあなたをフランス製輸送機のアトランティック2に乗せようとするはずですよ…。

そしてダリアさん。あなたカリバーンとか、戦闘機も経験されたでしょうっ。

更にはあの滑空翼を使うどころか、使い方を教える立場じゃないですかっ。

あれを平然と使えて、なんで飛行機がぁっ。

あたしの飛ばし方、いくらペイペイでもそんなに下手ですかぁっ。

「あ、クリスさんの後ろの時は身体に力がかからない飛び方でしたから…」と、統括騎士団長にあるまじき怯え方を。

「それにあの背負い翼やと、うちの好きに飛べますやんか…風を読む必要はありますけど…」更には、目に涙を浮かべながら隣のベテハリ君の手を握る始末。

断っておきますが、この飛行機にも超過禁止速度っちゅうもんがあります。

その速度はだいたい、対気速度で時速400キロ未満。

その速度を超す時の状況によってはプロペラや、繋がっている減速ギアボックスやエンジンを保護するためにプロペラピッチが自動で変更されたり、断続機を切って事実上のプロペラ空回りになる安全機構が働きかねません。

で、それを超えないように時々操縦桿を引いて機首上げしたりして揺らしましたけど、無茶な揺らし方はしてないはずですよ…。

(かーさま。スケアクロウだと機首下げ20度未満、通常は10度程度ですやん…それにICD/Gで慣性や重力いじれる戦闘機とちゃうんですさかい、ダリアさんやらアンヌマリーちゃんみたいに操縦訓練受けてなかったら、そら降下角30度でも墜落に思うのでは…)

(エマ助の誘導が悪い話になるわよっ。人間やめるお酒禁止期間一週間追加っ)

(ひぃいいいい!)

全く…どこか抜けてる気もする娘はともかくとしましょう。

「ベテハリ君。人には苦手というものがあります。ダリアさんが今うろたえていますが、たとえ痴女皇国で上から三番目くらいに強い人でも苦手なことは苦手なのです。そして…」

「そういう、はずかしいことをほかのひとに言わないように、でしょうか…」

「いえ。何かあった時のために覚えておくのです。あの時ダリアさんは僕を頼って手を握ってくれましたよね、という決めゼリフを言う場面がこの先に訪れるかも知れません。その時のために取っておくのです…」

脅しに使うのではなく、ええ格好する時のために。

そして…ベテハリ君はこの先、ヴァンセンヌ娯楽館送りになる運命です。

しかし、意外に飛行機の中での姿は、落ち着いた風。

これはちょっと、この先の展開次第では見込みがあるかも知れませんねと、あたしは考え直しています。

そして、その鍵を握る人物…今は下の町にいます。

既に目処はついています。あとは…我々の筋書きに乗せるだけ。

--

「あひぎぎぎ」

「はぁ、はぁ…」

ほうほうの体で降り立つ二人の助平服の女と、おっかなびっくりで裸足同然の草履足で主翼の「ここは踏める」黒線表示のところを踏んで降りて来る少年。

いえ、曲芸飛行をしたわけではありませんし、リノ辺りのスピードレースに出て地面スレスレを飛んだわけでもなければ、高速道路の上を飛んで速度違反で撮影されるようなことをした訳でもありませんよ。

ただ、普通の旅客機やスケアクロウで降りる際の機首の角度の3倍、下向きにして降りただけじゃないですか。

(ベラ子…ダリアが泣いてたから話聞いたけどな、あんた、そういう時はスロットル戻してなるべく水平保って降りたれや…そもそもそれDA-62、人乗せてる時にあんまし振り回す構造ちゃうねんからな…)

(エマちゃんの指定で高度を下げただけじゃないですか…)

(ウェイポイント付近で何周かして高度処理したりぃな…この時代にうちら以外に空飛んでる言うたら、痴女島近辺やと鳥の類しかおらんやろに…)

はい、かーさまに叱られますた。

(エマ子もあんま、ベラ子に無茶さすような管制指示せんときや…それと、あんたの酒を見習ってアレ飲む癖がみんなについたら困るさかいに、人間やめる酒に限った禁酒にはうちも賛同しとくからな?)

