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「なっ、誰だお前?!」
「大倉ですぅ!!」
国王への報告を終えて戻ってきたアルフォンスとシグルド。彼らは俺の顔を見てマルクスさんと同じような反応を見せたが、俺の必死の説明とマルクスさんの取りなしもあって事なきを得た。
シグルドの手が剣の柄を握っていることに気付いた時は恐怖しかなかったな。話してる途中で気絶するかと思ったぞ。
「なるほど、メタモルフォーゼか……」
再び応接室に腰を落ち着けて、二人にさっきタブレットで得た情報を共有する。初めはタブレットのステータス画面を見せようとしたのだが何故か彼らの目には真っ黒にしか見えないらしく、これも俺だけにわかる女神の加護だろうと言うことだった。
「あれがスキルによる形態変化だったとは……使いようによっては脅威ですよこれは」
アルフォンスもシグルドも驚きを隠せないでいる。やはりメタモルフォーゼはこの世界でも未知のスキルらしい。状況を理解したシグルドは神妙な顔をしているが、アルフォンスは再び好奇心に満ち満ちた目で俺を見ていた。
ああ、推しのキラキラした眼……いい……ってそうじゃなくて!
「確かにお前の言う通り全く俺に似てないな!どちらかと言えばお前は東のウカヌリ族に似ている。面立ちが幼なげで、目鼻口が小ぶり、そして背が低い」
「背が低いは余計ですよ!それが一番ショックなんですから!」
「お、そうか?悪い悪い!」
全くそう思っていないような軽さでアルフォンスが謝罪する。悪いと思ってるならそんな楽しそうな顔しないでほしい。
そう。そうなのだ。メタモルフォーゼって身長も変わってたのよ。二人と顔を合わせてわかった。同じくらいだと思っていた二人と視線が合わない。実際は10cm以上小さかったようだ。もちろん俺が。
「ですが、普段の姿に戻ることができてよかったじゃありませんか。少しでもいつもと同じところがある方が落ち着けるでしょう?」
「それは、まあ。一時的なものだと分かってホッとしてます」
シグルドに冷静に諭されて渋々頷く。いつもの姿に戻ったことが嬉しかったのは確かだ。
「だがこうなると陛下と謁見する前にもう一度説明しておかなきゃならんな。俺そっくりの奴で話を通しているから、説明なく出向いては近衛に止められるかもしれん」
「そうですね。ですがまあ、緊急性はありませんし明日の朝一番でも構わないでしょう」
「そうだな。俺が割り込んだ分仕事も遅れているだろうしそうするか」
俺の話のはずなのに二人の間で話が進んでいく。こちらが話すべきことは一通り話したので、今度はアルフォンスたちの話も聞かせてもらいたい。俺は控えめに手を挙げて二人の会話を遮った。
「その国王陛下との謁見ってどういう話になったんですか?いつ頃とかそういうのは決まったんでしょうか?」
「ああ、謁見は明日午後一番の予定になった。と言っても執務室で行うものだから立ち会うのは俺とシグルド、宰相と書記官くらいのものだ。異界の民ゆえこちらの作法には疎いと話してあるから気負わずとも大丈夫だぞ」
「そ、そうですか。それは……助かります……」
どうやらでっかい大広間で何十人と居並ぶ大臣や騎士の視線に晒されながらの謁見ではないようだ。この点は救いだが、明日王様に会うってだけで緊張で胃がキリキリしてきた。
だって俺は女神に何かしらの啓示を受けたわけではない。特別な加護とスキルは備わっているが、どう扱えばいいのかもわからないようなトリッキーなスキルだ。こんな状態でこの国の王様に会って、俺に何が言えるというのだろう。
LoDで起きるナルグァルドの危機を伝えればいいのだろうか。
わからない。
「大倉ですぅ!!」
国王への報告を終えて戻ってきたアルフォンスとシグルド。彼らは俺の顔を見てマルクスさんと同じような反応を見せたが、俺の必死の説明とマルクスさんの取りなしもあって事なきを得た。
シグルドの手が剣の柄を握っていることに気付いた時は恐怖しかなかったな。話してる途中で気絶するかと思ったぞ。
「なるほど、メタモルフォーゼか……」
再び応接室に腰を落ち着けて、二人にさっきタブレットで得た情報を共有する。初めはタブレットのステータス画面を見せようとしたのだが何故か彼らの目には真っ黒にしか見えないらしく、これも俺だけにわかる女神の加護だろうと言うことだった。
「あれがスキルによる形態変化だったとは……使いようによっては脅威ですよこれは」
アルフォンスもシグルドも驚きを隠せないでいる。やはりメタモルフォーゼはこの世界でも未知のスキルらしい。状況を理解したシグルドは神妙な顔をしているが、アルフォンスは再び好奇心に満ち満ちた目で俺を見ていた。
ああ、推しのキラキラした眼……いい……ってそうじゃなくて!
「確かにお前の言う通り全く俺に似てないな!どちらかと言えばお前は東のウカヌリ族に似ている。面立ちが幼なげで、目鼻口が小ぶり、そして背が低い」
「背が低いは余計ですよ!それが一番ショックなんですから!」
「お、そうか?悪い悪い!」
全くそう思っていないような軽さでアルフォンスが謝罪する。悪いと思ってるならそんな楽しそうな顔しないでほしい。
そう。そうなのだ。メタモルフォーゼって身長も変わってたのよ。二人と顔を合わせてわかった。同じくらいだと思っていた二人と視線が合わない。実際は10cm以上小さかったようだ。もちろん俺が。
「ですが、普段の姿に戻ることができてよかったじゃありませんか。少しでもいつもと同じところがある方が落ち着けるでしょう?」
「それは、まあ。一時的なものだと分かってホッとしてます」
シグルドに冷静に諭されて渋々頷く。いつもの姿に戻ったことが嬉しかったのは確かだ。
「だがこうなると陛下と謁見する前にもう一度説明しておかなきゃならんな。俺そっくりの奴で話を通しているから、説明なく出向いては近衛に止められるかもしれん」
「そうですね。ですがまあ、緊急性はありませんし明日の朝一番でも構わないでしょう」
「そうだな。俺が割り込んだ分仕事も遅れているだろうしそうするか」
俺の話のはずなのに二人の間で話が進んでいく。こちらが話すべきことは一通り話したので、今度はアルフォンスたちの話も聞かせてもらいたい。俺は控えめに手を挙げて二人の会話を遮った。
「その国王陛下との謁見ってどういう話になったんですか?いつ頃とかそういうのは決まったんでしょうか?」
「ああ、謁見は明日午後一番の予定になった。と言っても執務室で行うものだから立ち会うのは俺とシグルド、宰相と書記官くらいのものだ。異界の民ゆえこちらの作法には疎いと話してあるから気負わずとも大丈夫だぞ」
「そ、そうですか。それは……助かります……」
どうやらでっかい大広間で何十人と居並ぶ大臣や騎士の視線に晒されながらの謁見ではないようだ。この点は救いだが、明日王様に会うってだけで緊張で胃がキリキリしてきた。
だって俺は女神に何かしらの啓示を受けたわけではない。特別な加護とスキルは備わっているが、どう扱えばいいのかもわからないようなトリッキーなスキルだ。こんな状態でこの国の王様に会って、俺に何が言えるというのだろう。
LoDで起きるナルグァルドの危機を伝えればいいのだろうか。
わからない。
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