39 / 71
広がる世界
三
しおりを挟む
申し出はありがたいが初対面の相手にそこまで図々しいことはできない。しかも相手は神子と神の眷属。ごく一般的な価値観を持つ九朗にはとても受け入れられるものではなかった。九朗はその凛々しい眉を困ったように下げ、首を横に振る。
「そんな、申し訳ないです。これ以上ご迷惑をおかけする訳には……」
「迷惑だなんてとんでもない!足を休めるくらいはなさった方が」
「いえ、本当に大丈夫ですから」
「何を騒いでいる」
そのまま押し問答になりそうなところに新たな人物の声がかかる。低く張り詰めた冷たい声。全員がはっとして声の方向へ視線を向けると、今まさに帰宅したところの皓月が立っていた。
「皓月、お帰りなさい!」
「ああ、今戻った」
今日は六花からの正式な召喚だったため皓月は白い直垂を纏っている。正装の純白と銀鼠の立派な三本の尾が日の光に鈍く輝き、全身から厳かな神気が放たれているようだ。
恐ろしく冷たくもあり、仄かに温かくもある空気が皓月から緩やかに広がる。九朗とあやめはなんの説明を受けずとも彼が神であることを肌で感じていた。
「九朗殿、少し失礼しますね」
すばるは九朗に一度深く頭を下げて皓月の元へ駆け寄る。
対する九朗は眼前に立つ皓月の隠す気のない神気に言葉もなく固まっていた。こうポンポン人ならざる者が現れては許容範囲も超えると言うものだろう。
「ごめんなさい、お迎えもできず」
「構わない。何があった?」
見慣れぬ人の子が二人いることで皓月は警戒をしているようだ。常ならばすばるの顔を見ればゆったりと揺れるはずの尾は静まり返り、片耳はすばるに、片耳は九朗の方へ向いている。すばるにかける声は穏やかだが、九朗とあやめを見る目は冷ややかなものだった。
皓月は贄の神子を守護する者。選別を受けた参拝者や出入りの商人以外は例え子供であろうと警戒対象だ。
「あっ、ちょっと待って。違います。誤解ですよ!」
すばるもそれを感じ取り、慌てて事の成り行きを説明してようやっと皓月の目元が柔らかく弛んだ。
「それは災難だったな。童、怪我はないのだな?」
「だ、い、じょうぶ、です!」
「そうか」
向けられた皓月の鋭い目つきに気圧されつつも、気遣われたと察したあやめが必死な顔で何度も頷く。基本顔が怖いので誤解されがちだが皓月は子供が嫌いではないのだ。
「それでね、お疲れでしょうし、足を休めていただこうとお話していたところだったのです」
「あの、神子様、俺たちは平気ですから!」
どうやら引き止める気満々のすばるは皓月を味方につけようとしている。大人しそうに見えて意外と押しが強い。神様に誘われては流石に断れないと慌てる九朗の肩を、蛍が申し訳なさそうな様子で軽く叩いた。
「ごめんなぁ、神子さん参拝者以外と会うこと滅多にないから多分浮かれちゃってんだよ」
「兄ちゃん、すばる兄ちゃん美味しいお菓子いっぱいあるって言ってたよ!」
「おい、あやめ!」
蛍は九朗の気持ちを慮ってくれているようだが止めてはくれない。そして肝心の妹が乗り気だ。これはこのまま生きた心地のしない茶会への参加決定かと腹を括りかけたその時、助け舟は意外なところから差し向けられた。
「いや、やめておいた方がいい。先程東に雷雲が出ていた。久坂ならば日暮れには雨が降るだろう。客人よ、早々に住処へ帰れ」
ここから兄妹の家まで今すぐ発っても帰り着くのは日暮れ時。皓月の言葉が本当ならゆっくりしている場合ではなさそうだ。
