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若妻ショタ地獄・狂気の青い果実狩り!・2
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ぽつぽつと降ってくる雨。
それは、見る間に豪雨となって淋の森公園や門前町だけでなく、痴女島の主要部分を雨に煙らせていきます。
もちろん、痴女島の日課と言っていい、おなじみのスコールです。
しかし、そんな雨の中、ずぶ濡れをものともせずに女官や尼僧に性欲をぶつける存在が。
ええ、少年たちです。
感覚共有せずとも、激しく動くお尻で、その興奮の度合いがわかります。
そして、リンジーさんもその、修練場と名付けられ淋の森の入口の横に設けられた広場に並べられたビーチチェアの一つに寝ています。むろん、股を開き腰を使って少年ちんぽをお楽しみ中。
(しかし、なぜわざわざ雨の中で…)
雨避けの東屋の屋根の下で、驚愕の表情を浮かべながらその集団性交を見つめる瞳さんですが。
(これからわかるわよ)と、平然と心話で返す雅美さん。
で、リンジーさんはまだしも、少年たちにはに教えてないことがあるそうです。
この修練場を囲っている壁、実はですねぇ。
雨を検知すると液晶が反応する仕掛けを仕込んでるそうでして、スコールの時だけは透けるんですよ。
それも、外側からだけ。
内側から見れば、壁板は白いままです。臨界半透体という技術を応用したもので、飯島早苗さんの会社からその製法やら何やらをげふんげふんした成果だそうですけど。
しかし、外から見ると中で何をやってるか、丸わかり。
スコールの真っ最中ですから、通りかかる人はいないと思うでしょう。
ところがですねぇ。
シャワー代わりになるしと、割と最近は利用、多いんですよ。
そもそも根本的に暑い暑い痴女島ですから、スコールの時でちょうどいい感じの気温ですし。
で、雨音に混じってあんあんとか声がしてたり、何かを打ち付けるようなパンパンという音がしてたら、普通、一体中で何をやってるんだと気になって覗くじゃないですか。
ですので、このところ、スコール時のこの修練場の前にはギャラリーが何名か必ずいる状態なのです。罪人の間でも、スコールの時の淋の森は狙い目だって噂が広まってるようですし。
そして、覗いてる男性が自慰行為に及ばないように監視する光学迷彩仕様の雨ガッパ姿の騎士数名、密かに後方…門前町側の、淋の森と街区を隔てる絶林檎の林の中に身を潜めています。
もっとも、この騎士は自慰行為を咎めるのではなく、興奮した男性に対して売春を持ちかけるために待機していますよ。
(淋の森警備本部に配属された時の役得ですね。精気授受の人数を増やすことができますから…本当は売春どころか、お金を取らずに奉仕して差し上げたいのですけどねぇ)とは、騎士の一人の弁。
ええ、大目に見ますけど、あまり大っぴらにやらないように。あいつの時はタダだったのに俺の時は金を取られたとか噂になっても困りますからね。
まぁ、最悪の場合は記憶を入れ替えて、夢を見たような事にしても良いでしょう。
いい夢を見せてあげるのも、女官の務めとは思いますから。
(そもそも売春とはお金が目的ではないのでしょうか…あ、そうか…)
(シニョーラ、普通の女性ならいざ知らず、女官にとっては金銭よりも男性の精気の方がはるかに価値があるのです。普通の人は金銭を得るにも大変な苦労をしますが、我々にとってはお金など、ある意味ではどうにでもなるのです…逆に貨幣や金銀を供給する立場ですらあるのです…)
(まぁ、前にも言ったけど女官の食費やら被服費…ファインテックの半生体素材衣料再生産工場の運営費くらいは稼ぎたいから、全くの無償奉仕ってのも困るんだけどね。だからと言って金金金って執着して、貧乏人からむしるような行為は絶対すんなって聖院時代からの掟があるんだよ。これはあたしも変える気は全くねぇな。男の側にも努力は求めるけど、甘やかさないためであって破滅させるためじゃないんだから)
おお、ゼアラさん、正解ですよ。
姉が補足してくれましたけど、聖院も痴女皇国も、男性からお金を得るのは精気を頂くついでのようなものなのです。
確かに、あたしたちにとって、門前町で働く人や罪人の口座に売春費用をちょっと差し入れするくらいは造作もありません。
しかし、ですね。
(タダほど高いものはないし、タダでもらえるものなんて身につかないってのはマリアちゃんがよく言ってるでしょ…これ、確かに真理だと思うわ…あそこで覗いてるおじさんにしても、頑張って稼いだお金で買春できるから、その買春に価値があるのよ…そして、あたしたち痴女種はパパ活みたいなぬるい事じゃなくて、ガチに男性の生体エネルギーそのものを頂くのが至上命題だけど、だからと言って簡単に股を開いてしまうと、おざなりな行為になっちゃうのよ)
と、雅美さんがご高説を披露される向こうでは、確かに覗いている男性が。
ええ、あたしたち痴女種なら、壁の向こうは見えますから。
で、後ろから忍び寄る騎士が、おもむろに男性の股間に手を回して何事かを囁きます。
しこしこと騎士の手が動いていますが、ナニをナニしているのか、よく見なくとも理解可能な光景ですね。
更にはおっぱいを男性の背中に押し付けーのして、誘っておりますが。
(ほほう…)商談が成立したのか、聖環を重ね合わせてから森の奥の方に消える二人を見送る瞳さん、感心したように見入ってますね。
(そりゃ、あんな感じで買うのかって…確かに売春をしているのは知ってますし、私も陛下のお邪魔が入ったとは言えど、一応は本宮や聖院で研修はしましたよ…けど、淋の森はよく知らないんですから、見入ってしまうのは無理もないでしょう…)
げ。藪蛇。ええ、瞳さんの研修の際についつい暴走してしまった件、覚えられてましたね。ほほほ。
(ベーラーちゃーん。いくら瞳さんをお手付きしたいからって、何やってんのよあんたは…それにね、普通の日本人にはこの淋の森ですら、逮捕事案が最低でも1日に数百件は起きてる驚異の場所だっての忘れないでよ…瞳さんみたいな一般人出身者には強烈な刺激なんだからね…)
へいへい。
で、雅美さんの講義の続き。
(お金をかけて女を買うからこそ、元を取ろうとして男性は必死になるわけでしょ? で、あたしたち女官も、その想いに応える必要があるわけよ…)
ちなみにですね、今さらですけど…ナンパされても女官は乗りませんよ。イケメンであっても。
さくっとドレインして終わりです。
(それ以前に痴女皇国世界だと、現代風のナンパとはまた違うわよ…それはともかく、リンジーさんも、いずれは男に買われた立場を理解して満足を与えるという境地に立ってもらわないといけません。だから、ちんぽ慣れさせるのと、お仕事だけでなく、精気の吸い取りを頑張ったご褒美もあるよというのを知ってもらいたいわけよ…)
そうなのですよねぇ。この修練士や助修士少年少女の鍛錬、実はクラブジュネスの従業員や淋の森警備本部の騎士も参加します。
精気授受行為の実績を積みたいとか、あるいは精気授受手当が欲しい女官、はたまたショタ趣味のある女官を募ってはいますが、スコールの時間帯に全ての女官がフリーになっているわけではありません。
そこで、ジュネスや淋の森警備本部勤務の女官または騎士が、主な応援要員にされることに。
(そもそもジュネスや淋の森本部勤務にされてる時点で、女官としちゃ出世株だからね。まずはこの部署に回されるように頑張りなさいって話になるのよねぇ…)
ええ、この任務に当たる女官、割とベテランの傾向がある人を割り振るよう、警務局と厚労局…女官管理室に通達が行ってます。
理由は、少年たちの性交指導があるからです。そして…あとあと話が出て来ますが、少年たちを尼僧女官が籠絡しやすくするための下地工作要員でもあります。
ええ、敢えて、きつめの性交内容…それも女官主導になるようなことをしているんですよ。
(ここで音を上げるようでは、この先の修道院生活はもっと辛いものになりますから…)
(え?ここでずっと働かせるんじゃないのですか…)
(シニョーラ瞳、この痴女島聖母教会はあくまで外交施設です。教会で働くということを体験させて、最終的に労働者の道を選ぶか、修道院行きになるかを選択させるのがこの助修士少年や、後で見て頂く修練士の研修課程の目的なのです。ですから、ここにいるのは長くても1ヶ月程度ですよ)