(ベラ子かーさまなら行ける思うたんですよぉ…)

(戦闘機飛ばしとんちゃうねんさかい、2G以上の機動さしないなさせなさんな

ううう、まぁともかく、あたしたちは町の中心部に向かって歩き出そうとしましたが。

そこに、駆け足で走って来る人たちが。

見れば、牛車に乗せられた何かが後ろに続いています。

(お告げの形を取って呼びましたの。アニサという女の子のはずですわよ)と、初代様が。

で、あたしが着ていた服…ちょちょちょちょっと待ってください初代様!

これ、白金衣正装じゃないですか! 何でこんなの引き寄せて着替えさせるのですか…いえ、ここまでは聞かされていた筋書きの通りです。

要は、火山の噴火に巻き込まれた女の子を助けて恩を着せて救出。更には女官化して痴女皇国で引き取る話に持って行くと。

ですが、珍珍を仕舞って女性体型にしておいたのが正解に思える、あたし用の紐仕様白金衣。

その露出度はもはや極限に近く、あたしでなかったら、こんな衆人環視の場では絶対に自信満々に立ってられないと思うのです。

せめてアルトさんがたまに着てる「穴開きばんぴれら」にしてくださいよっ。

ですが…あたしたちの姿を見るなり寄って来た男性陣は、まずはひざまずいて礼の姿勢を取ります。

どうも、あたしたちのエロ服、神々しい姿に捉えて下さったようで、まずは何より。

(ここらの人たちのすがた、あまり女官さまがたと変わりませんから…さすがにいいものを身につけているくらいは気づきますけど…)と、ベテハリ君が教えてくれます。

「◯×△◯…」ありゃ。現地語なので、心話に切り替えてもらいましょう。どうやら聖院女官と接触した経験のある方もいらっしゃるようですから。

(神の子たる方々が、禁断の原にお越しになると聞いて伺いました。失礼ながら、この娘が煮え立つ水を浴びて半死半生の体、助けたくばここに連れて来いと皆の心にお告げがございまして)と、振り返った先には、牛に牽かせた荷車らしきに載せて来た女の子の姿。

はぁ…禁断の原とか、どんな祟りを仕込んだのとか勘ぐりたくなる単語が出たのに内心呆れましたよ。

やりすぎや、おばちゃん。

そして半裸ですが、それなりに偉い人らしい纏いものを身につけた方が申し出られた話にお返事をば。

(なるほど…池に落ちた石が爆ぜた上に、池の水が沸き立ち噴き上がったものを浴びてしまわれたと…)

はい。そうです…初代様の過激なヤラセ行為の被害者ですよ…。

解説しますと、意図的に作られた火山弾が2発、アニサちゃんが召し上げられて下女めいた立場で働いていた屋敷…というべきですかね、この時代の南洋王国にしては立派な造りの部類のおうち…の庭の池に飛び込みました。

この池は別に庭園としてだけではなく、いざという時の用水用でもあり、それなりの大きさがあったみたいですね。

そして、火山弾の中心部はまだ冷えていない半溶けの溶岩。

まず1発目が池に落とされましたが。

で、日本海沿岸の粟島という島の辺りで名物になっている、わっぱ汁とかいう漁師さんたちの食事があるんですが…これを作る手順、まずは海岸で火を起こしてそこらの石を熱します。