「えっ、雨ですか?そりゃ不味い!あやめ、早く帰らねえと!」
あやめを背負って帰れば日暮れよりは少し早く戻れるはず。こうしてはいられないと慌てる九朗を見て漸くすばるも諦めがついたようだった。見るからに消沈して肩を落としているのが憐憫を誘うが、こればかりは仕方がない。
九朗はあやめの手をしっかりと繋いで居並ぶ神籍の方々に深々と首を垂れた。
「この度は誠にありがとうございました。このご恩は何れ何らかの形で必ずお返しいたします」
「気にすんなって。誰にでもあることっすよ!」
「そうだな。恩を返すと言うのなら、このまま何事もなく家に帰り着くことだけで十分だ」
感謝の言葉を口にする九朗にそれだけで十分と蛍と皓月は首を振る。善なる人の子が健やかであるよう導くのは神々の役目であって、感謝を捧げる気持ちがあれば十分なのだ。
寧ろ逆に、篝が座敷から風呂敷包みを持ってきてあやめへと差し出した。
「すばる殿が包んでおられたこれ、土産でございましょう?これは大神からの下げ渡しです。遠慮なくお持ちなさいませ」
「そうでした。篝ちゃんありがとう」
「お菓子!」
差し出された包みをあやめが受け取る。嬉しそうに、大事そうに抱えたそれに九朗も微笑み、再びすばるに深々と頭を下げた。
「本当に、重ね重ねありがとうございます」
「いいえ。僕も我儘を言ってしまって……」
断り切れずに困っている九朗に無理を通そうとしてしまった。すばるは珍しい事態に一時周りが見えなくなっていたと気づき、今更になってちょっと恥ずかしくなっていたのだ。
「普段こうして人とお話する機会がないものですから、ゆっくりお話を聞けるのではと思ってはしゃいでしまいました。すみません……」
「神子様……」
参拝者と話すことはあるが殆どが災いを贖うための状況確認のようなもの。雑談を交わすような機会は全くないと言っていい。きっかけは迷子という不運な出来事であっても彼らは健康ですばるの助けを必要としていない。何でもない話をすることができるのではと、すばるの心は弾んでいたのだ。
その感情の赴くまま彼らを引き留めようとしたことを反省し、寂し気に微笑むすばる。
九朗は螺鈿細工のように美しいと感じた瞳が寂しさで曇るのを目の当たりにして、無意識にすばるの手を握りしめていた。
「あの、俺必ずお礼に来ます。だからまた、会ってもらえるでしょうか?」
「え……?」
ひどく真剣な調子で告げられてすばるは目を丸くする。
そして言われた言葉の意味を理解した瞬間、ふわりと花が咲くような笑みを浮かべた。
「勿論です!是非いらしてください。お待ちしてますね」
きゅっと強く握り返された手。その細く柔らかな感触はいつまでも九朗の掌に残り続けた。
「そんな、申し訳ないです。これ以上ご迷惑をおかけする訳には……」
「迷惑だなんてとんでもない!足を休めるくらいはなさった方が」
「いえ、本当に大丈夫ですから」
「何を騒いでいる」
そのまま押し問答になりそうなところに新たな人物の声がかかる。低く張り詰めた冷たい声。全員がはっとして声の方向へ視線を向けると、今まさに帰宅したところの皓月が立っていた。
「皓月、お帰りなさい!」
「ああ、今戻った」
今日は六花からの正式な召喚だったため皓月は白い直垂を纏っている。正装の純白と銀鼠の立派な三本の尾が日の光に鈍く輝き、全身から厳かな神気が放たれているようだ。
恐ろしく冷たくもあり、仄かに温かくもある空気が皓月から緩やかに広がる。九朗とあやめはなんの説明を受けずとも彼が神であることを肌で感じていた。
