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アルトリーネの海賊退治・大西洋恋の花編
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「つまり何ですか、海賊はやはりやめにくい職業と」
「ですねぇ。私自身も私掠船を率いて世界を周航致しました他、あれこれしでかしましたからねぇ」苦笑しながらドレイク卿はおっさいます。
ええ。そのしでかした結果の尻拭いをしている大物債務者のおばはんが、我々の目の前にいまして、眼帯で隠れてない方の目で、ものすごい目でドレイク卿を睨んでいますから。笑。
「ですからメンドゥーサ閣下。その確執の尻拭いを今まさに、行いに来ているようなものなのですよ、我々も」アナ公女のグラスにワインを注いでやってくれ、とドレイクのおっちゃんは給仕に指示します。
「何せ、痴女皇国の介入がなければ、我々が勝利していたとしてもですね。恐らく双方ともに多大な被害が出ていた事でしょう。聖母様側の歴史ではそうでしたでしょう?」あたしは黙って頷いて差し上げます。いやー、冷房の効いた室内で飲む赤ワインうめー。
いや、敢えて酔いたいのですよ。
ここはヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・サンティシマ号の船内士官食堂。
帆船の癖になんで冷房は効くわ、チーズを肴に食後のワインという行為が出来るのか。
一種の大型バイオモーターみたいな生体筋肉発電機を装備しているからです。
燃料は人間の男。それ以上言わさんといてくれ。
この発電機というか回転動力発生装置、痴女種の細胞をベースに開発された「炭素系燃料使用内燃機関の代替品」の一つです。
舟艇推進用にはフライホイールを組み合わせてスクリューを回すトルクを確保するタイプがありまして、三河監獄国内と周辺の旅客・貨物輸送に試験使用したところ恐るべき成果が出まして。
発電型についても聖院からのリース品・レンタル品としてまずはイタリアとイギリスに支給してテスト。これなしの船で航海したくないとまで乗った者に言わしめる代物です。…あとね、サンティシマ号とかね、この後で出て来る船にちょっと面白い推進機積みましたからね。ふふふ。
「しかもこのような素晴らしい環境で我々も、陸にいるように料理を楽しみ安心して酒に酔える。是非に我が国も同型の船を持ちたいものですよ」と、アナおばはんを持ち上げるドレイクさん。
「同感ですな提督。フランチェスコ。我々がこのような大型船を必要とする場合、聖院やジャポネとの貿易船となるかな」そして、立場上、実はアナのおばはんに大人しくして欲しい会副会長くらいには来る毒盛り兄貴、チェーザレ・ボルジア。
「ええ。正直、我がイタリアにローマほどの領土経営が出来るかと言いますと…微妙ですなぁ。鯖挟国に中東を、イスパニアとフランスに北アフリカをお任せする方が色々と理には叶うのではと思えます」イタリア連合公国バチカン大使、フランチェスコ・レモリネスさん。実は家庭教師の時代から毒盛り兄貴と付き合いがあるおっさんで、毒盛りの知恵袋の一人です。今回は名目はイタリア派遣団代表、実際は毒盛りのお付き兼ストッパー役ですね。
「アナ閣下は現在のイスパニアの境遇を嘆き悲しんでおられるご様子だが、我がイタリアとて、ついこの間まで散々な状況だったのは摂政閣下もよくご存知でしょう。なんせ、ナポリと言わずトリノと言わず、そちらのすぐ上のお国が…ねぇ」ええ。フランスが散々にちょっかいを出していましたので。更に、ルーブル宮殿にあたしらとマイレーネさんで殴り込んで「そろそろ大人しくしよーねーボクちゃん」とね、やって来ましたからね。
「何故それに私を混ぜて下さらなかったのか!いやはや聖母様もお人が悪い…」天を仰いで嘆く毒盛り。うん。あんたがフランスに対して抱いてる感情を知ってるから混ぜなかったんだよ。混ぜたら最後絶対に暴れたでしょ?
「…はい。感情を抑えられたかは疑問でございます」あたしがギロッと睨むと、流石の毒盛りと言えども一応は反省の意思を示します。うん、マリアから「あのババァを見た目で判断するな。あれの行状を見せてやるから対応の参考にしてくれ」と、沖縄作戦だの聖院や痴女宮でのあたしの行為の数々は言うに及ばず、弟をしばき倒していた時の姿まで見せられてたの知ってますから。もちろん、例の懲罰服をみんなで着た「第一回痴女宮島○くんオフ会」の惨劇まで。
あ、あたしがやる女だっての、ネルソン君に見せた方がいいか…。今更イメージダウンなんか怖くないやいっ。
「猊下。落胆する必要はありませんよ。私も参加したかったのは山々なのですが、聞けばあの国はルーブル宮が市街地にある事を見直し、郊外のベルサイユに新しい宮殿の造成を企てているとか。新たな目標ができましたな!」毒盛りを慰めながら、呵呵大笑するドレイクのおっさん。
「なるほど、これは壊し甲斐のありそうな話ではないですか。いやいや、情報のご提供、感謝致しますよ閣下」うん。わしが酔いたい気分、わかって下さい。この面子が寄ると触るとこんな話ばっかりなんです。
(アナさん。気持ちは分かりますけどね。あんたもよりによってあの時期のスペインを取ろうとするからですよ、今ここにいてる理由…。うちの修学宮の名物聴講生兼講師の、頭が面白い髪型で離婚というか出家歴のあるお兄さんに言わせたら、それこそ因果っちゅう奴ですわ。それに、みんなの本心わかるでしょ?お宅が潰れたら潰れたで困るんです。もちろん聖院としても。だからあなたを軽く痴女化してまで延命させているんですよ?)と心話で説教ぶちかましておきます。
(承知しております。…ですが、悔しいものは悔しいのです!うう、クルス閣下が急死して、あの禿頭が提督になりさえしなければ…しかもあのハゲ、私の娘婿なんですよ?)
(人はそれを運が悪いと言います。うちの米大陸広域支部長が最低限の利益確保は保証してくれますから、100年は頑張って今の地位で労働してもらいますよ。それとも、聖院でなくて痴女皇国の女官コース送りをご希望ですか?)そーです。変に男好きすると言うか、旦那の急死後にハメ外し過ぎて男遊びに爆進邁進した挙句にやらかした罰です、痴女化。いくら男とやろうと満足できんようにしました。
痴女種とやらないと満たされないと言うことは、すなわち聖院に従わないと子宮を満たされないと言うことです。
ちなみにイザベル女王陛下も「敢えて」そうさせて頂いております。
無論、ハプスブルグの血を引く連中の常套手段たる婚姻外交をやらかさないように、さながら沖縄のミバエ退治のごとく不妊処置個体を混ぜ込んでるようなものです。
(うう、頑張らせて頂きます…)仕方ないですねぇ。
で、ある意味散々な食事会の後、大公女の部屋で。
「アナ…あまり挑発に乗らぬよう、私も申したではありませんか!」
「ああっお許し下さいませ!あっそんなに!」
「おだまり…いえ、聞き分けの悪い女には牝豚が出す鳴き声が相応しいようですわね!」正常位でガンガンとアナさんを突きまくっているのは聖院マドリード支部長。
別名・イスパニア王国女王イザベル1世陛下とも申します。
「はぁ…聖母様…いっそ私がアナの立場で国家経営に直接携わる方が良いとは思うのですが…」だよね。あなたは一応メディチ家の血縁で、フランス王妃の娘さんだけに、アナさんには言いたい事色々ありそうだよね。
という訳でちょっと説教に来てくれやとお願いして、まだ実年齢が30代にすら行ってない…この人が前王フェリペ2世に嫁入りしたのは14歳です…若き女王様にお叱りを依頼しております。
「私が右も左も分からぬままにこの地に来た時に、何かに付けて世話を焼いてくれたあのアナは何処に行ったのですか!」
そーですねん。アナさんが王宮で権力狙いを図ったのが、このあまりに若かった王妃様に取り入っただけじゃありませんのでね。
で、フェリペ2世逝去時に「あれ?なら私が摂政か、何なら王妃になっても良いんじゃ?」とかよこしまな考えを抱いた訳ですねん、こちらでは。
でまぁ、イザベル女王陛下が痴女化して生えてるという事で、うちらがどういう手を打ったかお分かりかと。
百人卒未満のアナさんはまだしも、千人卒のイザベルさんは、聖院と円満な関係でないと死にます。
ええ。そのために敢えて千人卒にしたんです。
ちなみにイタリアとかイタリアとかトランシルバニアにも痴女体質転換者がいますよね。
何のために痴女種になってもらったか。長生きして欲しいだけではありません。特に百人卒未満は寿命があるわ普通の食事に加え精気授受も必要だわという訳で、どちらかと言うと聖院に縛り付ける為です。
ま、十人卒でも充分に一般人は圧倒できますが。
という訳で毒殺刺殺射殺他、暗殺対策もあって痴女種化のメリットを存分に活用しているイザベルさん、マドリード支部長の顔で部下を肉便器として活用中な訳でして。
そしてイザベルさんがアナさんへの精気還流役でもある訳ですが、元来なら聖院世界なんだから白うちがやれよ、こういう役目!