そして、熱い石をエビやら魚やら貝と海水の入ったわっぱに投入すると、爆発したような勢いで沸騰します。

そして、煮立ちが収まったら石を引き上げて味噌を入れて溶かして食べるという、いわば即席の海鮮味噌汁。

これ、慶次郎さんが北海道行きの途中、現地を通過した際に漁師さんにご馳走になって作り方を覚えておられたんですよ。

で、気に入られた慶次郎さん、横濱でも時々作ってみんなで召し上がってるそうですけどね。

そう、それと同じ理屈で、火山弾の熱によって池の水が瞬く間に沸騰してたんです。

そこになぜか、狙いすましたように2発目が飛来。

沸騰していた池に、更に2発目です。

何事かと思って見ていたアニサちゃんに、爆発的に沸いた池のお水が、さながら間欠泉のように吹き上がり襲いかかったようです。

幸い、腰を抜かしてしまったので熱湯を頭から被らずに両足にかかる程度で済んだようですが、それでもひどい火傷です。

生きていても跡が残るどころか、最悪は両足が壊死して、足を切断するか、敗血症や腐敗で死に至るかの二択になってしまうのは確実でしょう。…この時代の南洋王国に…いえ、痴女皇国世界では無痛で足を切断する手術の可能な人員と設備、あたしたち以外には保有していません…。

そしてこの子が実家からお屋敷に来ていた理由。

ジョグジャカルタ一帯を治める藩王…昔の日本で言うなら、豪族や荘園領主という程度ですね。イタリアだとマントヴァ公やフェラーラ公に該当する地方領主です…から、領民の中で目をつけられたおうちに対して、奉公人として女の子を貢納せよという藩令が出ていたようなんです。

はい、ベテハリ君がアニサちゃんと引き剥がされた理由、これですね。

もともと水源を巡って仲が悪かった集落同士ですが、うちの娘に手を出したからには代わりの女を差し出せ、でなければ戦だとか喧嘩になりかけていたので、ベテハリ君の住んでいた集落側が折れて、別れさせる事で決着したみたいです。

で、理不尽な仕打ちと受け取ったベテハリ君は力ずくでアニサちゃんを取り返す方法を考えまして…お尋ね者の世界に入って武力を行使できるようになれば、誘拐または掠奪の形でアニサちゃんを取り戻せるのではないかと考えたようですね。更には、相手の実家と自分の家に復讐できれば、なおよし。

(善悪や倫理に照らし合わせる事さえしなければ、なかなか良い着想かとは思いますが…ただ…家族を皆殺しにする必要があったのかしらとも。ダリア団長はいかがお考えでしょうか)

(アンヌマリーちゃん…悪い連中の世界では箔付けが大事なんすわ。親兄弟を焼き殺してまで逃げ出して来たとかって話をしたら、たいていの男は「何でそこまでした」って聞くと思いますよ。で、兄弟の一番下で日頃いじめられていたとか、付き合ってた女の子と別れてしまえと殴る蹴るやられたとか言えば、たいていは信じるじゃないですか…そして、悪党の間ではね、そこまでやった度胸を褒められてしまいますねん…)

(まぁ、ベテハリの場合、それは真実なんですけど…過去を調べられる痴女種女官なら逆に、事実通りならば、調べた後で情状酌量を考えるでしょうね…)

さて、皆様がこれらのベテハリ君に関する話をどのように受け止められますかはともかく、今にも荷車の上に寝かされていて死にそうな顔をしているアニサちゃん。

そして、今駆け寄ろうとしたベテハリ君ですが、アンヌマリーちゃんがさりげなく止めています。

(うかつに触らないように…この人たちには内緒ですけど、彼女が死なないように、あたしの中の初代様が細工をしていますから大丈夫ですよ…)で、ベテハリ君の方を振り返らずに後ろ手でハンドサインを出しながら呼びかけてあげますよ。

(そ、そうでしたね…女官さまなら病やケガ、すぐ治せますよね…ではなぜすぐに治されないのでしょう…あ!)

(ふふふ、それはこれからの交渉次第です。ま、見ていてください…)

(で、お告げの話によりますれば、あれが山の怒りを鎮めたくばこの娘を供物としてそちら様に捧げよ、さもなくば火も煙もますます激しく吹き荒れ、山裾全て焼き尽くされるであろうと)

え。

…ちょっと初代様! それ明らかに恐喝じゃないですか!

あたしたちが噴火させたように思われたらどうするんですか!