「九朗殿、少し失礼しますね」
すばるは九朗に一度深く頭を下げて皓月の元へ駆け寄る。
対する九朗は眼前に立つ皓月の隠す気のない神気に言葉もなく固まっていた。こうポンポン人ならざる者が現れては許容範囲も超えると言うものだろう。
「ごめんなさい、お迎えもできず」
「構わない。何があった?」
見慣れぬ人の子が二人いることで皓月は警戒をしているようだ。常ならばすばるの顔を見ればゆったりと揺れるはずの尾は静まり返り、片耳はすばるに、片耳は九朗の方へ向いている。すばるにかける声は穏やかだが、九朗とあやめを見る目は冷ややかなものだった。
皓月は贄の神子を守護する者。選別を受けた参拝者や出入りの商人以外は例え子供であろうと警戒対象だ。
「あっ、ちょっと待って。違います。誤解ですよ!」
すばるもそれを感じ取り、慌てて事の成り行きを説明してようやっと皓月の目元が柔らかく弛んだ。
「それは災難だったな。童、怪我はないのだな?」
「だ、い、じょうぶ、です!」
「そうか」
向けられた皓月の鋭い目つきに気圧されつつも、気遣われたと察したあやめが必死な顔で何度も頷く。基本顔が怖いので誤解されがちだが皓月は子供が嫌いではないのだ。
「それでね、お疲れでしょうし、足を休めていただこうとお話していたところだったのです」
「あの、神子様、俺たちは平気ですから!」
どうやら引き止める気満々のすばるは皓月を味方につけようとしている。大人しそうに見えて意外と押しが強い。神様に誘われては流石に断れないと慌てる九朗の肩を、蛍が申し訳なさそうな様子で軽く叩いた。
「ごめんなぁ、神子さん参拝者以外と会うこと滅多にないから多分浮かれちゃってんだよ」
「兄ちゃん、すばる兄ちゃん美味しいお菓子いっぱいあるって言ってたよ!」
「おい、あやめ!」
蛍は九朗の気持ちを慮ってくれているようだが止めてはくれない。そして肝心の妹が乗り気だ。これはこのまま生きた心地のしない茶会への参加決定かと腹を括りかけたその時、助け舟は意外なところから差し向けられた。
「いや、やめておいた方がいい。先程東に雷雲が出ていた。久坂ならば日暮れには雨が降るだろう。客人よ、早々に住処へ帰れ」
ここから兄妹の家まで今すぐ発っても帰り着くのは日暮れ時。皓月の言葉が本当ならゆっくりしている場合ではなさそうだ。
「えっ、雨ですか?そりゃ不味い!あやめ、早く帰らねえと!」
あやめを背負って帰れば日暮れよりは少し早く戻れるはず。こうしてはいられないと慌てる九朗を見て漸くすばるも諦めがついたようだった。見るからに消沈して肩を落としているのが憐憫を誘うが、こればかりは仕方がない。
九朗はあやめの手をしっかりと繋いで居並ぶ神籍の方々に深々と首を垂れた。
「この度は誠にありがとうございました。このご恩は何れ何らかの形で必ずお返しいたします」
「気にすんなって。誰にでもあることっすよ!」
「そうだな。恩を返すと言うのなら、このまま何事もなく家に帰り着くことだけで十分だ」
感謝の言葉を口にする九朗にそれだけで十分と蛍と皓月は首を振る。善なる人の子が健やかであるよう導くのは神々の役目であって、感謝を捧げる気持ちがあれば十分なのだ。
寧ろ逆に、篝が座敷から風呂敷包みを持ってきてあやめへと差し出した。
「すばる殿が包んでおられたこれ、土産でございましょう?これは大神からの下げ渡しです。遠慮なくお持ちなさいませ」
「そうでした。篝ちゃんありがとう」
「お菓子!」