(やかまし、散々しごきやがって。スケアクロウはあたしとエマ子が飛ばすからあんたは欧州組接待やってえや。あんたの方が慣れてるやろ、痴女皇国で)
(…うちがアナさんやイザベルさんを直接していない件で、関与したくない気分を察してくれ。それと、うちがイザベルさんから吸うと、精気は痴女皇国枠に行ってまうねんぞ…わかっとるやろな…)
(かーさん、この際仕方ないわよ。今回のイザベルさんの分はそっち回しにする代わりに、二人にガソリン入れといてあげて)白マリが許可してきました。ま、確かに今のあたしなら黒エマ子ボディなんで、その場で精製して還元も可能ですが。
そしてこの光景、密かに送っております。
誰にか。
むろん、若き提督に。
(…ドレイク閣下から聞いたと思いますがね、私らに隠し事は不可能なんですよ。ですから思い誤る前に先手を打たしてもらいます。ここは痴女皇国じゃないから私があれこれしてませんけど、聖院世界の聖女や聖母が認めたら、毒盛り教皇のように痴女種という特殊な体質になってもらいます。これをしておかないと、仮に私が閣下の思いを叶えてあげた瞬間に閣下は死にますよ。そして、私の相手が出来るまでに昇格するという事は、そちらの国王陛下だの女王陛下だのより、聖院の聖女を優先する立場になってもらう必要があるのですよ)
(つまり…何かあれば聖院を優先せざるを得ないと?)
(もちろん。優先しないと精気供給を絶たれて死にます。更に、我々が貴方を遠隔操作してしまう事すら可能なんですよ…悪い事は言わないからやめときなさい。ま、国王陛下から依頼があれば施工しますけど、あなただけの考えでむやみに我々と同じ身体になってもらう訳にはいかないんです。だいいち、痴女種になると我々に考えが筒抜けになるだけじゃなくて、考え方まで支配されてしまいますよ?)はい、あたしとやると死ぬという事にしときます。しとかんと、この人は絶対押してくるんや!それもクソ真面目な求婚系の押し方で!
(ふーむ…)なんか気恥ずかしそうにしてますね。ま、妄想とか全部見られてるの分かったら、そりゃ恥ずかしくもなるか。
(もう少し建設的な話をしておいてあげます。イスパニアほどではありませんが、大英帝国もそれなりに聖院とお付き合いをせざるを得ませんよね? 東インド方面なり北米方面なり、私たちと接点のある要職を任されるまで出世して下さい。とりあえず今やっている指導行為が終わったら、私は自室に戻ります。合図しますからお越し下さい。ドレイク閣下からは、海軍の歴史などを教えてやって欲しいと言われておりますのでね)はぁ…宙兵隊の教官時代でもあるまいに、青年の進路指導を入れねばならんとは。
正直、ママの店の客なら、振りますよ。
はい、そこのキャバクラとかセクキャバとか写生産業系経験者のおねーさん、つきまとう客は出禁にしたりした事ありませんか?ほんまにありませんか?
ですが相手は大英帝国気鋭の青年海軍指揮官。
あまりに無下にすると外交上の支障がありますし、ワーズワース大公にまたぞろネチネチやられます。
あんなジジイ、どないでもなるやろと思うでしょ? ラッツィオーニさんやゴルディーニのドハゲオヤジ同様、一応世話になってますんでね。
ですから、ネルソン提督に片想いされてウザいから振りました断りましたで済まないんです! メッセージ系アプリや電話を着拒したりミュートするように簡単にはいかない相手だからこそ、うちは困り果てておるのです!
「ふーむふむふむ、蒸気船の就航によってまず物流は改善されたが、軍用に供されるのはもう少し後と…」とりあえず艦船史、特に軍艦のそれを教えています。
「外輪船の外観を見れば、提督にもお分かりになりますよね、弱点」そうです。推進効率やピストンエンジンの重量容積を考えると、外輪船は必然的に船体中央に機関室が来るのです。
更に、駆動用の外輪がおもっきし外側に露出しています。砲撃されたら一発アウト。
そして、18世紀当時は帆船の設計技術が頂点に達していて、下手な蒸気船より速力機動力に優れた場合すらあったのです。
「ただ、無風でも船が動くのは大きいでしょ?ですから機帆船という、マストや帆もあればエンジンも備えた船もありました」
「では完全に動力船が帆船を駆逐するのは…」
「そうです。新しい発明、スクリュープロペラの登場を待つ必要がありました。例えば大日本帝国の巡洋戦艦金剛。これ実は英国はビッカースという会社で造られた船なんですが、最初は馬六万四千頭分の機関を二基積んでいましたが、のちに日本国内で改装して馬十三万頭分の機関に積み替えました。二倍ですね。ではどれくらい早くなったか。ちなみに英国建造時は時速二十七海里です」改装前と改装後…本格的な艦橋を備えた姿を聖環で表示してあげます。
「倍…ではありませんよね。構造物が色々増えておりますし、機関自体も重くなっているかと。四十海里は出ますか…」
「三十海里。第二次改装後は五千屯ほど増えて三万一千屯になっています。だいたい、この船一隻分ですね」ええーという顔をする若き提督。
「鋼鉄船だからですよ。防御装甲などを増やしたりすると、いとも簡単に千屯くらいは増えちゃうんです。ただ、単に重くするだけではなくて石炭…燃える石の代わりに油を燃やすように改造していて出力や航続距離など、性能は上がっていますよ」
「これで大砲の弾はどれくらいまで飛ぶのですか」
「えーとね、改装後に主砲仰角を引き上げたから…28.6キロメートル…だいたい一万五千七百海里かな。だいたい、倫敦中心からクロイドンのあたりくらいか。こんなものです」
「ええーっ!それでは仮にこの船があれば、この時代には無敵ではないですか。そんな遠方に弾が飛べば沿岸から陸地にまで届きかねませんね」
「同じ日本海軍が造った大和級戦艦は倍近い50km以上…二万七千海里まで届きますよ」
「さぞや大活躍したのでしょうな…」さぁ皆様、ここからは、身体は白人頭は日本人なわたくしジーナさんはもとより、英国関係者にも耳の痛い話が続発します!嫌ですが艦船史として触れなくてはならない話がバンバン出ますよね?