(うるさいマリアヴェッラですわねっ。まぁよろしい。ちょっとばかりお口を借りましてよ)

で、身体を乗っ取られましたよ。

「ふむ…確かに山の怒りを鎮めるに、いけにえは必要かも知れませんね…しかし、今はいけにえどころか、みだりに人の命を捧げろとかいう話も、あなた方にとっては困りものではございませんか?」と、現地語らしきで話す初代様。

「は、はぁ…」

「更には、この娘を巡って、恋仲にあった子供が引き離された恨みで生家を焼いて追いはぎの道に入ったとも。南洋王から討伐を頼まれた話、お聞きですわよね?」

さすがにこの盗賊の話は藩王の耳にも入っていたようですね。

というのも、ジャカルタまでの山道で追いはぎをされて困るという件が頻発していました。

その犯人は、ベテハリ君を拾った盗賊の一味。

で、ベテハリ君のいた集落、牛に貢納物を乗せてジャカルタの王宮に向かう役目をしていたそうです。

つまり、ベテハリ君からすれば、その貢ぎ物が村を出る時期や時刻、単位はわからなくてもある程度は把握していたわけです。

そして荷運びの人足兼付き添いとして、たまに歩いていたと…ですから、道もどこを通るか理解していましたし、供物を示す荷札の文字は読めなくても色や形や模様は理解しています。

で、ベテハリ君が手引き役をしていた時期に被害件数急増、たまりかねた南洋王国側が痴女皇国に討伐を依頼して来られまして…。

(で、うちが研修がてらにペルセポネーゼと幹部候補生連れて行って…10分かからんかったんですよね)

(むしろ捕まえた連中を洗って罪人寮に入れる方が面倒だったんですわよねぇ…)

(あの時は何で隠れ家がバレたってみんな騒いでましたけど…今となっては理由がわかりました。逃げても隠れても無駄だったんですよね…)

で、代償は捕獲した盗賊全員の身柄引き取りと…ジョグジャカルタ・スラバヤ・ジャカルタの港湾整備許可と痴女皇国籍船の無条件入港許可を認可されました。

これは、今後数十年かけてマラッカ海峡を含めた南洋王国の実権支配を行うためでもありますけど、まずは南洋王国を痴女皇国で消費する農産物の生産拠点にしてしまうことから着手しております。

そして今回は、アニサちゃんの治療とムラピ山の噴火抑制について…山が火を噴くのを抑えたり、万一の場合の支援拠点として、慈母寺に改装する目的でボロブドゥール遺跡まるごと貰い受けようというのが、交渉の主眼だというのが、初代様と雅美さんの作戦。

「むろん、お助け差し上げるのにやぶさかではございません。しかし…我らが助けた場合、身体の作りが子を産めなくなる事となります。それでは余りに不憫なので、聖院にて預かる事を申し出るのが古来よりの我らの習わし」

「た、確かに…そちら様におなごを預ける際の掟は伝わっております…俗世と離されると申されますのも…」

と、そこに。

どぉん。

見れば、またしても白煙を山が噴き上げております。

もはや一刻の猶予もないような雰囲気を醸し出すための演出だとはあたしたちには伝わっていますが、この方々には到底、人為的というか神為的に引き起こした嫌がらせだとは思ってもらえないでしょう。

うう、あたし、悪役に思われてないでしょうね…。

(マリアヴェッラ…それに、このアニサとか申す子、貴女が見てどう思われまして?)

(うーん、正直、ベテハリ君が14歳か15歳くらいでしたっけ。早婚がこの時代の常識とは言っても、正直…出納部のダイアちゃんがまだダイアデレーヤだった時代よりですね、さらに貧弱な身体では…)

(で、ダリアリーゼのでばんというわけですわよ…まずはマリアヴェッラが治す前に、ダリア、ちょっと体を大人にして差し上げなさいませ…)

普通、治す方が先じゃないんでしょうか。

全く、鬼畜なおばちゃんです。

まぁとりあえず、リモートドレインの要領でダリアさんが近寄って手をかざすと、昨今の女官にありがちなまぁまぁの体型と、160センチを少し越えた身長に。

そうです、この時代、平均身長、現代より低いですよ。

更には肥満が貴族の証とも言われたご時世です。

そんな訳で、あたしたちから見ればまぁまぁの体型ですが、おっぱいとお尻だけが育ったような印象も受ける身体の変化に、目を丸くする地元男性陣。

続いて、初代様の操作で…サクッとアニサちゃんを女官種化。そしてあたしが1人卒痴女種へと変換。

(ちんぽを突っ込めばだと思いますが)

(やめましょうよ初代様…アニサちゃんがあたしに犯されて耐えられるか以前にですね、いくら何でも、絶対に神聖な儀式に思ってくれませんって!)