(茸島から送られてくる少年の数によっては、1週間ほどでイスパニア方面への船に乗って赴任することになりますからね…まぁ、その話は後でお聞き頂くとしまして…)
とりあえず、叔父の言っていた件。
つまり、シャルロットさんたちが少年に対する行き過ぎ指導をしていないか、チェックする必要があります。
うーん、確かに、今の時点ではちょっとパワハラ気味というべきか。
例えば。
そうですね、少年たちが早漏にならないように聖環制御をかけています。
この子たちにとっては、コックリングというのですか…射精抑制器具を使われているようなものでしょう。
言うなれば、無理からに射精を止めている状態。
(普通は加齢と経験によって、珍珍の表面が角質化して感度が鈍くなるのよ…だから若くても長持ちするちんぽを作れなくはないわね。それと、おっとナニーをしてるとおめこでイキにくくなるわよ)
さいですか。雅美さんのいらん知識も、相変わらずですね。
で、普通に正常位でやってる女官だけではありませんね。
後ろから突けとばかりにお尻を向けているのはまだしも、女官によっては敢えて入れさせずに69の姿勢を取っています。
つまり、口で責め立てると。
そして、少年の射精を口と顔で受けながら、自分も絶頂時に潮を噴いて少年の顔を汚しています。
更には、少年に口を開けさせて便器にする女官…百人卒未満ですからちんちんはありませんけど、出るものは出ますからね…までもが。
ええ、少年たちは女官になぶられる存在に堕ちています。
そして、百人卒未満の女官を集めているのに注目して頂きたいのです。
当然ながら、百人卒未満の女官なら、股間にちんちんは存在しません。その体力や能力はともかく、身体的には普通の女性そのものです。
ただし、少年たちの疲労を回復させることは、可能。
もちろん、スコールの時間の間、少年たちから搾り取るためです。
更には…シャルロットさん、さっき助祭と精気授受、してましたよね。
あの時に降ろした精気を使って、助祭や女官経由で少年たちを復活させてるんです。
(参加の女官の皆様への贈り物ですわ。本宮所属の方であれば、立身出世の成績になるのでしょう? )
そうですね。
そして、単に精気を吸引するだけではありません。
あざとい少年たちに、厳しい現実を教え込み、聖母教会に忠実な助修士としての教育を施すのに成功すれば、それは千人卒以上の昇格の際の詮議には良い方向に働きます。
そ。ここにいる女官については、雅美さんの名前で厚労局と警務局を経由して集めています。
条件、やる気があって昇格を強く希望するもの。
(ふふふふふ…聖母に仕えるとは即ち、男の精を献上することに他なりません。あなたがたはロレーヌの鉱山で炭や石を掘りたくないがために聖母教会を選んだ身の上。さすればわれら修道女にその固く太くそそり立った逸物と、そこから出る汁を捧げるしかないのです…)
と、般若というのですか…にこやかに微笑んでいますが、実際には鬼の心のシャルロットさんが少年たちに引導を渡しています。
ええ、この子達は、ルール地方の炭田や鉄鉱石鉱山勤務を拒否しています。
ならばと聖母教会で、肉食女子とでもいうべき修道女官や…教会周辺の女性を相手にお尻を振ってちんぽを出し入れしなさいとなりました。
その扱いは、他の罪人少年と同じ。
精気貢納、即ち女官とのおめこを欠かせば自己発火して死亡する立場です。
そして、雨の中で女官との性交に耽り、性の技を鍛えた後は、地中海航路の船に乗せられてマヨルカ島のパルマ修道院に送られます。
そうですね…少年が痴女島に来てから茸島と痴女島聖母教会を経由して、マヨルカから欧州各地に送り出せるようになるまでは最速、半年だそうです。
で、なんでマヨルカなのか。
そう聞いたあたしへの、イザベルさんの回答です。
(マヨルカであれば、すぐ側にイビサ保養地がございます。そして、マヨルカ自体も避暑地としては好適。ランペデューサは聖地として大切に管理するとしましても、貴族どもの保養にはあまり向かない島ですから…まぁ、何より肝心なのは、逃げられないというところですわね)
つまり、この計画にはイザベルさんも噛んでいます。
イタリアで少年たちを鍛えてもよいのですが、陸続きでフランスやスイス、オーストリアと繋がっていますし、何より人里離れた場所を作るにも少々、苦労するんですよねぇ…シチリアなどの島であれば事情は変わりますが、この時代のシチリアはフランスとイタリアで領有を巡って争った過去の影響がまだ多少は残っていますので、聖母教会の施設を作るにはもう少し時間が欲しいとも。
で、修道院建設に手を挙げて立候補して下さったのがイザベルさん。
(成人と未成年では意味が全く異なるでしょう。未熟な子供であれば逃げ出すことも考えるはず。なんとなれば、未開の岩山や荒地もある我が国ならば、他と隔絶した場所を用意するのはたやすい話ですわ)
で、痴女皇国世界では亡き夫…フェリペ2世陛下の墓所として建設していたというサン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアルを連邦世界同様に修道院として整備する方向となったそうですね。
(もともと十字軍編成やイベリア半島のイスラム勢力との争いの経緯で、あそこはカトリックの施設が多いんだよ。ほら、サグラダ・ファミリアだって言ってみりゃそうだろ? )
ふむふむ。
そういえば、マヨルカの修道院、けっこうお金を使ったとか…。
(連邦世界のアラゴン王国に文句を言ってくれ。パルマ大聖堂をあれだけ豪勢に作ったのはあの国だ…まぁ、イスラム勢力の影響もあったんで、なぜかメッカの方角を向いてるけどな)
だからと言って、まんまそれのコピーめいたものを建設しなくても…。
(建築技術の習得も理由だ。だからイザベルさんだけじゃなくてうちも建設費用を持ってるからな…)
そうです。パルマの修道院というのは、連邦世界のマヨルカ島にあるパルマ大聖堂という結構おっきな教会、ほぼそのままで造らせてるんですよ…。
マドリードならいざ知らず、なんでマヨルカにそんな大げさな施設、わざわざ造らせるんですかぁっ。
(むろん売春のためですわよ。金は持っている者から絞り取るのが原則。さらに、鉄の道が出来れば今後はバレンシアやタラゴナの港も近くなる話。なんとなれば、国内の貴族や富豪どもにはマヨルカへ女を買いに行けとそそのかしやすくもなる話でございましょ? )
ああ、そうですね…更には鉄道開通に合わせて、女遊びはもちろんのこと3P4Pを流行らせる計画もあるとか…。
では、なぜマドリードやバレンシア、更にはバルセロナなどで女遊びをさせないのでしょうか。
(させないとは申しておりませんわよ、陛下…都市部の修道院は、いわば民衆のための精気貢納施設として運営を考えております)
(あ、ベラちゃん…これはるっきーが出歩いてるからあたしから言っとくわよ。イザベルさんちは日本の参勤交代と逆のパターンを考えてるのよ。つまり、貴族には今で言う別荘地を監督させて、そこで過ごさせるようにするわけよ…で、領地に貴人向けの修道院を設けて、えげつない遊びはそこでさせようとね…)
(そうそう、マダム・マサミにお教え頂いた闘牛とかいう競技、あれで優秀な者を取り立てる話もございますが…あれをやりますと、興奮した民衆が女を求めるのを知りましてね、ふふふ…)
まーさーみーさーん。
何をいらん知恵をつけてるんですかぁっ。
確か闘牛の歴史はともかく、現代のあたしたちが知る闘牛の形になるのって18世紀では…。
(騎馬闘牛だと経費が大変なのよ。で、徒歩闘牛の形式を提案したわけよ…闘牛賭博も含めて、スペインには事業許可を出す稟議を回したでしょ…)
むう。
た、確かに国内の娯楽流行策として発布した稟議、来てますね…。聖環で稟議書を検索するとばっちり出てきました「南欧支部管轄地における闘牛場建設予算拠出申請に関わる稟議」って、堅苦しい表題の稟議書…。
これであたしに添付書類まで読んで計画全容を把握させてはんこ貰おうってんですから、騙し討ちもはなはだしいのでは…。
(だからあたしの再査もちゃんと入れて捨て印も押してるじゃない…それと、スペイン=痴女皇国南欧支部なんだからさ、るっきーじゃなくてあたしの管轄になるのよ…赤薔薇騎士を置いてる場所は痴女皇国海外領土または駐留地だからね…)