で、マレー沖海戦当時のHMS プリンスオブウェールズとレパルスが航空機の雷撃でやられたとか、やった日本海軍が今度は大和級で似た事されたとか、フォークランド紛争で英国の駆逐艦がカエル野郎謹製の対艦ミサイル食らったとかいう話をいたします。
ええ、お兄さんの顔色、目に見えて悪くなって来ます。累計千人くらいには、この手の戦争歴史を教えて来ましたから、反応はだいたい読めております。
「相互確証破壊という概念がありまして、いくさをしてお互いの国を焦土に変える武力を保有した上で、外交交渉や経済的戦略で相手を泣かせる方向に変わって行ったのですよ。いくら相手を焼き払っても、今度は焼き払った後の復興の責任まで持てやという話を他からされるようになりましてね」うちらの世界で中心地に核を落とされた大阪市の核爆発直後と、現在の衛星画像を比較して見せてあげています。
「この時代なら多少は、戦争であれこれしても復興復旧はそんなに難しくはなかったかも知れません。しかし、兵器の威力が増すにつれて荒野しか作られない不毛な戦いになってしまう事が、実際に続発したのですよ」と、ロンドン大空襲だのドレスデン爆撃だの、日本空襲の結果だのを見せて説明。更に、捕虜お構いなしにウラン原爆ぶっ込まれた広島とか、爆心地に浦上の大聖堂があって、しかも礼拝の真っ最中だった長崎とかも。
「大阪も同胞多数だったのにやらかしましてね。第二次世界大戦と言われる戦いで、こうした惨状が各地で起きた為に戦略や戦術が変わります。決定打は、何万人もアメリカ合衆国民が死にながら大した戦略的進展がなかった事態がいくつか起きた事で、反戦の機運が高まり、敵陣の宣伝戦略や思想浸透を許してしまったのです。軍隊に行くのは無駄死にするだけでなく、罪もない人を無駄に殺し山野や海を毒で汚す非道な行為に加担するように思わせ、敵の軍人や民間人の戦意を削ごうとされたのですよ」と、あたしの身体の祖国とか、何たら民主主義人民共和国だのどこぞ人民共和国のプロパガンダ事例を見せながら解説。実は串刺しが、これをやられた世界初なのでそれも教えます。
「そして報道や民間に情報機器か行き渡り、軍が世間によろしくないことをすると暴露されてしまう事態が起きたのです。例えば、海賊だからと虐待すると、虐待の証拠を一般市民が知ってしまうのです。そして軍に非難が集中します。街中で酔い潰したり、人をどついて引きずって行っての徴兵すら許される今のご時世と違い、専門技術者でなくては務まらない未来では、志願兵が中心になりますので軍といえど風評には気を使わなくてはなりません。わかりますね?」
「ああ、私共の徴兵官の無茶…」うん、君の国が特に無茶してたの後世に伝わってるから。更に、今回の海賊退治の責任分担で言うなら過失負担は三分の一くらいは君とこの国にあるから。
「まぁ、今回の海賊退治の経費負担や請求の話はまた置いておくとしまして…おまけして欲しいなら、海洋技術学校に人を出すとか、新大陸開拓事業に積極的になれと言われたと報告しておくと良いでしょう。提督だけの心の負担にすべき問題じゃありませんからね。それと」心話で入って来てとお願いします。
「責任の一端はこの方々にもあります。が…お前が悪いだの、いやお前が悪いでは世の中は前に進みません。前を向いて進む為にも前向きな話が出来る間柄か、互いにお確かめ下さい」ふっふっふっ。
そうでございます。
お互いに責任を取り合って頂きましょうという主旨の下、イザベル女王とアナさんを呼びつけたのです。
とは言え千人卒のイザベルさん、そのままネルソン青年とやってしまうと支障ありまくりです。
では、ここで二人のステータスを見てみましょう。
Isabel 1st. (Élisabeth de Valois) イザベル1世 Thousand Suction 千人卒 Slut Visual 痴女外観 Red Rosy knights, Imperial of Temptress. 赤薔薇騎士団 Espagne Branch Manager. マドリード支部長
Ana (Ana de Mendoza de la Cerda) アナ・デ・メンドゥーサ Hundred Suction 百人卒 Female Visual 女性外観 Purple Rosy knights, Imperial of Temptress. 紫薔薇騎士団 Espagne Branch Sub Manager. マドリード副支部長
なんで支部長と副支部長で所属が違うのか。
一言で言うと、やらせてる事が違うからです。
イザベルさん、実は連邦世界の歴史だと、わずか23歳で早逝しとります。ま、14歳で嫁いでから子供を二人儲けておりますが、39歳で死ぬはずだったるっきー同様、当時の医療事情や健康事情がいかに劣悪だったかをこれで知って頂ければ。
で、イザベルさんの延命は欧州支部長、つまりマイレーネさんの指導下で行われましたが、聖院主導下でスペイン内乱を防ぐ為に処置した事を大々的に宣伝したれやという話になりまして、聖院勢力下にあるという事は周辺諸国に知れ渡っている状態です。あ、痴女皇国でも同じ措置を取ってますよ。
ところが、フェリペ二世死亡時にやらかしてくださったアナさんを公然と助けたのはまずいとなりまして、紫薔薇騎士団所属…ええ、トップ、誰かわかりますよね? 公然と殴るような怖い人と、何かしでかした後が怖い人とどっちの下に入れた方がアナさんが大人しくなるかを協議した結果、雅美さんの配下に入ってもらうことになりました。イザベルさんが公然と聖院に協力しているとか、何かあると欧州支部長や白マリと一緒に並んでるのに対し、アナさんが摂政大公女なのはあまり国外に大々的に宣伝していません。
ぶっちゃけ、現職はアナさんに対する懲罰業務なんですから。罪人または女官として聖院や痴女宮送りにされないだけまだマシやと思えよ、おばはん。
ただし、アナさんの直属上司はあくまでイザベルさん。
精気授受についてもイザベルさんの担当です。
ついさっき、イザベルさんがちんぽでアナさんをしばき回し…いえ、愛情あふれる教育を行っていましたが、あれは実はアナさんから吸い取ってたのと還元のためでもあります。
(必要がなければ私も好き好んでやりません。あと、聖母様には申し訳ないのですが吸い出しと補給をお願いいたします)というイザベルさんの希望もあり、ここに呼びました。
ええ、うちの外務派遣者制服を兼ねた白と桃のシルクのドレス姿で。造花はイザベルさん、アナさん共々赤と黄色です。これはイスパニア・ハプスブルグ当時は制定されていなかった国旗色の組み合わせですが、これでええかいなと後の世の分を見せて「よろしいのではないでしょうか。分かりやすいですし、私の代で国旗に制定してしまいましょう」とノリノリで採用。ええんかスペイン。
そして二人とも、ドレスの下は言わずもがな。
「提督閣下。こういう話をするのは辛いものがあるのですが、私と前向きな話を希望されるのなら、まずアナ摂政大公女閣下と寝床を共にして頂く必要があります。アナ大公女となさらずにいきなりイザベル陛下や私と致してしまいますと、かねて申し上げております通り、英国王陛下への忠誠を全うする事なく早逝なさる事になります」
「つまり選択の余地はない、と…」何やら難しい顔をして考え込むお兄さん。「いえ、アナ閣下が私や我が国に対してどういう感情かは百も承知しております。お姿からすると、聖母様のお言いつけに逆らえないであろうとは容易に想像が出来ますが、何かこう、無理に場を設けられた気も…」
「難しく考える必要はありませんよ、ネルソン閣下」と。そこへ。
「何を悩んではりますのや青年。無敵艦隊と決戦する代わりにスペインとベッドで戦うと思うたらええんですがな…」
「聖母たる我が妻の言葉ですが、夫の僕にすら複数女性経験を勧める人物ですよ、彼女…」
「え?え?聖母様がお二人?」そりゃ、事情知らん人は更に驚くわな。
「えーっとですね。今現れて、通称懲罰服と言う変な服を着てるのが聖院側のジーナ・ワーズワース。つまり聖院世界の聖母です。そして今くっちゃべってる他ならぬ私、痴女皇国の方の聖母のジーナ・ワーズワースですが、単純に言うと、こっちの私より5年ばかり年を食ってます。そして、聖院のうちは亭主、つまりNB男爵位のクリス・ワーズワースが存命ですよ。ま、うちの方のクリスも今、体を与えたら話がややこしくなるから引っ込ませてるだけで、生きてはいます。つまり私も、くにに帰ったら正にこの子と寸分違わぬ旦那が本当にいてるんですよ」と、聖院側のクリスの肩に手を回してご説明。「ほれほれ、三人とも同じエンゲージリングつけてるでしょ?」と、結婚指輪まで手を揃えて見せたり。
「ほうほう、これが噂の聖母様の年下のご夫君…」と、何やら肉食系の目になるイザベルさん。
(僕に反応を示す人って、何かこう、一定の基準があるような気がするんですが。あと、痴女種は確実に反応しますね…)
(その意見は否定できない。と言うか聖院時代からそうだったであろう。白クリス)
(確かに、こっちでもクリスは相変わらず護衛が必要なのや…)
「でまあ、聖院の実質的な頂点級の二人を呼びつけた理由は他でもありません。ネルソン提督。ここでアナさんを撃破しなさい。これはドレイク閣下にも了承を得ております。この撃破がまかりならないとなると話は全て流れます。あなたが失恋するだけでは済まないのです。あなたの立場では、一介の兵士や国民が可能な、単なる私的な人妻への恋慕とはならないのですよ…」と無慈悲に宣言させて頂きます。
「と言う訳で白うち。済まんが出来ればやはりイザベルさんの相手はあんたにお願いしたい。精気流通上、やはり聖院世界の人間の分は聖院側で扱う方がベターであろう」
「しゃーないなー。ちょいお待ち」と、すぱっと着替える白あたし。そして髪の毛も、あたしと同じエマニエル夫人ヘアスタイルに戻しやがりました。つまり、軍服着てるか、赤薔薇騎士団仕様のエロ服に着替えてるか以外の識別ポイントは外観上存在しなくなりました。はっは。
「ではイザベルさんには馴染みの方のうちが処置します。クリス。黒うちの相手頼む」
「…どうしますジーナさん。とりあえず僕としては…その…衆人環視というのはあまり」
「クリス。あんたの言いたい事はようわかる。我々は静観すべきだ。そう言いたいのだね」
(…あのな、ネルソン閣下…今、あたしらが喋ってたり、目の前で起きてる事よりもっと壮絶な事が日常的なんですわ…痴女皇国…そして、痴女種というのは聖院も痴女皇国も同じで、これをしないと飢死するんです…聖院だろうが痴女皇国だろうが、あたしとの関係を希望する場合、これを容認頂く必要があるんですよ…」うん、呆然とするのはわかる。思考が追いつかないのもわかる。
(クリス。ネルソンってそんな堅物やったっけ?)