(ああら、あたくしがこういうことする時は、例のを使っておりましたわよ。このなかではダリアリーゼが使えるはずですわね)

(めんどいですやん…痴女種化して本物のちんぽ使えるようになったら、あんな面倒なもん誰も見向きもしなくな…あ、百人卒未満の子で希望者には昔の在庫、渡す制度はありましたわな…)と、ポーカーフェイスを隠し切れなくなっているダリアさんが呆れかけています。

ああ、ジーナ母様とかアルトさんが使ってたっていう、双頭偽ちんぽ…。

まぁともかく、蘇生には成功したと思います。

何故ならば、起き上がったアニサちゃんがね、ベテハリ君の名前を叫びながらのしかかろうとしたんですよ。

(げ、駄洒落菌変種が発動してるじゃないですか!)

(あら、ほんとですわね…あー、マリアヴェッラ…このこ、お腹すかしてますわ…それでベテハリを犯そうと…)

(とりあえず静かにさせます! で、治療と偽って飛行機に積んでしまいますから!ダリアさん、アンヌマリーちゃん! 緊急ドレインでアニサちゃん沈黙させますから、飛行機に積むの手伝ってください…)

ええ、こそっとリモートドレインで動きを止めてしまいましたよ。

(とりあえず治ってはいるようですが、我々の治療でおかしくなったようです…このまま引き取らせて頂きますが、物の交換取引のお話は、後日また使者を伺わせて頂きます…)などと言い訳して、そそくさと誘拐、いえもとい連れ帰らせて頂きます。

まぁ、傍目から見ても誘拐以外の何者でもないとは思いますが、仕方ないでしょう。

(なにか悪いことをしてる気がします…)

うん、ベテハリ君、あたしたちは人助けをしたのです。

そして、あなたが好きな人が元気になったのを喜ぶべきじゃないのでしょうか…。

(あのー。ベラ子陛下。アニサちゃん…いきなり百人卒っす…これ、何の教育もせずにベテハリ君とおめこしたら死にますよ、彼…)

(やばい…飛び上がったらダリアさん、とりあえず1人卒に再調整しましょ…)

(それが、うちは邪魔になるからと三列目に…)

(あああああああたくしが調整しま…え?ドレイン効きません!)

仕方ないので、あたしがムチを使って縛りました。

ええ、本当に誘拐だんけだんけの様相を呈していますが、仕方ありません。

少々の手違いは誰にでもあるのです。

(あのー、皇帝さま…アニサの目がこわいんですけど…)

(もがが!もごごがが!)

とりあえず、ちゃっちゃと離陸して茸島に向かいます…ええ、機内で暴れられても困りますから…。

それに、本当に大丈夫かと言う顔をしている藩王ご一行様ですが、後で誰かに謝りに行ってもらいましょう。

(マリアヴェッラ以外にせきにんを取れそうなのがおりませんわね…)

(さすがに南洋王国の本拠地の、大きな町の藩王様ですからねぇ…)

(あのえらい人がこわがってましたけど、だいじょうぶでしょうか…)

えーと。

まぁ、何とかなります。

最悪の場合、時が解決します。

(マリアヴェッラ…責任から逃げるおつもりですね…さてはマリアリーゼに何とかしてもらおうと思ってますわね?)