あ、そうでしたね…。確かにイザベルさんもアナさんも、今や赤薔薇扱い。
とまぁ、少年たちを受け入れようとしているスペイン、性的にはフリーダムな方向を目指して支部としての価値を高める政策を目指しているようですね。
しかし、イザベルさん…実家への当てつけにしては、このところやたら熱心に国内統治に取り組んでおられるようですけど。
動機に怪しいものがありますね。
(なっ…ななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななな何を申されるのですかぁっ。陛下、わたくしは以前から借金解消のために粉骨砕身)
(その割には茸島保養所に来て少年を買っていたとか、雅美さんの手引きで聖院学院寮を見学したとか行状が聞こえているのですが)
ふっ。
ネタは上がっておるのです。
更にはイタリア夜の爛れ会で乳上と情報交換を重ねたり、連邦世界のホストクラブの情報を検索するなどなど。
闘牛を流行らせようとしてるのも、成績のよい美青年闘牛士を修道騎士名目で囲い込んで売春させようという魂胆でしょうに。
ああ、何という欲にまみれた経営者、いえもとい国王なのでしょうか。
(いえいえ。オリューレ支局長には負けましてよ。なにせ茸島分校、今や世界から集めた少年を仕込むために拡張を重ねておるとか。決して対抗意識を燃やしているなどとは。ほほほほほ!)
と、悪びれもせずに高笑いしている女王様ですけどね。
確かにあの分校、今や聖院学院本校に匹敵する規模にまで拡張させてという稟議にはんこ、つきました。
そして寮も含めて拡張建設に入っておりまして、出来た教室から順次、運用に入っています。
この工事が完成しますと、現状の聖院学院本校に匹敵する2,000名を超す児童を収容して「教育」が可能になるとの報告も貰っていますよ…。
なにせ、欧州だけでも聖母教会、新設したの、百箇所では効きません。
そこに行き渡る助修士や修練士を配置していくためには、毎週単位で数十名を送り出してもやっとなのです。
昨今は例の実習船のエルトゥールル号、あれは今や、最初の導入目的だった海事実習どころか、聖院学院から茸島分校への転校生や、あるいは逆の動きをする生徒を輸送する目的で動いているようなものです。
まず、従来は世界各地で集められた孤児や犯罪者児童…それから、成人男性でも凶悪犯について少年化が妥当と思われた者は痴女島に送致され、聖院学院への入校審査と試験を受けることとなっていました。
しかしながら聖院学院本校寮は修学寮を兼ねている関係もあって、従来は入寮者全員が「普通の子供か大人」である前提で設計されていました。
そこへ犯罪者傾向の強い者を入れると、当たり前のように喧嘩や窃盗などが日常的に発生する事になります。
で、茸島分校が開設されましたが、昨今は罪人認定される少年の方が多くなってきていました。これは聖母教会のための人材を人さらいいえいえいえいえいえいえ募集するためにも必要なことでしたよ。
(マリアヴェッラ陛下は我々堕天使をあまり悪し様に申せないのでは…)
(しっ、黙っておれ…君たちも協力していただろう…)
なんか堕天使さんたちとネメシスさんがぶつくさ言ってますけど、聞き流しておきましょう。
あと、天竺出身者のハリティリーネさんにインド支部開設の人材スカウトを兼ねて、一週間ほど出張してもらった際の帰りに人を乗せるからと言われたものの、キューバで建造中のアメリゴ=ヴェスプッチがまだ完成してなくてですね、仕方なくエマちゃんに頼んでテンプレス2世を出動させるはめになった話も内緒の方向で。
(いえ、あの国、この時代ですら億を超す人がおりまして。そこらの都で身寄りのない賎民の子供を探してくるだけでも、千人やそこらはすぐ集まってしまいますのでねぇ…天竺支部をこしらえて頂けました暁には、より多くの人の助けになると思いますが…)
ええ。冗談抜きで割と簡単に、無理からに人狩りをしなくても「いなくても困らない部類の少年少女」が集まってしまったりするのです…。
ですから、ごみ漁りや物乞いをしなくても、毎日ごはんがもらえるよとかちょっとした事をするだけで、何も暴力に訴えなくてもですねぇっ。
それと、オリューレさんを単に島流しにしたのではなく、真剣に茸島の女王になってもらおうとしている理由、おわかりでしょうか。
ええ。痴女宮本体の行政や教育機能の一部を茸島へ移管して、世界各地に人を送り込む施設の運営をさせたいがためなのです。
逆に言えば、それだけ姉とあたしはオリューレさんを買っているのですよ。
(マリアヴェッラ陛下…夫の崇拝の対象となっておられる上に、わたくしも今や陛下に仕える立場でございます。しかしながら、こう申しては何なのですが、かくも卑しい子供をかくも集めて教会の下男にする事自体に異論はございません。ですが、もう少し身元確かな者たちの子女を預かる訳には参らないのでしょうか…女を貪ろうとするその姿、我らが強い事を示さねばまさしく浅ましき牡豚そのもの。艶技から仕込まなくては到底使い物になりませぬ…)
あ、このシャルロットさんの全力で見下している発言、鵜呑みにして怒ってはいけませんよ。
この時代はまだ差別という差別、公然と存在している状態なのです。
むろん、聖院時代から宗教や人種といった大規模な差別に関しては干渉しているそうですが、それでも…撤廃はなかなか難しいのです。
で、あたしのお返事。
(確かに、今の世代の子どもたちを上流階級子弟同様の状態にまで仕込むの、そう簡単には行かないと思いますよ)
(やはり、陛下もそうお考えでしょうか…)
(ですがシャルロットさん。叔父もローマやフィレンツェで貧民の暮らしを見て愕然としていましたけど、見方を変えますとね、最貧階級の少年少女って、あたしたち女官にとっては集めやすい対象なんですよ。なにせ、放置しておけば悪党となって世を騒がせたあげくに捕まって裁かれたり、よしんば悪事を働かなくても底辺の暮らしですから、そこいらで死んでいても、地域によっては死を悼まれるどころか無造作に死体を処分されてしまうことも珍しくはないでしょう。そんな子どもたちが消えたところで、騒ぐ人はなかなかいないというのが実態ではないかと)
(確かに…パリでもそうした子供が人さらいにさらわれても、その場ですら下手をすると見逃されかねませんでしょうね…)
(ですが、痴女皇国では人間は金銭以上に価値のある財産なのです。人の道を相応に説く聖母教会の教義はもちろん、精気を頂くという我々の実利の観点から見ても無駄にはできません。石炭や鉄鉱同様、まずは得やすいところから人を得ているのですよ)
(で、シャルロット司祭…実のところ、そちらに回している少年たちも、我々であれば本来の予定だった労働者への教育をするのも不可能ではないのですよ)と、雅美さんも。
(ですが、聖母教会の雑用係として働かせるだけでなく、その近辺に居住する住民から精気を頂くためには有用な存在でもあるんですよ…そして、彼ら修練士にとって、助修士へ昇格するという目標も与えることで努力を促せます。その辺りはイザベル陛下の管轄になりますが、修道院で鍛えることになりますから司祭の手はわずらわせませんよ)
で、ここでもう一度、少年を集めて、労働者あるいは修道士として「出荷」するまでの過程を整理してみましょう。
まずはこの流れですよ。
世界各地→痴女島(聖院学院)→卒業→希望者は罪人工場
↓ →卒業→希望国へ送還
↓ →卒業→学院教育部進学
↓ →卒業→ミラノ修道院他進学
不適格判定
↓
→茸島(学院分校)
つまり、聖院学院を卒業すれば人生の選択の権利を与えられます。
では、茸島送りにされた子どもはどうなるか。
はっきり申し上げますと、人生の選択の余地は極めて少なくなります。
茸島分校→→→欧州地区鉱区へ
→→→米大陸本部労務部管轄労区へ
→→→三河監獄国へ
→→→パルマ修道院→助修士課程修了→赴任地へ
→→→パルマ修道院→修練士研修修了→赴任地へ
そして、このうち、茸島からパルマ送りになる子たちの最終意志確認を行う場所がこの、痴女島聖母教会という訳です。
茸島分校、ありていに言えば少年刑務所です。
そして、たのきち。
ちょっとちょっと、お読みの方のために解説してっ。
(えーあたしが言うのー? )
あんた文教局長じゃないっ。それにあんたは修学宮を聖院学院に作り替えた張本人よ?