(不倫以降も正妻に援助は続けていましたね。あと、兵士からの風評も良く、誠実な人物であったと評価されています。つまり、真面目…)
(ああ、真面目やからこそハマってもうたのか…踊り子に…)しかも愛人母娘に娘の旦那も加えて3P4Pしてたらしいし。
「ネルソン提督。僕からも助言させて頂きます。アン大公女閣下も恥を忍んで伽を容認しておられます。貴族の名誉に関わる話だけに、二人の時間を過ごすのはお互いの名誉を守るためでもあるでしょう。今夜の一件を不名誉として言う者があれば、NB並びに英国本国で男爵位に叙されているこの僕が擁護します」と、毅然と言い放つクリス。
そう、この毅然さを貴方も持つべきなのよ提督。
あたしは無言で提督の手を取ります。そしてクリスはアナさんをエスコート。
イザベルさんとアナさんに割り当てられた貴賓室が空いてますからね。
「もしも何でしたら、大変に恥ずかしいのですが、貴族の責務というものの見本を僕とジーナさんでお見せしますが、そこまでする必要もないでしょう。こう申し上げては何ですが、アナさん、美人でいらっしゃいますし、僕が提督の立場でしたら有無を言わさず合意します」きっぱり。
「閣下…正直、思うところ多々あれど、ここでわたくしと閣下の仲が良いか悪いかで、今後の両国の関係が試されるのですよ。どうかお互いに恥をかかない為にも、今宵はご一緒に過ごして頂ければ」と、アナさんが後押しします。
「かしこまりました。そこまで皆様に申されては何もせずとは参りますまい」
「あ、アナさんのお部屋はここでしたね」
えーっと、ここでヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・サンティシマ号の構造について。
この世界のガレオン型帆船は連邦世界のそれと全く同一です。
が、船尾の豪勢な飾りのついた船長他幹部船室区画の最上階に貴賓区画が設けられておりまして、その下の階層に幹部船室や上級客船室…正に今回のように来賓の乗艦があった場合のお部屋が存在します。
そして、この船のオーナーたるイザベル女王陛下の公室が最上階にありまして、今回はアナさんと二人で使われています。
で、その豪勢な扉を開きまして、二人を押し込みます。
すかさずドアを閉めて。わしとクリス、逃亡。
「うまく行けば良いのですが…」
「はぁ…ごめんなクリス。こう言う時にあんたおらんと、やっぱり困るよなぁ…」
「仕方がありませんよ。この時代にそもそもネルソン提督が誕生している事自体異常ですし、更に、戦場と違って女性関係に豪胆でないのも仕方ないかも知れません。ほら、僕だってジーナさんが後押ししなければ、他の女性と関係とか考えも及びませんでしたし」
「せやなー。痴女皇国に帰ったらその辺、エマ子辺りに掛け合ってみるわ」と、夜の帳が降りた甲板上で二人して雑談。なんかひっさびさにまともにクリスと話すような感じです。痴女皇国の方のクリスとは、暇が出来れば墓所に降りて話をしてるのですが、やはり外道ちゃんか悦吏子ちゃんを介してでないと話が出来ないのが辛いところです。
(こらぁ。かーさんがエマ子ボディの機能を使いこなしてないだけだろうが。直接家族会組と会話できるぞー。あと、流石に父様復帰の必要性はわかるからエマ子には頼んでる。痴女種ボディなら簡単だけど、クリス父様の場合、人間男性をベースにせにゃならんだろ? 今からあんたらがやる事してくれたらデータ取れるから、出来たらどっか場所探しておっ始めて欲しいってよ!)
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黒ジーナ「いや参った参った」
白ジーナ「あんたが参るとは珍しい」
黒ジーナ「やかましっ。真面目に付き合ってくれとか求婚されてみさらせ。今のうちにはどんだけ負担や思っとるんじゃっ」
白マリ「だから若作りするからよ…いー加減、アグネス叔母様くらいの感じで、普段くらいはトシ相応にしときなさいよ…」
黒マリ「却下。痴女皇国の統治方針に関わる。家族会からも苦情が出る。あたし個人は白マリと全く同じ意見なんだけどさ…ウチでババァを年相応にするとな、あちこちから文句出まくるのよ…ベラ子を筆頭に聖院に押しかけられたいか?」
白マリ「…あー、ベラちゃんがいたか…」
黒マリ「わりーがベラ子だけじゃねーんだよ…。ほら、こないだ、かーさんが流石にトシを気にして老け作りしたんだけどさ、その時に文句言わなかった奴の方が珍しい状態。もっと言うとほぼ皆無」
白マリ「え」
黒マリ「まずベラ子とるっきー。何でわざわざババァになると詰め寄ってた。エマ子も同じ。更に初代様とクレーゼ母様が、なんか悪いもん食ったかと心配する始末。アルトとダリアもものすごい残念そうな顔を始終してるし、しまいにはおかみ様あたりから修学宮にまで噂が流れたか、ロン毛とパンチが聖母様の振る舞いについて私らが説法を説いたせいではないだろうなと確認に来る事態に」
白マリ「わかった。そこまで反対派多数なら、いくら本人が老けると言おうと若作りを強制される絵図しか見えないわね…」
黒マリ「美男公にまで言われてたからな。性的興味はともかく、あの身体あっての聖母様信仰ではと」
黒ジーナ「あれは堪えた。あの兄ちゃんはおろか、大工の息子や元王子にまで見舞いに来られるわ、おかみ様からは息抜きに伊勢来い、本宅貸してやるから、しばらくのんびりして来いやとまで言われては」
白マリ「まー、確かにうちの方のかーさんがいきなり年相応にしても、こっちはこっちで騒ぐのがいるわね…」
黒ジーナ「もう少し強行してたらアレーゼさんとマイレーネさんが面談に来る予定だったらしい。どれだけネルソン君に心中で一目惚れされようと、うちは今の姿を維持しないとあかんらしいのよ…」
白ジーナ「その割にうちには反応あれへんかったな」
黒ジーナ「あんたクリスとセットやったやんけ。あれで口説くアホはおらんやろ…」
ベラ子「横から失礼。ちなみに聖院のジーナ様と、うちの母様はやはり違うのですよ」
白ジーナ「外ヅラ全く同じにしても?意識も記憶も共有しとるねんけどな…」
ベラ子「挿れた時や挿れられた時が違和感。いえそうではなくて、なんかこう普段接している感覚と少し違うんですよ。多分、クリス叔父様がいるかいないかも影響してるんじゃないかなー」
黒ジーナ「マテリアルボディの影響テストで一度試しにやった時の話か…」
黒エマ子「まぁ、こちらのかー様の横にクリスさん置いたらどうなるか、今度試験してみます」
ベラ子「それってつまり」
黒エマ子「痴女皇国サイドでも南北米大陸やアフリカ・オーストラリア開発進行中。旧英国植民地にある程度知見があって歴史的経緯を知る人が必要なのです」
ベラ子「ええーっ母様を取られる!」
黒ジーナ「取られません!あと、ベラちゃん。あんたの部屋にたのちゃん住まわす理由はそれもあるんやで?」
るっきー「マリアヴェッラはそろそろジーナ様離れを徐々に始めなさい…」
黒ジーナ「この子もある意味ネルソン兄ちゃんより難物やから…」
黒エマ子「あたしがいてすらマザコン直りませんでした。諦めましょう」
黒ジーナ「…案外、たのちゃんが治してくれるかも知れないな…賭けよう、それに賭けよう」
てるこ「ならばあたくしが聖母様のちんぽを独占」
他全員「あんたが一番それしたらあかん立場やろがー!!!111!!!」
「ですねぇ。私自身も私掠船を率いて世界を周航致しました他、あれこれしでかしましたからねぇ」苦笑しながらドレイク卿はおっさいます。
ええ。そのしでかした結果の尻拭いをしている大物債務者のおばはんが、我々の目の前にいまして、眼帯で隠れてない方の目で、ものすごい目でドレイク卿を睨んでいますから。笑。
「ですからメンドゥーサ閣下。その確執の尻拭いを今まさに、行いに来ているようなものなのですよ、我々も」アナ公女のグラスにワインを注いでやってくれ、とドレイクのおっちゃんは給仕に指示します。