うっさいおばちゃん。

こんな作戦立てた責任、雅美さんと初代様に取ってもらいましょう。ほら、火山も鎮めてくださいよ。

そして、逃げるように離陸した飛行機の機内で、じたばた暴れるアニサちゃんを宥め説き伏せる役をダリアさんに押し付けて、あたしは操縦に専念します。

させてください。

お願いですから。

(団長閣下も大変ですわよねぇ…)

(クレーゼ様が現役の時よりはマシです。あと、マリアさん…マリアリーゼ陛下はもっと無茶言いですからね。アンヌマリーちゃんも、欧州への配転申請を出すなら今のうちですよ…)

(団長!あたくしまだ幹部候補教程終わってませんよ…それに、マリージョスリーヌが痴女宮に残留させたがっておりまして…)

(えええええ!あの二人、あんだけアンヌマリーちゃんはストラスブールに戻してくれって言ってたのに!)

(へーか。マリーですけど。娘を痴女宮に置いとけ云々申しておりますのはジョスリンでしてよ。自分が戻る裏工作要員としてアンヌマリーを置いときたいと…)

(却下!却下です!)

(それがですね陛下。これはアフロディーネ女官長と二代目様のお話ですが、あたくしを幹部候補教官として教程終了後にそのまま置いとこうかと恐ろしい会話をですね…)

(あの二人は何を言ってんのですか…で、アンヌマリーちゃんは…)

(んー。ベテハリも茸島分校に詳しいし、校務員として欲しいなーとかオリューレ局長が申しておりましたからねぇ…)

なんですかあんたら。

決まった話を覆すとか、そんなに好きなんですか。

(マリアヴェッラ。げんじつとは刻々と変わるもの。変化に応じて生きるのも道ですわよっ)

(その現実の変化の原因になったのはおばちゃんの作戦でしょう!)

(ダリアさま。皇帝さまというおかたは一番えらいのですよね)

(一応はね…ただ、うちの国はベラ子陛下の命令だけで全部が全部動いてるわけとちゃうんですよ、ベテハリ君…)

(あのね、ベテハリ君…あたしもみんなが言うこと聞いてくれてたら、こんな風に運転手みたいなことしなくても済むとかね…色々あるのですよ…)

(マリアヴェッラ陛下。失礼ではありますが、わたくしの予感です。陛下の代わりにを飛ばす女官を作る努力は致しますが、これを鳥のように自在に飛ばす者を育成するためには…ええ、わたくしの同期でも二の足を踏む行為ですから、相当に鍛えなくてはならないでしょう…幹部候補の教官をするならば努力は致しますが…)

ぐぬぬぬぬぬ。

みんなして飛行機を避けよって。

八つ当たりをしたくなりましたが、この機内で八つ当たりできそうな人物はおりません。

もはや昔の凶悪少女や、鬼の黒薔薇指揮官はどこへやら…毎日が苦労人のダリアさんには愚痴を言うのが精一杯。いえ、逆にあたしがダリアさんの愚痴を聞く立場であるべきでしょう。

更には、アンヌマリーちゃん…そして、ベテハリ君に当たり散らすなんてもっての他。

将来を嘱望されたこの子達には、とりあえずは優しいお姉さんでなくてはならないでしょう…。

(ひーとーみーさーん…)

(残念ですが精気授受を私に押し付けて茸島に入り浸っているの、どこの皇帝陛下ですか。お陰でゼアラニーネさんともども大変なのですよ…?)

(ゼアラです…体力の限界はないはずなのに疲れます…ええ、アルト局長や室見局長にお手伝いを頂いてこれですよ…陛下もそろそろ生活拠点を本宮にお戻し頂きませんと…)

あががががが。

(これは、痴女宮のおしごとをおろそかにしていたマリアヴェッラが悪い話になりますわねぇ…)

ぐぬぬ。かくなる上はオリューレさん!ディードリアーネさん!