差し出された包みをあやめが受け取る。嬉しそうに、大事そうに抱えたそれに九朗も微笑み、再びすばるに深々と頭を下げた。
「本当に、重ね重ねありがとうございます」
「いいえ。僕も我儘を言ってしまって……」
断り切れずに困っている九朗に無理を通そうとしてしまった。すばるは珍しい事態に一時周りが見えなくなっていたと気づき、今更になってちょっと恥ずかしくなっていたのだ。
「普段こうして人とお話する機会がないものですから、ゆっくりお話を聞けるのではと思ってはしゃいでしまいました。すみません……」
「神子様……」
参拝者と話すことはあるが殆どが災いを贖うための状況確認のようなもの。雑談を交わすような機会は全くないと言っていい。きっかけは迷子という不運な出来事であっても彼らは健康ですばるの助けを必要としていない。何でもない話をすることができるのではと、すばるの心は弾んでいたのだ。
その感情の赴くまま彼らを引き留めようとしたことを反省し、寂し気に微笑むすばる。
九朗は螺鈿細工のように美しいと感じた瞳が寂しさで曇るのを目の当たりにして、無意識にすばるの手を握りしめていた。
「あの、俺必ずお礼に来ます。だからまた、会ってもらえるでしょうか?」
「え……?」
ひどく真剣な調子で告げられてすばるは目を丸くする。
そして言われた言葉の意味を理解した瞬間、ふわりと花が咲くような笑みを浮かべた。
「勿論です!是非いらしてください。お待ちしてますね」
きゅっと強く握り返された手。その細く柔らかな感触はいつまでも九朗の掌に残り続けた。
10
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
【短編完結】地味眼鏡令嬢はとっても普通にざまぁする。
鏑木 うりこ
恋愛
クリスティア・ノッカー!お前のようなブスは侯爵家に相応しくない!お前との婚約は破棄させてもらう!
茶色の長い髪をお下げに編んだ私、クリスティアは瓶底メガネをクイっと上げて了承致しました。
ええ、良いですよ。ただ、私の物は私の物。そこら辺はきちんとさせていただきますね?
(´・ω・`)普通……。
でも書いたから見てくれたらとても嬉しいです。次はもっと特徴だしたの書きたいです。
【R18】平凡な男子が女好きのモテ男に告白したら…
ぽぽ
BL
"気持ち悪いから近づかないでください"
好きな相手からそんなことを言われた
あんなに嫌われていたはずなのに…
平凡大学生の千秋先輩が非凡なイケメン大学生臣と恋する話
美形×平凡の2人の日常です。
※R18場面がある場合は※つけます
炎のように
碧月 晶
BL
イケメン王子×無自覚美形
~登場人物~
○アイセ・ウル
・受け(主人公)
・オラージュ王国出身
・16才
・右眼:緑 左眼:碧 、黒髪
(左眼は普段から髪で隠している)
・風と水を操る能力を持つ
(常人より丈夫)
・刃物系武器全般の扱いを得意とする
※途中までほぼ偽名です。
○ヴィント・アーヴェル
・攻め
・ヴィーチェル王国 第一王子
・18才
・紅眼、金髪
・国最強剣士
・火を操る能力を持つ
※グロテスク、暴力表現あり。
※一話一話が短め。
※既にBLove様でも公開中の作品です。
※表紙絵は友人様作です(^^)
※一番最初に書いた作品なので拙い所が多々あります。
※何年かかろうと完結はさせます。
※いいね、コメントありがとうございます!
ボッチはハズレスキル『状態異常倍加』の使い手
Outlook!
