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第二十話
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「え?話があるって??」
翌日、レイリアとアレクはボアファングをギルドに納品するために受付にいくと、受付嬢のアニタからギルドマスターの部屋に行くようにと言われた。
「ギルドマスターが?一体何の用かしら?」
レイリアは特に思い当たることがなかったので、全く思いつかなかった。
「ヴァンさんも既にご一緒ですよ。詳細は私も聞いていないのでさっぱりです。ただ・・・」
「ただ?」
「マスターの表情はかなり芳しくなかったと思います。何となくですが、いい話じゃなそうかなって」
アニタは、ギードの様子がいつもと違うことを感じ取っていた。
「え~~そうなの??でも怒られるようなことは全く心当たりないんだけどなぁ?」
「ですね。私も特には思い当たらないです。」
「まぁここで考えてもわからないものね。じゃ行ってくる。」
「それもそうですね。では魔獣の解体はしておきますので、あとで取りに来てくださいね。」
アニタと別れた後、レイリアとアレクはギルドマスターの部屋の前に来た。
コンコン
「レイリアです。」
「あぁ入ってくれ・・・」
『あら、ホントに声が機嫌悪いわね。』
ギードの声からアニタの言っていたことが事実であったことを確信するとともに、なんとなく不安がよぎった。
部屋に入ると、ギードとヴァンが向かい合わせでソファに座っていた。その様子を見て、二人から只ならぬ雰囲気を感じとった。
『えーおじさまどころかじっちゃんも機嫌悪いし!一体何なのよー?』
ギードはアレクの姿を見て、話しかけた。
「・・・アレクお前は席を外してろ」
「マスターな、なんでだよ?」
「あんまりガキに聞かせたい話じゃねぇからだ。」
「くっ!」
アレクは俯き、自分だけが仲間外れにされたように感じた。きっと大人の事情があるのだろうとはわかっていた。だがそれでもやりきれない気持ちがアレクの中にあったのだ。
「・・・・おじさま、ちょっと待って」
レイリアはしゃがんでアレクと目線を合わせた。
「ね、アレクはどうしたい?」
「俺は・・・リアねぇちゃんに拾ってもらった身だ。だからリアねぇちゃんのことなら一緒に聞きたい!」
「・・・本当にいいのね?」
アレクは大きく頷いた。レイリアはクスリと笑い、アレクの意思を尊重しようとしたのだ。
「だ、そうよ。アレクも一緒に聞くわ」
「ふん。まぁいい。リアが納得してるなら俺としては異論はねぇ。」
「ふっ」
ヴァンは、アレクならそういうだろうと何となくわかっていた。
「じゃ、立ってるのもなんだからな。座ってくれ。」
ギードは険しい顔をしたまま、一呼吸したあと切り出した。
「まどろっこしいのは面倒だからな。結論を言う。実はな、リア、お前さんの実家から帰還要請がきた。」
「・・・・え?」
レイリアは一瞬何を言われたのか理解できなかった。
「リアの実家だ。正しくは『エステル・サー・バルミング』としての、つまり隣国にあるバルミング家から、お前さんをやっと見つけたと。だから帰ってきてほしいっと、憲兵を通じてここ(ギルド)に伝達があったんだよ。」
「・・・・・・」
「え?エステル?バルミング・・って??」
アレクは初めて聞いた名に動揺し、レイリアはまさかの帰還要請に低い声で確認した。
「私を殺そうとして捨てたのに?なのに見つけたって?帰って来いって??」
「・・・そういうこった」
ギードも呆れたように頷いた。
「はぁーーーーーっ???!!!」
レイリアは怒りを顕わにし、あまりのレイリアの剣幕にアレクは少しビビッていた。
翌日、レイリアとアレクはボアファングをギルドに納品するために受付にいくと、受付嬢のアニタからギルドマスターの部屋に行くようにと言われた。
「ギルドマスターが?一体何の用かしら?」
レイリアは特に思い当たることがなかったので、全く思いつかなかった。
「ヴァンさんも既にご一緒ですよ。詳細は私も聞いていないのでさっぱりです。ただ・・・」
「ただ?」
「マスターの表情はかなり芳しくなかったと思います。何となくですが、いい話じゃなそうかなって」
アニタは、ギードの様子がいつもと違うことを感じ取っていた。
「え~~そうなの??でも怒られるようなことは全く心当たりないんだけどなぁ?」
「ですね。私も特には思い当たらないです。」
「まぁここで考えてもわからないものね。じゃ行ってくる。」
「それもそうですね。では魔獣の解体はしておきますので、あとで取りに来てくださいね。」
アニタと別れた後、レイリアとアレクはギルドマスターの部屋の前に来た。
コンコン
「レイリアです。」
「あぁ入ってくれ・・・」
『あら、ホントに声が機嫌悪いわね。』
ギードの声からアニタの言っていたことが事実であったことを確信するとともに、なんとなく不安がよぎった。
部屋に入ると、ギードとヴァンが向かい合わせでソファに座っていた。その様子を見て、二人から只ならぬ雰囲気を感じとった。
『えーおじさまどころかじっちゃんも機嫌悪いし!一体何なのよー?』
ギードはアレクの姿を見て、話しかけた。
「・・・アレクお前は席を外してろ」
「マスターな、なんでだよ?」
「あんまりガキに聞かせたい話じゃねぇからだ。」
「くっ!」
アレクは俯き、自分だけが仲間外れにされたように感じた。きっと大人の事情があるのだろうとはわかっていた。だがそれでもやりきれない気持ちがアレクの中にあったのだ。
「・・・・おじさま、ちょっと待って」
レイリアはしゃがんでアレクと目線を合わせた。
「ね、アレクはどうしたい?」
「俺は・・・リアねぇちゃんに拾ってもらった身だ。だからリアねぇちゃんのことなら一緒に聞きたい!」
「・・・本当にいいのね?」
アレクは大きく頷いた。レイリアはクスリと笑い、アレクの意思を尊重しようとしたのだ。
「だ、そうよ。アレクも一緒に聞くわ」
「ふん。まぁいい。リアが納得してるなら俺としては異論はねぇ。」
「ふっ」
ヴァンは、アレクならそういうだろうと何となくわかっていた。
「じゃ、立ってるのもなんだからな。座ってくれ。」
ギードは険しい顔をしたまま、一呼吸したあと切り出した。
「まどろっこしいのは面倒だからな。結論を言う。実はな、リア、お前さんの実家から帰還要請がきた。」
「・・・・え?」
レイリアは一瞬何を言われたのか理解できなかった。
「リアの実家だ。正しくは『エステル・サー・バルミング』としての、つまり隣国にあるバルミング家から、お前さんをやっと見つけたと。だから帰ってきてほしいっと、憲兵を通じてここ(ギルド)に伝達があったんだよ。」
「・・・・・・」
「え?エステル?バルミング・・って??」
アレクは初めて聞いた名に動揺し、レイリアはまさかの帰還要請に低い声で確認した。
「私を殺そうとして捨てたのに?なのに見つけたって?帰って来いって??」
「・・・そういうこった」
ギードも呆れたように頷いた。
「はぁーーーーーっ???!!!」
レイリアは怒りを顕わにし、あまりのレイリアの剣幕にアレクは少しビビッていた。
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