(えっと、陛下。私は少年少女との精気授受ですとか性教育で夕方から夜にかけて多忙なの、ご存じでは…)

(ディードリアーネです。オリューレが茸島分校長を兼ねているせいで、行政支局の女官の精気管理まで茸島警務本部が代行するハメになっております…私もちんぽとおめこの休まる時がぁっ)

えええええ。…確かに、今も、二人とも相手は違えど、性行為真っ最中。

それも、読者の皆様のおかずになりそうな状況とは程遠い、殺伐とした状態ですね…。

(アグネスです。今晩はクリス君はダメよ…NBでの本社役員会で、その後は本邸泊まりですからね…ベラちゃんにもスケジュール変更、送ってるはずよ…)

ああ、何たる惨状。

…これではまるで、その日のデートのスケジュールを全て潰されて途方に暮れるリア充モテメンではないですか!

(マリアヴェッラ。精気授受のおしごと自体はあるでしょう? )

それがですね初代様。今日、茸島宿泊だと思って、瞳さんとゼアラニーネさんに丸投げ…いえ、アフロディーネちゃんとおキヌちゃんに泣きつけば女官シフトを変更して回してくれますよ? お付き…。

しかし、あたしが茸島に泊まる場合はクリスおじさまのお部屋か、さもなくば保養所の貴賓棟。

ここで繰り広げる助平行為は本宮でのあたしの行為に輪をかけて過激すぎるのと、あまり人に見られたくないというおじさまの意向もあって、部屋付き女官を下がらせた後でやってるんですよねぇ…。

ええみなさん。

皇帝なんて所詮はこんなもんです。

ただ…今日は我慢するとしても、明日、本宮であたしと最初に出会った女官か騎士。

その日の運を使い果たしたと思って下さい。

それと居残りの黒薔薇。今日、後宮に行かないのがあたしの優しさと思って下さいね。

とりあえず、茸島に戻ったら、泣きながらアニサちゃんの体調再調整、ダリアさんと頑張ろうと思います。

(ベラ子陛下。あんまりアレなら理恵さん、茸島に来させますから…)

ああ、忠臣とはこういうものでしょう。呼び出されたパイセンにはかわいそうですけど。

(ちょっとダリア、何勝手に決めてんのよ! ベラちゃんもベラちゃんよ! たのの存在を忘れてない?)

(パイセン…たのきちはハリティリーネさんや玄奘さんとの精気管理がありますよ…今の文教局長の夜間業務を止めたら、それこそ精気授受に影響が出ます…)

うううううと唸るパイセンの嘆きは無視します。あたしだってね、ダリアさんとパイセンの仲はあまり立ち入りたくはないのですよ?

しくしくしょんぼり。

そんなあたしの心境を反映してか、雨が降ってきました。

風防を伝って流れる雨が、あたしの心の涙だと思いましょう。

きっと明日は晴れるのです。

ですから、明日に向けて頑張ろうと思います。

あと瞳さん。あなたはあたしの秘書であり、お妾さんですよっ。

何とかして人事に都合つけて、あなたの身体を空けやすいようにしますからねっ。

(ひいいいいい!)

(へ、陛下、何でしたら私が…)

あー、ゼアラさんはいいの。貴女も日頃は、苦労人。

ただ、あたしとしては担当幹部秘書課長が正規の役職を行えるようにしてあげるだけです。

そこに一切の私情や劣情はありませんよ。ありませんから。

(ベラちゃんの場合、少年も女も買えないからねぇ…相手選ぶし…)

うっさいパイセン。この苦労は後で知ってもらいますよっ。

とりあえず明日以降、みんな覚えといてね。ベラちゃん溜まってるからね。色々と。

(マリアヴェッラはたまに暴君になりますわね…)

初代様。初代様に比べればあたしなんておとなしい方ではないですか。初代様の現役当時を二代目様からお聞きしましたけどね。

…確かにめっちゃ多忙だったけど、初代様が男漁りを欠かさなかった日はないって。

(ベルナルディーゼ! マリアヴェッラの今宵の伽、貴女がなさい! これは家族会議長命令です!)

(何でわたくしにとばっちりが来るのですか! 勅使河原さんかアフロディーネにして貰います!)