「何せ、痴女皇国の介入がなければ、我々が勝利していたとしてもですね。恐らく双方ともに多大な被害が出ていた事でしょう。聖母様側の歴史ではそうでしたでしょう?」あたしは黙って頷いて差し上げます。いやー、冷房の効いた室内で飲む赤ワインうめー。
いや、敢えて酔いたいのですよ。
ここはヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・サンティシマ号の船内士官食堂。
帆船の癖になんで冷房は効くわ、チーズを肴に食後のワインという行為が出来るのか。
一種の大型バイオモーターみたいな生体筋肉発電機を装備しているからです。
燃料は人間の男。それ以上言わさんといてくれ。
この発電機というか回転動力発生装置、痴女種の細胞をベースに開発された「炭素系燃料使用内燃機関の代替品」の一つです。
舟艇推進用にはフライホイールを組み合わせてスクリューを回すトルクを確保するタイプがありまして、三河監獄国内と周辺の旅客・貨物輸送に試験使用したところ恐るべき成果が出まして。
発電型についても聖院からのリース品・レンタル品としてまずはイタリアとイギリスに支給してテスト。これなしの船で航海したくないとまで乗った者に言わしめる代物です。…あとね、サンティシマ号とかね、この後で出て来る船にちょっと面白い推進機積みましたからね。ふふふ。
「しかもこのような素晴らしい環境で我々も、陸にいるように料理を楽しみ安心して酒に酔える。是非に我が国も同型の船を持ちたいものですよ」と、アナおばはんを持ち上げるドレイクさん。
「同感ですな提督。フランチェスコ。我々がこのような大型船を必要とする場合、聖院やジャポネとの貿易船となるかな」そして、立場上、実はアナのおばはんに大人しくして欲しい会副会長くらいには来る毒盛り兄貴、チェーザレ・ボルジア。
「ええ。正直、我がイタリアにローマほどの領土経営が出来るかと言いますと…微妙ですなぁ。鯖挟国に中東を、イスパニアとフランスに北アフリカをお任せする方が色々と理には叶うのではと思えます」イタリア連合公国バチカン大使、フランチェスコ・レモリネスさん。実は家庭教師の時代から毒盛り兄貴と付き合いがあるおっさんで、毒盛りの知恵袋の一人です。今回は名目はイタリア派遣団代表、実際は毒盛りのお付き兼ストッパー役ですね。
「アナ閣下は現在のイスパニアの境遇を嘆き悲しんでおられるご様子だが、我がイタリアとて、ついこの間まで散々な状況だったのは摂政閣下もよくご存知でしょう。なんせ、ナポリと言わずトリノと言わず、そちらのすぐ上のお国が…ねぇ」ええ。フランスが散々にちょっかいを出していましたので。更に、ルーブル宮殿にあたしらとマイレーネさんで殴り込んで「そろそろ大人しくしよーねーボクちゃん」とね、やって来ましたからね。
「何故それに私を混ぜて下さらなかったのか!いやはや聖母様もお人が悪い…」天を仰いで嘆く毒盛り。うん。あんたがフランスに対して抱いてる感情を知ってるから混ぜなかったんだよ。混ぜたら最後絶対に暴れたでしょ?
「…はい。感情を抑えられたかは疑問でございます」あたしがギロッと睨むと、流石の毒盛りと言えども一応は反省の意思を示します。うん、マリアから「あのババァを見た目で判断するな。あれの行状を見せてやるから対応の参考にしてくれ」と、沖縄作戦だの聖院や痴女宮でのあたしの行為の数々は言うに及ばず、弟をしばき倒していた時の姿まで見せられてたの知ってますから。もちろん、例の懲罰服をみんなで着た「第一回痴女宮島○くんオフ会」の惨劇まで。
あ、あたしがやる女だっての、ネルソン君に見せた方がいいか…。今更イメージダウンなんか怖くないやいっ。
「猊下。落胆する必要はありませんよ。私も参加したかったのは山々なのですが、聞けばあの国はルーブル宮が市街地にある事を見直し、郊外のベルサイユに新しい宮殿の造成を企てているとか。新たな目標ができましたな!」毒盛りを慰めながら、呵呵大笑するドレイクのおっさん。
「なるほど、これは壊し甲斐のありそうな話ではないですか。いやいや、情報のご提供、感謝致しますよ閣下」うん。わしが酔いたい気分、わかって下さい。この面子が寄ると触るとこんな話ばっかりなんです。
(アナさん。気持ちは分かりますけどね。あんたもよりによってあの時期のスペインを取ろうとするからですよ、今ここにいてる理由…。うちの修学宮の名物聴講生兼講師の、頭が面白い髪型で離婚というか出家歴のあるお兄さんに言わせたら、それこそ因果っちゅう奴ですわ。それに、みんなの本心わかるでしょ?お宅が潰れたら潰れたで困るんです。もちろん聖院としても。だからあなたを軽く痴女化してまで延命させているんですよ?)と心話で説教ぶちかましておきます。
(承知しております。…ですが、悔しいものは悔しいのです!うう、クルス閣下が急死して、あの禿頭が提督になりさえしなければ…しかもあのハゲ、私の娘婿なんですよ?)
(人はそれを運が悪いと言います。うちの米大陸広域支部長が最低限の利益確保は保証してくれますから、100年は頑張って今の地位で労働してもらいますよ。それとも、聖院でなくて痴女皇国の女官コース送りをご希望ですか?)そーです。変に男好きすると言うか、旦那の急死後にハメ外し過ぎて男遊びに爆進邁進した挙句にやらかした罰です、痴女化。いくら男とやろうと満足できんようにしました。
痴女種とやらないと満たされないと言うことは、すなわち聖院に従わないと子宮を満たされないと言うことです。
ちなみにイザベル女王陛下も「敢えて」そうさせて頂いております。
無論、ハプスブルグの血を引く連中の常套手段たる婚姻外交をやらかさないように、さながら沖縄のミバエ退治のごとく不妊処置個体を混ぜ込んでるようなものです。
(うう、頑張らせて頂きます…)仕方ないですねぇ。
で、ある意味散々な食事会の後、大公女の部屋で。
「アナ…あまり挑発に乗らぬよう、私も申したではありませんか!」
「ああっお許し下さいませ!あっそんなに!」
「おだまり…いえ、聞き分けの悪い女には牝豚が出す鳴き声が相応しいようですわね!」正常位でガンガンとアナさんを突きまくっているのは聖院マドリード支部長。
別名・イスパニア王国女王イザベル1世陛下とも申します。
「はぁ…聖母様…いっそ私がアナの立場で国家経営に直接携わる方が良いとは思うのですが…」だよね。あなたは一応メディチ家の血縁で、フランス王妃の娘さんだけに、アナさんには言いたい事色々ありそうだよね。
という訳でちょっと説教に来てくれやとお願いして、まだ実年齢が30代にすら行ってない…この人が前王フェリペ2世に嫁入りしたのは14歳です…若き女王様にお叱りを依頼しております。
「私が右も左も分からぬままにこの地に来た時に、何かに付けて世話を焼いてくれたあのアナは何処に行ったのですか!」
そーですねん。アナさんが王宮で権力狙いを図ったのが、このあまりに若かった王妃様に取り入っただけじゃありませんのでね。
で、フェリペ2世逝去時に「あれ?なら私が摂政か、何なら王妃になっても良いんじゃ?」とかよこしまな考えを抱いた訳ですねん、こちらでは。
でまぁ、イザベル女王陛下が痴女化して生えてるという事で、うちらがどういう手を打ったかお分かりかと。
百人卒未満のアナさんはまだしも、千人卒のイザベルさんは、聖院と円満な関係でないと死にます。
ええ。そのために敢えて千人卒にしたんです。
ちなみにイタリアとかイタリアとかトランシルバニアにも痴女体質転換者がいますよね。
何のために痴女種になってもらったか。長生きして欲しいだけではありません。特に百人卒未満は寿命があるわ普通の食事に加え精気授受も必要だわという訳で、どちらかと言うと聖院に縛り付ける為です。
ま、十人卒でも充分に一般人は圧倒できますが。
という訳で毒殺刺殺射殺他、暗殺対策もあって痴女種化のメリットを存分に活用しているイザベルさん、マドリード支部長の顔で部下を肉便器として活用中な訳でして。
そしてイザベルさんがアナさんへの精気還流役でもある訳ですが、元来なら聖院世界なんだから白うちがやれよ、こういう役目!
(やかまし、散々しごきやがって。スケアクロウはあたしとエマ子が飛ばすからあんたは欧州組接待やってえや。あんたの方が慣れてるやろ、痴女皇国で)
(…うちがアナさんやイザベルさんを直接していない件で、関与したくない気分を察してくれ。それと、うちがイザベルさんから吸うと、精気は痴女皇国枠に行ってまうねんぞ…わかっとるやろな…)
(かーさん、この際仕方ないわよ。今回のイザベルさんの分はそっち回しにする代わりに、二人にガソリン入れといてあげて)白マリが許可してきました。ま、確かに今のあたしなら黒エマ子ボディなんで、その場で精製して還元も可能ですが。
そしてこの光景、密かに送っております。
誰にか。
むろん、若き提督に。
(…ドレイク閣下から聞いたと思いますがね、私らに隠し事は不可能なんですよ。ですから思い誤る前に先手を打たしてもらいます。ここは痴女皇国じゃないから私があれこれしてませんけど、聖院世界の聖女や聖母が認めたら、毒盛り教皇のように痴女種という特殊な体質になってもらいます。これをしておかないと、仮に私が閣下の思いを叶えてあげた瞬間に閣下は死にますよ。そして、私の相手が出来るまでに昇格するという事は、そちらの国王陛下だの女王陛下だのより、聖院の聖女を優先する立場になってもらう必要があるのですよ)
(つまり…何かあれば聖院を優先せざるを得ないと?)
(もちろん。優先しないと精気供給を絶たれて死にます。更に、我々が貴方を遠隔操作してしまう事すら可能なんですよ…悪い事は言わないからやめときなさい。ま、国王陛下から依頼があれば施工しますけど、あなただけの考えでむやみに我々と同じ身体になってもらう訳にはいかないんです。だいいち、痴女種になると我々に考えが筒抜けになるだけじゃなくて、考え方まで支配されてしまいますよ?)はい、あたしとやると死ぬという事にしときます。しとかんと、この人は絶対押してくるんや!それもクソ真面目な求婚系の押し方で!
(ふーむ…)なんか気恥ずかしそうにしてますね。ま、妄想とか全部見られてるの分かったら、そりゃ恥ずかしくもなるか。
(もう少し建設的な話をしておいてあげます。イスパニアほどではありませんが、大英帝国もそれなりに聖院とお付き合いをせざるを得ませんよね? 東インド方面なり北米方面なり、私たちと接点のある要職を任されるまで出世して下さい。とりあえず今やっている指導行為が終わったら、私は自室に戻ります。合図しますからお越し下さい。ドレイク閣下からは、海軍の歴史などを教えてやって欲しいと言われておりますのでね)はぁ…宙兵隊の教官時代でもあるまいに、青年の進路指導を入れねばならんとは。
正直、ママの店の客なら、振りますよ。
はい、そこのキャバクラとかセクキャバとか写生産業系経験者のおねーさん、つきまとう客は出禁にしたりした事ありませんか?ほんまにありませんか?
ですが相手は大英帝国気鋭の青年海軍指揮官。
あまりに無下にすると外交上の支障がありますし、ワーズワース大公にまたぞろネチネチやられます。
あんなジジイ、どないでもなるやろと思うでしょ? ラッツィオーニさんやゴルディーニのドハゲオヤジ同様、一応世話になってますんでね。
ですから、ネルソン提督に片想いされてウザいから振りました断りましたで済まないんです! メッセージ系アプリや電話を着拒したりミュートするように簡単にはいかない相手だからこそ、うちは困り果てておるのです!
「ふーむふむふむ、蒸気船の就航によってまず物流は改善されたが、軍用に供されるのはもう少し後と…」とりあえず艦船史、特に軍艦のそれを教えています。
「外輪船の外観を見れば、提督にもお分かりになりますよね、弱点」そうです。推進効率やピストンエンジンの重量容積を考えると、外輪船は必然的に船体中央に機関室が来るのです。
更に、駆動用の外輪がおもっきし外側に露出しています。砲撃されたら一発アウト。
そして、18世紀当時は帆船の設計技術が頂点に達していて、下手な蒸気船より速力機動力に優れた場合すらあったのです。
「ただ、無風でも船が動くのは大きいでしょ?ですから機帆船という、マストや帆もあればエンジンも備えた船もありました」
「では完全に動力船が帆船を駆逐するのは…」
「そうです。新しい発明、スクリュープロペラの登場を待つ必要がありました。例えば大日本帝国の巡洋戦艦金剛。これ実は英国はビッカースという会社で造られた船なんですが、最初は馬六万四千頭分の機関を二基積んでいましたが、のちに日本国内で改装して馬十三万頭分の機関に積み替えました。二倍ですね。ではどれくらい早くなったか。ちなみに英国建造時は時速二十七海里です」改装前と改装後…本格的な艦橋を備えた姿を聖環で表示してあげます。
「倍…ではありませんよね。構造物が色々増えておりますし、機関自体も重くなっているかと。四十海里は出ますか…」
「三十海里。第二次改装後は五千屯ほど増えて三万一千屯になっています。だいたい、この船一隻分ですね」ええーという顔をする若き提督。
「鋼鉄船だからですよ。防御装甲などを増やしたりすると、いとも簡単に千屯くらいは増えちゃうんです。ただ、単に重くするだけではなくて石炭…燃える石の代わりに油を燃やすように改造していて出力や航続距離など、性能は上がっていますよ」
「これで大砲の弾はどれくらいまで飛ぶのですか」
「えーとね、改装後に主砲仰角を引き上げたから…28.6キロメートル…だいたい一万五千七百海里かな。だいたい、倫敦中心からクロイドンのあたりくらいか。こんなものです」
「ええーっ!それでは仮にこの船があれば、この時代には無敵ではないですか。そんな遠方に弾が飛べば沿岸から陸地にまで届きかねませんね」
「同じ日本海軍が造った大和級戦艦は倍近い50km以上…二万七千海里まで届きますよ」
「さぞや大活躍したのでしょうな…」さぁ皆様、ここからは、身体は白人頭は日本人なわたくしジーナさんはもとより、英国関係者にも耳の痛い話が続発します!嫌ですが艦船史として触れなくてはならない話がバンバン出ますよね?
で、マレー沖海戦当時のHMS プリンスオブウェールズとレパルスが航空機の雷撃でやられたとか、やった日本海軍が今度は大和級で似た事されたとか、フォークランド紛争で英国の駆逐艦がカエル野郎謹製の対艦ミサイル食らったとかいう話をいたします。
ええ、お兄さんの顔色、目に見えて悪くなって来ます。累計千人くらいには、この手の戦争歴史を教えて来ましたから、反応はだいたい読めております。
「相互確証破壊という概念がありまして、いくさをしてお互いの国を焦土に変える武力を保有した上で、外交交渉や経済的戦略で相手を泣かせる方向に変わって行ったのですよ。いくら相手を焼き払っても、今度は焼き払った後の復興の責任まで持てやという話を他からされるようになりましてね」うちらの世界で中心地に核を落とされた大阪市の核爆発直後と、現在の衛星画像を比較して見せてあげています。
「この時代なら多少は、戦争であれこれしても復興復旧はそんなに難しくはなかったかも知れません。しかし、兵器の威力が増すにつれて荒野しか作られない不毛な戦いになってしまう事が、実際に続発したのですよ」と、ロンドン大空襲だのドレスデン爆撃だの、日本空襲の結果だのを見せて説明。更に、捕虜お構いなしにウラン原爆ぶっ込まれた広島とか、爆心地に浦上の大聖堂があって、しかも礼拝の真っ最中だった長崎とかも。
「大阪も同胞多数だったのにやらかしましてね。第二次世界大戦と言われる戦いで、こうした惨状が各地で起きた為に戦略や戦術が変わります。決定打は、何万人もアメリカ合衆国民が死にながら大した戦略的進展がなかった事態がいくつか起きた事で、反戦の機運が高まり、敵陣の宣伝戦略や思想浸透を許してしまったのです。軍隊に行くのは無駄死にするだけでなく、罪もない人を無駄に殺し山野や海を毒で汚す非道な行為に加担するように思わせ、敵の軍人や民間人の戦意を削ごうとされたのですよ」と、あたしの身体の祖国とか、何たら民主主義人民共和国だのどこぞ人民共和国のプロパガンダ事例を見せながら解説。実は串刺しが、これをやられた世界初なのでそれも教えます。
「そして報道や民間に情報機器か行き渡り、軍が世間によろしくないことをすると暴露されてしまう事態が起きたのです。例えば、海賊だからと虐待すると、虐待の証拠を一般市民が知ってしまうのです。そして軍に非難が集中します。街中で酔い潰したり、人をどついて引きずって行っての徴兵すら許される今のご時世と違い、専門技術者でなくては務まらない未来では、志願兵が中心になりますので軍といえど風評には気を使わなくてはなりません。わかりますね?」
「ああ、私共の徴兵官の無茶…」うん、君の国が特に無茶してたの後世に伝わってるから。更に、今回の海賊退治の責任分担で言うなら過失負担は三分の一くらいは君とこの国にあるから。
「まぁ、今回の海賊退治の経費負担や請求の話はまた置いておくとしまして…おまけして欲しいなら、海洋技術学校に人を出すとか、新大陸開拓事業に積極的になれと言われたと報告しておくと良いでしょう。提督だけの心の負担にすべき問題じゃありませんからね。それと」心話で入って来てとお願いします。
「責任の一端はこの方々にもあります。が…お前が悪いだの、いやお前が悪いでは世の中は前に進みません。前を向いて進む為にも前向きな話が出来る間柄か、互いにお確かめ下さい」ふっふっふっ。
そうでございます。
お互いに責任を取り合って頂きましょうという主旨の下、イザベル女王とアナさんを呼びつけたのです。
とは言え千人卒のイザベルさん、そのままネルソン青年とやってしまうと支障ありまくりです。
では、ここで二人のステータスを見てみましょう。
Isabel 1st. (Élisabeth de Valois) イザベル1世 Thousand Suction 千人卒 Slut Visual 痴女外観 Red Rosy knights, Imperial of Temptress. 赤薔薇騎士団 Espagne Branch Manager. マドリード支部長
Ana (Ana de Mendoza de la Cerda) アナ・デ・メンドゥーサ Hundred Suction 百人卒 Female Visual 女性外観 Purple Rosy knights, Imperial of Temptress. 紫薔薇騎士団 Espagne Branch Sub Manager. マドリード副支部長
なんで支部長と副支部長で所属が違うのか。
一言で言うと、やらせてる事が違うからです。
イザベルさん、実は連邦世界の歴史だと、わずか23歳で早逝しとります。ま、14歳で嫁いでから子供を二人儲けておりますが、39歳で死ぬはずだったるっきー同様、当時の医療事情や健康事情がいかに劣悪だったかをこれで知って頂ければ。
で、イザベルさんの延命は欧州支部長、つまりマイレーネさんの指導下で行われましたが、聖院主導下でスペイン内乱を防ぐ為に処置した事を大々的に宣伝したれやという話になりまして、聖院勢力下にあるという事は周辺諸国に知れ渡っている状態です。あ、痴女皇国でも同じ措置を取ってますよ。
ところが、フェリペ二世死亡時にやらかしてくださったアナさんを公然と助けたのはまずいとなりまして、紫薔薇騎士団所属…ええ、トップ、誰かわかりますよね? 公然と殴るような怖い人と、何かしでかした後が怖い人とどっちの下に入れた方がアナさんが大人しくなるかを協議した結果、雅美さんの配下に入ってもらうことになりました。イザベルさんが公然と聖院に協力しているとか、何かあると欧州支部長や白マリと一緒に並んでるのに対し、アナさんが摂政大公女なのはあまり国外に大々的に宣伝していません。
ぶっちゃけ、現職はアナさんに対する懲罰業務なんですから。罪人または女官として聖院や痴女宮送りにされないだけまだマシやと思えよ、おばはん。
ただし、アナさんの直属上司はあくまでイザベルさん。
精気授受についてもイザベルさんの担当です。
ついさっき、イザベルさんがちんぽでアナさんをしばき回し…いえ、愛情あふれる教育を行っていましたが、あれは実はアナさんから吸い取ってたのと還元のためでもあります。
(必要がなければ私も好き好んでやりません。あと、聖母様には申し訳ないのですが吸い出しと補給をお願いいたします)というイザベルさんの希望もあり、ここに呼びました。
ええ、うちの外務派遣者制服を兼ねた白と桃のシルクのドレス姿で。造花はイザベルさん、アナさん共々赤と黄色です。これはイスパニア・ハプスブルグ当時は制定されていなかった国旗色の組み合わせですが、これでええかいなと後の世の分を見せて「よろしいのではないでしょうか。分かりやすいですし、私の代で国旗に制定してしまいましょう」とノリノリで採用。ええんかスペイン。
そして二人とも、ドレスの下は言わずもがな。
「提督閣下。こういう話をするのは辛いものがあるのですが、私と前向きな話を希望されるのなら、まずアナ摂政大公女閣下と寝床を共にして頂く必要があります。アナ大公女となさらずにいきなりイザベル陛下や私と致してしまいますと、かねて申し上げております通り、英国王陛下への忠誠を全うする事なく早逝なさる事になります」
「つまり選択の余地はない、と…」何やら難しい顔をして考え込むお兄さん。「いえ、アナ閣下が私や我が国に対してどういう感情かは百も承知しております。お姿からすると、聖母様のお言いつけに逆らえないであろうとは容易に想像が出来ますが、何かこう、無理に場を設けられた気も…」
「難しく考える必要はありませんよ、ネルソン閣下」と。そこへ。
「何を悩んではりますのや青年。無敵艦隊と決戦する代わりにスペインとベッドで戦うと思うたらええんですがな…」
「聖母たる我が妻の言葉ですが、夫の僕にすら複数女性経験を勧める人物ですよ、彼女…」
「え?え?聖母様がお二人?」そりゃ、事情知らん人は更に驚くわな。
「えーっとですね。今現れて、通称懲罰服と言う変な服を着てるのが聖院側のジーナ・ワーズワース。つまり聖院世界の聖母です。そして今くっちゃべってる他ならぬ私、痴女皇国の方の聖母のジーナ・ワーズワースですが、単純に言うと、こっちの私より5年ばかり年を食ってます。そして、聖院のうちは亭主、つまりNB男爵位のクリス・ワーズワースが存命ですよ。ま、うちの方のクリスも今、体を与えたら話がややこしくなるから引っ込ませてるだけで、生きてはいます。つまり私も、くにに帰ったら正にこの子と寸分違わぬ旦那が本当にいてるんですよ」と、聖院側のクリスの肩に手を回してご説明。「ほれほれ、三人とも同じエンゲージリングつけてるでしょ?」と、結婚指輪まで手を揃えて見せたり。
「ほうほう、これが噂の聖母様の年下のご夫君…」と、何やら肉食系の目になるイザベルさん。
(僕に反応を示す人って、何かこう、一定の基準があるような気がするんですが。あと、痴女種は確実に反応しますね…)
(その意見は否定できない。と言うか聖院時代からそうだったであろう。白クリス)
(確かに、こっちでもクリスは相変わらず護衛が必要なのや…)
「でまあ、聖院の実質的な頂点級の二人を呼びつけた理由は他でもありません。ネルソン提督。ここでアナさんを撃破しなさい。これはドレイク閣下にも了承を得ております。この撃破がまかりならないとなると話は全て流れます。あなたが失恋するだけでは済まないのです。あなたの立場では、一介の兵士や国民が可能な、単なる私的な人妻への恋慕とはならないのですよ…」と無慈悲に宣言させて頂きます。
「と言う訳で白うち。済まんが出来ればやはりイザベルさんの相手はあんたにお願いしたい。精気流通上、やはり聖院世界の人間の分は聖院側で扱う方がベターであろう」
「しゃーないなー。ちょいお待ち」と、すぱっと着替える白あたし。そして髪の毛も、あたしと同じエマニエル夫人ヘアスタイルに戻しやがりました。つまり、軍服着てるか、赤薔薇騎士団仕様のエロ服に着替えてるか以外の識別ポイントは外観上存在しなくなりました。はっは。
「ではイザベルさんには馴染みの方のうちが処置します。クリス。黒うちの相手頼む」
「…どうしますジーナさん。とりあえず僕としては…その…衆人環視というのはあまり」
「クリス。あんたの言いたい事はようわかる。我々は静観すべきだ。そう言いたいのだね」
(…あのな、ネルソン閣下…今、あたしらが喋ってたり、目の前で起きてる事よりもっと壮絶な事が日常的なんですわ…痴女皇国…そして、痴女種というのは聖院も痴女皇国も同じで、これをしないと飢死するんです…聖院だろうが痴女皇国だろうが、あたしとの関係を希望する場合、これを容認頂く必要があるんですよ…」うん、呆然とするのはわかる。思考が追いつかないのもわかる。
(クリス。ネルソンってそんな堅物やったっけ?)