(しゃあないわねっ。ええと…まず、日本ならいざ知らず、この痴女皇国では少年犯罪に関しては少年法もへったくれもありません。死刑になるような事をしたら死刑になります。ただし、痴女皇国は人を殺さないようにしていますから、殺したり傷つけたり奪った分だけ世の中に還元しろとなります。つまり、終身懲役刑または刑期短縮なしの奉仕刑を宣告するようなものですね)
ありがとう、さすが財務局を作り文教局を作った女。頼りになるわ。
(あたしをほめてもベラちゃんの皇帝歳費は上げられないわよっ。それよりですね、前にまりりが痴女皇国の歩く法律だって話が出てたと思いますけど、今はもう少し進化してまして…家族会合議に諮って、一瞬で判定が出ます。そして…茸島分校に送られる子供って、基本は「日本で言えば少年院送致レベルで何かやらかした子」だというのを読者の皆様も認識してくださいね)
そうよね。いえ…まだ、聞き分けの良い子や真面目な子は聖院学院本校に残せなくもないのですけど。
ベテハリ君なんか、どうだったのかな。
(ええとね、あの子は聖院学院に送られた当時、うつ病みたいな感じでね。まだ盗賊団にいたらいずれアニサちゃんを略奪婚するとか、叶うかどうかは別にして希望は持ってたわけよ。それが捕まったら望みはなくなるじゃん。で、塞ぎ込んでたのをなんとかしようって話になって、茸島分校送り)
ほうほう。あたしもその辺、あの子の記憶をあまり深く見てませんでしたからねぇ…。
(まぁ、それは仕方ないわよ。あの子も今は茸島で夫婦共稼ぎなんでしょ? まぁ、アンヌマリーちゃんとオリューレさんが「ここで頑張ってたらとりあえず、惚れてた子がどうなったか調べてあげるし、時間は必要だけど何とかできないか聞いてあげる」なんて言ってたみたいね。だからさ、あの子がベラちゃんに直訴できたのも、二人がチャンスは訪れるからって励ましてたからだからね? )
ええい、余計なことをしおって…と思いましたが、普通ならばアンヌマリーちゃんはもちろん、オリューレさんなんて、どちらかと言えば情け容赦のない部類です。
茸島分校は、いわば仮釈放なしの刑務所扱い。
(ですからへーか。ベテハリが犯行に至ったのは虐待があったからだと申しておりますでしょうに…アニサと別れないと殺すとまで父や兄から言われていたのですよ、あの子は…)と、オリューレさんが。
(だからこそ保釈扱いって感じでベテハリ君の保養所勤務を認めたんじゃないですか…アニサちゃんも女官として雇用できてめでたしめでたしで)
(陛下がノヴゴロドに連れて行く話をしなければ美談に聞こえるのですがぁっ。正直、ベテハリの公式身分は確か、皇帝特赦を出されたのを受けての茸島保養所の用人扱いでしたかと。 特赦がなければ彼の罪環、本来ならばまだ銅レベルのはずですよ)
(そうよそうよ。オリューレさん、絶対にあの人事差配、ベラちゃんの私情入りまくりよねっ)
…たのきちとオリューレさん。あとでしばくわよっ。
(まぁ、ノヴゴロドで美男公が困ってるのは聞いてます。現在は北欧支部からドレインして難をしのいでいるのも。それに、ベテハリ君があっちに行って少年受け入れと雇用…毛皮輸出業務の仕事に関する事で少年が働く場所を作ってくれるなら彼の罪環モード解除もそれだけ早まるしね)
と、雅美さんが助け舟を。
(あたしまだベテハリ君とはちゃんと顔合わせしてないのよね…まぁ、いずれノヴゴロドで見るとは思うけど…)
うん。私情が挟まってるのは聞かなかった方向にしましょう。
…少々脱線しましたが、ベテハリ君のやった事…家族全員服毒放火殺人は確かに大罪ですけど、犯行を決意するまでの経緯や家族からの虐待が認められています。ですから本来は差し引き判定で聖院学院本校課程のはずなんですよね。
ただ、身柄預かり当時の精神状態もありましたし、聖院学院の問題児について福祉部長と協議した上で受け入れを決めていたのは暫定分校長のオリューレさんです。
(オリューレさんの趣味で決めたでしょ、ベテハリ君の分校転入…)
(そそそそそそそそそそそそんなことわぁああああああああああっ。陛下のご趣味に比べれば私は私情を挟んでないと)
はい失言頂きました。茸島勤務延長、10年追加。
(今更意味のない事をされている気もしますが、あくまでも私を茸島の女王扱いしたい陛下のお気持ちもわからなくはありません。で、陛下や田野瀬局長に代わりまして、私がシャルロット司祭の疑問に答えましょう。そもそも痴女島聖母教会を経由して欧州に差し戻す少年たちは痴女皇国への奉仕刑の執行真っ最中の身の上。自ずと札付きばかりになるのはご理解頂けますね? )
と、聖母教会教皇夫人にしてイタリア支部の幹部でもあるシャルロットさんに対しての、オリューレさんからの追加説明ですけど、オリューレさんの立場ではシャルロットさんが希望するような少年は回しづらいのです。
確かに、茸島分校で扱う少年は犯罪者ですからね…そして、ええとこのボンの犯罪者の場合は高い確率でもみ消しもあり得ると。
(今回の助修士候補はその辺りの要請も含んでいますよ。ただし、田野瀬局長の扱う本校の少年たちについては卒業後に宗教への道を選ぶ場合だけでしかそちらに回せません。ですので、この後でジュネスに行かれるとは思うのですが、あそこの手伝いが出来る程度の少年しか、茸島分校では用立てできないのです。そこを何とぞご了承頂けませんと…)
それは、見る間に豪雨となって淋の森公園や門前町だけでなく、痴女島の主要部分を雨に煙らせていきます。
もちろん、痴女島の日課と言っていい、おなじみのスコールです。
しかし、そんな雨の中、ずぶ濡れをものともせずに女官や尼僧に性欲をぶつける存在が。
ええ、少年たちです。
感覚共有せずとも、激しく動くお尻で、その興奮の度合いがわかります。
そして、リンジーさんもその、修練場と名付けられ淋の森の入口の横に設けられた広場に並べられたビーチチェアの一つに寝ています。むろん、股を開き腰を使って少年ちんぽをお楽しみ中。
(しかし、なぜわざわざ雨の中で…)
雨避けの東屋の屋根の下で、驚愕の表情を浮かべながらその集団性交を見つめる瞳さんですが。
(これからわかるわよ)と、平然と心話で返す雅美さん。
で、リンジーさんはまだしも、少年たちにはに教えてないことがあるそうです。
この修練場を囲っている壁、実はですねぇ。
雨を検知すると液晶が反応する仕掛けを仕込んでるそうでして、スコールの時だけは透けるんですよ。
それも、外側からだけ。
内側から見れば、壁板は白いままです。臨界半透体という技術を応用したもので、飯島早苗さんの会社からその製法やら何やらをげふんげふんした成果だそうですけど。
しかし、外から見ると中で何をやってるか、丸わかり。
スコールの真っ最中ですから、通りかかる人はいないと思うでしょう。
ところがですねぇ。
シャワー代わりになるしと、割と最近は利用、多いんですよ。
そもそも根本的に暑い暑い痴女島ですから、スコールの時でちょうどいい感じの気温ですし。
で、雨音に混じってあんあんとか声がしてたり、何かを打ち付けるようなパンパンという音がしてたら、普通、一体中で何をやってるんだと気になって覗くじゃないですか。
ですので、このところ、スコール時のこの修練場の前にはギャラリーが何名か必ずいる状態なのです。罪人の間でも、スコールの時の淋の森は狙い目だって噂が広まってるようですし。
そして、覗いてる男性が自慰行為に及ばないように監視する光学迷彩仕様の雨ガッパ姿の騎士数名、密かに後方…門前町側の、淋の森と街区を隔てる絶林檎の林の中に身を潜めています。
もっとも、この騎士は自慰行為を咎めるのではなく、興奮した男性に対して売春を持ちかけるために待機していますよ。
(淋の森警備本部に配属された時の役得ですね。精気授受の人数を増やすことができますから…本当は売春どころか、お金を取らずに奉仕して差し上げたいのですけどねぇ)とは、騎士の一人の弁。
ええ、大目に見ますけど、あまり大っぴらにやらないように。あいつの時はタダだったのに俺の時は金を取られたとか噂になっても困りますからね。
まぁ、最悪の場合は記憶を入れ替えて、夢を見たような事にしても良いでしょう。
いい夢を見せてあげるのも、女官の務めとは思いますから。
(そもそも売春とはお金が目的ではないのでしょうか…あ、そうか…)
(シニョーラ、普通の女性ならいざ知らず、女官にとっては金銭よりも男性の精気の方がはるかに価値があるのです。普通の人は金銭を得るにも大変な苦労をしますが、我々にとってはお金など、ある意味ではどうにでもなるのです…逆に貨幣や金銀を供給する立場ですらあるのです…)
(まぁ、前にも言ったけど女官の食費やら被服費…ファインテックの半生体素材衣料再生産工場の運営費くらいは稼ぎたいから、全くの無償奉仕ってのも困るんだけどね。だからと言って金金金って執着して、貧乏人からむしるような行為は絶対すんなって聖院時代からの掟があるんだよ。これはあたしも変える気は全くねぇな。男の側にも努力は求めるけど、甘やかさないためであって破滅させるためじゃないんだから)
おお、ゼアラさん、正解ですよ。
姉が補足してくれましたけど、聖院も痴女皇国も、男性からお金を得るのは精気を頂くついでのようなものなのです。
確かに、あたしたちにとって、門前町で働く人や罪人の口座に売春費用をちょっと差し入れするくらいは造作もありません。
しかし、ですね。
(タダほど高いものはないし、タダでもらえるものなんて身につかないってのはマリアちゃんがよく言ってるでしょ…これ、確かに真理だと思うわ…あそこで覗いてるおじさんにしても、頑張って稼いだお金で買春できるから、その買春に価値があるのよ…そして、あたしたち痴女種はパパ活みたいなぬるい事じゃなくて、ガチに男性の生体エネルギーそのものを頂くのが至上命題だけど、だからと言って簡単に股を開いてしまうと、おざなりな行為になっちゃうのよ)
と、雅美さんがご高説を披露される向こうでは、確かに覗いている男性が。
ええ、あたしたち痴女種なら、壁の向こうは見えますから。
で、後ろから忍び寄る騎士が、おもむろに男性の股間に手を回して何事かを囁きます。
しこしこと騎士の手が動いていますが、ナニをナニしているのか、よく見なくとも理解可能な光景ですね。
更にはおっぱいを男性の背中に押し付けーのして、誘っておりますが。
(ほほう…)商談が成立したのか、聖環を重ね合わせてから森の奥の方に消える二人を見送る瞳さん、感心したように見入ってますね。
(そりゃ、あんな感じで買うのかって…確かに売春をしているのは知ってますし、私も陛下のお邪魔が入ったとは言えど、一応は本宮や聖院で研修はしましたよ…けど、淋の森はよく知らないんですから、見入ってしまうのは無理もないでしょう…)
げ。藪蛇。ええ、瞳さんの研修の際についつい暴走してしまった件、覚えられてましたね。ほほほ。
(ベーラーちゃーん。いくら瞳さんをお手付きしたいからって、何やってんのよあんたは…それにね、普通の日本人にはこの淋の森ですら、逮捕事案が最低でも1日に数百件は起きてる驚異の場所だっての忘れないでよ…瞳さんみたいな一般人出身者には強烈な刺激なんだからね…)
へいへい。
で、雅美さんの講義の続き。
(お金をかけて女を買うからこそ、元を取ろうとして男性は必死になるわけでしょ? で、あたしたち女官も、その想いに応える必要があるわけよ…)
ちなみにですね、今さらですけど…ナンパされても女官は乗りませんよ。イケメンであっても。
さくっとドレインして終わりです。
(それ以前に痴女皇国世界だと、現代風のナンパとはまた違うわよ…それはともかく、リンジーさんも、いずれは男に買われた立場を理解して満足を与えるという境地に立ってもらわないといけません。だから、ちんぽ慣れさせるのと、お仕事だけでなく、精気の吸い取りを頑張ったご褒美もあるよというのを知ってもらいたいわけよ…)
そうなのですよねぇ。この修練士や助修士少年少女の鍛錬、実はクラブジュネスの従業員や淋の森警備本部の騎士も参加します。
精気授受行為の実績を積みたいとか、あるいは精気授受手当が欲しい女官、はたまたショタ趣味のある女官を募ってはいますが、スコールの時間帯に全ての女官がフリーになっているわけではありません。
そこで、ジュネスや淋の森警備本部勤務の女官または騎士が、主な応援要員にされることに。
(そもそもジュネスや淋の森本部勤務にされてる時点で、女官としちゃ出世株だからね。まずはこの部署に回されるように頑張りなさいって話になるのよねぇ…)
ええ、この任務に当たる女官、割とベテランの傾向がある人を割り振るよう、警務局と厚労局…女官管理室に通達が行ってます。
理由は、少年たちの性交指導があるからです。そして…あとあと話が出て来ますが、少年たちを尼僧女官が籠絡しやすくするための下地工作要員でもあります。
ええ、敢えて、きつめの性交内容…それも女官主導になるようなことをしているんですよ。
(ここで音を上げるようでは、この先の修道院生活はもっと辛いものになりますから…)
(え?ここでずっと働かせるんじゃないのですか…)
(シニョーラ瞳、この痴女島聖母教会はあくまで外交施設です。教会で働くということを体験させて、最終的に労働者の道を選ぶか、修道院行きになるかを選択させるのがこの助修士少年や、後で見て頂く修練士の研修課程の目的なのです。ですから、ここにいるのは長くても1ヶ月程度ですよ)
(茸島から送られてくる少年の数によっては、1週間ほどでイスパニア方面への船に乗って赴任することになりますからね…まぁ、その話は後でお聞き頂くとしまして…)
とりあえず、叔父の言っていた件。
つまり、シャルロットさんたちが少年に対する行き過ぎ指導をしていないか、チェックする必要があります。
うーん、確かに、今の時点ではちょっとパワハラ気味というべきか。
例えば。
そうですね、少年たちが早漏にならないように聖環制御をかけています。
この子たちにとっては、コックリングというのですか…射精抑制器具を使われているようなものでしょう。
言うなれば、無理からに射精を止めている状態。
(普通は加齢と経験によって、珍珍の表面が角質化して感度が鈍くなるのよ…だから若くても長持ちするちんぽを作れなくはないわね。それと、おっとナニーをしてるとおめこでイキにくくなるわよ)
さいですか。雅美さんのいらん知識も、相変わらずですね。
で、普通に正常位でやってる女官だけではありませんね。
後ろから突けとばかりにお尻を向けているのはまだしも、女官によっては敢えて入れさせずに69の姿勢を取っています。
つまり、口で責め立てると。
そして、少年の射精を口と顔で受けながら、自分も絶頂時に潮を噴いて少年の顔を汚しています。
更には、少年に口を開けさせて便器にする女官…百人卒未満ですからちんちんはありませんけど、出るものは出ますからね…までもが。
ええ、少年たちは女官になぶられる存在に堕ちています。
そして、百人卒未満の女官を集めているのに注目して頂きたいのです。
当然ながら、百人卒未満の女官なら、股間にちんちんは存在しません。その体力や能力はともかく、身体的には普通の女性そのものです。
ただし、少年たちの疲労を回復させることは、可能。
もちろん、スコールの時間の間、少年たちから搾り取るためです。
更には…シャルロットさん、さっき助祭と精気授受、してましたよね。
あの時に降ろした精気を使って、助祭や女官経由で少年たちを復活させてるんです。
(参加の女官の皆様への贈り物ですわ。本宮所属の方であれば、立身出世の成績になるのでしょう? )
そうですね。
そして、単に精気を吸引するだけではありません。
あざとい少年たちに、厳しい現実を教え込み、聖母教会に忠実な助修士としての教育を施すのに成功すれば、それは千人卒以上の昇格の際の詮議には良い方向に働きます。
そ。ここにいる女官については、雅美さんの名前で厚労局と警務局を経由して集めています。
条件、やる気があって昇格を強く希望するもの。
(ふふふふふ…聖母に仕えるとは即ち、男の精を献上することに他なりません。あなたがたはロレーヌの鉱山で炭や石を掘りたくないがために聖母教会を選んだ身の上。さすればわれら修道女にその固く太くそそり立った逸物と、そこから出る汁を捧げるしかないのです…)
と、般若というのですか…にこやかに微笑んでいますが、実際には鬼の心のシャルロットさんが少年たちに引導を渡しています。
ええ、この子達は、ルール地方の炭田や鉄鉱石鉱山勤務を拒否しています。
ならばと聖母教会で、肉食女子とでもいうべき修道女官や…教会周辺の女性を相手にお尻を振ってちんぽを出し入れしなさいとなりました。
その扱いは、他の罪人少年と同じ。
精気貢納、即ち女官とのおめこを欠かせば自己発火して死亡する立場です。
そして、雨の中で女官との性交に耽り、性の技を鍛えた後は、地中海航路の船に乗せられてマヨルカ島のパルマ修道院に送られます。
そうですね…少年が痴女島に来てから茸島と痴女島聖母教会を経由して、マヨルカから欧州各地に送り出せるようになるまでは最速、半年だそうです。
で、なんでマヨルカなのか。
そう聞いたあたしへの、イザベルさんの回答です。
(マヨルカであれば、すぐ側にイビサ保養地がございます。そして、マヨルカ自体も避暑地としては好適。ランペデューサは聖地として大切に管理するとしましても、貴族どもの保養にはあまり向かない島ですから…まぁ、何より肝心なのは、逃げられないというところですわね)
つまり、この計画にはイザベルさんも噛んでいます。
イタリアで少年たちを鍛えてもよいのですが、陸続きでフランスやスイス、オーストリアと繋がっていますし、何より人里離れた場所を作るにも少々、苦労するんですよねぇ…シチリアなどの島であれば事情は変わりますが、この時代のシチリアはフランスとイタリアで領有を巡って争った過去の影響がまだ多少は残っていますので、聖母教会の施設を作るにはもう少し時間が欲しいとも。
で、修道院建設に手を挙げて立候補して下さったのがイザベルさん。
(成人と未成年では意味が全く異なるでしょう。未熟な子供であれば逃げ出すことも考えるはず。なんとなれば、未開の岩山や荒地もある我が国ならば、他と隔絶した場所を用意するのはたやすい話ですわ)
で、痴女皇国世界では亡き夫…フェリペ2世陛下の墓所として建設していたというサン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアルを連邦世界同様に修道院として整備する方向となったそうですね。
(もともと十字軍編成やイベリア半島のイスラム勢力との争いの経緯で、あそこはカトリックの施設が多いんだよ。ほら、サグラダ・ファミリアだって言ってみりゃそうだろ? )
ふむふむ。
そういえば、マヨルカの修道院、けっこうお金を使ったとか…。
(連邦世界のアラゴン王国に文句を言ってくれ。パルマ大聖堂をあれだけ豪勢に作ったのはあの国だ…まぁ、イスラム勢力の影響もあったんで、なぜかメッカの方角を向いてるけどな)
だからと言って、まんまそれのコピーめいたものを建設しなくても…。
(建築技術の習得も理由だ。だからイザベルさんだけじゃなくてうちも建設費用を持ってるからな…)
そうです。パルマの修道院というのは、連邦世界のマヨルカ島にあるパルマ大聖堂という結構おっきな教会、ほぼそのままで造らせてるんですよ…。
マドリードならいざ知らず、なんでマヨルカにそんな大げさな施設、わざわざ造らせるんですかぁっ。
(むろん売春のためですわよ。金は持っている者から絞り取るのが原則。さらに、鉄の道が出来れば今後はバレンシアやタラゴナの港も近くなる話。なんとなれば、国内の貴族や富豪どもにはマヨルカへ女を買いに行けとそそのかしやすくもなる話でございましょ? )
ああ、そうですね…更には鉄道開通に合わせて、女遊びはもちろんのこと3P4Pを流行らせる計画もあるとか…。
では、なぜマドリードやバレンシア、更にはバルセロナなどで女遊びをさせないのでしょうか。
(させないとは申しておりませんわよ、陛下…都市部の修道院は、いわば民衆のための精気貢納施設として運営を考えております)
(あ、ベラちゃん…これはるっきーが出歩いてるからあたしから言っとくわよ。イザベルさんちは日本の参勤交代と逆のパターンを考えてるのよ。つまり、貴族には今で言う別荘地を監督させて、そこで過ごさせるようにするわけよ…で、領地に貴人向けの修道院を設けて、えげつない遊びはそこでさせようとね…)
(そうそう、マダム・マサミにお教え頂いた闘牛とかいう競技、あれで優秀な者を取り立てる話もございますが…あれをやりますと、興奮した民衆が女を求めるのを知りましてね、ふふふ…)
まーさーみーさーん。
何をいらん知恵をつけてるんですかぁっ。
確か闘牛の歴史はともかく、現代のあたしたちが知る闘牛の形になるのって18世紀では…。
(騎馬闘牛だと経費が大変なのよ。で、徒歩闘牛の形式を提案したわけよ…闘牛賭博も含めて、スペインには事業許可を出す稟議を回したでしょ…)
むう。
た、確かに国内の娯楽流行策として発布した稟議、来てますね…。聖環で稟議書を検索するとばっちり出てきました「南欧支部管轄地における闘牛場建設予算拠出申請に関わる稟議」って、堅苦しい表題の稟議書…。
これであたしに添付書類まで読んで計画全容を把握させてはんこ貰おうってんですから、騙し討ちもはなはだしいのでは…。
(だからあたしの再査もちゃんと入れて捨て印も押してるじゃない…それと、スペイン=痴女皇国南欧支部なんだからさ、るっきーじゃなくてあたしの管轄になるのよ…赤薔薇騎士を置いてる場所は痴女皇国海外領土または駐留地だからね…)
あ、そうでしたね…。確かにイザベルさんもアナさんも、今や赤薔薇扱い。
とまぁ、少年たちを受け入れようとしているスペイン、性的にはフリーダムな方向を目指して支部としての価値を高める政策を目指しているようですね。
しかし、イザベルさん…実家への当てつけにしては、このところやたら熱心に国内統治に取り組んでおられるようですけど。
動機に怪しいものがありますね。
(なっ…ななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななな何を申されるのですかぁっ。陛下、わたくしは以前から借金解消のために粉骨砕身)
(その割には茸島保養所に来て少年を買っていたとか、雅美さんの手引きで聖院学院寮を見学したとか行状が聞こえているのですが)
ふっ。
ネタは上がっておるのです。
更にはイタリア夜の爛れ会で乳上と情報交換を重ねたり、連邦世界のホストクラブの情報を検索するなどなど。
闘牛を流行らせようとしてるのも、成績のよい美青年闘牛士を修道騎士名目で囲い込んで売春させようという魂胆でしょうに。
ああ、何という欲にまみれた経営者、いえもとい国王なのでしょうか。
(いえいえ。オリューレ支局長には負けましてよ。なにせ茸島分校、今や世界から集めた少年を仕込むために拡張を重ねておるとか。決して対抗意識を燃やしているなどとは。ほほほほほ!)
と、悪びれもせずに高笑いしている女王様ですけどね。
確かにあの分校、今や聖院学院本校に匹敵する規模にまで拡張させてという稟議にはんこ、つきました。
そして寮も含めて拡張建設に入っておりまして、出来た教室から順次、運用に入っています。
この工事が完成しますと、現状の聖院学院本校に匹敵する2,000名を超す児童を収容して「教育」が可能になるとの報告も貰っていますよ…。
なにせ、欧州だけでも聖母教会、新設したの、百箇所では効きません。
そこに行き渡る助修士や修練士を配置していくためには、毎週単位で数十名を送り出してもやっとなのです。
昨今は例の実習船のエルトゥールル号、あれは今や、最初の導入目的だった海事実習どころか、聖院学院から茸島分校への転校生や、あるいは逆の動きをする生徒を輸送する目的で動いているようなものです。
まず、従来は世界各地で集められた孤児や犯罪者児童…それから、成人男性でも凶悪犯について少年化が妥当と思われた者は痴女島に送致され、聖院学院への入校審査と試験を受けることとなっていました。
しかしながら聖院学院本校寮は修学寮を兼ねている関係もあって、従来は入寮者全員が「普通の子供か大人」である前提で設計されていました。
そこへ犯罪者傾向の強い者を入れると、当たり前のように喧嘩や窃盗などが日常的に発生する事になります。
で、茸島分校が開設されましたが、昨今は罪人認定される少年の方が多くなってきていました。これは聖母教会のための人材を人さらいいえいえいえいえいえいえ募集するためにも必要なことでしたよ。
(マリアヴェッラ陛下は我々堕天使をあまり悪し様に申せないのでは…)
(しっ、黙っておれ…君たちも協力していただろう…)
なんか堕天使さんたちとネメシスさんがぶつくさ言ってますけど、聞き流しておきましょう。
あと、天竺出身者のハリティリーネさんにインド支部開設の人材スカウトを兼ねて、一週間ほど出張してもらった際の帰りに人を乗せるからと言われたものの、キューバで建造中のアメリゴ=ヴェスプッチがまだ完成してなくてですね、仕方なくエマちゃんに頼んでテンプレス2世を出動させるはめになった話も内緒の方向で。
(いえ、あの国、この時代ですら億を超す人がおりまして。そこらの都で身寄りのない賎民の子供を探してくるだけでも、千人やそこらはすぐ集まってしまいますのでねぇ…天竺支部をこしらえて頂けました暁には、より多くの人の助けになると思いますが…)
ええ。冗談抜きで割と簡単に、無理からに人狩りをしなくても「いなくても困らない部類の少年少女」が集まってしまったりするのです…。
ですから、ごみ漁りや物乞いをしなくても、毎日ごはんがもらえるよとかちょっとした事をするだけで、何も暴力に訴えなくてもですねぇっ。
それと、オリューレさんを単に島流しにしたのではなく、真剣に茸島の女王になってもらおうとしている理由、おわかりでしょうか。
ええ。痴女宮本体の行政や教育機能の一部を茸島へ移管して、世界各地に人を送り込む施設の運営をさせたいがためなのです。
逆に言えば、それだけ姉とあたしはオリューレさんを買っているのですよ。
(マリアヴェッラ陛下…夫の崇拝の対象となっておられる上に、わたくしも今や陛下に仕える立場でございます。しかしながら、こう申しては何なのですが、かくも卑しい子供をかくも集めて教会の下男にする事自体に異論はございません。ですが、もう少し身元確かな者たちの子女を預かる訳には参らないのでしょうか…女を貪ろうとするその姿、我らが強い事を示さねばまさしく浅ましき牡豚そのもの。艶技から仕込まなくては到底使い物になりませぬ…)
あ、このシャルロットさんの全力で見下している発言、鵜呑みにして怒ってはいけませんよ。
この時代はまだ差別という差別、公然と存在している状態なのです。
むろん、聖院時代から宗教や人種といった大規模な差別に関しては干渉しているそうですが、それでも…撤廃はなかなか難しいのです。
で、あたしのお返事。
(確かに、今の世代の子どもたちを上流階級子弟同様の状態にまで仕込むの、そう簡単には行かないと思いますよ)
(やはり、陛下もそうお考えでしょうか…)
(ですがシャルロットさん。叔父もローマやフィレンツェで貧民の暮らしを見て愕然としていましたけど、見方を変えますとね、最貧階級の少年少女って、あたしたち女官にとっては集めやすい対象なんですよ。なにせ、放置しておけば悪党となって世を騒がせたあげくに捕まって裁かれたり、よしんば悪事を働かなくても底辺の暮らしですから、そこいらで死んでいても、地域によっては死を悼まれるどころか無造作に死体を処分されてしまうことも珍しくはないでしょう。そんな子どもたちが消えたところで、騒ぐ人はなかなかいないというのが実態ではないかと)
(確かに…パリでもそうした子供が人さらいにさらわれても、その場ですら下手をすると見逃されかねませんでしょうね…)
(ですが、痴女皇国では人間は金銭以上に価値のある財産なのです。人の道を相応に説く聖母教会の教義はもちろん、精気を頂くという我々の実利の観点から見ても無駄にはできません。石炭や鉄鉱同様、まずは得やすいところから人を得ているのですよ)
(で、シャルロット司祭…実のところ、そちらに回している少年たちも、我々であれば本来の予定だった労働者への教育をするのも不可能ではないのですよ)と、雅美さんも。
(ですが、聖母教会の雑用係として働かせるだけでなく、その近辺に居住する住民から精気を頂くためには有用な存在でもあるんですよ…そして、彼ら修練士にとって、助修士へ昇格するという目標も与えることで努力を促せます。その辺りはイザベル陛下の管轄になりますが、修道院で鍛えることになりますから司祭の手はわずらわせませんよ)
で、ここでもう一度、少年を集めて、労働者あるいは修道士として「出荷」するまでの過程を整理してみましょう。
まずはこの流れですよ。
世界各地→痴女島(聖院学院)→卒業→希望者は罪人工場
↓ →卒業→希望国へ送還
↓ →卒業→学院教育部進学
↓ →卒業→ミラノ修道院他進学
不適格判定
↓
→茸島(学院分校)
つまり、聖院学院を卒業すれば人生の選択の権利を与えられます。
では、茸島送りにされた子どもはどうなるか。
はっきり申し上げますと、人生の選択の余地は極めて少なくなります。
茸島分校→→→欧州地区鉱区へ
→→→米大陸本部労務部管轄労区へ
→→→三河監獄国へ
→→→パルマ修道院→助修士課程修了→赴任地へ
→→→パルマ修道院→修練士研修修了→赴任地へ
そして、このうち、茸島からパルマ送りになる子たちの最終意志確認を行う場所がこの、痴女島聖母教会という訳です。
茸島分校、ありていに言えば少年刑務所です。
そして、たのきち。
ちょっとちょっと、お読みの方のために解説してっ。
(えーあたしが言うのー? )
あんた文教局長じゃないっ。それにあんたは修学宮を聖院学院に作り替えた張本人よ?