ああ、醜い親子の押し付け合い。

これを改善するためにも、初代様に身体を…。

(ベラちゃん、それ初代様の思う壺よ。どうしてもってんならあたしが抜くから。とりあえずちゃっちゃと茸島に戻って仕事終わらせなさいよ…)

あい…今日は雅美さんに従っておきます。

(ジョスリーヌ母様をしばきに行きます? 都合をお付けしましょうか? )隣のアンヌマリーちゃんが申し出てくれますが、あのカエル女をうかつに相手するのも困った話になりそうです。

そして、アンヌマリーちゃんの無言の奉仕に涙が出そうです。

ええ、きっと貴女は出世すると思います。あたしのえこひいき抜きに。

行きの機内同様に、あたしの股間で激しく動く金髪を見ていると、そう思います。

人の悲しみを癒す立場で、それに相応しいことが出来るのも女官のかがみ

(ふふふふふ、これで陛下の白金衣制御さえなければ、あたくしも一気に百万卒なのですけどねぇ…)と、野望に満ちた呟きは無視しときます。

なんせ、あの…あのマリーちゃんと、あのカエル女の娘さんですからね。

野望や野心に満ちていても、何らおかしくはありません。

むしろ、アンヌマリーちゃんの本性からすれば自制心を効かせていて好ましくすら思える態度ですよ。

まぁ、貴女なら、早期にその辺りまで行くかも知れませんね…。

(ああっいくアクメ!陛下のちんぽで! あたくしも達します!Acme!)

ごめんねアンヌマリーちゃん。そして、ベテハリ君とアニサちゃんも、こういう奉仕を相互にできる仲になって下さいね。

(なにかよくわかりませんが、人にやさしくするのもはんせいのうちという気がしました)

(もごごごご…)

そしてダリアさん。アニサちゃんの抑え、大変だと思いますけど、頑張って下さいね。

何せ、今、雨雲の下を飛ばないと困るのです。

雲を突っ切ると空中落雷や乱気流に巻き込まれるのは必至。

ですから、あたしはアンヌマリーちゃんのご奉仕を受けつつも、オートパイロットを監視しなくてはならないのです。

(誰かもう一人、連れて来ればよかったですねぇ…)まぁ、ダリアさんは理恵さんを呼べば解決するでしょう。

それに、茸島に戻ればティアラちゃんやジニアちゃんもいます。そして彼女たちの同期の幹部候補も。

たのきちのようにしばき回すのはダメとしても、この子たちは一応、全員、リミッターを外せば十万卒以上。

とりあえず、それで手を打ちましょう。

行く先の雲が切れる向こうには、きっと午後の太陽が輝いているはずです。

盆踊りや幽霊退治の話は、茸島に戻ってから。

ですから…今だけは快楽に耽らせてください…。

人には時として、職務や責務から目を逸らす権利もあると思うんです!

----------------------------

ひとみ「皇帝の立場で、執務を忘れられると困るんですよ…」
まさみ「ベラちゃんも、ジーナちゃんと似たような忘れ癖があるのね…」
べらこ「あのですねぇ、毎回毎回忘れてる訳じゃありませんよ? それに今回は特に、あたしに知らされてなかった事とか色々あったじゃないですか…」
てるこ「ふつうの人ならその言い訳は通じます。しかしマリアヴェッラは金衣相当の能力者でしてよ」
べらこ「初代様は、クレーゼおばさまをあまり強く叱れないとは伺いましたが…」
てるこ「たまに忘れただけでしてよ。ですからマリアヴェッラ、あたくしに身体を渡せば解決しませんか?」
べらこ「痴女皇国のためにならない気もしますので、家族会とデルフィリーゼおばさまにはかります」
てるこ「むぐぐぐぐ(デルフィリーゼはアレーゼの親ですし、堅物の度合いは家族会上位5位確実ですわね…)」
ひとみ「とりあえずベラちゃんのスケジュール管理と精気管理は何とかこちらで可能なようにがんばります…ですから、ベラちゃん…ベラ子陛下も茸島に入り浸らずにですねぇ、私の相手もですねぇっ」
べらこ「という訳で茸島盆踊りは次で最終回にするように頑張るそうです、天の声…」

他全員(それが一番信じられない気がします…)
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