(不倫以降も正妻に援助は続けていましたね。あと、兵士からの風評も良く、誠実な人物であったと評価されています。つまり、真面目…)
(ああ、真面目やからこそハマってもうたのか…踊り子に…)しかも愛人母娘に娘の旦那も加えて3P4Pしてたらしいし。
「ネルソン提督。僕からも助言させて頂きます。アン大公女閣下も恥を忍んで伽を容認しておられます。貴族の名誉に関わる話だけに、二人の時間を過ごすのはお互いの名誉を守るためでもあるでしょう。今夜の一件を不名誉として言う者があれば、NB並びに英国本国で男爵位に叙されているこの僕が擁護します」と、毅然と言い放つクリス。
そう、この毅然さを貴方も持つべきなのよ提督。
あたしは無言で提督の手を取ります。そしてクリスはアナさんをエスコート。
イザベルさんとアナさんに割り当てられた貴賓室が空いてますからね。
「もしも何でしたら、大変に恥ずかしいのですが、貴族の責務というものの見本を僕とジーナさんでお見せしますが、そこまでする必要もないでしょう。こう申し上げては何ですが、アナさん、美人でいらっしゃいますし、僕が提督の立場でしたら有無を言わさず合意します」きっぱり。
「閣下…正直、思うところ多々あれど、ここでわたくしと閣下の仲が良いか悪いかで、今後の両国の関係が試されるのですよ。どうかお互いに恥をかかない為にも、今宵はご一緒に過ごして頂ければ」と、アナさんが後押しします。
「かしこまりました。そこまで皆様に申されては何もせずとは参りますまい」
「あ、アナさんのお部屋はここでしたね」
えーっと、ここでヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・サンティシマ号の構造について。
この世界のガレオン型帆船は連邦世界のそれと全く同一です。
が、船尾の豪勢な飾りのついた船長他幹部船室区画の最上階に貴賓区画が設けられておりまして、その下の階層に幹部船室や上級客船室…正に今回のように来賓の乗艦があった場合のお部屋が存在します。
そして、この船のオーナーたるイザベル女王陛下の公室が最上階にありまして、今回はアナさんと二人で使われています。
で、その豪勢な扉を開きまして、二人を押し込みます。
すかさずドアを閉めて。わしとクリス、逃亡。
「うまく行けば良いのですが…」
「はぁ…ごめんなクリス。こう言う時にあんたおらんと、やっぱり困るよなぁ…」
「仕方がありませんよ。この時代にそもそもネルソン提督が誕生している事自体異常ですし、更に、戦場と違って女性関係に豪胆でないのも仕方ないかも知れません。ほら、僕だってジーナさんが後押ししなければ、他の女性と関係とか考えも及びませんでしたし」
「せやなー。痴女皇国に帰ったらその辺、エマ子辺りに掛け合ってみるわ」と、夜の帳が降りた甲板上で二人して雑談。なんかひっさびさにまともにクリスと話すような感じです。痴女皇国の方のクリスとは、暇が出来れば墓所に降りて話をしてるのですが、やはり外道ちゃんか悦吏子ちゃんを介してでないと話が出来ないのが辛いところです。
(こらぁ。かーさんがエマ子ボディの機能を使いこなしてないだけだろうが。直接家族会組と会話できるぞー。あと、流石に父様復帰の必要性はわかるからエマ子には頼んでる。痴女種ボディなら簡単だけど、クリス父様の場合、人間男性をベースにせにゃならんだろ? 今からあんたらがやる事してくれたらデータ取れるから、出来たらどっか場所探しておっ始めて欲しいってよ!)
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黒ジーナ「いや参った参った」
白ジーナ「あんたが参るとは珍しい」
黒ジーナ「やかましっ。真面目に付き合ってくれとか求婚されてみさらせ。今のうちにはどんだけ負担や思っとるんじゃっ」
白マリ「だから若作りするからよ…いー加減、アグネス叔母様くらいの感じで、普段くらいはトシ相応にしときなさいよ…」
黒マリ「却下。痴女皇国の統治方針に関わる。家族会からも苦情が出る。あたし個人は白マリと全く同じ意見なんだけどさ…ウチでババァを年相応にするとな、あちこちから文句出まくるのよ…ベラ子を筆頭に聖院に押しかけられたいか?」
白マリ「…あー、ベラちゃんがいたか…」
黒マリ「わりーがベラ子だけじゃねーんだよ…。ほら、こないだ、かーさんが流石にトシを気にして老け作りしたんだけどさ、その時に文句言わなかった奴の方が珍しい状態。もっと言うとほぼ皆無」
白マリ「え」
黒マリ「まずベラ子とるっきー。何でわざわざババァになると詰め寄ってた。エマ子も同じ。更に初代様とクレーゼ母様が、なんか悪いもん食ったかと心配する始末。アルトとダリアもものすごい残念そうな顔を始終してるし、しまいにはおかみ様あたりから修学宮にまで噂が流れたか、ロン毛とパンチが聖母様の振る舞いについて私らが説法を説いたせいではないだろうなと確認に来る事態に」
白マリ「わかった。そこまで反対派多数なら、いくら本人が老けると言おうと若作りを強制される絵図しか見えないわね…」
黒マリ「美男公にまで言われてたからな。性的興味はともかく、あの身体あっての聖母様信仰ではと」
黒ジーナ「あれは堪えた。あの兄ちゃんはおろか、大工の息子や元王子にまで見舞いに来られるわ、おかみ様からは息抜きに伊勢来い、本宅貸してやるから、しばらくのんびりして来いやとまで言われては」
白マリ「まー、確かにうちの方のかーさんがいきなり年相応にしても、こっちはこっちで騒ぐのがいるわね…」
黒ジーナ「もう少し強行してたらアレーゼさんとマイレーネさんが面談に来る予定だったらしい。どれだけネルソン君に心中で一目惚れされようと、うちは今の姿を維持しないとあかんらしいのよ…」
白ジーナ「その割にうちには反応あれへんかったな」
黒ジーナ「あんたクリスとセットやったやんけ。あれで口説くアホはおらんやろ…」
ベラ子「横から失礼。ちなみに聖院のジーナ様と、うちの母様はやはり違うのですよ」
白ジーナ「外ヅラ全く同じにしても?意識も記憶も共有しとるねんけどな…」
ベラ子「挿れた時や挿れられた時が違和感。いえそうではなくて、なんかこう普段接している感覚と少し違うんですよ。多分、クリス叔父様がいるかいないかも影響してるんじゃないかなー」
黒ジーナ「マテリアルボディの影響テストで一度試しにやった時の話か…」
黒エマ子「まぁ、こちらのかー様の横にクリスさん置いたらどうなるか、今度試験してみます」
ベラ子「それってつまり」
黒エマ子「痴女皇国サイドでも南北米大陸やアフリカ・オーストラリア開発進行中。旧英国植民地にある程度知見があって歴史的経緯を知る人が必要なのです」
ベラ子「ええーっ母様を取られる!」
黒ジーナ「取られません!あと、ベラちゃん。あんたの部屋にたのちゃん住まわす理由はそれもあるんやで?」
るっきー「マリアヴェッラはそろそろジーナ様離れを徐々に始めなさい…」
黒ジーナ「この子もある意味ネルソン兄ちゃんより難物やから…」
黒エマ子「あたしがいてすらマザコン直りませんでした。諦めましょう」
黒ジーナ「…案外、たのちゃんが治してくれるかも知れないな…賭けよう、それに賭けよう」
てるこ「ならばあたくしが聖母様のちんぽを独占」
他全員「あんたが一番それしたらあかん立場やろがー!!!111!!!」
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