(しゃあないわねっ。ええと…まず、日本ならいざ知らず、この痴女皇国では少年犯罪に関しては少年法もへったくれもありません。死刑になるような事をしたら死刑になります。ただし、痴女皇国は人を殺さないようにしていますから、殺したり傷つけたり奪った分だけ世の中に還元しろとなります。つまり、終身懲役刑または刑期短縮なしの奉仕刑を宣告するようなものですね)
ありがとう、さすが財務局を作り文教局を作った女。頼りになるわ。
(あたしをほめてもベラちゃんの皇帝歳費は上げられないわよっ。それよりですね、前にまりりが痴女皇国の歩く法律だって話が出てたと思いますけど、今はもう少し進化してまして…家族会合議に諮って、一瞬で判定が出ます。そして…茸島分校に送られる子供って、基本は「日本で言えば少年院送致レベルで何かやらかした子」だというのを読者の皆様も認識してくださいね)
そうよね。いえ…まだ、聞き分けの良い子や真面目な子は聖院学院本校に残せなくもないのですけど。
ベテハリ君なんか、どうだったのかな。
(ええとね、あの子は聖院学院に送られた当時、うつ病みたいな感じでね。まだ盗賊団にいたらいずれアニサちゃんを略奪婚するとか、叶うかどうかは別にして希望は持ってたわけよ。それが捕まったら望みはなくなるじゃん。で、塞ぎ込んでたのをなんとかしようって話になって、茸島分校送り)
ほうほう。あたしもその辺、あの子の記憶をあまり深く見てませんでしたからねぇ…。
(まぁ、それは仕方ないわよ。あの子も今は茸島で夫婦共稼ぎなんでしょ? まぁ、アンヌマリーちゃんとオリューレさんが「ここで頑張ってたらとりあえず、惚れてた子がどうなったか調べてあげるし、時間は必要だけど何とかできないか聞いてあげる」なんて言ってたみたいね。だからさ、あの子がベラちゃんに直訴できたのも、二人がチャンスは訪れるからって励ましてたからだからね? )
ええい、余計なことをしおって…と思いましたが、普通ならばアンヌマリーちゃんはもちろん、オリューレさんなんて、どちらかと言えば情け容赦のない部類です。
茸島分校は、いわば仮釈放なしの刑務所扱い。
(ですからへーか。ベテハリが犯行に至ったのは虐待があったからだと申しておりますでしょうに…アニサと別れないと殺すとまで父や兄から言われていたのですよ、あの子は…)と、オリューレさんが。
(だからこそ保釈扱いって感じでベテハリ君の保養所勤務を認めたんじゃないですか…アニサちゃんも女官として雇用できてめでたしめでたしで)
(陛下がノヴゴロドに連れて行く話をしなければ美談に聞こえるのですがぁっ。正直、ベテハリの公式身分は確か、皇帝特赦を出されたのを受けての茸島保養所の用人扱いでしたかと。 特赦がなければ彼の罪環、本来ならばまだ銅レベルのはずですよ)
(そうよそうよ。オリューレさん、絶対にあの人事差配、ベラちゃんの私情入りまくりよねっ)
…たのきちとオリューレさん。あとでしばくわよっ。
(まぁ、ノヴゴロドで美男公が困ってるのは聞いてます。現在は北欧支部からドレインして難をしのいでいるのも。それに、ベテハリ君があっちに行って少年受け入れと雇用…毛皮輸出業務の仕事に関する事で少年が働く場所を作ってくれるなら彼の罪環モード解除もそれだけ早まるしね)
と、雅美さんが助け舟を。
(あたしまだベテハリ君とはちゃんと顔合わせしてないのよね…まぁ、いずれノヴゴロドで見るとは思うけど…)
うん。私情が挟まってるのは聞かなかった方向にしましょう。
…少々脱線しましたが、ベテハリ君のやった事…家族全員服毒放火殺人は確かに大罪ですけど、犯行を決意するまでの経緯や家族からの虐待が認められています。ですから本来は差し引き判定で聖院学院本校課程のはずなんですよね。
ただ、身柄預かり当時の精神状態もありましたし、聖院学院の問題児について福祉部長と協議した上で受け入れを決めていたのは暫定分校長のオリューレさんです。
(オリューレさんの趣味で決めたでしょ、ベテハリ君の分校転入…)
(そそそそそそそそそそそそんなことわぁああああああああああっ。陛下のご趣味に比べれば私は私情を挟んでないと)
はい失言頂きました。茸島勤務延長、10年追加。
(今更意味のない事をされている気もしますが、あくまでも私を茸島の女王扱いしたい陛下のお気持ちもわからなくはありません。で、陛下や田野瀬局長に代わりまして、私がシャルロット司祭の疑問に答えましょう。そもそも痴女島聖母教会を経由して欧州に差し戻す少年たちは痴女皇国への奉仕刑の執行真っ最中の身の上。自ずと札付きばかりになるのはご理解頂けますね? )
と、聖母教会教皇夫人にしてイタリア支部の幹部でもあるシャルロットさんに対しての、オリューレさんからの追加説明ですけど、オリューレさんの立場ではシャルロットさんが希望するような少年は回しづらいのです。
確かに、茸島分校で扱う少年は犯罪者ですからね…そして、ええとこのボンの犯罪者の場合は高い確率でもみ消しもあり得ると。
(今回の助修士候補はその辺りの要請も含んでいますよ。ただし、田野瀬局長の扱う本校の少年たちについては卒業後に宗教への道を選ぶ場合だけでしかそちらに回せません。ですので、この後でジュネスに行かれるとは思うのですが、あそこの手伝いが出来る程度の少年しか、茸島分校では用立てできないのです。そこを何とぞご了承頂けませんと…)
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