ファンタジー
経緯は朝活動始まる一分前、それは突然起こった。床が突如、眩い光が輝き始め、輝きが膨大になった瞬間、俺を含めて30人のクラスメイト達がどこか知らない所に寝かされていた。
俺達はその後、いかにも王様っぽいひとに出会い、「七つの剣を探してほしい」と言われた。皆最初は否定してたが、俺はこの世界に残りたいがために今まで閉じていた口を開いた。
そしてステータスを確認するときに、俺は驚愕する他なかった。
理由は簡単、皆の授かった固有スキルには強スキルがあるのに対して、俺が授かったのはバットスキルにも程がある、状態異常倍加だったからだ。
※不定期更新です。ゆっくりと投稿していこうと思いますので、どうかよろしくお願いします。
カクヨム、小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します
バナナ男さん
BL
享年59歳、ハッピーエンドで人生の幕を閉じた大樹は、生前の善行から神様の幹部候補に選ばれたがそれを断りあの世に行く事を望んだ。
しかし自分の人生を変えてくれた「アルバード英雄記」がこれから起こる未来を綴った予言書であった事を知り、その本の主人公である呪われた英雄<レオンハルト>を助けたいと望むも、運命を変えることはできないときっぱり告げられてしまう。
しかしそれでも自分なりのハッピーエンドを目指すと誓い転生ーーーしかし平凡の代名詞である大樹が転生したのは平凡な平民ではなく・・?
少年マンガとBLの半々の作品が読みたくてコツコツ書いていたら物凄い量になってしまったため投稿してみることにしました。
(後に)美形の英雄 ✕ (中身おじいちゃん)平凡、攻ヤンデレ注意です。
文章を書くことに関して素人ですので、変な言い回しや文章はソッと目を滑らして頂けると幸いです。
また歴史的な知識や出てくる施設などの設定も作者の無知ゆえの全てファンタジーのものだと思って下さい。
関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている
百門一新
恋愛
人族貴族の公爵令嬢であるシェスティと、獣人族であり六歳年上の第一王子カディオが、出会った時からずっと犬猿の仲なのは有名な話だった。賢い彼女はある日、それを終わらせるべく(全部捨てる勢いで)隣国へ保留学した。だが、それから数年、彼女のもとに「――カディオが、私を見ないと動機息切れが収まらないので来てくれ、というお願いはなんなの?」という変な手紙か実家から来て、帰国することに。そうしたら、彼の様子が変で……?
※さくっと読める短篇です、お楽しみいだたけましたら幸いです!
※他サイト様にも掲載
帝都あやかし物語
来海空々瑠
恋愛
名家の生まれである水無月あやめは、帝都でも一、二を争う格式高い九条家の次期当主との縁談話が進んでいた。だが、何でも手にするあやめを密かに妬んでいた隣家の令嬢・高羽椿によって、無実の罪を着せられてしまう。そんなピンチの中、椿にある話を持ちかけられたあやめは、罪を認める供述をすることになり──。
濡れ衣を着せられた令嬢が白虎の神様やあやかしたちに助けられ、疑いを晴らし、幸せになるまでのお話。
えっと、幼馴染が私の婚約者と朝チュンしました。ドン引きなんですけど……
百谷シカ
恋愛
カメロン侯爵家で開かれた舞踏会。
楽しい夜が明けて、うららかな朝、幼馴染モイラの部屋を訪ねたら……
「えっ!?」
「え?」
「あ」
モイラのベッドに、私の婚約者レニー・ストックウィンが寝ていた。
ふたりとも裸で、衣服が散乱している酷い状態。
「どういう事なの!?」
楽しかった舞踏会も台無し。
しかも、モイラの部屋で泣き喚く私を、モイラとレニーが宥める始末。
「触らないで! 気持ち悪い!!」
その瞬間、私は幼馴染と婚約者を失ったのだと気づいた。
愛していたはずのふたりは、裏切り者だ。
私は部屋を飛び出した。
そして、少し頭を冷やそうと散歩に出て、美しい橋でたそがれていた時。
「待て待て待てぇッ!!」
人生を悲観し絶望のあまり人生の幕を引こうとしている……と勘違いされたらしい。
髪を振り乱し突進してくるのは、恋多き貴公子と噂の麗しいアスター伯爵だった。
「早まるな! オリヴィア・レンフィールド!!」
「!?」
私は、とりあえず猛ダッシュで逃げた。
だって、失恋したばかりの私には、刺激が強すぎる人だったから……
♡内気な傷心令嬢とフェロモン伯爵の優しいラブストーリー♡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる